第34回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日時 2002年9月10日(火)10:30~11:40
2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 榊原参事官(原子力担当)、渡辺参事官補佐
外務省 科学原子力課  松林課長補佐
文部科学省 研究開発局原子力課 核融合開発局 大竹室長
厚生労働省 大臣官房厚生科学課 浅見課長補佐
農林水産省
 農林水産技術会議事務局 研究開発課 下方課長補佐、山本係長
 生産局 植物防疫課 南部係長
経済産業省原子力安全・保安院
 原子力発電安全審査課  佐藤統括安全審査官、渡辺課長補佐
国土交通省 総合政策局 技術安全課 山尾技術開発推進官、西係長

4.議題
(1)関西電力株式会社 高浜発電所の原子炉設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
(2)北陸電力株式会社 志賀原子力発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号原子炉施設の変更)について(答申)
(3)各省庁概算要求ヒアリング(外務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省)
(4)ITER計画政府間協議について
(5)市民参加懇談会コアメンバー会議の結果について
(6)IAEA総会について
(7)革新炉検討会報告書(案)について
(8)その他

5.配布資料
資料1-1 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
資料1-2 関西電力株式会社高浜発電所原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)の概要について
資料2-1 北陸電力株式会社志賀原子力発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号原子炉施設の変更)について(答申)(案)
資料2-2 志賀原子力発電所原子炉設置変更許可申請(1号及び2号原子炉施設の変更)申請の概要
資料3-1 平成15年度原子力関係経費の見積りについて(外務省作成)
資料3-2 平成15年度原子力関係経費の概算要求について(厚生労働省作成)
資料3-3 平成15年度農林水産省原子力関係予算要求について
資料3-4 「平成15年度原子力関係予算ヒアリング」資料(平成15年度国土交通省行政経費)
資料4 ITER政府間協議の状況について
資料5 第5回市民参加懇談会コアメンバー会議の結果について
資料6 第46回国際原子力機関(IAEA)総会について
資料7-1 「革新的原子力システムの研究開発の今後の進め方について」(案)
資料7-2 各国の動向
資料7-3 研究開発専門部会 革新炉検討会報告書(案)に対する意見募集について
資料8 第33回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
(1)関西電力株式会社 高浜発電所の原子炉設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)

標記の件について、佐藤統括安全審査官より資料1-1および資料1-2に基づき説明があり、以下のとおり意見交換があった。
(木元委員)  この変更は効率化ということでよいか。
(佐藤統括安全審査官)  廃樹脂については貯める前に焼却できるものは焼却するという効率化である。輸送容器の方は、容器の保管スペースが不足するからあらかじめスペースをつくるということである。
(木元委員)  保管建屋の設置場所は境界線に近く道路も走っているが問題はないのか。
(佐藤統括安全審査官)  この場所に使用済燃料輸送容器が置かれた場合の敷地等境界外での線量を評価しており、評価結果としては非常にわずかな線量となっており問題はない。
(竹内委員)  使用済燃料はこの物揚岸壁から外に出るのか。
(佐藤統括安全審査官)  そうである。
(藤家委員長)  使用済燃料は入ったまま保管するのか。
(佐藤統括安全審査官)  そうである。空の容器を置くこともある。
(藤家委員長)  この建屋の耐震クラスはどうか。
(佐藤統括安全審査官)  Cクラスである。Asクラスのチェックはすると思う。

(2)北陸電力株式会社 志賀原子力発電所の原子炉の設置変更(1号及び2号原子炉施設の変更)について(答申)

 標記の件について、佐藤統括安全審査より資料2-1、資料2-2に基づき説明があり、以下の通り質疑応答の後、平成14年7月18日付け平成14・05・15原第8号をもって諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、経済産業大臣あて答申することを決定した。
(竹内委員)  あらかじめ建設中の2号機についても変更を行うということか。
(佐藤統括安全審査官)  そうである。
(竹内委員)  現在、圧縮減容し保管しているものをこの施設により再びモルタル処理するということか。
(佐藤統括安全審査官)  そうである。

(3)各省庁概算要求ヒアリング(外務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省)

