(第3回動燃改革検討委員会資料)

平成9年6月6日



動燃改革における各委員の意見の整理


Ⅰ.現状の問題点


1.問題の重要性
(1) 今般の動燃の事故及びその後の対応は、一昨年のもんじゅの事故とも相俟って、原子力に対する国民の信頼を著しく失墜。
(2) 国民の信頼を確保するためには、安全確保の改善とそれを支える新たな実施体制の構築が急務。

2.問題を生み出した要因
(1) 先例のない研究開発、高い安全性確保、競争力ある技術の供給の役割が混在しており、安全運転管理が軽視されている。
(2) 技術移転問題と相俟って、スクラップアンドビルドなく事業が肥大化し、事業全体の管理が困難となっている。また、外部評価など、事業の運営状況に関する客観的評価基準が整備されていない。
(3) 動力炉と核燃料部門が連携なく運営されているなどの組織の縦割り弊害から、横断的な情報の共有や調整機能が欠落している。
(4) 一般防災への対応や周辺技術軽視の風潮があり、総合的な安全管理の体制が十分ではない。
(5) 地域住民や民間など、社会から遊離した閉鎖的、排他的な組織となっている。

3.問題の本質
(1) 強力な指導力が欠如しており、また、指揮命令系統や責任の所在が不明確であり、経営不在の状況となっている。
(2) 事業の進捗状況や内外の状況変化に応じた目標の見直しが行われていない。


Ⅱ.改革の考え方


1.改革の前提
(1) 国民の信頼が得られる新たな核燃料サイクル実施体制の確立が必要であり、国の監督のあり方についても所要の改善を図るとともに、動燃を抜本的に改革。
(2) その際、動燃に蓄積された技術・ノウハウ等を最大に活用。

2.改革の基本的方向
(1) 組織改革
次のような意見が出された。
 ○現存の事業を抜本的に見直し、部分的に解消、移管し、残った部分で動燃を再出発。
 ○動燃の大部分と原研とを統合。
(2) 経営体制の刷新
 1)研究開発、安全性確保、経済性に考慮した実用化の三つの機能に配慮し、時代変化に常に適応した明確な事業目標を設定。
 2)事業達成のために必要な強力な指導者、指導体制を確立。
 3)国の監督のあり方に柔軟性を持たせ、組織の裁量と責任を明確化するとともに、的確な事業の評価システムを導入。

3.改革の具体的事項
(1) 安全確保と危機管理体制の確立
 1)万全を期した安全体制の確保
  施設維持管理、請負を含めた人員配置等安全管理に関する品質保証を徹底し、ハード・ソフトの両面から抜本的に強化。
 2)運転管理体制の強化
  大型プラントの運転管理を研究開発から分離し、運転管理面で民間能力も活用するなどにより、新たな運転管理体制を確立。
 3)危機管理体制の強化
  地域に開かれた、一般防災をも考慮した、情報伝達機能の強化、初動体制の対応強化等、危機管理体制を確立。
(2)社会に開かれた組織体制の確立
 1)透明性の確保
  外部評価の実施、情報公開の徹底、地域コミュニティとの共生などにより、透明性を確保し、社会に開かれた組織体制を確立。
 2)人事交流の拡大と職員研修
  人材の糾合の観点から、民間等との人事交流を拡大するとともに、自己革新を可能とする意識改革、組織学習機能強化のための各種研制度の充実。また、国際的にも開かれた体制を整備し、国際貢献。
(3)公共性を踏まえた事業展開
 1)公共性を踏まえた事業へ重点化
  純民間での実施が困難で、国が進めるべき公共性の高い事業は、効率化を図った上で、国が重点的に実施。
 2)民間への技術移転
  商業化段階に移行しつつある事業は、円滑に民間に技術移転することとし、民間ニーズを把握しつつ、技術支援事業を実施。
 3)事業の整理
  既に役割を終了しつつある事業は、雇用問題等に配慮し、期間を設定し、計画的、段階的に廃止。


Ⅲ.関連する課題


 一般防災、緊急医療等を十分に考慮した原子力防災体制の充実。

(以上)