「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第2回(札幌)
- 議 事 録 -
議事録
会場から寄せられたご意見
「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第2回(札幌)
- 議 事 録 -
- 1.日 時 平成9年10月30日(木) 13:00~16:10
- 2.会 場 朝日ホール(ホテルニューオータニ札幌4階)(札幌市中央区北二条西1丁目1番地)
- 3.参 加 者(◎は議事進行役)
- (1)地域参加者(11名)
- 厚谷 郁夫 北見工業大学学長
- 油田 淑子 全国消費生活相談員協会監事
- 梶山 義夫 北海道電力株式会社取締役副社長
- 小田 清 北海学園大学経済学部教授
- 近藤 安雄 北海道経済連合会常務理事事務局長
- 杉浦 直美 原子力モニター(主婦)
- 杉山 さかえ 生活クラブ生活協同組合理事長
- 竹田津 実 獣医師
- 橋本 登代子 フリーアナウンサー
- 山内 亮史 旭川大学経済学部教授
- 山科 俊郎 北海道大学大学院工学研究科教授
- (2)原子力委員会関係(10名)
- ①原子力委員
- 田畑 米穂 原子力委員
- 藤家 洋一 原子力委員
- ②高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
- 粟屋 容子 武蔵野美術大学教授
- 石橋 忠雄 弁護士
- ◎木元 教子 評論家
- 下邨 昭三 高レベル事業推進準備会会長
- ③原子力バックエンド対策専門部会構成員
- 小島 圭二 東京大学大学院工学系研究科教授
- 鈴木 篤之 東京大学大学院工学系研究科教授
- 田中 靖政 学習院大学教授
- 鳥井 弘之 株式会社日本経済新聞社論説委員
- (3)事務局
- 有本 建男 科学技術庁原子力局廃棄物政策課長
- 岡谷 重雄 科学技術庁原子力局廃棄物政策課長補佐
- (4)一般傍聴者 147名(応募者370名,うち当選者180名)
- (5)報道関係者 26名(15社,うち放送関係6社)
- 4.議 事
- (1)開 会
- (2)概況説明
- (3)地域参加者による意見発表
- <休 憩>
- (4)意見交換
- (5)一般傍聴者からの意見紹介
- (6)閉 会
- 5.配付資料
- ○「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」
- (平成9年7月18日,原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会)
- ○「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」-参考資料- (案)
- (平成9年7月18日)
- ○「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」
- (平成9年4月15日,原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会)
- ○高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書案に対する意見募集について
- ○高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書案「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」に対する意見記入用紙
- ○国民の皆様へ-今なぜ高レベル放射性廃棄物処分についての議論が必要なのか-
- ○高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する地域での意見交換会の開催について
- ○「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」意見記入用紙
- 6.議事内容
- (岡谷)
- 皆さんこんにちは。開始5分前になりました。開会に先立ちまして、若干皆さんにご協力していただくことをお話します。まず第一に、場内とその後ろのホワイエですが、禁煙となっておりますのでご協力をよろしくお願いいたします。二番目ですが、ポケットベル、携帯電話をお持ちの方は恐れ入りますがスイッチをオフにして鳴らないようにしていただければ幸いでございます。ではよろしくお願いいたします。最後に、議事を円滑に進めるためにも、あらゆる面でも、ご協力の程よろしくお願いいたします。
それから、皆さんに、受付を入ったところでこういう紙(「意見交換会 意見記入用紙」)を一枚お手元にお配りしていると思いますけれども、本日ご意見のある方はこの紙にご意見をお書きいただいた上、休憩時間の時に会場の後ろに回収箱を持った人が立っておりますので、そちらの方にご提出いただけるようよろしくお願いいたします。なお、これは後日議事録とともに公開することになりますので、恐縮でございますが、こちらに住所、名前など記入しなければいけないところがいくつかございますので、そちらの方もよろしくお願いいたします。開会まであと数分でございますが、皆様よろしくお願いいたします。
- (岡谷)
- 皆さんこんにちは。定刻になりましたので、第2回の「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」を開催させていただきたいと思います。私、総合司会をさせていただきます岡谷と申します。よろしくお願いいたします。意見交換会をこうやって全国各地でやらせていただいてますが、私もこの仕事をやり出しまして、あちらこちらに出張することが多くなりました。先日、私の3才になる子供が誕生日を迎えたんですが、またこうやって札幌に来るというのを聞きまして、「パパ、どうしてまた行っちゃうの?」こういうふうに言われたんですね。私はそれに対して、「パパはね、君達のことを考えて一生懸命やっているんだよ。君達が大きくなったときに住みやすい国をつくりたい、そう思ってやっているんだよ。」ということを言って今日札幌に出てきました。今ここに座っているお一人お一人も皆さん同じような気持ちで集まわれていることと思います。本日はよろしくお願いいたします。ではまず最初に、原子力委員の田畑米穂委員から挨拶がございます。
- (田畑)
- 田畑でございます。原子力委員会は今から2年前でございますが、平成7年9月に高レベル放射性廃棄物処分に向けた取り組みを強化していくことを決定し、高レベル放射性廃棄物処分懇談会と原子力バックエンド対策専門部会を設置いたしました。それぞれにおきまして審議を進めていただき、専門部会では本年4月に報告書「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」を取りまとめました。この報告書を踏まえて、現在関係機関において研究開発が進められているところでございます。また処分懇談会ではこの度、報告書案「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について」を取りまとめ、現在国民の皆様からご意見を求めているところでございます。処分懇談会座長の近藤次郎先生のメッセージ、皆さんのお手元のライトブルーの冊子でございますが、近藤先生のメッセージにありますように、今、現に存在する廃棄物については、原子力発電による便益を享受してまいりました我々の世代が処分の対策を立てるべきであって、次の世代に先送りするわけにはいかない問題でございます。また、この問題について国民の皆さんの間で議論をしていただくことが非常に重要と考えております。このような状況の中で、高レベル放射性廃棄物処分への今後の取り組みに関して、地方の方々、専門部会、懇談会の先生方のご参加をいただき、また我々原子力委員も参加させていただき、地域において意見を交換する場を設けることといたしました。先月の19日には、大阪で第1回の意見交換会を開催いたしました。意見交換会を通じまして、国民の皆さんにこの問題についてよく知っていただくとともに、本日ならびに今後の議論を踏まえまして、高レベル廃棄物処分に真剣に取り組んでまいる所存でございます。本日は皆様のきたんのない意見交換を、是非お願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
- (岡谷)
- それでは本日ご出席の方々を、紹介させていただきます。
向かって一番左から、原子力バックエンド対策専門部会の鳥井さんです。同じく田中さんです。高レベル放射性廃棄物処分懇談会の鈴木さんです。同じく下邨さんです。原子力バックエンド対策専門部会の小島さん。それから、北海道大学大学院工学研究科教授の山科さん。旭川大学経済学部教授の山内さん。フリーアナウンサーの橋本さん。獣医師の竹田津さん。生活クラブ生活協同組合理事長の杉山さん。原子力モニターの杉浦さん。北海道経済連合会常務理事事務局長の近藤さん。北海学園大学経済学部教授の小田さん。北海道電力副社長の梶山さん。全国消費生活相談員協会監事の油田さん。北見工業大学学長の厚谷さん。高レベル放射性廃棄物処分懇談会の木元さん。同じく石橋さん。同じく粟屋さん。原子力委員の藤家さん。原子力委員の田畑さんでございます。本日は議事を木元さんのほうにお願いしております。それでは木元さん、よろしくお願いします。
- (木元)
- 木元でございます。座って失礼させていただきます。私がこの中でこういう司会とか仕切ることに慣れているということで、司会進行をさせていただくことになりました。皆様たぶん、今の総合司会の岡谷さんが科学技術庁の課長補佐でいらっしゃるとは誰もお分かりにならないでしょう。昔であったなら、自分のお子さんの話しで「パパ」などと、お役人がおっしゃるなんて前代未聞ということがあったかもしれません。このごろお役所の雰囲気が変わったんです。お世辞でも何でもなく、とっても良い方向にいっているような気がするんですね。ざっくばらんに何でも言いますし。それから、今日の高レベル放射性廃棄物処分懇談会とか原子力バックエンド対策専門部会とか、いろいろありますが、全部公開です。いろいろな(ここに出席いただいているような)こういう方がお入りになって、皆様の目の前でさまざまな論議をさせていただいております。今日皆様の袋の中に先ほどのライトブルーの近藤先生のメッセージと一緒に、「高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方について(案)」という報告書が入っていると思うんですが、これを私どもが討議させていただきまして、これも公開で全部やっています。先ほども数えていたんですが、延べで28回やりました。本当に家がどうなるかというくらい召集を掛けていただいて熱心にやりました。その成果がここにありますが、あくまでもこれは案です。たたき台です。たぶん今日ご出席の方も、それから今お手元に配布されましたので、まだお読みになってらっしゃらない方もいらっしゃるかもしれませんが、是非お読みいただいて、きたんのないご意見をお寄せいただければ幸いです。今日この場では、代表として私どもがお願い申し上げた方にご意見を出していただきますけれど、皆様の中でもお読みになって、どうしてもこういうことを言いたい、とか、こういう質問がある、という方は、お寄せいただければ幸いです。先ほどの質問表にお書きいただいてもいいですし、別な形でいただいても、私ども是非目を通させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
先ほども申し上げましたように、今日のこの会というのは、ご意見をいろいろな方にお聞きしようということで始められたことなのです。ですから、ざっくばらんに何でも思ってらっしゃることを言っていただきたい。発言席の両側に、ここまで議論を進めてきた委員がおりますので、委員の方から、それはこういうことではないか、あなたのお考えはどういうことですか、という意見交換を二部の方でさせていただき、一部は今日ご出席の11人のこの地域の方々にまずご発言をいただきたいと思っているわけです。ですが、先ほども申し上げましたように、これは意見をまとめてここで結論を出すという質の物ではありません。今日結論が出るわけもありません、その中で皆様方も是非ご参加いただいて、後半の中で皆様方のご質問を取り上げさせていただく時間も用意してございますので、あまり時間はないかもしれませんが、是非お書きになっていただければありがたいと思います。今日は高レベル放射性廃棄物についてです。私どもは原子力発電所によって電気を享受して使用しているわけですけれども、北海道電力の場合でもやはり、私どもが使用している電力の3分の1は原子力発電で賄われている、そういう現実があるわけですね。ですから、ここで原子力は良いだとか、悪いだとか論議をする時間はありませんし、またする場でもないと思います。あくまでも、私どもが原子力発電を使ってこの電気を消費している、この消費者としてそこに出たゴミ、これは何のゴミでも同じだと思いますが、そのゴミに対して責任を取らなければいけないだろうと。スウェーデンの方にうかがっても、自分の国で出したゴミはやはり自分の国で処理処分するのが当たり前じゃないか、その責任をみんなで考えようじゃないか、という姿勢ができていますので、それも私どもが踏まえて、今日はこの原子力発電所から出たゴミ、私達が電力を消費した結果出たゴミですが、それについてどうしたら良いだろうか、どんなことが考えられるか、そのご意見をうけたまわろうということですので、原子力発電の是非論は今回は行いません。そのへんをよろしくお願いしたいと思います。この会の主旨をまず私がお喋りしましたが、なぜこういうふうな高レベル放射性廃棄物処分の報告書が出たりしたのか、今までの経緯とか、どういう取り組みになっているのかをまずご説明いただこうと思い、スクリーンを用意いたしました。有本課長から、たいへん恐縮ですが15分以内でお願いしたいと思います。
- (有本)
- 科学技術庁廃棄物政策課長 有本でございます。
- それでは、今、木元座長のお話がありましたように、まず今日の会場においでいただいた方の構成でございますけれど、370名の希望がございまして、その中から目一杯取ったつもりですが、180人程おいでいただいております。
