第2回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日時1999年1月12日(火)10:30~12:20
2.場所委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等) 科学技術庁
原子力局
青江局長
政策課坂田課長
原子力調査室森本室長、板倉、村上、池亀
原子力安全局
原子炉規制課安澤安全審査管理官、横川、伊藤、塚野
外務省
科学原子力課 平松
資源エネルギー庁
原子力産業課 斉藤企画官
文部省研究機関課 岩崎
中央省庁等改革推進本部 堀金企画官
吉舗専門委員
- 4.議題
(1) | 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(放射性廃棄物の廃棄施設、STACY施設及びTRACY施設の変更)について(諮問)
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(2) | 原子力政策及び原子力委員会の今後の在り方について
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(3) | その他 |
- 5.配布資料
資料1-1 | 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(放射性廃棄物の廃棄施設、STACY施設及びTRACY施設の変更)について(諮問)
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資料1-2 | 日本原子力研究所東海研究所原子炉設置変更(放射性廃棄物の廃棄施設、STACY施設及びTRACY施設の変更)の概要
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配付資料原子力政策について(イメージ)
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資料2-1 | 第73回原子力委員会定例会議議事録(案)
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資料2-2 | 第1回原子力委員会臨時会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1) | 日本原子力研究所東海研究所の原子炉の設置変更(放射性廃棄物の廃棄施設、STACY施設及びTRACY施設の変更)について(諮問)
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- 平成11年1月5日付け10安(原規)第143号をもって内閣総理大臣から諮問のあった標記の件について、事務局より資料1-1及び資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
- 放射性廃棄物の廃棄施設は、どこの廃棄物が対象か。
(原子炉規制課)
主に日本原子力研究所自体の廃棄物。
- 廃棄施設での貯蔵可能な期間は、今回の変更でどれくらい延長されるのか。
(原子炉規制課)
少なくとも10年間位は延長される。
- 将来、また貯蔵能力を増強するのか。
(原子炉規制課)
ここ10~20年間は大丈夫。
- 今回の変更は設置変更許可として申請すべき内容なのか。
(原子炉規制課)
どこまで申請すべきかの判断は難しい。今回は申請書の本文記載事項の変更になるので申請している。
- 研究開発段階の施設については弾力的な対応がとれるよう施設の安全性に余裕を持たせ、幅を決めておけば良いのではないか。
(原子炉規制課)
研究施設ゆえに、安全性の裕度を大幅に取るようにしてきた。
- これに類した研究は外国にあるのか。
(原子炉規制課)
廃棄物の減溶、圧縮、溶解等については、国内外で実績がある。再処理の安全性に関する研究については整理して後日報告する。
- 等の委員の意見及び質疑応答があり、引き続き審議することとした。
注)本件申請に係る変更は以下の通り
- ①放射性廃棄物の廃棄施設について、固体廃棄物のうち表面線量当量率2.0mSv/h未満のものを減容するために、高圧圧縮装置、金属溶融設備、焼却・溶融設備及び減容処理棟の設置等の変更を行う。
②STACY施設について、溶液燃料の原料として入手するウラン・プルトニウム混合酸化物に係る劣化ウラン量の変更及び形状の限定に伴い、炉心の燃料体の最大そう入量、粉末燃料貯蔵設備の貯蔵能力を変更し、また、粉末燃料取扱設備及び調整附属設備で取り扱い、粉末燃料貯蔵設備で貯蔵するウラン・プルトニウム混合酸化物の形状を粉末に限定する。
- (2)原子力政策及び原子力委員会の今後の在り方について
- 標記の件について、
- 前回は、原子力委員会の組織・事務局について議論したが、今回は原子力政策の今後の在り方について議論したい。日本の原子力政策の要である長計については今後検討が本格化する段階にあるが、2000年中には取りまとめられることになるであろう。一方、行革の検討も進められているが、長計の検討よりは、早目に進んでいく状況である。
- 原子力は多面多岐にわたる領域が包含されている。40年前の初期には平和利用として原子力発電を中心としていたが、その後、総合科学技術へと成長し、原子力政策自体も範囲が広がってきている。相互のバランスや整合性を取る調整が必要となってきている。例えば、原子力発電をとっても、当初はエネルギー利用としての発電が中心課題であったが、廃棄物の処理処分が重要な問題となってきた。このように原子力政策も複雑になり、関係者も増えてきたので、これら関係者の意見をも含めた総合調整が図られないと原子力行政は進まなくなってきた。また、原子力委員会の企画・立案機能も、地域振興をはじめ地方自治体の要望を受け止める必要性が高まる等複雑化し、必然的に総合調整機能として高度のものが必要となってきている。さらに、原子力委員会は、事前調査から事後の評価に至るまで、前面に出て説明責任を果たさなければならず、行動する原子力委員会になることが必要である。また、公聴機能はアカウンタビリティーと表裏一体のものとして、国民の意見をしっかりと受け止めるために必要である。これらの機能が十分に発揮できるよう行政改革の中で配慮して欲しい。
- 委員会を支える事務局が原子力政策の広がりに対応できるよう強化していく必要がある。また、国際的な観点からは、アジア協力では、アジアの中には既に原子力利用が進んでいる国、これからやろうとしている国、計画のない国等、各々のフェーズが違っている状況を踏まえ、安全文化の定着や制度・体制の整備を目指して協力を行っていく必要がある。ロシアについては、我が国としての対露協力の一環として官民が協力して原子力協力を行っていく必要がある。核不拡散については、日本が核武装をするのではないかという疑念を払拭するため、非核三原則だけでなく、透明性について積極的に説明していく必要がある。
- 日本の原子力平和利用の原点は広島、長崎の被爆体験と技術エネルギーとしての原子力という観点であり、これらを融合させる努力を払いながら平和利用を世界に訴えていく必要がある。
- 国際協力については二面性がある。自ら平和利用に徹することはもちろん、核兵器という負の遺産を国際協力で後始末することと、今後この様な新たな負の遺産を生み出すことを未然に防ぐ制度や仕組みを構築することである。
- 何故日本が原子力をやるのかについて、国内外の理解を得ていくために、原点にかえって説明を行い「見える原子力」を心掛けていく必要がある。また、何故原子力委員会がこれまで世の中に見えてこなかったかを考える必要がある。SPring-8におけるヒ素の検出等身近な話題から国民に関心を持ってもらったり、政治家の関心を高めていくことも重要である。国民に信頼されるよう、各省に対して厳しい意見を言えるような委員会になる必要があるのではないか。
- 立地問題について、地元との関係がこれからの課題である。原子力発電所の立地県知事や市町村長との間において、大局的な観点から要望を汲み上げていくため、関係省庁と連携して、原子力委員会が対応を行っていくことも一案である。
- 原子力委員会が機能を発揮し、国民から認められるためには、これまでを反省し、どうあったら良いかを検討すべきではないか。
- 原子力については、国政上の観点から社会性の側面を総合的に取り扱っていく必要があり、委員会と国民の代表である国会との関係をもう少し深めて行くべきではないか。
- 等の委員の意見があった。
- (3)議事録の確認
- 事務局作成の資料2-1第73回原子力委員会定例会議議事録(案)及び資料2-2第1回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。