アジア地域原子力協力「PAセミナー・PAコンタクトパーソン会合」成果報告

平成 9年 2月21日  
地域協力構想調査委員会  
PAグループ幹事 長岡俊雄




1.開催概要
 今回のセミナーは(1)各国のカントリーペーパーの発表、(2)PAコンタクトパーソンによる各国の広報活動報告、及び今後の協力推進方策についての意見交換、(3)第2回フィリピン原子力大会の開会式等の部分参加、(4)昼食会における、報道関係者との質疑応答ならびに、(5)バターン原子力発電所の視察の5つから構成され、以下のとおり開催された。

開催日:1996年12月9日〜11日
開催地:フィリピン、マニラ市
共催機関:科学技術庁、フィリピン原子力研究所
協賛機関:通商産業省、電気事業連合会、動力炉・核燃料開発事業団、原子力発電技術
     機構、日本原子力文化振興財団、日本原子力産業会議
参加国:オーストラリア、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、
    ベトナム


(参考)これまでのセミナー開催実績
    第1回(1991年)開催地:東京
    第2回(1992年)開催地:韓国太田市
    第3回(1993年)開催地:東京
    第4回(1994年)開催地:韓国ソウル市
    第5回(1995年)開催地:中国北京市


2.PAセミナーの概要

(1)フィリピンの近況
   2010年以降のフィリピンのエネルギー情勢をみると、新たに原子力発電の導入
  が必要と考えられ、大統領令により、原子力発電運営委員会を設置し、包括的な原子
  力発電計画の検討に着手している。

(2)円卓討議の概要―今後の協力に対する要望
   参加各国は原子力開発、利用段階が異なり、原子力発電の位置付けも同一ではない
  が、原子力利用に対する一般の人々の理解促進活動を重要視している点では一致して
  おり、原子力発電先進国の経験に学びたいという要請は強い。

   これまでのPA分野の地域協力の推進方策は、主として、
   1)年次のセミナー、会合の場での意見、経験の交換、および
   2)AsiaNNetによる、ファクシミリ情報送信(随時)の二つがある。
   これに加え、
   3)一般の人々に対する情報提供に用いられている資料一覧を整備すること。
   4)PAセミナーを原子力に直接携わらない人々に開放すること、またセミナー・
     会合頻度を増やすという要請が本年新たに提起された。

   1)については、毎年開催されるセミナーそのものが、情報、経験交換の場として有
    用であるとの認識から、その継続維持が強く要請された。次回についてはマレーシ
    アより、次回セミナーをマレーシア原子力庁創立25周年記念行事に組み込みつつ
    開催したいとの希望が出されている。
   2)については、各国から、PAコンタクトパーソンが各1名選任されており、英文
    によるファックス送信がボランタリーベースで行われているが、リクエストベース
    でこのネットワークを機能させることも提案された。
    日本に対しては、ガラス固化体の返還輸送等に関する迅速な情報提供が求められ、
    1月に開始された高レベル放射性廃棄物の返還輸送については日本での記者発表と
    同時に情報を提供した。
   3)に関しては関係機関が目下資料を整備中である。
   4)に関しては年次のセミナーを各国が有効活用するとともに、各種の機会を活用す
     べきとの議論があった。

(3)第2回フィリピン原子力大会の概要(開会、第1セッション、PA分科会に参加)
  国際原子力機関のブリックス事務局長と田畑原子力委員より特別講演があり、フィリピ
  ン原子力研究所のアレタ所長からフィリピンの原子力開発の現状と課題が示され、一般
  参加者との質疑応答が行われた。
   PA分科会には、一般から学校の先生や、中学、高校の生徒の参加もあり、質疑は比
  較的活発におこなわれていた。

(4)報道関係者との質疑応答概要
   フィリピンの報道関係者約10名が参加。
  原子力施設の安全性、放射性廃棄物管理および最終処分場、PA上難しい点、地元の人々
  の立地反対理由等につき質疑が有り、各国の代表者がそれらの質問に答えた。