「高レベル放射性廃棄物処分への今後の取組みに関する意見交換会」
第2回(札幌)概要
- 1.日 時 平成9年10月30日(木) 13:00〜16:10
- 2.会 場 朝日ホール(札幌市中央区北2条西1丁目1番地 ホテルニューオータニ札幌内)
- 3.出席者(◎は議事進行役)
- (1)地域参加者(11名)
- 厚谷 郁夫 北見工業大学学長
- 油田 淑子 全国消費生活相談員協会監事
- 梶山 義夫 北海道電力株式会社取締役副社長
- 小田 清 北海学園大学経済学部教授
- 近藤 安雄 北海道経済連合会常務理事事務局長
- 杉浦 直美 原子力モニター(主婦)
- 杉山 さかえ 生活クラブ生活協同組合理事長
- 竹田津 実 獣医師
- 橋本 登代子 フリーアナウンサー
- 山内 亮史 旭川大学経済学部教授
- 山科 俊郎 北海道大学大学院工学研究科教授(量子エネルギー工学専攻)
- (2)原子力委員会関係(10名)
- @原子力委員
- 田畑 米穂 原子力委員
- 藤家 洋一 原子力委員
- A高レベル放射性廃棄物処分懇談会構成員
- 粟屋 容子 武蔵野美術大学教授
- 石橋 忠雄 弁護士
- ◎木元 教子 評論家
- 下邨 昭三 高レベル事業推進準備会会長
- B原子力バックエンド対策専門部会構成員
- 小島 圭二 東京大学大学院工学系研究科教授
- 鈴木 篤之 東京大学大学院工学系研究科教授
- 田中 靖政 学習院大学法学部教授
- 鳥井 弘之 株式会社日本経済新聞社論説委員
- 4.一般傍聴者:147名、報道関係者:15社26名
- 5.議事の概要
- (1)地域参加者による意見発表(1名5分程度)
- ○原子力については従来どのようにエネルギーを取り出す点に教育の主眼がおかれ、廃棄物については注目してこなかった。物事の長所短所を複眼的に考えることが必要。快適な生活を求める以上、危険なものだからやめるというのではなく、いかに安全に使っていくかが重要。
- ○現在快適な生活の陰で膨大なエネルギーを消費し、廃棄物を発生させている。原子力について否定的にとらえる理由として「知らない」「情報を隠す」「廃棄物の処分が決まっていない」があげられる。廃棄物問題では子孫に負荷を押しつけているのだから、高レベル廃棄物について早急に研究開発を進め処分場を作ることが必要。消費者も主体性・責任を持つべき。
- ○高レベル廃棄物への不安を持つ人が多いことから技術開発を進めることが必要。実施主体について資金・技術への社会の信頼性を要することから何らかの国の施策が必要。電力は発生者として実施主体を強力にバックアップする。電気料金の原価に算入して資金を確保することは妥当。円滑な立地のためには地域社会の理解と信頼が必要であり、日頃からの対話が必要。
- ○処分場と地域の共生について、建設中は一時的に建設・サービス等が栄える一方で、地域の一次産業は労働力のシフト等により衰退する。建設終了後は施設自体の経済波及効果は小さいため、結局地域産業にとっては役に立たない。現時点では処分を進めるのではなく、研究開発を進め、弱い立場の過疎地域に押しつけることなく、各地域自体が判断できるよう条件整備を進めることが重要。
- ○世界でも屈指のエネルギー消費国である日本において34年にわたり原子力を利用しているにもかかわらず未だに理解を得られていない。国と事業体の連携、事故や情勢の変化への対応、データ・情報の公開、国・自治体による子供の頃からの教育、当事者が自信と誇りを持って事に当たることが必要。
- ○家庭のゴミは目に見えるため考えやすいが高レベル廃棄物については身近なものではないため考えにくい。家庭や学校で子供に伝えることが必要。原子力についても環境やリサイクルという観点と併せて考えることが必要。安全性については不安を解消できるよう対応して欲しい。国民が原子力について意識や知識を持てるような工夫をして欲しい。
