平成15年度原子力関係経費の見積りについて(概要)(案)

平成14年9月24日
原 子 力 委 員 会


 原子力委員会では、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法に基づき、毎年度、各府省の原子力関係予算の見積りを行っており、今回、原子力関係の概算要求を取りまとめた。
 なお、平成15年度の原子力関係経費の見積りに当たっては、厳しい財政状況の下で、平成12年11月に策定された「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」に沿った取組が着実に進められるよう配意した。各省とも重点化・効率化を図りつつ、以下のとおり概算要求が行われている。

単位:億円       
括弧内は平成14年度予算額

平成15年度原子力関係経費4,819(4,662)
 一般会計1,528(1,455)
 電源開発促進対策特別会計3,291(3,207)

1.国民・社会と原子力の調和2,397(2,264)
(1)安全確保と防災670( 664)
国は、国民の生命と財産を守る観点から、厳格な安全規制を行う責務を有しており、引き続き安全規制を行う。
常に最新の科学技術的知見を安全規制に反映させるとともに安全確保に必要な科学技術的基盤を高い水準に維持するため、安全研究等を着実に推進する。
また、原子力災害対策特別措置法の実効性の向上に引き続き努める。
 ・安全確保の取組499( 497)
  うち安全研究206( 219)
  うち原子力発電安全対策124( 115)
  うち核燃料サイクル施設安全対策44(  45)
 ・原子力防災の取組172( 166)

(2)情報公開と情報提供163( 161)
情報公開や情報提供の在り方について、国民の一層の信頼が得られるよう、絶えず見直していく努力を引き続き行う。

 ・電源立地推進調整等委託費のうち広報関連51(  49)

(3)原子力に関する教育10(  10)
国民一人一人が、エネルギーや原子力について理解を深め自ら考え、判断する力を身につけるための環境の整備を図る観点から、平成15年度は、各都道府県が主体的に実施するエネルギーや原子力に関する教育の取組を支援する交付金制度の着実な運用を図る。

 ・原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金5(  5)

(4)立地地域との共生1,554(1,429)
原子力を推進するに当たっては、国民の理解を求めつつ、立地地域の住民の理解と協力を得ていくことが重要。また、電源立地対策は、個々の地域の実情・ニーズにきめ細かく対応することが必要。平成15年度は、使用済燃料中間貯蔵施設に対する立地支援の拡大を行う。

 ・電源立地特別交付金577( 520)
 ・電源立地促進対策交付金332( 295)

2.原子力発電と核燃料サイクル1,069(1,172)
(1)原子力発電の着実な展開29(  30)
原子力発電を引き続き基幹電源に位置付け、最大限に活用していくこととする。
なお、平成15年度は、既存の原子力発電関係の技術開発について、民間で取り組むべき事項を精査・整理(テーマ数の削減等)し、重点化を図る。
5(  6)

(2)核燃料サイクル事業508( 553)
使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウランを有効利用する核燃料サイクルの確立を基本的考え方としており、そのための取組を推進する。平成15年度は、平成17年度に本格操業を開始する民間再処理工場の支援や東海再処理施設における使用済燃料再処理を継続する。なお、ウラン濃縮について、遠心法の開発を優先して支援する。

 ・核燃料サイクル開発機構403( 444)
  うち東海再処理施設関連69(  64)
  うち新型転換炉「ふげん」関連52(  30)
 ・遠心法ウラン濃縮事業推進費補助14(  13)

(3)放射性廃棄物の処理及び処分310( 346)
原子力施設設置者は、原子力の研究開発利用に伴って発生する放射性廃棄物の安全な処分への取組に全力を尽くす責務を有しており、国は必要に応じ関係者の取組を支援する。平成15年度は、最終処分の安全評価等に必要な研究開発や深地層の科学的研究等の基盤的な研究開発及び地層処分技術の信頼性向上に関する技術開発に重点化を図る。