標記の件について、松林課長補佐より資料3-1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)  IAEAへの分担率はどのくらいなのか。
(松林課長補佐)  例年、概ね19パーセント弱である。
(遠藤委員長代理)  NEAへの分担率はどのくらいなのか。
(松林課長補佐)  IAEA分担率と同レベルと承知している。
(遠藤委員長代理)  15年度は14年度に比較して額が増えているが、為替レートの関係か。
(松林課長補佐)  事業費全体について上昇傾向にあり、IAEAについては、テロの問題より保障措置の強化が急務になってきており、保障措置予算を引き上げれば、それとのバランスで技術協力基金を上げていく必要が出てくるといった事情がある。我々は資金の効率的使用をIAEAに常に申し入れており、インフレーションを考えた実質ベースのゼロ成長を確保してきているが、今後はなかなか難しいかも知れない。
(遠藤委員長代理)  リアルゼログロース+αぐらいと理解してよいか。
(松林課長補佐)  実質ゼロ成長を引き続き確保していくべきと考えるが、実情からすると+αが出てくる可能性もあると考えている。
(木元委員)  原子力安全関連拠出金にチェルノブイリ石棺基金があるが、石棺にした後も毎年同じ額を出す必要があるのか。
(松林課長補佐)  14年度が少なくなっているとおり、工事の進捗状況に応じて、予想される額を要求している。ある程度の時期まで必要な額を出しつづけることになるが、上限は2,250万ドルとなっている。

浅見課長補佐より資料3-2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)  今回説明の厚生労働省の原子力関係経費にはないが、原子力試験研究費の方には厚生労働省から要求が出ている。この活動については、厚生労働省とつながっていないということなのか。
(渡辺参事官補佐)  原子力試験研究費については、文部科学省からの一括要求となっており、前回の文部科学省からの要求ヒアリングでまとめている。
(藤家委員長)  今回の説明は、厚生労働省全体の原子力関係経費ではないということなのか。
(浅見課長補佐)  厚生労働省全体の原子力関係経費については、厚生科学課でとりまとめている。原子力試験研究については、研究レベルで成果を上げていることは事実であり、その成果については、活用しているところである。病院で診断・治療に使われている機器があり、それに関しては当省の法律の範囲内で立ち入り検査等に関わる経費を使っているが、それは通常業務の経費として見ているということである。
(藤家委員長)  このような場で全体の活動が見えることが大切である。来年は、厚生労働省全体において原子力とのつながりが見えるようにしてほしい。
(浅見課長補佐)  検討したい。

下方課長補佐より資料3-3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(木元委員)  ウリミバエはウリ類、イモゾウムシは甘藷類に被害を与えるが、アリモドキゾウムシは甘藷類に被害を与えるものか。
(下方課長補佐)  そうである。
(木元委員)  アリモドキゾウムシとイモゾウムシとどのように違うのか。穀物類にも被害を与えるのか。
(南部係長)  イモゾウムシ、アリモドキゾウムシとも、甘藷類に被害を与える。
(木元委員)  形がよくわからないで写真をいただければうれしい。被害は大きいのか。
(南部係長)  沖縄や奄美群島ではさつまいもに甚大な被害を与えている。
(下方課長補佐)  本土に被害を与える前に不妊虫放飼で根絶するということです。

山尾技術開発推進官より資料3-4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)  海上輸送の規則とは、国内の海上輸送の規則ということか。
(山尾技術開発推進官)  そうである。
(遠藤委員長代理)  テロの後、原子力発電所の海上沖に海上保安庁が係留しているが、それに係る経費はどこから出ているのか。
(山尾技術開発推進官)  警備関係の業務ということで、海上保安庁の行政経費の中から別途計上しており、原子力関係経費の中には含まれていない。
(藤家委員長)  調査の結果によっては、関係法令の改訂があるということなのか。
(山尾技術開発推進官)  そうである。
(藤家委員長)  IAEA規則の改定が10年から2年になる最大の理由はなにか。
(西係長)  他の国連等の基準は2年おきに改訂されるので、それらに合わせるためである。

