第5回放射線利用推進専門部会の結果について


平成9年4月11日
研 究 技 術 課



1.日 時:平成9年3月19日(水)10:00〜12:00

2.場 所:科学技術庁第1、2会議室

3.出席者:
  (原子力委員)田畑委員、藤家委員
   (専門委員)石榑部会長、碧海委員、氏平委員、長見委員、木元委員、小高委員、
         佐藤委員、武久委員、内藤委員、中澤委員、難波委員、濱田委員、
         平尾委員、宮本委員、森委員、山口委員
  (科学技術庁)國谷原子力局研究技術課長

4.傍聴者等:
  (一般傍聴者) 1名
  (プレス関係者)1名

5.議事概要:
 
(1)冒頭、石榑部会長より本専門部会を今回より公開とすることについての確認が行われた後、新委員の紹介が行われた。


(2)事務局より、前回議事要旨(案)の説明があり、原案どおり承認された。

(3)放射線利用を巡る最近の動向
  1)国内外の状況
a)事務局より、加速器を中心とした内外の動向について説明があった。これに関連して、半導体業界においてもX線の利用が進みつつある旨の発言があった。
b)事務局より、日本原子力研究所における研究炉利用研究の状況及びRI製造頒布事業の民営化について説明があった。これに対し、以下のような発言があった。
・「ふげん」の利用についても検討したらどうか。
・RI製造の民営化については、RIの安定供給が損なわれないよう十分配慮する必要がある。
c)事務局より、放射線医学利用の状況について説明があった。引き続き、平尾委員より、放射線医学利用の将来展望について以下のような説明があった。
・粒子線治療は日本のみならず国際的にも注目されてきており、HIMAC(重粒子線がん治療装置) の建設、治療の実施が米国をはじめ各国にインパクトを与え、欧米においても専用施設の建設と治療の実施に向けた動きが出ている。
・我が国では、兵庫県において粒子線治療施設の建設が開始され、また、厚生省国立がんセンター東病院における陽子線専用加速器の建設がほぼ完了する等、粒子線治療の普及が始まっている。
・今後、普及を全国的に展開する上で、適切な人材の養成と提供が急務である。
・HIMAC による治療実績は、過去3年間で230人であり、良好な実績が得られている。また、これまで照射による重篤な障害等はない。
・治療と診断は両輪であり、今後は、薬剤の開発、3次元PET及び関連ソフトの開発、大視野3次元画像高ビームCTの開発、らせんCT検診車による肺がん検診等、診断の開発にも力を入れたい。
・今後の放射線の医学利用として、病院設置型の放射光源の開発、超強磁場MRIの開発等が挙げられる。
これに対し、以下のような質疑応答があった。 
・放射線の医学利用については一般の関心も高く、関連する情報をインターネット等を用いて一般に提供すべきとの意見に対し、すでにインターネット上で科学技術庁 放射線医学総合研究所のホームページで公開されている旨の回答があった。
・今後、HIMAC の稼働率の向上や患者数を増やす上でのネックは何かとの質問に対し、1人当たりの照射回数を減らす等の技術向上、人員の増強等が必要との回答があった。
d)事務局より、平成9年度放射線利用関係予算、制度の概要及び食品照射諮問グループ総会の概要について説明があった。

  2)新たな放射線利用を巡って
 事務局より、RIを用いた先端的研究開発の状況について説明があった。引き続き、新たな放射線利用を巡る課題等についてフリーディスカッションが行われた。主な発言は以下のとおりであり、事務局において集約することになった。
・医者のみならず、放射線技師に対しても、放射線及び放射線利用に関する情報を提供し、人材育成、再教育を図る必要がある。
・専門家の人材育成に関し、専門的な知識ばかりでなく、総合的なリスクマネージメントを含めた教育が必要である。
・一般国民に対しては、放射線、放射能等に関する正確な知識を身につける機会を設けることが肝要であり、広報活動を積極的かつ多角的に行う必要がある。
・情報の公開に際しては、誤情報対応まで徹底して行う必要がある。
(4)その他
  次回の開催については、部会長と事務局が相談の上決定することとなった。