原子力発電は、1965年、ちょうど32、3年前に始まりまして現在1997年で34年過ぎたわけでございますけれども、34パーセント程、供給量のうちの原子力発電が賄っている、あとは、石油、水力が、大体おおまかなところでございます。30年前にどうだったかということ、それから現在どうかということで、ちょっと指標をあげてみました。人口が大体1.3倍くらいになっております。GNPがこれぐらいで十数倍、使用電力が5倍くらいでしょうか。自動車が10倍、消費者物価指数が5倍、4倍くらいでしょうか。1人あたりの国民所得がこういう形になっている。
そういう中で、イベントを書いてみますけれども、この北海道の地では、ちょうどさっき見ました68年に、北海道の開設と言いましょうか、100周年が行われておりまして、ちょうど来年130周年になると思いますけれども、その後いろいろなことが起こっております。72年には、北海道の札幌で、来年長野でありますが、冬季オリンピックが行われております。93年には、確か奥尻の南西沖地震で大きな被害も受けられていることでございます。いずれにしましても、そういう30数年の中で、現在12,000本、ガラス固化体に換算しましてですけれども、高レベル放射性廃棄物が貯まっているということでございます。
今それでは、どういう形でどこにあるのか、ということで、できるだけ見やすいようにしてみたつもりでございますけれども。日本は再処理をやるという政策をとってございますけれども、再処理の前と後といいましょうか、まだ作業中というフェーズがございまして、もう少し言いますと国内の使用済み燃料、これは、原子力発電所のサイトの中に貯水池がございまして、そこに溜めておるものが5,900本、それから、炉内で燃やしているもの、大体半分くらいが、ということで、2,200トン、海外にすでに持って行っている、現在日本はまだ本格的な再処理工場が運転をしておりませんので、海外のフランスとイギリスにお願いをしておりますけれども、すでに海外に持って行っておりますのが合わせて6,700トン。そのうちの使用済み燃料の形態で3,300トンでございます。ここにありますように、これがすでに作業行程の中に入っています。再処理をやっているのは、化学工場だと思っていただけるといいと思いますが、これが国内に東海の再処理工場という小さなものがございまして、これが900トン、海外で3,400トン、実際にガラス固化体という形でガラスに固めて安定な形になっておりますのが国内全体で130本ということでざいます。それを全体に換算しますと、12,000本という状況になってございます。
これは、海外も含めまして国際的なコンセンサスになっております。この高レベルの廃棄物の環境とか倫理的な基礎というところの一つの哲学と申しますのが、世代間、あるいは、世代内の公平ということで、この問題は世代間において公平に扱わないといけないだろうということと、それから、長期的な貯蔵よりも最終的な処分を行って、我々の将来世代に対する責任をより良く果たすということが重要であろうということが、OECDでございますけれども、ここでまとめてございます。
今海外、また後でご説明しますけれども、地層処分ということで、国際的なコンセンサスがあるわけでございますけれども、宇宙でありますとか海洋底においたらどうだとか、大きな南極の氷の下においたらどうかという利害、特質をいろいろ議論しながら、最終的には地層処分という形が一番安全にできるであろうという結論になっているわけでございます。
もう一度繰り返しでございますけれども、原子力発電所を運転しますと再処理工場に行って、そこで処理をしてガラス固化体にする、あるいは、使用済み燃料のまま最終処分を行うという政策を採っている国もございます。いずれにしましても、今のところ数十年程貯蔵しまして、十分冷やした後地層に最終処分をするというシナリオでございます。
アメリカ、カナダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、フランスでは、まず、最終的に処分をする形態、先ほど私が申しておりますように使用済み燃料の形態と再処理した後のガラス固化体、それぞれの国でこういう2つの種類の形態があるわけでございますけれども、いずれにしましても、最終処分のための実施主体をつくり、それから資金を確保し、それから研究所をつくる、地層の研究をするための研究所をつくる。ということで、最終処分の開始時期が2010年くらいからドイツ、スウェーデンで2008年くらい、アメリカで2010年という形になってございます。
日本におきましては、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書案の認識ですと約10年から20年ぐらい海外と比較して取り組みが遅れてきたのではないかということで、これはやはり、関係者が今まで立地とか運転というところに非常にウェイトをかけていたというところで一つ反省をしなければいけないであろうということを踏まえまして、先程来話が出ておりますように、それでは、いつ、どこで、誰が、どういうふうにして、この問題をやっていったらいいのかという議論がずっとこの1年、2年くらい進んできたわけです。
先程来ありますように、原子力委員会に2つの部会が設けられまして、今準備がどんどん進められようとしてございますけれども、次の大きな出来事としましては、2000年を目標に実施主体をつくる、そのためのいろいろな制度をつくる、それから技術を確立させる。それから、2000年以降段階的にきちっとチェックをしながら準備を進めまして、2035年くらいでしょうか、この頃に最終処分を始めるという全体の大きなマイルストーンをつくってきたわけでございます。
先程も出ました原子力バックエンド対策専門部会では、技術的な議論をしまして、これに基づいて今技術開発が進んでいるわけでございます。
近藤次郎先生の高レベル放射性廃棄物処分懇談会では、非常に多面的ないろんな課題について包括的な議論を進めていただいております。
まず最初に、なぜこれを議論する必要があるのか。先程もちょっと国際的なことに触れましたけれども、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書案ではこういうふうに書いてございます。我々が発生した廃棄物について、我々の世代がその処分に関する制度を確立する必要がある.後世代に負担を残さないことが我々の責務であろう.だから早くできることからやるべきであろう、ということでございます。
第二番目の大きな仕事で、社会的な理解を得るために、この問題はやはり非常に地域、あるいは国民的な議論、それから方向性というものが大事になるであろうということで、まず大前提として、いろんな諸制度、あるいは組織も含めて透明性の確保、それから情報の公開を徹底する、誠実な対応も含めて。それから、長丁場でございますけれども、教育、学習というのが非常に重要になるであろう。それから、研究施設を公開し、現場もどんどん体験してもらうということでございます。
事業資金の確保につきましては、電気料金の原価に算入し、電気利用者が負担をするということで、来年度から制度確立に向けて検討が始まる予定でございます。
実施主体のあり方、2000年につくることで準備を今進めているわけでございますけれども、いろんな実施主体の要件、あるいは、国がその時何をやるべきなのか、それから、電気事業者が何をやるべきなのか、ということが書かれてございます。
それから非常に大事なことでございます。立地地域、この最終処分場が立地をする地域との共生ということで、住民あるいは自然環境、産業、あるいはその地域、今までの地域振興、電源の立地の地域振興については、いろんなご批判、ご意見もあるところでございますけれども、主体性の尊重、それから、電力消費地との連帯ということが、非常に重要であろうという指摘でございます。
なんといいましても、処分地の選定のプロセスというところで、先程来出ておりますように、国レベル、地域レベルでの透明性の確保、それから、住民の方々の意見の反映をする資格ということ。ここを相当議論をしていただきまして、フランスの例、カナダの例、地域の住民が参加されたようないろんな委員会等もありまして、そういうものを参考にしながら、今検討が進んでおります。
それから、深地層の研究の施設でございます。これはすでにここに書いてございますように、大どころの国がすでに10年くらいの、研究施設をもう着手して進めておるわけでございまして、最近特に注目されておりますのは、スウェーデンの例でございます。ここは1万人くらいの一般の方々も訪問できるようなもので、こういう確か500メートルくらいのぐるぐるっと螺旋状のものを途中もずっと地下水の研究などもやっている施設などもございます。
最後にまとめでございます。まず、国民の方々の議論。それから、身に迫った問題という認識を広めていただこうということ。それから、事業資金、実施主体、それから深地層の研究施設。この3項目については、今できるところから早く着手をしようということ。それから、最終的には、やはり政治の場ということで、法律できちっとその実施主体、あるいはいろんなその損害賠償の制度、それから情報公開、住民の意見の反映のあり方というものについても、きちっとプロセスを明確化するということを法令上もやっていくためには、政治も参加する必要があるだろうという結論になっているわけでございます。今の作業状況は、以上でございます。
- (木元)
- どうもありがとうございました。今、本当に短い時間でのご説明なので、駆け足でお分かりになった方、なりにくい方、いろいろいらっしゃると思うのですが、私もちょっと足りないなと思うことが少しありました。なぜ地層処分なのか、とか、それから一次使用というか、再処理しない方法をなぜ日本は採らないのか。いろんな初歩的な疑問も出てくると思います。そういうことは後で討議の中に出てくると思いますが、ご意見をそれぞれうかがわせていただく形の中で見えてくる問題ではないかという気もいたします。
私のお隣からご発言をこれからいただきますけれども、5分以内にお話しいただくのですが、その中で確認をさせていただきたい事項とか、ちょっとそこのところをもう一度教えていただけますかというのがありますと、適宜絡ませていただきますので、そのへんよろしくお願いしたいと思います。では、約5分程度で厚谷さんからお願いいたします。
- (厚谷)
- 厚谷です。この高レベル放射性廃棄物の問題というのは、最近非常にクローズアップされてきた。我々、私自信、原子力発電が始まった当時には、まだ若い頃でございまして、非常にいろいろな観点から考えてみて、将来に向かって化石燃料は尽きるものである、だから何らかの形で恒久的に使えるエネルギー源としての核エネルギーということは、非常に重要であるというふうには認識していたわけで。当時はまだ化学を学び、教える立場でございましたので、学生にはやはり原子力発電の原理、どういうふうにしてエネルギーを取り出すのか、というような話しはしてきました。その時には認識上まだ廃棄物の処理のことは、どうなるのかということの教育が欠けてたという、非常に表面的な教育といいましょうか、やってきていたわけです。私自身この問題について、現在は意見を問われるような状態になっているわけですけれども、私がよく勧めているのは、「片目の哲学」という なだいなださんの説ですね。要するに、相手の欠点を見ないでいい点を見て暮らせば、なかなか人間というのは幸せに暮らせますよと。しかし現在の社会問題を見るときには、これはどうしても複眼的なものの見方をしなくては物事の処理はできないだろう。
というのは実は私、研究の方は、例えば摩周湖の水質モニタリングといったようなこともやっておりまして、いわゆる一言で言ってしまいますと、環境モニタリングといわれる分野に入るわけでございます。この環境問題というものを突き詰めて考えていきますと、必ずまず最初に人口問題。もう地球上に人間がはびこりすぎている。ある一つの生物が異常に増えている。それでこの問題を解決するために、どうしても食料を補給しなければならない。このいわゆる食料問題が出てくる。日本では、直接目に触れることがなくても、アフリカとか、難民とか、いろいろ言われているところでは、この食料問題というのは切実な問題を生じているわけです。この、人口が増え、そして食料が足りなくなっていく食料問題の解決のためにも、エネルギーがなければ全てどうしようもない。 食料を運ぶにしても、我々が普通の生活と思ってこうやって暮らしている全てが、エネルギーを消費しながらやっているわけです。
このエネルギーの消費ということは、単にエネルギーが消費されるだけではなく、そこには必ず廃棄物が出てくる。簡単に言いますと、結果として生じる環境問題を考えていきますと、当然、人口問題、エネルギー問題、そして食料問題といったようなもの全てが一体となって出てくる。ではそういうことを解決するためにも、エネルギーを使わなきゃいいじゃないか、昔のように札幌から北見まで行くには歩いて行けばいいじゃないか、これは地球温暖化になっている炭酸ガスも出さないし、電気も使わないし、一番いいじゃないか。そういうような形でもし進んで行くと、経済の問題が出てくる、経済の停滞という形で。今ですらちょっと消費が落ちると国をあげて減税をやり、消費に回し、活性化しろという話しが出るわけですけれど、それをやるということは、また廃棄物をどんどんいろんな形で生産するということなんですね。そうなりますと、我々はいったい何を求めてきたのかという生き方を考えてみますと、これはやはり人間として生きる快適さを常に求めてきた結果ではないかと。
快適さの陰には廃棄物のような形で、具体的に快適でないものがどんどん生じているのです。この快適さを求めたためのツケを回されてきたということになるわけです。ですからそういう形で今問題となっているものに対して責任を取らなければならない。これはもうやむを得ないことであるから、また場合によっては非常に危険であるものを取り扱うのであるから、安全に処理していくにはお金をかけざるを得ない。こういう問題を考えていくのがまた一つ工学を志す者とか、あらゆる立場の者から考えても、そういう立場で考えていかなけらばならないんじゃないかという考え方だけれど、時間になりましたので申し訳ありませんが私の意見にさせていただきます。
- (木元)
- ありがとうございました。今、チンと鳴りましたが、あれでだいたい5分という目安をたてさせていただいております。また一言いわせていただくと、先生のご意見というのは、廃棄物というのは光と陰の陰の部分として出るものだから、これにはやはり責任を持って処理処分しなければいけないと、だけれどもこれはたとえば危険なものであるとか、やっかいなものであるというデメリットの表示があまり今まで表に出てこなかったという印象をお持ちですか?