(4)ITER計画政府間協議について

標記の件について、大竹室長より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(木元委員)  六ヶ所サイトの優位性で、4.明確な放射性廃棄物の処分について、去年の段階で敷地内に貯蔵するということを明確に打ち出していたように思う。そのように思っていてよいのか。
(大竹室長)  青森県から聞いているのは、自県内で発生した廃棄物については、自県内で処分することが適当である、というところまでである。ITERは運転を止めた後、所定の期間を経ると放射性廃棄物の量が減るので、その間は敷地内で管理する。今の段階で最終的にどのように処分するかについては、1つの案としては、解体後、量が多い高βγ廃棄物をどのように処理処分するのか、日本原燃において、高βγの処理処分について検討していること、そのようなことも1つの選択肢と考えている。フランスやスペインのサイトは廃棄物処分施設として予定しているのは離れた箇所であり、廃棄物が市街地ほかを通るということで、運搬キャスク製作や警備の問題が出てくる。一方、仮に、日本において、敷地内または隣接箇所で処分するとなると、専用道路を作るだけでコスト的には不確定要素が少なくなる。
(木元委員)  敷地内でというようなご発言が、知事からあったと思うので、関心があった。ただ、これは青森県民の了解を得られているものかどうかはわからない。
(大竹室長)  今のところ、県内で処分ということしか聞いていない。それから先はこれから詰めていくことになると考えている。
(竹内委員)  六ヶ所サイトは、除熱がいいというのはどのようなことか。
(大竹室長)  サイトの隣接に、所要の量の淡水の沼がある。また、海から近いので海水冷却も可能である。淡水、海水など冷却方式の選択肢が広がる。
(竹内委員)  他のサイトは海水へのアクセスが遠いということでよいか。
(大竹室長)  カダラッシュは海水へのアクセスは遠いが、近くに貯水池がある。しかし、その冷却能力は未だわからない。クラリントンはオンタリオ湖があるがアセスメントの関係で放水をかなり沖合まで持っていく必要があるとの議論があり、一方、六ヶ所サイトは漁業権が消滅した沿岸で、湖より熱容量が大きい太平洋なので、放水の方法は簡単になる。
(遠藤委員長代理)  優位性について、技術的に数量化できるものはよいが、6.社会生活面はそれが難しい。社会生活面は非常に重要なものだと考えている。実際に、EUからもその点について言われたことがある。是非、留意して取り組んでほしい。
(大竹室長)  わかりました。

(5)市民参加懇談会コアメンバー会議の結果について

標記の件について、渡辺参事官補佐より資料5に基づき説明があり、以下のとおり木元委員より補足説明があった。
(木元委員)  東京電力のことがあり、なるべく早い時期に緊急テーマによる市民参加懇談会ということが議論された。3人くらいのパネリストの構成で、当事者もお呼びして、会場からの質問を中心に行ってはどうか、と具体的な提言もあった。お忙しい方が多いので、メールなどで市民参加懇談会コアメンバーの方々にお諮りしながら、コアメンバー会議により次回の「市民との懇談会」開催を決めたい。
(遠藤委員長代理)  場所はどこを考えているのか。
(木元委員)  東京都内を考えている。「市民参加懇談会in東京」では、あまり満足しなかったという方が多かったが、次への期待感が大きかったので、なるべく1つの形に固定しないで行いたい。

(6)IAEA総会について

標記の件について、榊原参事官より資料6に基づき説明があった。

(7)革新炉検討会報告書(案)について

標記の件について、榊原参事官より資料7に基づき説明があり、以下のとおり竹内委員より補足説明があった。

(竹内委員)  長年日本が開発してきたものをこの段階で整理したものである。世界的潮流は、将来の原子力システム開発について国際的に一緒に行おうではないか、という動きである。日本は、長年着実にこれら研究を行ってきており、今回整理した中に、将来の候補が入っている。まず、我が国のエネルギーセキュリティー確保のためには、現在の軽水炉では不十分であり、革新的原子炉システムに対するニーズがあるということである。また、新しい市場開拓を通じた原子力産業の活性化、新産業の創出も重要である。つまり、原子力が将来更に発展していくためには、ということで、1つに人材の育成があり、電力に限らず多目的に使うという方向も目標として入れている。このような観点で、社会的受容性の向上に配慮しつつ革新炉の検討を進めてゆきたいと考えている。今後は、この中のどのシステムの開発を進め、どのような効果があるのか、について検討が必要である。おそらく、アメリカを中心に行われているジェネレーションⅣ国際フォーラム(GIF)も同じような議論がされていくと考えている。この報告書をベースとして、国際協力にも活用してほしい。
(藤家委員長)  内容的には長期計画で記載があるものや革新的な公募研究の対象となっているものをまとめ、これからパブリックコメントを求めるということでよいか。
(榊原参事官)  そうである。
(木元委員)  やはり革新炉という言葉はまだ耳になじんでいない。いろいろな意味でもパブリックコメントは必要である。
(藤家委員長)  パブリックコメントの期間はいつまでなのか。
(榊原参事官)  9月10日から9月24日である。
(木元委員)  資料要請に対してどのような対応をするのか。
(榊原参事官)  資料を入手できる箇所を数カ所用意している。

(8)その他
  • 事務局作成の資料8の第33回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
  • 事務局より、9月17日(火)の次回定例会議の議題は、ヨハネスブルグサミット等を中心に調整中である旨、発言があった。
  • 遠藤委員長代理より2法人統合問題について早急に議題にするようにとあった。