第8回高レベル放射性廃棄物処分懇談会の審議結果の概要


1.日 時    平成9年4月17日(木)10:00-12:00

2.場 所     科学技術庁第1、2会議室

3.出席者
 (原子力委員) 伊原原子力委員長代理、田畑委員、藤家委員、依田委員
 (専門委員)  近藤座長、森嶌委員、荒木委員、粟屋委員、石橋委員、川上委員、
         木元委員、小林委員、下邨委員、鈴木委員、竹本委員、中村委員、
         深海委員、松田委員、森委員
         小西委員、田中委員(原子力バックエンド対策専門部会)
  (説明員)  坪谷 動力炉・核燃料開発事業団プロジェクト参事
  (科学技術庁)加藤 原子力局長
         有本 廃棄物政策課長
  (通商産業省)谷口 資源エネルギー庁官房審議官
         伊沢 資源エネルギー庁原子力産業課長

4.議題
(1)原子力バックエンド対策専門部会報告書について
(2)中間とりまとめについて
(3)その他

5.配布資料
   資料(懇)8-1 高レベル放射性廃棄物処分懇談会(第7回)議事要旨(案)
   資料(懇)8-2 高レベル放射性廃棄物処分懇談会「中間とりまとめ」の構成に
          ついて(案)
   資料(懇)8-3 中間とりまとめに向けての主要な論点
  参考資料
   資料(懇)7-3 特別会合 中間報告

6.傍聴者    プレス関係   8名
         一   般  16名

7.審議の概要
(1)冒頭、近藤座長からの挨拶の後、加藤原子力局長より動燃事業団改革について、坪谷説明員より動燃東海事業所における事故等について説明があった。

(2)事務局から資料(懇)8-1に基き前回議事要旨(案)の説明があり、承認された。

(3)鈴木委員および事務局から4月15日原子力委員会において報告、了承された原子力バックエンド対策専門部会報告書「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」の説明があった。

(4)森嶌委員(特別会合主査)から、資料(懇)8-2に基き、座長からの要請により前回処分懇談会の後2つの特別会合の合同会合を開催し、前回報告した特別会合中間報告をもとに、懇談会での議論およびその後各委員から寄せられた意見を踏まえて中間とりまとめの構成と論点について検討を行ったとの報告がなされた。さらに、1)懇談会としての中間とりまとめの構成について処分の技術と制度について新たに章を設けるなど全体を整理した。2)中間とりまとめの役割として、高レベル放射性廃棄物の処分問題に関して、国民に周知し議論を喚起することと、国、電気事業者等に対する施策の提言を行うという2つがある。後者については報告書の形でまとめ、前者については分かりやすい座長メモ等の形でまとめることが適当との説明があった。また、事務局より資料(懇)8-3に基き中間とりまとめに向けての主要な論点について説明があった。

(5)引き続き審議が行われ、委員から出された主な意見は以下の通り。


(中間とりまとめの構成について)
1)高レベル放射性廃棄物処分の問題について理解を深めるために処分の具体像を盛り込むことが必要である。

2)第一部の総論が国民への訴えかけであり、第二部の各論が国、電気事業者等への提言であると理解しているが、中間とりまとめに対して国民の意見を求めるのであれば、総論部分を主文とし各論部分を従とするのが適当ではないか。

3)第二部各論に記述される施策も重要でありこれについても国民に意見を求めることが必要であり、第一部総論と第二部各論は並列に扱うことが大切である。

4)第二部第一章として社会的受容性について記述するとしているが、第二章から第四章で記述することがその前提となることから第一章を最後に回すのが適当ではないか。

(とりまとめの進め方について)
5)中間とりまとめの内容として今後検討すべき事項の指摘にとどまるのではなく、懇談会としてそれらの事項に対する方向性、あるいは国や電気事業者等が実施すべき具体的な措置についての提言を打ちだすことが必要である。また、そういった検討を行う際には、それぞれの事項の間で優先順序、時間的要素、経済的実現可能性に留意することが必要である。

6)検討すべき事項について現時点では指摘にとどまっている点については、今後一つ一つ議論を深め、内容のあるものにするように努力すれば良い。

7)中間とりまとめは、高レベル放射性廃棄物の処分問題について国民に対する最初の訴えかけになるものであり、また、問題によっては国民の声を早く聞くべきものもあり、ある部分は検討事項の指摘にとどまったとしても、議論の刺激剤としては良いのではないか。

(処分技術について)
8)処分技術に対する専門家の判断と一般の人々の理解の間に乖離があることが問題であり、これを近づけることが重要である。

9)現在、日本の処分技術研究は遅れていると認識している。安全性が確認されるまで何もしないというのではなく、現時点で考えうる最高の安全の考え方、技術について提示することが重要である。また、中間とりまとめの中で研究を急ぐよう強調して欲しい。

10)技術を信頼するしないという観点とは別に、予想外の巨大地震によって橋梁が破壊された事例のように、技術には必ずリスクは存在するということを前提として、それでも社会に受け入れられるような歯止めや枠組みを考えるというスタンスが必要。

(深地層の研究施設について)
11)深地層の研究施設は科学的な研究という観点から重要であるだけでなく、処分事業の参考となる建設・運営・管理の経験に加え、事業資金の算定や実施主体のあり方という観点からも学ぶところは大きい。

12)諸外国でも処分の実施において困難に遭遇しているが、日本でも深地層の研究施設の実現をケーススタディとして経験することが必要である。

(その他)
13)化石燃料の廃棄物であり地球気候変動に大きく影響するCO、NO、SO 等については国際的に対応が後手後手になっている。原子力においてはこの轍を踏まないように、高レベル放射性廃棄物の処分に手を打っていくとの視点が必要である。

14)懇談会の議論や資料が「原子力長期計画」にとらわれ過ぎると状況の変化から遅れてしまうのではないか。これに対し伊原原子力委員長代理から、原子力の各分野の具体的な施策の検討にあたっては、長期計画で示された基本的な考え方を踏まえながらも、諸情勢の変化に適切かつ柔軟に対応して頂き、その結果を踏まえて、原子力委員会決定等の形で実質的な見直しをしているとの発言があった。

(6)近藤座長から、
・本日の議論を踏まえて、特別会合合同会合において、森嶌委員(特別会合主査)を中心として懇談会としての中間とりまとめ(案)を起草してもらいたいこと、

・中間とりまとめに対して国民の意見を求め、9月頃から全国各地で国民各層の方々と意見交換を行い、年度内には報告書をまとめたい旨
提案され、了承された。

 また、5月連休明けに北米と欧州の2班に分けて海外の地下研究施設を訪問、意見交換を行いたいとの発言があった。

(7)次回(第9回)懇談会は、5月29日(木)15:30-17:30 の予定。

                                       以 上