- (厚谷)
- 原子力発電そのものが危険であるということは事実ですし、危険であるがゆえに、危険だからやめなさいというのではなくて、快適さを求める限り危険なものを安全に処理していくということが、一番重要な発想じゃないかと思います。
- (木元)
- 分かりました。ありがとうございました。
- それでは続きまして、油田さんお願いいたします。
- (油田)
- 私、油田と申します。私は消費者教育とか相談とかいう仕事を通しながら、消費者の権利を擁護、確保するような組織の者なんですけれど、ゴミとか環境についてはこの組織はいろいろ見解を持ってますが、まだ高レベル廃棄物についての見解は定まっておりませんので、私、一消費者として、消費者の権利を守りたいという視点から少し意見を述べさせていただきたいと思います。
消費者の基本的な権利というのは、ごくごく基本的な権利では、知る権利知らされる権利、安全性を確保する権利、意見を聞いてもらう権利、選ぶ権利と、こういうような四つほどの定義がございますけれども、そういうことを踏まえた上で、意見を申し述べさせていただきます。私たち今、非常に快適な生活を送っておりまして、その陰ですごく膨大な資源を使っています。そして、ゴミを出しています。今、そういうことから環境問題が世界的に顕在化してまいりました。原子力発電所から出るゴミも、そのゴミの例外ではないと思うんですね。先程のご説明にありましたように、まだその方法、時期、場所など決まっていないような状態です。でも私たちが、現在使っている電気というものは、30パーセントも原子力発電によって賄われています。だけれども、それを享受している消費者の人たちが無関心、あるいは非常に否定的な考え方を持っていると思います。原子力発電に反対しているのはどうしてっていうふうに理由をうかがいますと、一つは、何も知らないもの、勉強したことがないもの、危ないんでしょうっていうのが、一つ。それからもう一つは、あの人達隠すんですもの、何でも都合が悪いことは、というのが、
二つ。それから三つ目に、廃棄物の処理が決まってないじゃないですか、だから私は反対なんですと。大体そのほかいろいろあっても、大体三つくらいの大きな理由に集約されておると思うんですね。私はそれぞれのご意見をごもっともだと思います。この廃棄物の処理に関しましても、このごもっともな意見をきちんとクリアーしていかなければ、成立しないだろうと思っているんです。ですから、そういうような方法で是非とも進めていきたいというふうには思います。しかしながら、原子力発電に反対しようか、しまいか、そんなことはまったく関係なく、私たちは現在電気を使っていますよね。
そして今、先程のご説明でも、もうすでに換算するとガラス固化体換算で12,000本もの廃棄物がたまっていると言っています。今、ただでさえゴミ問題が深刻で、子孫にたくさんのツケを残していっているんです。これ以上やっかいなゴミをこのまま子孫に押しつけていいはずがないと思うんです。そういう意味で私、世界を見てきましたけれども、もう1989年に見てまいりましたが、その時点でフランスとかスウェーデンとかスイスとかは、もう最終処分地は決まっていませんでしたけれども、計画も資金もほとんど決まっているところが多ございました。その時まだ日本は決まっていなかったんですね。電力会社さんに申し訳ないけれど、つくることばっかり一生懸命やってらしたと思うんです。原子力発電はトイレなきマンションだなんて言われていますけれども、やっぱりトイレつくらなくちゃダメなんじゃないかと思います。余談ですけれど、今、札幌でもトイレは文化のバロメーターといって、トイレを考える文化人たちが出てきましたけれども、原発のトイレを考えるのが今じゃ遅いんじゃないかというふうに、そんなふうに思っています。私もね、今年55才になったんです。平均寿命からしてもあと20数年しか生きられません。だからどうにか私の生きている間に見届けておきたいというふうに思います。まず、第一に早急に研究を進めていただきたいと思います。
研究なくして処分はありえないと思いますから。まず、処分の方法について、先程あまり詳しくご説明がなかったんですけれども、地下埋蔵がいいのか、地上管理がいいのか、ガラス固化体がいいのか、使用済み燃料のままがいいのか、その研究をご専門の先生方が来ていらっしゃいますので、その見解もうかがいたいし、議論の余地があるならいろいろな可能性を考えながら研究を進めていっていただきたいと思います。研究を進めるといっても、なしくずしにその研究した場所が最終処分場になっちゃうんじゃないかという懸念があるかぎり、絶対研究施設はできないと思うんです。やっぱりきちんと研究施設は研究施設、最終処分場は最終処分場というふうに分けて考えると、やっぱり立法化していかないといけないというふうに思います。特に専門家の方は、そういう点を分かりやすくお伝えをいただきたいと思います。時間となりましたので途中ですが終わります。ありがとうございました。
- (木元)
- さっきの、なぜ地層処分であるか、ということと、それから一時使用のままで処理処分する方法はなぜ考えられないのか、というようなことは、後でお答えいただくということでよろしいですか?
- (油田)
- はい。
- (木元)
- 確認させていただくと、トイレをこれからつくるのは遅いわよっていうご意見もあるけれど、でもつくらなくちゃだめですよね。
- (油田)
- ええ、もう絶対。
- (木元)
- 遅くない。今からでいいですか?
- (油田)
- がんばって。
- (木元)
- がんばってつくります、という方向でいいですか?
- (油田)
- はい。
- (木元):
- はい。それともう一つは、私も気になったのは、原子力発電反対という方の中に「知らないから」というのがありましたね。それは、消費者の責任でもありますよね?
- (油田)
- でも、私たち消費者の責任といったって、情報がそれほど今まで来たでしょうか?教育の中に取り入れてきたでしょうか?
- (木元)
- 教育の中で。うーん。
- (油田)
- はい。
- (木元)
- そういう点ね。
- (油田)
- それから後でつけ加えますが、資金の問題だって、どうするのかっていうことです。
- (木元)
- それは何?トイレつくる資金?
- (油田)
- はい。トイレつくる資金。
- (木元)
- これはアイデアがあります。この報告書に少し書いてあるんですけど。あとそれから、隠す、というお話しがありましたね?
- (油田)
- そうなんです。
- (木元)
- これはねぇ、言っちゃ何ですが、動燃が何やったか、でしょう。
- (油田)
- 動燃が何をやったか、ということで、やっぱりそのあたりね、真実をぼかしてね。
- (木元)
- それはありますよね。また、あえて言わせていただくと、情報が来なかったというけれど、私来ていたのではないかと思うのね。だけど、その情報の出し方の問題とか、中身の難しさだとか、何か、送り手側だけが満足していたという部分があったかもしれないし、それからこちらも、受け身でいたような気がするのね。こちらからも自分の問題としてアクセスしていけば、もしかしたら、扉は開いたかもしれないという部分があったと思うんだけれど。
- (油田)
- そうですね。今から消費者の主体性というか、消費者の責任が問われる時代にもなってきましたので、やっぱりそれは消費者の側にも責任があるでしょうけれども、とりあえず、この難しい情報をそのまんま生のまま出してもらったって、情報提供してもらったことにはなりませんので、私たちに分かりやすく三原則、ほしい人には誰にでも、分かりやすく、本当のことを。
- (木元)
- よし分かったぞ、って感ずる出し方ですね。はい。それを踏まえて、お隣がやりにくいだろうと思うんですが、よろしくおねがいします。梶山さん。
- (梶山)
- 北海道電力の梶山でございます。電気事業者の立場から意見を少々述べさせていただきたいとこう思っている次第でございます。前座でもお話しがございましたが、原子力発電はすでに日本全体でまた、北海道におきましても、全発電量の三割程度を占めております。したがいまして、エネルギー供給といいますか、電力供給といいますか、こういった面から重要な位置を占めている現状でございます。この12月には、ご承知のように京都でCOP3という地球温暖化対策に関わる国際会議が開催されます。この問題の対策といたしまして、需要サイドからは、相当量の省エネの実行、また、供給サイドといいますか、私どもになるかもしれません、供給サイドからは、二酸化炭素を排出しない原子力発電というのが有力なオプションとして位置づけられるものと考えております。
しかしながら、頂戴いたしました報告書案でも指摘されておりますが、原子力発電の使用済み燃料を再処理することによって発生する高レベル廃棄物の処分問題の取り組みが、欧米諸国に比べまして遅れていることは事実でございます。発生者であります電気事業者といたしましても早急にその具体化を計らなければならないことを銘じているところでございます。次に社会的な理解を得るために関してでございますが、高レベル廃棄物処分を円滑に進めるためには、私どもの原子力発電所の運転とまったく同様でありますが、技術的安全の確保はいうまでもなく、社会的な理解を得ること、社会的に安心していただくことが、非常に重要であります。いろいろな調査結果からも、高レベル廃棄物の放射能が超長期にわたることにつきまして、不安を持たれる方が非常に多いことは十分認識しております。
技術的な点から申しますと、地層処分技術に関する研究開発を早急に進め、そこで得られた知識をもとに、国際的にも通用する処分技術を確立していくことが処分事業を着実に進めるための第一歩だと思っております。制度、体制の点から言いますと、実施主体、費用の確保、立地プロセスなどについてその責任を明確にして、整理していくことがまず肝要かと考えております。
次に、高レベル廃棄物処分事業の実施主体は、資金の安定性および技術の安全性について、社会から信頼されなければなりません。国策として、国には処分事業の円滑な推進のために必要な施策を作成、策定していただくことをお願い申し上げます。廃棄物発生者であります電気事業者といたしましては、実施主体を強力にバックアップしていく所存でございます。次に、高レベル廃棄物の処分費用についてでございますが、現在の原子力発電所から発生いたします廃棄物の処分費用は、現世代において確保し、電気料金の形で負担すべきであるという報告書の考え方に賛成でございます。資金確保の方法として、どういった制度が適切なのか、私どもなりに調査、検討しているところでございます。
最後に立地プロセスの整備についてでございますが、報告書案に基本的考え方と具体策を示していただいております。私どもにも原子力発電所立地の経験がございます。地域の方々からもいろいろなご意見を賜っております。円滑な立地のためには地道な努力により地域社会の理解と信頼を得ることが、一番大切であると思います。今後方策や制度等を調査、検討していくにあたりましては、今までの経験を反映させていくことが、重要であると考えます。以上雑駁に述べさせていただきましたが、高レベル廃棄物処分問題は、私ども電気事業者にとって原子力の最重要課題として認識し、取り組んでいくことを申し上げ、私のご意見としてさせていただいきます。以上でございます。
- (木元)
- ありがとうございました。大変慎重にご意見を述べていただいたような気がいたしますけれども。全て網羅されていると思うんですが、そうしますと、ご自分の事業者としての責任があるわけだから、一生懸命取り組むし、実施主体ができてそのコストがかかることに対しても理解を示して、電気料金に入れるとかね、そういうことになるんでしょうけれども。それと、今お言葉の中に実施主体あるいは自分達が社会から信頼される状態でなければならないという部分ですけれどもね、具体的に信頼されるためにはどうしたらいいですか?まず一つは情報公開という話もいろいろ出ておりますけれども。
- (梶山)
- はい。まず、原子力発電所でございますから、安全と信頼といいますか、こういったものがベースになってですね、それから廃棄物のことについての問題を。
- (木元)
- はい。安全と信頼はいいんですけれども、では、「安全である、そしてあなたを信頼しますよ」と言われるためにはどうしたらいいですか?動燃は信頼されなくなっちゃったんですよね。ですから、そうなっては困るから北電さんとして具体的にどうするか。
- (梶山)
- これは、私どもの電力会社共通でございますけれども、常日頃のですね対話活動が大事だと、こう思っております。
- (木元)
- 対話ですね。はい。さっきのお答えよりも今の方がずっと正直でいいですよ。生っぽくて、お人柄が出る方がいいような気がする。そうするとね、あっ、信頼できる方だなと思うけれども、さっきはちょっと何か読んでいるかなと思った部分がありましたから。今のペースでいきましょう。
- (梶山)
- はい。
- (木元)
- 私も安心してお話しをうかがえるような気がして。厳しいですか?
