第1回原子力委員会ITER計画懇談会の結果について

平成9年 2月10日 
核 融 合 開 発 室



1.日 時  平成9年2月10日(月) 10:00〜12:15

2.場 所  科学技術庁第1、2会議室(科学技術庁2階)

3.出席者
   (原子力委員) 伊原委員長代理、田畑委員、藤家委員
   (委   員) 飯田委員、飯吉委員、猪口委員、大河原委員、大田委員、
           草間委員、伊達委員、苫米地委員、中里委員、那須委員、
           平山委員、増本委員、宮委員、宮島委員、吉川(弘)委員、
           吉川(允)委員               (16名)
   (科学技術庁) 加藤原子力局長、今村官房審議官、田中核融合開発室長
     その他、関係者等 29名

4.傍聴者
   (一般傍聴者) 20名(希望者34名より、抽選により20名を選出)
   (プ レ ス) 24名(カメラマンを含む)

5.概 要
 (1)東京大学長吉川弘之委員が座長に選出された後、ITER計画の概要等につ
   いて説明がなさた。

 (2)今後の進め方に関する検討について
   各委員より今後の検討の進め方について自由討論が行われ、座長より、本件に
   ついては、次回までに事務局にて論点整理をするよう指示があった。
   各委員からの主な意見は以下のとおり。

  1)非常に大事な研究であり、日本に対する国際的な評価も高い。若い世代の意
    見を聞くことも必要。大学のバランスも考えた進め方の検討が必要。
  2)人類的な問題として国際協力が重要。日本の国際貢献は、安全保障の面では
    限界があるが、科学技術的な貢献は、政策的、知的にも魅力的。エネルギー
    問題は、日本のような無資源国としてはわかりやすい貢献。
  3)国際的な動きと懇談会の検討はどうかかわるべきか。資金問題をこの懇談会
    でどのように扱うかどうか考えていく必要がある。
  4)誘致については、プラス面とマイナス面(例えば財政的な面)等について十
    分議論し、白紙の状態で両方を見ていく必要がある。
  5)学術会議の関心も高い。やるならば、日本がリーダーシップをとって欲しい。
  6)何故核融合が必要なのかに立ち返って考えるべき。
  7)核融合は将来のエネルギー源として大きな手段となることは確信される。こ
    こで失敗はできない。長期的な研究開発であり、性質からいって民間にはな
    じみにくく、国で進めて欲しい。
  8)原子力分野の民間の技術者の維持のためにも重要。
  9)技術開発を進めていくうえで、必ずしもバラ色の面ばかりではないかもしれ
    ないが、解決できないことはないと思う。始める勇気を持つことが大切。始
    めた後、できないことが明らかになれば、止める勇気を持つことも大切。
 10)学問的研究と財政力が相容れないなら、研究自体を国際貢献として政策の問
    題として推進すべき。人材養成にも寄与する。原子力の平和利用は避けて通
    れない。
 11)ITERの周辺技術の開発も必要。核融合は工学的な実証が必要な時期に来
    ている。

    <座長とりまとめ>
  1)核融合は、科学にとどまらず、人類の課題に科学技術がどう貢献するかとい
    った典型的なテーマの一つである。少なくともその哲学というものを明らか
    にしていく必要がある。
  2)国際的な中ではじめて主導権をとって日本がどこまでできるか、あまり経験
    したことのないやり方でやるものであり、リーダーシップをとれるかが課題。
  3)広がりを持つという意味では、決して専門家だけのものではなく、科学者で
    も行政者のみでもなく、人々一般に広がりを持つ問題である。
  4)核融合が人類にとって、何を意味するかのシナリオがある程度明らかできれ
    ば、この懇談会の成果となると思う。


(3)次回(第2回)懇談会は4月9日(水)13:00〜15:00の予定。