核燃料サイクル開発機構大洗工学センター原子炉設置変更許可申請(高速実験炉原子炉施設の変更)の概要について

 

平成14年4月
文部科学省



1.申請の概要

 (1)申請者
 核燃料サイクル開発機構理事長 都甲泰正

 (2)事業所の名称及び所在地
 核燃料サイクル開発機構大洗工学センター
 茨城県東茨城郡大洗町成田町

 (3)原子炉の名称、型式及び熱出力
 名称  高速実験炉「常陽」
 型式  ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料ナトリウム冷却高速中性子型
 熱出力 140MW

 (4)申請年月日
 平成13年6月29日(平成14年3月18日一部補正)

 (5)変更項目
  1. 試験用要素及びγ型コンパートメントの種類の追加
  2. 廃棄物区分名称の変更
  3. 国際放射線防護委員会勧告(ICRP Pub. 60)の取入れによる法令改正に伴う用語の変更

 (6)工事計画
 高速実験炉「常陽」の試験用要素及びγ型コンパートメントの種類の追加に伴う工事計画は第1図のとおりである。

 (7)変更の工事に要する資金の額及び調達計画
本変更に係るγ型コンパートメントの種類の追加に伴う工事に要する資金は約6千万円である。
これらの工事に要する資金は政府補助金により調達する。


2.変更の概要

 (1)試験用要素及びγ型コンパートメントの種類の追加
 「常陽」では、FBRの実用化を想定した新しい燃料材や被覆材を使用する燃料要素の照射試験を計画している。このため、照射試験に供する試験用要素(「先行試験用要素」、「基礎試験用要素」)を追加するとともに、その試験用要素を装填する照射燃料集合体のγ型コンパートメントの種類を追加する。先行試験用及び基礎試験用γ型コンパートメントは、B型照射燃料集合体(コンパートメント以外の構造に変更なし)に装填する。このB型照射燃料集合体の炉心への装荷体数は7体以下とする。
 先行試験用要素の燃料材及び基礎試験用要素の被覆材は、「常陽」で照射実績の少ないまたは照射実績のない材料を使用する。このため、先行試験用及び基礎試験用γ型コンパートメントは、燃料溶融や万一の被覆管破損といった試験用要素の健全性喪失を考慮し、他の炉心構成要素等に影響を与えない構造とする。
先行試験及び基礎試験の燃料材等の仕様を第1表に、先行試験用要素及び基礎試験用要素を装填したB型照射燃料集合体の構造概念図を第2図に示す。

 (2)廃棄物区分名称の変更
放射性廃棄物の処理を委託している日本原子力研究所大洗研究所の廃棄物管理施設における放射性廃棄物の取扱区分が「低レベル」、「高レベル」から「A」、「B」に変更されたため、放射性廃棄物の取扱区分名称及び設備名称を廃棄物管理施設で使用されている名称に変更する。

 (3)ICRP Pub. 60の取入れによる法令改正に伴う用語の変更
ICRP Pub. 60の取入れによる原子炉等規制法関連法令の改正に伴い、「実効線量当量」、「組織線量当量」、「線量当量」を、それぞれ「実効線量」、「等価線量」、「線量」に変更する。

 (4)本変更に併せて、参考図面、添付書類の記載を以下のとおり変更する。
1.炉心燃料集合体の材料にSUS316ステンレス鋼及びSUS316相当ステンレス鋼を追加する。
2.材料照射用反射体のラッパ管の材料に高速炉用フェライト系ステンレス鋼を追加する。
3.原子炉の運転に要する核燃料物質のうち、濃縮ウランの調達元に露国を追加する。
4.受電エリアの移設に伴い、原子炉施設全体配置図を変更する。
5.アルコール廃液処理装置の一部改造に伴い、添付書類8の液体廃棄物処理系系統図を変更する。
6.添付書類9及び10の被ばく評価を変更する。


第1表 先行試験及び基礎試験の燃料材料等の仕様


第1図 工事計画


B型照射燃料集合体の構造概念図