- (梶山)
- いや。
- (木元)
- ありがとうございます。えー、うなずいて下さった方もいらっしゃいますし、この線でいきます。はい。小田さん、お待たせいたしました。今コストの話が出たんですけど、やっぱりそのへんが問題ですか、処理処分する場合。
- (小田)
- 北海学園大学の小田と申します。私は、専門が地域開発政策あるいは地域経済論という分野で日頃やっておりまして、特に、大型の公共事業とかそういう民間の施設などができた場合に、その地域がどう変わるかということを中心に勉強しているわけであります。これまでは、主として原子力に関しましては、技術的な問題ですとか、それからつくる側、あるいは処分をしてもらうというその地点をどうするかというような立場からの意見が多かったかと思うんですけれども、私は、その専門から、つくられる側、地域からこれまでいろんな原子力発電所の地域、あるいは地域経済との関連を調査してきました経験からお話しします。
先ほど司会者からも提示されました、処分懇がまとめました基本的な考え方の中にも施設処分場と地域共生という章が一つ設けてありますので、これとの関連でこれまでの経験とそれからこういう施設が実際にできた場合に共生になるのか、地域と共生できるのかということ、それから、当面地域から考えた場合にどういうことが望ましいのかということを簡単に述べてみたいと思います。
ご承知のようにこれまで我が国では、動燃の施設などが廃棄物関連では立地されているわけですけれども、原子力発電所などを事例として経済との影響を考えるというのが一般的であります。そして、この影響に関しましては、これまで多くの報告書などが出され、結論的に申し上げますと、こういう施設というのは地域経済に役立たないということが、科学技術庁の委託調査などでもそれが出されているというふうに聞いております。その結論は私のこれまでの経験とも全く一致するわけですけれども。
では、なぜこういう施設が地域経済と共生できないかと申しますと、その多くの地域は過疎地域、あるいは、第一次産業中心の地域に立地されるわけですが、一つだけ申し上げます。そこで、大型の公共事業なり、原発などの建設工事が起こった場合にその地域がどうなるかというと、これは一時的に建設業とかサービス業あるいは卸小売業などが繁栄いたしますけれども、その裏で実は先ほど最初に申し上げました共生とかですね、地域の持続性ということと大きく矛盾することがらが残っていくわけであります。それは、どういうことかと申しますと、現状の第一次産業というのは非常に経済的には厳しい状況におかれております。
したがってそういう人たちが、原発なり大型施設の工事で賃金がそちらの方が高い、そうなりますと、そういう産業を一時的に辞めて、あるいは自分の奥さん方に任せて自分は建設労務者として出ていってしまう、仕事についてしまう、というようなことがおこります。それからもう一つ、一般の町の人たちもそういう関連で仕事につきますと、農業労働力なり、あるいは水産加工業の労働力を確保することができないということで、必然的に地域産業というのは、衰退していくというのが、特に過疎地域でおこっている状況でございます。そういう形で、なかなかこういう施設というのは地域と共生するということが難しい。
特に原子力関連は封鎖型産業と申しますか、他とあまり関連を持たないということが特色でありますので、なおさらというふうになります。それでは、苦しい中で地域経済、そういう施設を受け入れる場合、あるいはそういう施設が要請された場合に、今どう考えるのかということでありますけれども、現時点で考えるとするならばですね、むしろ施設などを持ってこないで、現状のままで十年なりですね、これは今、行財政改革で地方財政とか地域がどうなるかということの正念場を迎えているときでもありますので、私自身としては急いでこれをやるということをしないで、少しゆっくりと時間をかけて、まず、技術的な開発、研究を、その場合も様々な条件があるかと思いますけれども、そういうものを重点的に進めていく、いくつかの可能性というものをその中から導き出して、少し地域経済が安定するとか、十分に判断できる、そういう期間まで猶予をいただきたいというのが、私自身、その方がよいのではないかというのが、いろんな地域を回って得た経験や結果ということであります。以上です。
- (木元)
- ありがとうございました。あのいくつかちょっとうかがわせていただきたいのですけれども。この高レベル放射性廃棄物を処理、処分するという方向に関しては、そうしなくてはいけない、というお立場でしょうか?
- (小田)
- それは、いずれは必要になりますし、そのまま放っておくことはできないと思いますが、今急いでやらないで少し条件整理、これは、受け入れ側では、今お話をいたしましたけれども、多くの地域はおそらくそういうものを立地する場合には過疎地域を考えているんだと思います。これは前の大阪の報告書などを読ませてもらいましたけれども、東京とか大都市には無理だというお話がありますので、当然そういう地域が対象になるだろうと思いますけれども。しかし、そういう地域は、現実の地域経済の条件から言いますと、大都市中心の消費者と対等の立場でいろんな条件を持ち出して、これをしてくれなくちゃダメだとか、そういうことを言える状況にないわけです。
したがって、押し付けとかいろんなきつい言葉で出てくることになるわけですが、そういうことを少し時間的余裕というんですか、本当に地域が自主的に考えられるような、そういう条件というものをどうやってつくるのかと。共生の中にはそういう具体的なものは一つもないわけですね。第三章の基本的な考え方の中には、共生とか持続性とかっていう言葉はたくさんありますけれども、そういう具体的な方策というのは示されておりませんし、今のままでいきますと、どうしても過疎地域は弱い立場で上の方から押しつけられるという状況になるので、そういうことはやめましょうと。
- (木元)
- それのことは、私たち28回論議した中でもいっぱい出ているんです。大変恐縮ですけれども、高レベル放射性廃棄物についての考え方、案がお手元にあると思うので19ページをちょっと開いていただきたいんですね。小田さん恐縮ですけれども、第三章を今お取り上げいただいたので、ちょっと読ませていただきたいと思うんですが、19ページ第三章「立地地域との共生」、ここを今ご指摘になった。上からの押しつけであるし、その地域の産業が衰退するというお話しだったので、そこが私たちとしても一番困る方向ですね、押しつけじゃないんですから。「基本的考え方」のところを読ませていただきます、「処分事業と立地地域との共生の考え方」。『実施主体が行う処分事業は』、これは研究施設と全く同じなんですけれども、『地域における住民、自然環境、産業との調和ある持続可能な共生関係を築』かなければ、これは本来の筋じゃないと。
『あわせて地域が』-ここです。『自立的に発展し、住民の生活水準の向上や地域の活性化につながるものでなければならない』んです。だからその下に書いてあることは、『このような共生関係を考えるにあたって、まず、立地地域の主体性を尊重しなければならない』。具体的にいうと、この地域はどういう生き方をしたいのか、この産業を残したいと思っているのかやめたいと思っているのか、これがこうなった場合にはここだけは譲るけれども、ここだけは譲らないと、その主体性を尊重しようではないかと、そういうことです。そして、『共生の方策は立地地域に対して押しつけたり一方的に与えるものであってはならず、地域の持っているビジョンやニーズに応じて』、つまり、うちの町はこうしたいうちの村はこうしたい、そういうニーズがあるだろう、ビジョンがあるだろう。それに応じて、その『地域の特性を活かした方策を地域が主体となって企画・選択する仕組みをつくることが必要である』と、ここまで書いたわけです。
ここまで論議したんです。ですからそこを小田さんもお読みいただいているとは思うんですけれども、今おっしゃったことに関しては、若干「いやそうじゃないよ」ということをこの報告書に書いてあるので見ていただければ幸いじゃないかなと。『このような方策は、地域にとって一時的に利益となるようなものではなく、自立的に地域の発展に貢献することが重要であり、固定的でない』-「固定的でない」というのは、「こういうものをつくるから金をやるんだ」というんじゃないんですね。固定的でなく、地域が、こういうものが欲しいああいうものが欲しいというものがあれば、それを固定的でなく考えようという方向です。そういう幅広い政策手段を考える必要があるという報告書をまとめたので、そこの努力を買っていただければありがたいなというふうに思いました。それから、他の国を見ていると、例えば農業が衰退していくとかということもあるわけですが、逆に、その農業なら農業が自立的に発展していく方向もあるんですね。
それを実際やってみてぶどう酒畑が出来ているというところもフランスではありますけれども、そういうのも今まで日本では確かにやり方がまずかったかもしれない。だからそういうふうな感触をお持ちになったかもしれないけど、それはダメだというのを今回討議してこの案を出したんですね。だからここを論議していただければ大変ありがたいなと。今のご意見は19ページにひっかかっていますので。
- (小田)
- はい。後でまた。
- (木元)
- はい。よろしくお願いいたします。では、次にいかせていただきたいと思います。近藤さん、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
- (近藤)
- 北海道経済連合会の近藤でございます。たまたま私どもの事業の一環といたしまして、先月9月の中旬から2週間ほどヨーロッパ5カ国、デンマーク、スウェーデン、スイス、フランス、ベルギーの電力事情、特に高レベル放射性廃棄物の処分研究施設を中心に視察をしてまいりました。今回各国の様々な努力の様子をかいまみまして、日本の原発行政の立ち遅れの感を深めてまいりましたので、簡単にご報告申し上げさせていただきたいと存じます。
先程来説明がございましたが、世界でも屈指のエネルギー消費国であります日本が、東海村で原子力発電第一号機が運転開始をしてすでに34年が経過しているわけです。今や原子力発電は日本の電源の中核として位置づけられ、我が国の34パーセントの電力を担っているにもかかわらず、その必要性ですとか安全性についての国民の広い理解はいまだに十分とはほど遠い状況でございます。まして高レベル放射性廃棄物処分問題につきましては、本来原子力発電のスタート時に固めておかなければならなかった基本の問題にもかかわらず、いまだ研究施設すら手が着いておらないという状態でございます。
今回ようやく基本的な考え方が報告されて、広く国民の議論を深めていこうという姿勢でスタートしたことを高く評価をさせていただき、大いに今後の進展に期待をしているところでございます。この報告書でも触れておられますけれども、廃棄物処分についての国民の理解を得るためのプロセスとして、透明性の確保ですとか情報公開を特にあげておられますけれど、これは原則中の原則でございまして、すべての行程はあらゆる最善の手段を駆使して国民の前に明示をしていただく、国民がいつでもアップトゥデイトな状態で確認できるようなシステムづくりを一刻も早く確立することが、信頼と理解を得る第一歩であることを確信してまいりました。
また学校教育についても、技術的な面ですとか体系的な仕組みについてきちんと理解をされ、正確な判断力が持てるような国民を一人でも多く育てる教育が是非とも求められてるところだというふうに痛感をいたしました。これら国民の側に立った対応が、原発行政で残念ながら先送りされてきたために、国民の理解が不十分な現状を招いているというふうに私は感じております。
