平成14年9月10日
農林水産省
- 1.基本的方針
(1) 農林水産省では、食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号)に規定する食料・農業・農村基本計画に基づき、食料自給率向上のための麦・大豆・飼料作物等の品質向上や省力・安定栽培等農業生産の現場を支える技術、主要作物の画期的な品種開発を図るためのゲノム解析等の革新的技術等に関する研究開発を推進している。
(2) また、平成14年4月に公表した「食と農の再生プラン」において、「食」の安全と安心の確保に向けた改革に取り組んでいるところであり、研究開発プロジェクトを企画、総合科学技術会議に提案しているところである。
(3) このような中で、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」の「国民生活に貢献する放射線利用」で示されているように、食料の安定・安全な供給に貢献するための放射線の利用や放射線利用技術開発を行っている。
(4) また、原子力関係試験研究分野は、当省においては独立行政法人が中心となって取組んでいることから、平成13年度に策定された法人毎の中期計画に基づき、放射線育種技術の開発等の先導的、基盤的研究開発を原子力試験研究費により実施している。
- 2.内容及び予算額
(1) 特殊病害虫根絶事業
- 1)奄美群島におけるアリモドキゾウムシ根絶防除に必要な経費
(平成15年度予算要求額: 60百万円、平成14年度予算額: 67百万円)
2)沖縄県におけるウリミバエ侵入防止事業・イモゾウムシ等根絶防除経費
(内閣府一括計上予算)
(平成15年度予算要求額: 803百万円、平成14年度予算額: 803百万円)
国内の一部地域に発生しているアリモドキゾウムシ等特殊病害虫に対して放射線を利用した不妊虫放飼法により根絶事業を実施し、発生地における農業振興を図る。また、既に根絶が達成されたウリミバエについては、不妊虫放飼による再侵入に備えた対策を常時実施することにより、我が国の農産物の安全で安定的な生産に資する。
- (2) RI研修施設の有効活用と管理
- (平成15年度予算要求額: 42百万円、平成14年度予算額: 42百万円)
農林分野における研究領域は、バイオテクノロジー等の先端技術を中心としてますます拡大しており、産学官の連携強化や国際的な交流を通じて研究開発を効率的に推進することが必要となっている。このため、RI研修施設では研究交流の拠点として研修や共同研究等の利用に資する。
- <参考>
○原子力試験研究費による研究(文部科学省一括計上予算)
- (平成15年度予算要求額:219百万円、平成14年度予算額:262百万円)
放射標識DNAを利用した昆虫集団の識別・同定法の開発や、突然変異体の作出による新農作物素材の創出技術の開発、「刺さないみつばち」品種の作成等を行う。
- ○放射能調査研究費による調査・研究(文部科学省一括計上予算)
- (平成15年度予算要求額:155百万円、平成14年度予算額:147百万円)
食の安全性を確保していくため、放射性核種の農作物への吸収移行及び農林生産環境における動態の解明、家畜とその飼養環境、海産生物における放射能汚染状況の把握等を行う調査研究を実施するとともに緊急事態に備えた測定態勢の維持等に務める。
(参考資料)
平成15年度農林水産省原子力関係予算概算要求について
- 1.不妊虫放飼法によるアリモドキゾウムシの根絶防除
(特殊病害虫特別防除等事業費のうちアリモドキゾウムシ根絶事業費)
- (1)目的
- 奄美群島には、本土等に未発生のアリモドキゾウムシ等の特殊な害虫が発生しており、さつまいも等に多大な被害を与えているばかりでなく、その寄主となる植物の未発生地域への移動が禁止、制限されているため、奄美群島の農業振興上の重大な障害となっている。
さらに、これら害虫類の発生を放置することは、未発生地域へのまん延の危険性を増大させることとなるので、早急に防除対策を講ずることが必要である。
このため、アリモドキゾウムシについて、不妊虫放飼法による根絶防除を実施する。
- (2)平成15年度要求概要
- 人工的に大量増殖したアリモドキゾウムシに放射線(コバルト60)を照射して不妊化させ、喜界島において野外に放飼することで、野生虫の密度を経時的に低下させ最終的に根絶を図る。また、アリモドキゾウムシ不妊化施設の施設改修を行う。
