尾身大臣の第46回国際原子力機関(IAEA)総会出席及び
要人会談の概要について

平成14年9月24日
内閣府原子力担当

尾身科学技術政策担当大臣が、9月16日(月)からオーストリア共和国ウィーンで開催された、第46回国際原子力機関(IAEA)総会において、政府代表演説を行い、また同日、フランス、イラン、ロシア及び米国の代表並びにIAEA事務局長と個別会談を行ったところ、概要は以下のとおり。

  1. 出張者
    (政府代表)
    尾身幸次 科学技術政策担当大臣
    高須幸雄 在ウィーン国際機関日本政府代表部 特命全権大使

    (政府代表代理)
    永松荘一 内閣府大臣官房審議官
    広瀬研吉 文部科学省大臣官房審議官
    篠原守  外務省総合外交政策局科学原子力課長

    (代表随員)
    榊原裕二 内閣府政策統括官付参事官(原子力担当)
    中西章  文部科学省研究開発局原子力課長
    鈴木隆  経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課国際企画官
    福田泰和 経済産業省原子力安全・保安院企画調整課国際室長


  2. 結果概要
    (1)政府代表演説(骨子)
    • 原子力発電所における自主点検作業記録の不正報告に言及し、本件が我が国の核燃料サイクルの必要性を減じるものでないこと、再発を防ぐために調査を行っていることを表明
    • エネルギーの安定供給と地球環境問題に対応する我が国の原子力の研究開発利用状況及び核融合開発、特にITERについて我が国が青森県六ヶ所村を候補地として提案したこと及び、米国のITER計画復帰の希望を表明
    • 我が国の核不拡散政策、追加議定書の締結促進による保障措置の強化、統合保障措置の早期発効、KEDOへの支援を再確認するとともに、北朝鮮の保障措置受け入れを求める
    • 対核テロ、核物質輸送の安全に関するIAEAの活動への支援、参画
    • 優先順位設定等によるIAEA業務の経費節減の要請。からなる演説を韓国に続き2番目に発表。

    (2)要人会談
     1)フランス コロンバニ原子力庁長官との会談
      (9月16日(月) 8時00分~9時00分:グランドホテル)

    • ITER計画への米国の再参加を求めていくことで一致。
    • コロンバニ長官より、第4世代原子力システム(Generation Ⅳ)などを通じて安全で廃棄物の少ない原子炉を開発していきたい旨発言。尾身大臣も新しい原子炉の開発の重要性を認識。

    2)イラン アガザデ副首相兼原子力庁長官との会談
     (9月16日(月) 9時50分~10時10分:総会会場内)

    • 尾身大臣から、IAEAの追加議定書のイランの批准を働きかけた。それに対し、アガザデ副首相より、現時点では議会等の同意が得られておらず、追加議定書の批准は困難との立場を表明。

    3)ロシア ルミャンツェフ原子力省大臣との会談
     (9月16日(月) 10時30分~10時50分:総会会場内)

    • ルミャンツェフ大臣より、ロシアでは法律改正を行い、使用済み燃料の受け入れが可能になったこと発言。尾身大臣より、本件に関しては日本側関係者も関心を持つであろう旨発言。
    • ITERについては米国の再参加に対する努力を継続することで一致。

    4)米国 エイブラハムエネルギ-省長官との会談
     (9月16日(月) 12時25分~12時45分:総会会場内)

    • IAEAを活用して国際協力によって核テロ対策を行っていく必要性で一致。
    • 尾身大臣より、ITER計画への再参加を引き続き検討して欲しい旨伝達。あわせて、エネルギー省次官、駐日米国大使の六ヶ所村訪問について、日本のITER関係者の期待を伝達。

    5)エルバラダイIAEA事務局長との会談
     (9月16日(月) 12時50分~13時05分:事務局長室)

    • 尾身大臣より、負担割合からすればまだ低いが、多くの邦人職員が採用されつつあることについて謝意を表明。
    • 尾身大臣より、対核テロ対策は世界全体の平和と安全のために重要であり、そのためにIAEA事務局長のリーダーシップの下で徹底的に行うことが大切。日本政府としても協力していく旨表明。
    • エルバラダイ事務局長より、原子力発電所の自主点検結果の不正報告について、透明性が重要なので、IAEAからミッションを派遣し重大な問題はなかったという結論をきちんと出すことが出来れば役立つと思う旨提案。