これら各国の施設を訪ねて強く印象を受けた五点についてご報告いたしたいと存じます。一点目でございますが、各国の原子力発電関係施設の当事者の皆さん方とお会いして、非常に印象深かったんですが、安全管理の重要性を強く自覚をされておられまして、誇りを持って仕事にあたっている。そして安全管理の万全に自信をもって取り組んでいるということでございます。自信をもって「安全管理は任してくれ」という意気込みでやられている。その自信はどこから生まれるのかいろいろと確認をさせていただきました。例えば、政府ですとか、自治体、行政、事業者関係者のそういった方達の日頃のPR活動や、情報公開を施設開始当初から重要な役割として位置づけてスタートしておられるということです。安全管理体制がきちんとしていなければ一日たりとも我々の仕事はもたないんだ、という自負のもとに任務をまっとうしているということがよく伝わってきたということでございます。
それと国と事業体との連携が大変うまくいっているというということです。アンケート調査ですとかモニタリングですとか、情報公開システムの開発についても、国や自治体が積極的にそういうものに協力して係わっていました。また、教育現場への支援等も積極的に行っています。これらは特にスウェーデンやフランス、ベルギーあたりで特に印象深かったことでございます。二つ目でございます。国や地方自治体は、国民が安全性に不安を抱くような事故や環境変化があるとアンケートを行うなど、国民合意のプロセスに非常に優れている感じがいたしました。何かあると隠したり逃げたりせずに公開し、きちんとした説明の努力を怠らないということでございます。三点目でございますけれども、原発の関係各施設は、持っている全てのデータや情報を常に最新の状態で様々なメディアを通じて国民が入手できるよう最前を尽くしている。
先程ご報告申し上げたとおりでございます。四つ目は、国や地方自治体では原子力発電についての教育に力を入れて、小学校の段階からサイクル全体を総合的に理解できるよう、国民として原子力発電についてきちんと判断ができるよう基礎的な知識をカリキュラムに取り入れているということでございます。五番目、最後でございますが、電源確保につきまして、原発開始当初からサイクル完結のための施設費を含めて、計画的に積立を行っているということでございます。また、廃棄物処分の実施主体についても、当初から設立がなされて、これらが研究に万全を期するよう計画的に研究開発を行っておるということでございます。最終処理までの対応を導入する段階で、きちんと財源から実施主体まで、きちっと決めてスタートされておるということです。今後の議論の進展に、是非こういった先進国の事例を十分みならって、できるところから進めていくということが肝心だというふうに痛感をしております。
- (木元)
- 日本が、今おっしゃったように、どうして後手後手にまわったというか、サイクルをやるのなら完結した形でそこまでやらなかったというのは、大変残念なことですけれど、そのうちそのうちという、反対があるからとか何だとかでちょっと遠慮してしまったというか、ヘジテイトしちゃったというか、そういうものを若干感じますよね。
- (近藤)
- そうですね。日本人の場合は不幸な歴史がございますから、核アレルギーを海外以上に持っているわけですね。それに過剰反応して遠慮してしまったんですね。本来は逆であって、もっと積極的にそういう部分に踏み込んでいくことが日本こそもっと必要だったんだと思っています。これは政府の責任だと思います。
- (木元)
- 国もそうですし、電気事業者の方達も。私なんかもっと胸張っておっしゃったらどうかと思うのですが。
- (近藤)
- そのあたりが一番最初に感じた印象でございますけれども、やはり当事者が本当に自信を持って、誇りを持って、責任を持って我々が安全管理をしてるんだという自負を持ってやっているということですよね。
- (木元)
- ですから、しょんぼりやっていると何か隠しているんじゃないかと逆に思われたりしますよね。その部分ですね、堂々という感じで。杉浦さんお待たせしました。
- (杉浦)
- 杉浦でございます。私は主婦なので専門的、技術的な詳しいことはよく分からないんですけれども、本日は私なりの意見を述べさせていただきたいと思っております。地球温暖化で環境悪化が心配されている毎日です。まず、身の回りから考えようということで、私の住んでいる帯広市でも資源ゴミの再利用のため、今までは燃えないゴミとしてひとまとめにして出していたゴミも、ペットボトル、アルミ缶とスチール缶、牛乳パック、ビン類は、燃えないゴミとは別に区分して出すようになりました。今年の10月からスタートしましたが、今のところ私の町内会では皆さんきちんと区分して、出しているようです。家庭から出るゴミは、直接自分たちが出す目に見えるゴミなので再利用の必要性なども理解しやすいと思います。では、高レベル放射性廃棄物というゴミについてはどうなのでしょうか。
実際には、私たちがじゃんじゃんエネルギーを使って出てきたゴミなのですが、名前すら聞いたこともないという人は、とてもたくさんいると思いますし、なかなか身近なゴミとしては、考えにくいのだと思います。日頃、子供達にゴミはゴミ箱へと教えているのと同じように、例えば、高レベル放射性廃棄物に対しても、小さい頃からゴミとして意識できるように話してあげなければいけないと思うのです。そして、家庭の中だけの会話だけでなく、学校という教育の場の中でも話し合われる必要性があると思います。これからの未来を担う子供達に、現実問題として教えておかなければいけないことだと思います。原子力は地球環境への影響が少ない大切なエネルギーですので、今後私たちがより快適に過ごせるためには、やはり原子力に頼るところが大きいと思います。私たちが出す家庭の資源ゴミのリサイクルが必要であると同じように、ウラン燃料のリサイクルも必要だと思います。
しかし、ゴミとはいえ高レベル放射性廃棄物は、放射能が強い、人が近づくことのできない危険なゴミです。この危険なゴミは果たして本当にきちんと処分されれば大丈夫なのか、という不安は大きいです。安全面はどうなのか。とても慎重になるところです。現実として動燃のもんじゅや東海事業所の事故がありました。この事実を忘れてはならないと思います。私が国にお願いしたいのは、原子力の必要性を訴えるのと同時に、国民一人一人の安全な生活を確保するという保証もしっかりやってほしいと思います。そして、原子力に対する知識や、意識を持って下さいというばかりではなく、私たちがそれらを持てるような工夫を、もっともっとしてほしいと思っております。以上です。
- (木元)
- ありがとうございました。今まで時間が押してきましたが、杉浦さんのところで短くやっていただいたので感謝します。今の、ゴミに対する杉浦さんの哲学というのかしら、それは大変よく分かったのですが、高レベル放射性廃棄物というのは原子力モニターをおやりになる前はご存知でした?
- (杉浦)
- 原子力に対するそのものも全く知りませんでした。その高レベル放射性廃棄物というのも、モニターになって初めて知った名前です。
- (木元)
- その段階で初めてお勉強したというか、学習したっていう感じですね。ご自分から率先してお受けになった。
- (杉浦)
- そういうわけではないです。
- (木元)
- でも勧められてモニターになられたのはご自分の意思?
- (杉浦)
- はい、それはそうです。
- (木元)
- それなら、ご自分で積極的に勉強しようと思われて。
- (杉浦)
- そうです。今まで知らなかったので、このモニターというのをきっかけにして知ろうということで。
- (木元)
- これも自分が生きていく上での大事なエネルギーのことだという意識で、お入りになったと考えていいですか?
- (杉浦)
- はい。
- (木元)
- ではまた一緒に勉強していきましょう。よろしくお願いいたします。
- (杉浦)
- はい。よろしくお願いいたします。
- (木元)
- お待たせいたしました。杉山さん、よろしくお願いいたします。
- (杉山)
- 生活クラブ生協の杉山でございます。私どもの生活クラブ生協では、食の安全などを主要なテーマに活動を進めているところですが、1986年のチェルノブイリ原発事故によりまして、食物の汚染を契機に脱原発運動に取り組み始めました。以来、積極的にこの運動を続けてきております。とりわけ高レベル放射性廃棄物に関しましては、幌延の施設立地計画の白紙撤回をめざして、8年前より毎年夏休みに幌延サマーキャンプというものを企画いたしまして、大勢の親子の参加で地元の皆様との交流を続けてまいりました。
また私自身、今年の4月にドイツ、イギリス、フランスと核再処理工場、それから廃棄物貯蔵施設の現状を視察してまいりました。そして、再処理工場の周辺の住民への健康被害とか、環境破壊を直接この目で見てまいりまして、再処理すればするほど大きな負荷を負うことになることを実感して参りました。さて、今回のこの報告書についてですが、たくさん申し上げたいことがあるんですけれど、今日は二点に絞って発言させていただきたいと思います。まず一点目は、この基本的な考え方の総論にも触れられておりますように、再処理プルトニウム利用を前提に意見を求めている点です。
さきの高速増殖炉懇談会の報告書案では、原子力政策における高速増殖炉の位置づけに関しては、実質上の政策転換を意味すると受け取れる表現がみられます。これまでの、将来の原子力発電の主流ということから、一つの選択肢となっております。とりあえずもんじゅは中止せずに研究をしてみましょうと、こういうことではないかと思っております。その背景になっているのは、ご承知のように世界的な流れとしてプルトニウムの見直しをする中、日本においても技術、経済、環境、そして国際関係などの面からプルトニウム利用の見直しをせざるを得ない状況にあるとの認識からと、私は思っております。
世界的にも国内的にもそのような流れであるにも関わらず、処分問題だけを取り上げて議論するのは、いかがなものかと思っております。で、この際、原発も含めて日本の原子力政策がどのような方向で行くべきなのか、賛成派も反対派も含めて広範な国民的レベルでの議論が先にあるべきと思います。その上でガラス固化体にするのか、ワンススルーが良いのか、地層処分がいいのか、地上管理がいいのか、というような議論に入っていっても遅くはないのではないかと思います。二点目ですが、今回の案は一見するかぎり、情報公開とまた、透明性の確保など耳障りの良い言葉がちりばめられております。
しかし、一貫した基調となっているのは、原子力で便利な生活を享受してきたのだから、核のゴミというツケを国民も一緒に考えていく責任があると言っております。果たしてそうでしょうか。今、廃棄物問題を深刻なものにしているのは、先ほどどなたかもおっしゃっておりましたように、トイレなきマンションと言われ続けておりながら、国も電力会社も廃棄物に関しては、先送りにしてきたという、その原子力という産業としての完結性をもたないままに強引に原子力政策をすすめてきたからに他ならないと思います。まず、国と電力会社の責任をはっきりさせるべきではないでしょうか。
私は、決して処分問題を考えなくてもよいと、こう言っているのではありません。20世紀最大の負の遺産であると思う、この核廃棄物をリスクを負いながらも処分、管理をしていかなければならないということは認識しております。繰り返しになりますが、原発を含めた原子力政策を見直すところから、この処分問題の国民的議論が始まっていくと考えます。諸外国に比べて10年から20年遅れているということを強調されておりますけれども、その諸外国においては、例えばスウェーデンでは脱原発に向かっているとか、それからイギリスやドイツでは再処理から撤退しているとか、その処分にあたっての前提が、今回のこの基本的考え方とはまるで違っていると私は思います。
最後に一言。幌延のこの施設立地計画は、是非白紙撤回していただきたいと思います。これが、私ども道民の心からの願いであると思いますので、最後に一言付け加えさせていただきます。ありがとうございました。
- (木元)
- 今のお話しで、先送りにしてきた国とか事業者ということが、私もそれは非常に強く感ずる部分でありますし、やはりそこのところがちょっと甘い見方をしていたなというのは同感します。けれど、最初におっしゃった、報告書案でプルトニウム利用と高速増殖炉の関係のことをちょっとおっしゃいましたね?それは、この報告書案ではないですね?