概算要求総額 92,000千円(99,000千円) うち原子力関係 59,890千円(66,890千円) (内訳) アリモドキゾウムシ不妊虫大量増殖費 890千円( 890千円) アリモドキゾウムシ施設改修整備費 59,000千円(66,000千円)
- 2.不妊虫放飼法によるイモゾウムシ等の根絶防除及びウリミバエ侵入防止
(特殊病害虫特別防除費補助金(内閣府一括計上))
- (1)目的
- 沖縄県には、本土等に未発生のイモゾウムシ等の特殊な害虫が発生しており、さつまいも等に多大な被害を与えているばかりでなく、その寄主となる植物の未発生地域への移動が禁止、制限されているため、沖縄農業振興上の重大な障害となっている。さらに、これら害虫類の発生を放置することは、未発生地域へのまん延の危険性を増大させることとなるので、早急に防除対策を講ずることが必要である。
このため、イモゾウムシ及びアリモドキゾウムシについて、不妊虫放飼法により根絶防除を実施する。
また、既に根絶が達成されたウリミバエについては、再侵入の危険性が非常に高く、万一侵入・まん延した場合、農業生産上多大な被害を与えるばかりでなく、その再根絶に莫大な経費を要する。このため、沖縄県のウリミバエの侵入の危険性が高い地域において、不妊虫放飼による再侵入防止防除を行う。
- (2)平成15年度要求概要
- 1)イモゾウムシ等根絶防除
人工的に大量増殖したイモゾウムシ等に放射線(コバルト60)を照射して不妊化させ、久米島において野外に放飼することで、野生虫の密度を経時的に低下させ最終的に根絶を図る。
- 2)ウリミバエ侵入防止
人工的に大量増殖したウリミバエに放射線(コバルト60)を照射して不妊化させ、沖縄本島、宮古群島及び八重山群島において野外に放飼(6,800〜4,400万頭/週)することで、再侵入に備えた防除を常時実施する。
- (3)平成15年度概算要求額
概算要求総額 1,032,422千円(1,032,422千円) うち原子力関係 802,893千円( 802,893千円) (内訳) イモゾウムシ等大量生産費 159,507千円( 159,507千円) イモゾウムシ等不妊化費 8,803千円( 8,803千円) イモゾウムシ等不妊虫放飼費 58,271千円( 58,271千円) ウリミバエ大量生産費 266,888千円( 266,888千円) ウリミバエ不妊化費 20,536千円( 20,536千円) ウリミバエ不妊虫放飼費 288,888千円( 288,888千円)
- 3.農林交流センターの運営(RI研修施設)
- (1)目的
農林交流センターは、農林水産分野における研究交流のための拠点施設として、筑波農林研究団地内に設置されている。
このため、
1)国と民間等の研究資源を相互に活用した共同研究
2)民間や都道府県研究員を含む人材養成(研修)
3)国内外の研究者によるセミナー、ワークショップ、シンポジウムの開催
等、産・学・官及び外国との間における研究交流の拠点として広く利用を図るものであり、当施設は、本館及びRI研修施設で構成されており、このうちRI研修施設においては、ラジオ・アイソトープを利用する実験を伴う研修や、共同研究に利用されている。・平成14年度RI施設の利用
(農林交流センターワークショップ)
「二次電気泳動法によるゲノム解析」
9月30日〜10月4日 10月21日〜25日
主催:農林交流センター、農業生物資源研究所
(共同研究の研究課題)
「シロイヌナズナddml突然変異体のゲノムメチレーション解析」
研究主体:農業生物資源研究所 分子遺伝研究グループ 遺伝子修飾研究チーム
相手機関(共同研究機関):国立遺伝学研究所
- (2)平成15年度要求概要
平成15年度は、前年度に引き続きRI研修施設において、ラジオアイソトープを利用する研修や共同研究を行っていく。
・平成15年度RI施設の利用予定
(農林交流センターワークショップ)
「二次電気泳動法によるゲノム解析」
主催:農林交流センター、農業生物資源研究所
(共同研究)
「シロイヌナズナddml突然変異体のゲノムメチレーション解析(予定)」
研究主体:農業生物資源研究所 分子遺伝研究グループ 遺伝子修飾研究チーム
相手機関(共同研究機関):国立遺伝学研究所
- (3)平成15年度概算要求(RI実験研修施設運営費)
概算要求総額 42,401千円 (42,401千円) (内訳) 備 品 費 8,972千円 ( 8,972千円) 消耗品費 1,824千円 ( 1,824千円) 光熱水費 11,781千円 (11,781千円) 雑役務費 19,635千円 (19,635千円) 通信運搬費 189千円 ( 189千円)