第26回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1998年5月19日(火)10:30〜11:50
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
蹊大学 廣部教授
(財)若狭湾エネルギー研究センター
清水所長 辻本研究部長
(事務局等)伊藤原子力調査室長
吉舗専門委員
研究技術課 石原
政策課 堀田
(財)若狭湾エネルギー研究センター 大西
原子力調査室 松澤、杉本、池亀、國嶋、仲
- 4.議 題
(1)越境損害の法的救済に関する調査について(9年度委託調査結果)
(2)原子力に関する技術的安全と社会的安心等に関する調査について(9年度委託調査結果)
(3)藤家委員長代理の海外出張報告について
(4)原子力委員会専門委員の任命について
(5)その他
- 5.配布資料
- 資料1-1 越境損害の法的救済に関する調査について
資料1-2 平成9年度越境損害の法的救済に関する調査報告書
資料2-1 平成9年度原子力に関する技術的安全と社会的安心等に関する調査報告書
資料2-2 平成9年度原子力に関する技術的安全と社会的安心等に関する調査結果報告
資料3 藤家原子力委員会委員長代理の米国出張について(報告)
資料4 原子力委員会専門委員の任命について(案)
資料5 第25回原子力委員会臨時会議議事録(案)
- 6.審議事項
- (1)原子力に関する技術的安全と社会的安心等に関する調査について(9年度委託調査結果)
- 標記の件について、財団法人若狭湾エネルギー研究センター清水所長より資料2-1及び資料2-2に基づき説明がなされた。
これに対し、
- 今回報告いただいたことを正に実感している。信頼できる人間関係がないと安心できないし、マスコミについての分析もそのとおりだと思う。文系の人が原子力について間違った認識を持ってしまうことは大きな問題
- 実態調査について、貴センターの地元である福井県を対象に調査することについて意味を感じているか
(清水所長より)感じている
- 原子力は実証主義の上に成り立ち得るか
(清水所長より)実証主義は技術的安全を示す上で有効。ただし、社会的安心を含めると必ずしも実証主義は十分でない
- ハードだけでなくソフトの面での地域に対する貢献には何が考えられるか
(清水所長より)発電以外に暮らしや地域に役立つような波及効果など。精神的な面で暮らしの豊かさを感じるものや文化的なものが考えられる。放射線利用によるガン治療や農産物の品種改良、国際会議の開催なども地域の向上につながる。例えば、東海村と福井を比べると、東海村では地域活動の中に原子力が定着しているが、福井では原子力発電所だけがあるという感じがする
- 貴センターとしても、そうした町造りに貢献してもらいたい。本委託成果を外に向かってどのように話していくかについても考えることが大切
等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)越境損害の法的救済に関する調査について
- 標記の件について、成蹊大学廣部教授から、資料1-1及び資料1-2に基づき説明がなされた。
これに対し、
- 我が国の原賠法の改正のスケジュール、ウィーン条約に我が国が参加していない理由、放射性廃棄物や核燃料物質の輸送船が沈没した場合などにもウィーン条約は適用されるのか
(事務局より)原賠法は10年ごとに改正しており、来年度が改正の時期にあたるので、今秋ごろから改正に向けた作業を行う予定
(廣部教授より)事業者の責任限度について、条約は有限責任であるのに対し原賠法は無限責任の考え方をとっていることや、日本にとっての加入メリットがないとの判断があるだろうが、国際的に見た場合の政策判断は別にあるだろう。また、国内法で条約上の法制を取り入れることができるかどうかなど、法律上つめるべき課題が多く残っている。輸送船の事故に対しては、はっきりとは分からないが適用される場合があるのでないか
- 旧ソ連など事故を起こした国については負担割合を高くするという考えはないのか
(廣部教授より)そういった議論もあるが、安全でない国の負担が大きいと条約に参加しなくなってしまう。どうやって安全性が低い国に参加してもらうかが重要な問題である
等の質疑応答があった。
- (3)藤家委員長代理の海外出張報告について
- 標記の件について、事務局より資料3に基づき説明がなされた。
これに対し、
(藤家委員長代理より)米国における原子力停滞ムードも底を脱した感がある
- 米国のそのような状況は、COP3が要因になっていると考えるか
(藤家委員長代理より)COP3が政策当局に与えた影響は大きいと認識している
- 米国当局においても、原子力の将来性について肯定的な気運が広がりつつあるのか
(藤家委員長代理より)DOE内ではまだそのような感はない。ただし、原子炉の寿命延長について前向きな意欲が感じられた
- 核不拡散についての議論はあったか
(藤家委員長代理より)米露の余剰プルトニウムをどうやって減らしていくかの問題があるが、捨ててしまうよりも原子炉で燃やすほうが現実的との考え方が多い。原子力委員会としても、平和利用に徹しながらこの問題にどう対応していくかは大切
- ユッカマウンテンの話はでたか
(藤家委員長代理より)当局の見解ではなく個人的見解として、最終処分としてではなく、いつでも取り出せるような貯蔵管理の施設にすべきではないかとの意見があった
等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (4)議事録の確認
- 事務局作成の資料5第25回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
- (5)原子力委員会専門委員の任命について
- 標記の件については、人事案件に係るものであることから非公開で審議することとした上で、事務局より資料4に基づき説明があり、了承された。