- (杉山)
- そうです。高速炉増殖炉の懇談会ございましたよね?
- (木元)
- ええ、この間の。
- (杉山)
- そちらの方の、まあ直接見たわけではなく、新聞報道などによってですが。
- (木元)
- そうですか。でもあれは、研究は続行するという方向にはなっていると、私は思っているんですが。
- (杉山)
- ええ、そうです。研究は続行するということになっていると思いますが、先ほど申し上げたように主流ではなくて、一つの選択肢と言っていることと、明らかに私自身はもうプルトニウム政策、その再処理、もんじゅが、いつ商業炉になっていくのか、というところが見えてないんではないか、というふうに私は認識しております。
- (木元)
- それはプルトニウム利用に関してのご意見というふうに解釈してよろしいわけですね?
- (杉山)
- ということは、高レベル廃棄物というものでなく、使用済み燃料のまま処分すべきものではないかなというのが…。
- (木元)
- そうすると核燃料リサイクルはやめて、一時使用だけで埋めてしまうと、そういう方向ですか?
- (杉山)
- はい、それが再処理すればするほど負荷が大きくなっていくということと思いますので。
- (木元)
- 負荷というのは地球に対しての負荷?
- (杉山)
- もちろん地球、人間、そして再処理するためにどれだけのエネルギーが必要かということも考えて。
- (木元)
- 一時使用をそのまま処理、処分することのコストはどうですか?
- (杉山)
- そこまではちょっと私自身専門家ではございませんので分かりませんが。
- (木元)
- その方が負荷がかかるという部分はないかなぁと思うんですが。どうでしょうね?
- (杉山)
- プルトニウムを利用していかないということになった時に、ウランの埋蔵量とかそのようなところから、原発政策から撤退していかざるを得ないのではないかと、そのような期待を持っております。
- (木元)
- ご意見として承っておきますけれども、例えばスウェーデンの場合に、確かに廃棄する炉はあります。それは耐用年数の問題とかで二つくらいなくなるはずですけれども、2010年までに全部やめるという方向は、どうやらできないという情報が今あがっているようです。スウェーデンは依存率が高いものですから、やはりできないんだろうなと思いますので、そのへんは原子力発電の問題になりますので、後でご議論の中で出てくればお話し合いをしたいと思います。そうしますと、今のは、一時使用のままで埋めるという方向がいいのではないかと、現状ではね、そういうことにさせていただいてよろしいでしょうか?
- (杉山)
- その前に私申し上げたいことは、このまま日本が原子力政策を続けていってよいのかどうかという、そこらへんのところが国民的合意ができていないのではないかということを申し上げたいと思います。
- (木元)
- そうすると、COの問題とか、それからこれだけ消費されているエネルギーを、例えば太陽とか水力とかあるんですけれど、十分に間に合わない。そうすると、当面どうするか、ということに対するいい対案はありますか?この消費をどうやってカバーできるかという…。そういう議論をこの場ではやらない?では、やめましょう。はい。うーん、そのお話しがないとご意見が見えてこないから、と思ったんですが、そうですか。ではそういたします。私はかなり理解して申し上げたつもりでしたけれども、今もう少し杉山さんにもう少しいいご意見があれば、ぜひうかがいたいなと思ったのですが。
失礼いたしました。竹田津さんにうかがわせていただきます。
- (竹田津)
- 農村部で獣医をやっております竹田津です。こういうところに引っ張り出されていい勉強をしました。第一に勉強したのは、僕が知っている原子力発電というのは、安全でなおかつ安いというのが全部嘘だった、ということを再確認しました。どうも、われわれは泥縄式にこのことを納得させられているような感じを僕は受けております。要するに、我々が納得いく手前に、いったんではなくて、常に納得させられているという感じを僕自身は持っております。先ほどもちょっと出ましたように、快適さを求めているというけれども、これは快適さを求めさせられているのであって、次から次とこれはどうですか、これはどうですかという世界で、実は我々が踊らされた結果であるというふうに考えてもいいんじゃなかろうかというふうに思っております。
ですから社会全体が右上がりの進歩というものから、右上がりのものが進歩だと考えるのがそろそろ難しくなっているというふうに、我々は田舎でも認識しているのに、認識していない人が多いというのに大変びっくり仰天しました。一つは、僕は北電の方が来ているんですけれども、電気を無制限に供給する必要がないんじゃなかろうかと、思っております。少なくとも夏の最盛期にはあまり使うことありませんというぐらいが、世界があってそこで初めて我々が「そうか」と考えるだろうというふうに考えております。そういう点は僕は、大変今我々が次から次とやらせられていることについてひどく不安に思っております。それは、今にあるんだろうと思います。まず一つは、動燃をまったく信用しておりません。
そのために、それにつながるものにひどく不安感をもっております。だいたいああいう事故を起こしても、親分が首にならんというのはおそらく社会常識からいって我々の世界ではありません。そのためにですね、もう少しこの問題は時間をかけていろんな論議をされてもいいのではなかろうかというふうに思います。僕自身は次世代にこういう負荷を残すことは大反対です。ですから、お金は今のうちに用意すべきだと思います。将来かかるべきであろうという、思われるお金は今のうちにできるだけ早く用意をしてですね、その後にいろんなことを論議しても遅くはなかろうというふうに思っております。
それから、先ほどから何回か日本は遅れているといいますけれども、これは、国民である我々が責任を負うべきものではなくて、遅れているというのは、そういう情報を全然知らせなかった人間が、むしろ遅れているというふうに考えるべきで、これについてはそういう話しをされると困るんです。そういう話しをされて、だから納得せよというのは、また、同じ論法をやっているんじゃなかろうかというふうに思っております。しかし、現実的な問題、今の情報からいきますと、地層に埋めるということが、どうしても緊急ならば、それはそれなりの相当な準備と勉強、研究をなされるべきだと思います。
そのための賦課を今のうちから電気料金にかけるなりして、国民が十分そのことについてある種の理解をするきっかけになるためにも、電気料金を安くする必要なんか全くないというふうに僕は思っております。早く終わりました。僕の意見はそんなもんです。以上です。
- (木元)
- ありがとうございます。そうしますと、後半におっしゃった、やはり次の世代に負荷を残さないほうがいい。ちゃんとお金は集めるだけ集めて、研究施設は早くやっぱりやったほうがいいというお立場と考えてよろしいですか?そうおっしゃいましたよね?