 ・核燃料サイクル開発機構における放射性廃棄物処分190( 223)
  うち高レベル廃棄物処分研究開発81(  77)
 ・経済産業省における放射性廃棄物処分の取組56(  59)
 ・原子力施設の廃止措置28(  30)
(4)高速増殖炉サイクル技術の研究開発293( 329)
高速増殖炉サイクル技術は、ウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることができ、高レベル放射性廃棄物中に長期に残留する放射能を少なくする可能性を有していることから、将来のエネルギーの有力な技術的選択肢として位置付け、着実にその開発に取り組むことが重要である。
「もんじゅ」については、平成13年6月に地元の了解を得て、ナトリウム漏えい対策等に係る改造工事を行うための原子炉設置変更許可申請が経済産業大臣に提出され、平成14年5月には、原子力委員会及び原子力安全委員会へ諮問(2次審査)されたところである。安全審査終了後は、再度地元の了解を得て、改造工事に着手し、早期の運転再開を目指す。

 ・原型炉「もんじゅ」関連104( 120)
  うち安全対策のための設備工事11(  19)
 ・FBRサイクル開発戦略調査研究34(  35)
 ・実験炉「常陽」関連38(  44)

3.原子力科学技術の多様な展開527( 499)
(1)加速器169( 125)
加速器は観測手法として活用することにより、物質の究極の構成要素や自然の法則を探ったり、ライフサイエンスや物質材料系科学技術等の様々な発展を支える。平成15年度は、引き続き大強度陽子加速器及びRIビームファクトリーの建設を進める。

 ・大強度陽子加速器計画(日本原子力研究所)113(  76)
  〔(参考)大強度陽子加速器計画(高エネルギー加速器研究機構)50( 33)〕
 ・RIビームファクトリー計画43(  43)

(2)核融合78(  54)
未来のエネルギー選択肢の幅を広げ、その実現可能性を高める観点から、核融合の研究開発を推進する。
なお、ITERについては、平成15年度は国際的なITER事業体の発足及びITER建設開始に向け、必要な準備活動を行う。

 ・ITER関連7(  4)
 ・JT−60関連51(  30)

(3)革新的原子炉103( 118)
多様なアイデアの活用に留意しつつ、国、産業界及び大学が協力して革新的な原子炉の研究開発を推進する。平成15年度も引き続き提案公募による技術開発等を実施する。

 ・革新的原子力システム技術開発(公募型)43(  54)
 ・革新的実用原子力技術開発(公募型)23(  24)
 ・高温工学試験研究炉関連27(  23)


(4)基礎的・基盤的研究193( 223)
原子力科学技術の基礎研究は原子力の多様な可能性を引き出し、将来の技術革新につながるようなシーズを生み出す。また、基盤研究は原子力分野のプロジェクト研究や他の科学技術分野の発展に寄与するものであリ、引き続き基礎的・基盤的研究を推進する。

 ・大型放射光関連40(  46)
 ・高度計算科学技術23(  28)
 ・研究炉関連23(  27)
 ・材料試験炉28(  30)
 ・原子力試験研究19(  22)

4.国民生活に貢献する放射線利用196( 174)
医療、工業、農業等の幅広い分野で活用できるように、研究開発を進めつつ放射線利用の普及を図っていくことが重要であり、引き続き放射線利用を推進する。

 ・重粒子線がん治療臨床試験 ※57(  51)
 ・特殊病害虫対策事業等9(  9)
   ※は独立行政法人運営費交付金事業であり、目安額を示す。

5.国際社会と原子力の調和210( 215)
(1)核不拡散の国際的課題に関する取組83(  87)
原子力の平和利用の確保は、安全確保とともに極めて重要であり、引き続き核不拡散体制の維持を図る。

 ・保障措置関連45(  49)
 ・核物質防護関連22(  20)

(2)原子力安全と研究開発に関する国際協力133( 138)
原子力安全と研究開発に関する様々な国際的課題に適切に取り組むため、国際協力を推進する。

 ・IAEA分担金及び拠出金71(  65)
 ・ITER関連(再掲)7(  4)

6.原子力の研究、開発及び利用の推進基盤64(  67)
原子力の研究開発利用を進めていくためには、これらを支える優秀な人材の育成・確保は重要な課題であり、引き続き人材の育成・確保に努める。

 ・博士研究員流動化促進制度8(  9)
 ・原子力関係研修事業8(  8)
 ・革新的実用原子力技術開発(再掲)23(  24)

(注)上記1.〜6.の項目の各経費には、項目間で一部が重複計上されているものがある。


平成15年度原子力関係予算総表