- ○廃棄物問題を深刻化させたのは問題を先送りにしてきた国と電力の責任。廃棄物処分の必要性は認識しているが、諸外国を含めたプルトニウム利用見直しの流れもあり、日本の今後の原子力利用について国民的議論を行った上で考えるべき。幌延計画は白紙撤回すべき。
- ○今まで快適さを求めさせられてきたのではないか。電力を無制限に供給することをやめれば今後のエネルギーについて考え始める。動燃については信用できず、処分については時間をかけて論議されるべき。ただし、後世代に高レベル廃棄物のような負荷を残すことは反対であり、処分のための資金を出来るだけ早く集めることが必要。現実に地層処分することが緊急のことならば、それなりの準備と研究がなされるべき。電気料金に費用を賦課することは国民がこの問題を理解するためのきっかけになる。
- ○次世代のために地球環境を残すということが共通認識。家族の中心である主婦が関心を持つことが重要であるが、実際には生活レベルでわかりやすい情報が入手できない。未来ドラマのようなシュミレーションを絶えず流し続けることが効果的。現在エネルギー問題を含めた社会の仕組みへの国民の関心は高まっており、国民全体で議論する機会を増やすべき。マスコミも含めて専門家と素人の認識のギャップを埋める努力が必要。もっと身に付く教育を進めて欲しい。
- ○幌延町の事例を見ても、処分地の選定にあたり公募方式が適当であるか疑問。研究開発は動燃事業団が中核とされる一方で、懇談会の報告では実施主体は民間主体など関係機関のどこが責任を持って高レベル問題を進めるのか曖昧。永久管理や直接処分等についても、まず選択肢の中で技術的に何が出来ないのかを明らかにすべき。
- ○近年原子力を希望する学生が減少しており、優秀な技術者が途絶えることが心配。地球温暖化、ダイオキシン、オゾンホールも人類が放出した廃棄物の問題であり、経済成長のツケである。国や研究者・技術者は一般市民に向けわかりやすく説明する努力が必要。マスコミも対話の場を積極的に提供して国民もともに考えて議論を進めていく必要がある。
- (2)意見交換時における主な発言
- ・バックエンド専門部会の報告書では、動燃事業団が処分の中核であるように読めるが、現状を考えると理解できない。
- ・研究開発の中核を動燃事業団としているが、処分を実際に行う実施主体とは別個のもの。
- ・研究施設と処分施設を分けて考えることが重要。
- ・地上での長期貯蔵については施設を閉鎖した後の長期にわたる管理は現実的ではない。
- ・地層処分後、後世代が回収が必要と判断した場合に取り出し可能かという点も考慮すべき。
- ・今後技術の進歩があるとしても、それを待つということであれば、結局今までと同じことの繰り返しである。現世代の責任として現段階で可能な最善のものをつくりあげることが重要。将来、より良い方法が出来ればそれを取り入れていく柔軟性を確保しておけば良い。
- ・高レベル廃棄物問題は重要であり、幌延における動燃事業団の進め方の反省に立って行うべき。
- (3)一般傍聴者からの意見聴取時の主な発言
- ・環境汚染の問題は既に手遅れである。
- ・原発に否定的な意見の方も電気を利用している。後世代は今後負わざるを得ない負担は大きい。余力のある我々が考える時期である。原子力をどうするかについて議論しても廃棄物の問題は解決しない。国は国民の認識を得るよう進めるべき。
- ・原子力を進めることの得失を放射性廃棄物も含めて全体的な議論をすることが必要。
- ・電力会社のCMでは放射性廃棄物の話は出てこない。国や電力はこのような廃棄物が出ることを分かりやすく伝えることが必要。
*この概要は事務局が作成したものです。詳細は議事録をご覧下さい。