- (竹田津)
- ええ、僕は研究せよというのを、皆さんが、ある種のグループが考えている研究施設と僕が研究をするということが一いたするかどうかは全くわかりません。しかし、僕自身はこれについては十分研究がなされるべき時期になっているというふうに思います。
- (木元)
- はい、ありがとうございました。では、橋本さん。よろしくお願いいたします。
- (橋本)
- 私は竹田津先生の分も頂戴いたしまして、6分半くらいしゃべります。ごめんなさい。
今日、会場にもっと若い奥様方が多くご参加していればよかったのになと思います。本日は賛成とか反対とか、あるいは、放射性廃棄物をどう処分すればよいか、などという具体的な話しではなく、子供たちの未来に私たちが何を残せるかということについて、あなたが日頃から感じていることをしゃべって下さいと言われましたので、出てまいりました。私は、アナウンサーであり、主婦です。ですから、マスコミの立場と主婦の立場が少しずつ分かります。でも原子力専門の番組を担当しているわけではございませんので、知識、情報はあまりございません。
私の発言がすべてマスコミを代表する発言だと思わないでいただきたいと思います。現在たくさんのご意見があるのは当然なんですが、日本中の皆さんの気持ちは、さっき岡谷さんもおっしゃっておられましたように、同じだと思うんですね。私利私欲ではなく、私達がお世話になっているこの地球を、子供達のために環境をこれ以上破壊させたくない、その気持ち一つだと思うんです。そのために様々な立場、あるいは価値観からいろいろな論議がされていると思うんですが、すでに皆様ご存知のように30年間原子力エネルギーにお世話になっておりまして、すでにゴミがあるという事実。
あるいはCO2にしましてもそうなんですが、私達がこうやって生活をすること事態がすでに加害者であり、被害者であるという認識を忘れてはいけないと思います。先日ラジオ番組で、これは後で専門家の先生に聞きましたら、本当だとおっしゃっていただいたんで自信をもってお話できますが、私達地球上の人間が1秒動くと地球が1年かけて育てた自然環境が破壊されるという話を聞きまして、ほんとうにお尻に火がつくそんな気がしました。さて主婦の立場から見ますと、もちろんこちらにいらっしゃる方もそうだと思います。原子力に対して、エネルギーに対して関心がある方も多いと思うんですが、大部分の主婦はそうじゃないと思うんです。
たとえば新聞の見出しに「高レベル放射性廃棄物…」というのと「安室結婚」というのがあったら、やはり「安室結婚」の方に興奮してしまうと思うんですね。でも本当は、私達主婦こそこういった情報、こういった話に生活レベルで関心を持たなきゃいけないんじゃないかと、いつも思うんです。どうしてかといいますと主婦はわかると思うんですが、社会を構成する小さい単位である家族の例えば厚生大臣であり、建設大臣であり、大蔵大臣であり、様々な大臣を一手に引き受けているわけですよね。つまり社会を構成する家族というのは人間なんですが、国民の命を預かっているといっても言いすぎじゃないと思うんです。
そういう意味からしても、主婦がこういう情報にもっと生活レベルで関心を持たなきゃいけない思うんですが、さて主婦A子さんが「私はエネルギーに目覚めたわ、新聞読もうかしら。」といって新聞を読んだとします。そしたら、凍りつくんですね。だって高レベルとか低レベルとか、すでに話が高レベルにいってまして、自分が読もうにも、研究されている方は想像つかないと思うんですが、目で高レベルとか低レベルとか、字は読んでいるんですが、目の前にバリアがはられて、それが脳みそに入ってこないという状態があります。そうしますとアレルギーになってしまうんですね。ただテレビ番組などは、最近は比較的親切に解説をしてくれているかなあというのを感じております。
そこで提案なんですけれども、是非この生活レベルで分かりやすくという部分で、もしもこの廃棄物をこのままこの地上に保管していたらこうなるのだとか、この調子で電気を使い続ければ何年後にまだあといくつの原子炉が必要となって、廃棄物がこんなに出るなどのシミュレーションを、暮らし、生活のレベルにスポットを当てて、たとえば未来ドラマ風にして、たえず私達に見せていただけないでしょうか。この「たえず」というのがポイントで、情報を発信しているのは発信しているんですけれども、皆さん生活のサイクルが違うものですから、見た人もいれば見ない人もいる、でもこれは国民的な問題ですよね。
であれば、たえず発信し続けることが必要になってくると思うんです。先日お友達と話してまして、そういう原子力エネルギーは核のゴミが出るのであれば、太陽熱のエネルギーはどうかと友人が言ったんですけれども、私のつたない勉強によりますと、日本の今の電力を太陽熱エネルギーで賄うとすれば、四国と同じくらいのなにかパネルが必要になるそうなんですね。そうなりますとものすごくお金がかかる、電気料金もあがるという話を聞きました。情報をしりました。そうなりますと友人に言いましたら、でも少しくらい電気料金があがるんであれば、それはもうクリーンなことなんだから私達が負担するというんですが、さて少しくらいというのがどれぐらいなんでしょうか。
自分の給料で賄えるくらいなんでしょうか。あるいは、もしかするとその少しがものすごく膨大なお金になりまして、社会が成り立たなくなって失業するかもしれない、そういうことも考えられる。まさにお先まっ暗の状況になるんじゃないかなあと思うんですが。そういうことが分からないということがありますので、できるだけ具体的に生活レベルで教えていただきたいと思います。日本原子力文化振興財団などが、パブリックアクセプタンスで広く国民の理解を得ようといろいろと方策などを行っているんですけれども、是非以上のような分かりやすく、私たちが普通の生活レベルで興味を持てるような方法も考えて、アピール、PRしていただきたいなと思います。
それから、これまでこういう問題は、専門家や国の皆さんだけで議論されていたように思うんですが、今回のように国民全体の問題ということで国民も等しく、このあと皆さんも議論に入っていらっしゃると思うんですが、議論に入るような環境をつくっていただくというのは、素晴らしいことですので、これからももっと回数を増やしていただきたいと思います。私仕事をしておりまして、今私たち普通の人間が、本当にこういう問題に意識を高めている、ということを肌で感じるんですね。去年と、今年、2回続けて女性を対象にしたエネルギーフォーラムの司会をしましたが、去年の皆さんも確かに意識が高かったんですけれども、今年の皆さんというのは、迫力を感じるんです。
何か知りたいぞという迫力を司会をしていてびしびし感じました。あと、いろんなところでも、普通の皆さんが今社会の仕組みがどうなっているんだろうか、と思う熱というのを肌で感じておりまして、今研究専門の皆さん方はこんなに一生懸命やってきたのに、国民はちっともわかっていなかったんじゃないか、ということに気がつかれたと思うんですが。国民の方も私達も自分は何も分かっていない、なんとこう無知で恥ずかしかったんだろうか、勉強しようという状況になりまして、遅いとは思うんですが、ちょうどそういう時期ですので、こういう時期こそ私もしております。マスコミ、このマスコミが責任ある報道をしなければいけないと思うんですね。
責任ある報道の裏付けというのは、情報を持っている側とそれから発信する側、マスコミの信頼関係にあります。この信頼関係の絆を強固なものにするためには、情報を持っている側が等しくそれを公開する必要があると思います。でも、今信頼関係は成り立っていると思いますか。先日あるフォーラムで専門家の方から、なぜ情報公開が不十分かというお話につきまして、こういうお話がありました。専門家と素人の間には認識のギャップがある。専門家にしてみれば、従来の経験と知識から事実の程度を推測し、確認できるので、そんなに大騒ぎする必要がないというが、それに対しマスコミ側は、よく分からない専門分野について一生懸命情報を集めて記事にしたのに、なんくせをつける。
こういう話があったんですが、これまではまさに、この繰り返しだったと思うんですが、これからはこういう状況じゃ何にも解決しないと思いますので、やはり専門家も本当に分かって欲しいという気持ちがあるのであれば、もっと表現を勉強する。言葉に疎いのであれば、その気持ちを態度で表す、という努力がもっと必要じゃないかなと思います。また、国が真剣に考えているのであれば、皆さん教育教育といいますが、私あまりよく分からなかったんで、北海道の中学の科学の本買ってきたんですが、確かに原子力エネルギーについては150~160字くらいしか出ていないんですね。
もっと例えばですね、泊発電所に見学に行かせるとか、やっているところもあるかもしれないんですが、自分の身につく教育をして欲しい、必要じゃないかなと思います。それからもちろん、マスコミ側も国民はクローズアップし、報道されたことをそのまま疑うことをしません。信じて情報としてこちらに入れますので、これらの問題がいかに私たちの生活に密着したものであるかということを認識して、もっとマスコミ側も勉強していかなきゃいけないなと思います。
- (木元)
- ありがとうございました。おっしゃりたいことが沢山あるのはよく分かるんですが、一言。今の高レベル放射性廃棄物は、どうしたらいいですか?
- (橋本)
- 私、核のゴミゴミって言われていますよね?それを自分で思うに、こんなに技術が進歩したんであれば、このマイナスというものを、なんかこう技術はもっと進歩していると思うので、プラスにならないものなんでしょうか?
- (木元)
- うーん。
- (橋本)
- なりませんか?
- (木元)
- うん、いや、そういう発想もあるんですよね。はい、次のご意見にいきます。山内さん、大変お待たせ申し上げました。よろしくお願いいたします。
- (山内)
- 旭川大学の山内でございます。私は、道北6市37カ町村ありまして、ここはみんな過疎なんですね、私どもの大学の理念が、村を捨てる大学ではなくて、村を育てる大学として生きようという、そういう観点から二、三この問題について、お話し申し上げたいと思います。
まずは、なぜ初めに幌延でありきだったのかという問題なんです。「よーいどん」でゼロからみんな考えましょうという趣旨はやるんならやっぱり20年前からやる必要があったと思うんですね。85年11月23日に強制調査しましたね。そのときの早川さんという人の勝ち誇ったような記者会見を見てるともうげんなりしますね。一年後の86年8月6日、幌延町開進地区50人しかいないんですが、そこに350人の機動隊が来るわけですね。50人のところに350人の機動隊が来て、いきなりボーリングを始めちゃう。こういうことをどう考えるかということですね。
これが日本の原子力行政なのかという。これを私どもやっぱり本当に呆れるよりはびっくりしたわけです。そのことを考えてみますと、どの土地を選ぶかという処分地の選定に関して、いただいた資料を見る限りにおいてはですね、やっぱり地元から誘致があった地点、つまり手を挙げたところを考えるというふうになっているわけなんですね。そして、次に申し入れ方式で、いいなと思ったところに頼む、というふうに書いてあるんですね。こういう問題は手を挙げたからやるという問題でいいのかどうかということですね。
ちなみに幌延の場合は手を挙げたといっても、知事は反対してますし、道議会も反対しているわけですね。北海道の場合はね。そういう意味で、選定プロセスの処分地に関して、手を挙げたところを公募方式という言い方の中で選定するやり方。それも原子力委員会の原子力バックエンド対策専門部会では、第2次取りまとめは動燃が行うと書いてあるんですね。動燃を中核として関係機関により進めることが望ましいと。ところが、処分懇の報告書には、実施主体がやる、と言っているわけです。そして、選定に関しても、発生源である電力会社も一緒になってその処分地を探せ、と書いてあるんですね。
こういうことを考えてみますと、この原子力委員会、処分懇、それから高レベル事業推進準備会-SHPですね、それから専門部地層処分研究開発協議会、原子力環境整備センター、原子力委員会、通産省、資源エネルギー庁、こういったところがそれぞれ一体どこがやるのか。とりわけ私どもの立場から言いますと、原子力安全委員会っていうのは全然機能していない。あの「もんじゅ」とそれから茨城県の東海村の事故の時に原子力安全委員会って何やったのか。こういうことを考えてみますと、問題出す人と、回答する人と、採点する人、つまり出題者、回答者それから採点者というのがみんなだぶっている。
その中に日立の人もいれば、動燃の人もいれば、科学技術庁の天下りの人もいれば、元どこかの電事連の役員もいればですね。こういうことを今後行政改革やらリストラの中で動燃って生きれるのだろうか。科学技術庁はどうなるのか。そういうことを考えると一体誰が責任を持ってちゃんとやるのかということについて非常に曖昧であるということ、これが第一点です。
それから第二点は、やっぱりプルトニウムを甘く見ていますね、全体に。30年から50年冷やして、それから数百年地下に埋めるんだという見方になっているわけです。しかし、幌延の場合で言えばプルトニウムの2万4千年の半減期、TRU超ウラン元素の場合は、1,600万年ですね。そうするとですね、これを埋めるんだっていうことでいいのか。その時何度なのか。それから、更別層が、幌延は多いのですけれど、更別層でいいのか。そういう基準が何も明らかにならないで、地下処分が一番大事だと。そのへんの基準がほとんどまだ模糊としていること。
それから三点目は、やはり川越市の船橋市長が平成6年に4月から6月までの間に136の施設で7%電力を削減しましたね。そうしたら1,500万円電気代が浮きましたよね。あの市長は原発反対ではないけれど、これ以上原発を増やしたくないということですよね。そうしたことというのが非常に大事で、「ナウシカ」とか「もののけ姫」に行く学生達や国民を見てますと、この全体を貫く処分懇談会やバックエンド専門部会の委員会の哲学が、やっぱり右肩上がりになっているということ、生産力主義になっているということに国民の実感とズレているのではないかと思います。このへんも含めてものの見方、とくに幌延に関してはきちんとした形で謝罪と白紙撤回から出発すべきであるというふうに思います。
- (木元)
- ありがとうございました。いま大変貴重なご意見があったように思うんですね。その中で、ただ、幌延は研究ですよね?確かお願いしているのは。だから処分場としてはみていないということを申し上げたいこと。それと、私達の報告書案は、その出たものの処理処分をどうするかということなんですが、先生はどうしたらいいと思われます?こういう懇談会の存在はどうお考えですか?
- (山内)
- 多少前向きな、といいますかね。やはりこれまでの進め方、三里塚でもなんでもそうですけど、国民同意をどう取りつけるかという意味での転換が見られるという点では評価しますけれども、過去の今までのこういういきさつについてどう思うのかと。それから動燃なんかを実施主体としていいのだろうかとか。そういう点からは非常に問題があるし、動燃は例えば、豊富町の花火大会に20万円寄付しているんですよね。そういうなんというか矮小な、原子力行政というか、そいういうことと、それからやはりどうするかという点については、僕もやはり再処理はすべきじゃないと。
やはりプルトニウムですから、そうするとどうするかということで言えば、これは発生源の近くに人間の直接管理で、人間が永遠に管理し続けていくという形、それからガラス固化体が最良かということだって、まだ選択の余地があると思います。直接処分のやり方だって、考えてもいいと思います。その意味では何ができないのかということを明らかにするというか、そういうことが大事じゃないかなと思うんですね。ところが報告書では明らかにする、開発するということが、どんどん出てるけど、このへんの考え方も違うんじゃないかなという気がします。
- (木元)
- そのご議論は、後で委員の方もいらっしゃるのでしていただきますけど、いまの動燃が実施主体になるというのは書かれていないんですよね、私どもの報告書案には。
- (山内)
- 原子力バックエンド対策専門部会報告書のところに、処分地の第2次取りまとめの「動燃事業団を中核として」と書いてあるんですよ。
- (木元)
- ちょっと待って下さい。今こちらでも、そうは言っていないという意見が出ていますが。
- (山内)
- いや、この原子力バックエンド対策専門部会の平成9年4月15日報告書の15ページ、処分地の第2次取りまとめの主体です、中核です。今この段階で動燃を中核に位置づけるというのはおかしい。
- (木元)
- 位置づけはできないと思うんですが。
- (有本)
- それではですね、むしろ原子力バックエンド対策専門部会の報告書の資料1ですね、そこでいろいろな分野が絡むものですから…。資料の1ページをお開けいただけますか。
- (山内)
- 私が申し上げたのは原子力バックエンド対策専門部会の報告書の15ページですよ。15ページに処分地の第2次取りまとめの部分で、第6章「第2次取りまとめでは動燃事業団を中核として」とあります。
- (有本)
- これはあくまでも、さっき私が申しましたが、研究開発の成果の取りまとめを、地質調査とか原研とかいろいろありますけれども、動燃が中核としてやるということでありまして、処分事業の方、最終処分地を見つけていくというこのラインですね、このラインとははっきり分けて、動燃が中核というのはこちらの研究で、それから先生ご指摘の安全規制側の動きが遅いというところにつきましては、原子力安全委員会のほうもここの2000年のところで安全確保の基本的な考え方を策定するということで動き始めているわけでして。
もう一度整理しますと、処分の事業、それから技術、研究開発、それから安全規制、これがそれぞれ独立に進んでいくと、あくまでも処分事業の実施主体というのは、動燃とは別に民間を中核として、民間を中心として2000年に設立するというふうに仕分けをしてやっているわけでございます。バックエンド専門部会のほうの表現ぶりは、ここの2000年の取りまとめを、動燃が技術的な観点から中核となってやるという表現になっているわけでございます。
- (山内)
- いやそうなってませんよ。処分予定地の選定と安全基準の策定に関する技術的よりどころと書いてあって、第2次の取りまとめは…と始まるんですよ。それであくまでもこれは処分予定地の選定にかかわるところに書いてあるんですよ。第2次取りまとめ第6章がでてきて、動燃を中核として関係所管にというのだから、今のこの動燃の状態で、この段階で中核と、平成9年4月の段階でまだこんなこと言っているというのはだめですよこれは。動燃はだめだ。
- (有本)
- 私はファクトだけを申し上げているつもりでありまして、動燃を中核としてここにあります、まとめた後、国が評価しますけども、その時にはこういう技術的な予定地の選定に資する技術的なよりどころ、あるいはその安全基準の策定にする技術的なよりどころ、こういうものをきちっと国が評価をしてまとめて、それぞれの処分事業、それから安全規制側に伝達していく、という仕分けになっているわけでございます。
- (木元)
- 今のところは、ちょっとはっきりした方がいいように思うんですね。皆さんにページ開けていただいたりしますけれども。第一部の予定の時間が残り少なくなっているので、山内先生とのお話し合いは第二部で続けさせていただきます。そういうことでもう一方、山科先生お待たせしました。
- (山科)
- 北大工学部原子工学科というところにおります山科でございます。昨年度、機構改革がありまして正式の名称は、大学院工学研究科物理工学系量子エネルギー工学専攻プラズマ理工学講座核融合プラズマ理工学分野という、私も名刺を見ないと分からないような、誠に複雑な名前になりました。改革というものが簡素化にあると考えておりましたが、複雑化の方向に向かっているというのは、まったく皮肉なことであります。
私達の原子工学科という学科は今年ちょうど創立30周年を迎えました。原子力関係の学科は、国立大学だけで全国に8つその当時設立されました。原子力産業が最も期待されて、発電所が次々と建設されていった時代でもあります。その頃の学生は、新しいエネルギー開発に夢を抱いて、原子力という超技術に挑戦して原子力産業界に入ってきました。今、彼らがちょうど50才になります。大手の企業や研究者として日本で中心的な役割を果たしております。
現在は、私達原子力の学科は、その社会的な逆境におかれていることから、学生に非常に人気が薄くて、やや低迷をしております。しかし、原子力発電を肯定して、大切なエネルギー源としている以上は、若い人々が後ろ向きになりますと、今問題になっております、ゴミ処理を含めて、技術の分野で継続性が失われ、10年ほどしますと優秀な技術者がいなくなってしまうことを私は大変心配しております。原子力エネルギーが全てのエネルギーの30パーセントを占めているという現状を十分に把握して、私達は教育にあたらなくてはいけないという立場におります。
私自身は、核分裂の原子力発電、つまりフィッションではなくて、核融合つまりフュージョンの研究を行っております。太陽が燃えるのはまさに核融合反応でありまして、これを地球上に実現して次のエネルギー源にしようという研究であります。蛇足ですが、宇宙飛行士になった毛利衛くんというのは私のところで助教授をしておりまして、彼は極めて優秀な原子力核融合の教育研究者でありました。原子力発電は、20世紀に開発、実用化された超技術でありまして、これほど短期間に完成された技術は他にないと、私は思います。
ラザフォードという科学者が、原子核分裂を予言したのが1902年のことであります。最初の原子力発電炉は、英国に1956年に設立されました。わずか半世紀で実用化されたものであります。エネルギーシステムとしての原子力は、非常に完成度の高いものである、と私は思います。本日課題になっております廃棄物処理の問題というのは、原子力のみならず地球温暖化とか、ダイオキシン、オゾンホール、どれもみな人類が放出したゴミ問題でありまして、経済成長のつけを今私達が、つけを回されたということだと考えております。
今いろいろ話題になっておりますように、日本の科学行政にも責任がありますし、私達科学者にも責任があると思います。つまり、一般市民に向けて、情報をわかりやすく説明するということに努力が欠けていたと思います。国民のほうでももっと真剣に理解する努力が大切だと思います。お上に任せておくというだけではなくて、共に考えていく必要があると。それが、今日の集まりだと思います。また、さっきも問題になっておりますように、マスコミの報道は一般的に欠陥を指摘すること、そういうことに力を注いでおりますので、国民に不安がたくさん起こってまいります。
反対するということは容易でありますが、今の時代は対話を持つということが大事だと、私は思います。マスコミ報道関係の方々も、国民のコンセンサスをつくるための場を積極的に提供して、こういう議論をみんなで進めていく必要があると思います。以上であります。
- (木元)
- ありがとうございました。私の進行状況の不手際もあったり、時間がちょっと延びていますけれども、ここで休憩をいただきます。3時まで休憩させていただきます。第二部は先ほどの問題が残っていますので、そこから始めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
- (岡谷)
- 後ろにお飲物を用意しておりますので、どうぞご利用下さい。また、意見でございますが、回収ボックスを持った者が後ろにおりますので、その回収ボックスの方に提出して下さい。よろしくお願いいたします。
<休 憩>
- (木元)
- では、まだお一人席にお着きではありませんけれども始めさせていただきたいと思います。先程の続きです。山内先生からご指摘があった件について、原子力バックエンド対策専門部会の委員でもいらっしゃるし、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の方にもご出席の鈴木篤之先生、ちょっとご説明願えますか?
- (鈴木)
- ご指摘の点でありますが、山内先生すでにご理解いただいているようにも思えますけれども、原子力バックエンド対策専門部会の報告書の中では、研究開発の中核的機関は、動燃事業団と位置づけられているわけでございまして、その研究開発の成果が将来今度は動燃事業団とは別の組織である実施主体が、その処分地を選定する際に、あるいは安全委員会が安全基準を策定する際に、研究開発の成果を活かしていくという、そのような位置づけになっているわけでございます。
ですから、ご発言のご趣旨は、誰がどういう部分を責任を持って進めているのかよく分からないと、不明確だというご指摘もあったかと思いますが、表現上分かりにくくなっているということだと思いますけれども、報告書はそういうことをむしろはっきり分けておいたほうがいいのではないかという趣旨で書いているのではないかと、私は理解しておりました。もう一度繰り返しますと、処分を実際に実行する実施主体というものは、将来出来るのだと思いますが、それと、現在研究開発を行っている動燃事業団とは、別個のものだということでありまして、あわせて安全基準等は、安全委員会が中心となってこれを決めていくと、こういうことでございます。
- (木元)
- それでよろしいですね?
- (山内)
- いや、ちょっとよろしくないんですよね。
- (木元)
- そうですか。
- (山内)
- いいですか?研究開発ということに研究という言葉がだいぶいわれるんですが、処分技術の研究なのか、安全基準等の研究なのか、それともその規制するために規制のための研究なのか。研究というときのこの地層処分あるいはその高レベルをどうするかというときの研究っていうときに何を研究するのかというのが一つあるわけですね。それで何を研究するのかというときに、東海村ではどうしてだめなのか。それは誰がやるのか。それからもう一つはね、今回の処分懇全体もそうですが、実施主体は民間だってなっているわけですよ。
民間というのは業者ですよね。このコストその他にどのようにどうするかということで、それであと電気事業者がこの処分地の選定を実施主体と一緒になって行うというようなことを言って、北電が一生懸命幌延やるっていうこと、見つけるっていうことになるわけですね。そうしたなんかこう実施主体の中で民間の部分というのを、これだけ実施主体と位置づけていいのかどうか。現在考えられるとしたら、日本原燃サービスか、日本原燃会社か。これからどうやってそれが民間の実施主体がつくられるのか。
そうしたことが、わーんと読んでて疑問になってくるわけですね。そして、今のお話で、この原子力バックエンド対策専門部会の報告書の中では、明らかに第2次取りまとめの主体と、中核というときに、僕はやっぱり今鈴木先生がおっしゃったような形で役割を動燃に限定、技術開発の研究のところに限定したとしても、この平成9年のこの報告書の段階で、これだけぼろぼろに動燃というものの体質が問題になっているときに、中核という言葉をつけながら二次取りまとめの主体においておくという、そのへんがもう何か我々の感情からだいぶ違うんじゃないかという気がするんですね。
- (鈴木)
- まず、研究開発の内容はどういうことなのか、というご指摘についてですが、これにつきましては、この報告書の第2章19ページから、これまで出されておりますこの種の報告書に比べますと、かなり丁寧にといいますか、具体的に記述があるのではないかと思います。それから、その後ろの方にさらに、この解説もついております。例えば資料の方でページが別に振ってございますが、17ページくらいからの表であるとか21ページの表であるとか、その中で、例えば幌延でやることだけでなくてもちろん東海村でも相当の研究をやってもらわないと困るわけでございます。
そういうこともあわせて書いてあるわけです。ですから、そこはそういう意味だということと、それから、なぜその東海村以外のところが特に必要なのかということは、一言で申し上げますと、これは外国の例を見ていただいても同じなのですが、それだけのスペースをつかって地下の状態を調べたり、あるいは調べた場合の情報が十分なものかどうか、というようなことを確かめる必要があるわけです。
- (山内)
- そうするとそれは処分、処分の研究なんですね?