第31回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日時 2002年8月20日(火)10:30〜11:40
2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 永松審議官
 榊原参事官(原子力担当)、後藤企画官

4.議題
(1)日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について
(2)福島県知事との意見交換について(今後の対応)
(3)その他

5.配布資料
資料1−1 福島県知事への書簡(案)
資料1−2 「エネルギー政策における疑問点」に対する基本的な考え方(案)
資料2 第30回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について

標記の件について、以下のとおり意見交換があった。
(藤家委員長)  原子力二法人の統合については、4月には「基本的な考え方」を示し、文部科学省の原子力二法人統合準備会議にも出向いて意見交換を行った。また、準備会議では、8月5日に中間報告書を出している。本日の会議では、今後の議論の進め方について、まず各委員の意見を聞いて議論を進めたい。
 3つの大きなポイントがあると思う。1つ目は、「基本的な考え方」でも示したことだが、今後の厳しい財政を考慮した新法人の業務の効率化・重点化であり、これは、かなり難しい問題を含んでいる。2つ目は、原子力委員会と独立行政法人となる新法人との関係は、原子力政策を進めていく上でどのような形が望ましいか、ということである。3つ目は、新法人は、職員4千数百人、その他関係者を含めるとトータルで9千人ぐらいの巨大な組織となり、それと同時に、原子力長期計画に掲げている研究開発の分野をかなり占めることになる。しかし、新法人がすべてやるということではなく、関連する機関がある。重要な点は、これまでと違って、大学が担ってきた基礎研究の分野と、実用化につながる分野、つまり民間での事業との関係が非常に強くなっていることである。そのため、新法人と関連機関の連携をどうすれば良いか、ということも議論すべき重要なテーマだと思う。
(遠藤委員長代理)  文部科学省の原子力二法人統合準備会議で中間報告が出たが、原子力委員会で議論してきたことがすべて盛りこまれているわけではなかった。これから大切なことは、来年の最終報告に向けて発信していくことだと思う。
 大きな課題としては、原子力委員会と新法人との関係をどうあるべきかということが挙げられる。また、新法人にとっても、予算が厳しくなることが予想されるので、スクラップ・アンド・ビルドというよりは、スクラップ・スクラップ・アンド・ビルドぐらいで考えていかないといけないと思う。そうした場合、新法人では何に重点を置くべきか。私は、原子力長期計画をベースにすべきだと思うが、原子力長期計画には、各項目のウエイトについてまでは書かれていないので、原子力委員会で、これとこれをやって、あとはやめなさい、といったように優先度を明確にすべきではないかと思う。
 また、現在の二法人が抱えている負の遺産については、統合前にすべて解決することはできないが、少なくとも、これについてはこのように解決するという方向を、示さない限り、この新法人は潰れてしまうのではないかと思う。負の遺産は何もしなければ、ますます増えていってしまう。
(木元委員)  先日の定例会議で、原子力委員会と新法人の関わり方が重要なポイントだと申し上げた。また、以前から申し上げていることだが、当事者の声をもっと聞かなければならない。テーブル配置を「ロの字」型にして、二法人と関係省庁と原子力委員会の四者会談のようなことが必要だと思う。いろいろな会議が開かれて今後の方針などを出しているが、外から見ていると、当事者の覚悟が全く見えていない。新法人は独立行政法人となるので、自分なりのビジョンや覚悟が非常に重要となると思うし、やはり当事者である日本原子力研究所や核燃料サイクル開発機構にもそれぞれの主張があると思う。統合に際しての覚悟や、自分達はこれから何をやろうとしているのか、こういう理由があるのでこの研究を続けたい、といったような主張を持っていないと、後になって、言われたから我々は統合します、言われたからこの研究をします、というような自主性のないものになりかねない。これからは、独立行政法人という立場から、自分達の覚悟を示してもらいたいし、そのための場を作りたい。自分達の問題だという固い決意を聞きたいし、やる気も見えてくるだろうと思う。どのような方に出てきてもらうかは別にして、当事者の話を聞かないと、今後展開していかないと思う。
(藤家委員長)  木元委員の意見は、第2ラウンドでは大変重要なことだと思う。そのときの会議では、遠藤委員長代理や木元委員の意見のとおり、いろいろなやり方があると思う。
(木元委員)  各項目について聞くことは、二の次で良いと思う。統合に際して自分達がどのような姿勢でのぞむのか。捨てるものは捨てる、やるものはやる、これだけは固持したい、といった主張が少なくともいくつか出てくると思う。それを個別的に次のステップで議論すれば良いと思う。
(森嶌委員)  基本的には遠藤委員長代理の意見と同じである。新法人は我が国における唯一の原子力の研究開発機関となるので、原子力委員会としては、長期的な観点から、どのような性格のものなのかについて考えなければならない。それは基礎的な研究なのかもしれないが、全くやられていない分野や、革新炉や核融合のようにまだ十分に確立していない分野など、特にどのような分野のどのようなところを研究開発で進めていくのか、という長期的な戦略について、原子力委員会としての考えを示さなければならない。また、大学における原子力の研究については、看板をおろしたり、次第に規模が小さくなったりしているが、ポストドクターの人材育成についても、長期的な研究開発の中に組み込んでおく必要がある。新法人は、将来の原子力の研究開発を担っていく中核的な機関なので、大学との連携も考えていかなければならない。
 まず、統合前の時点で、きちんと長期的な戦略あるいは方針をたて、どういう方向に注力していくのかを考える必要がある。少なくとも、原子力委員会としては、長期的に原子力の研究開発の中核となるような研究所を確保していかなければならない。それから、運営面については、原子力委員会が何から何まで関与するわけにはいかないが、新法人が原子力長期計画に沿って、その枠からはみ出さないで進んでいるかどうかをチェックしなければならない。これから考えなければならないが、大学や研究所では、第三者による評価機関がある。原子力委員会はそういうものではないと思うが、何らかの形で、例えば、新法人の組織図の中に、原子力委員会をきちんと位置付ける、ということを考えていかなければならない。これは、どのような研究開発を進めていくのかという研究所の性格付けと原子力委員会の位置付けとも関わってくる。
 負の遺産については、大学も同じように抱えており、大学も含めて一貫して対応しなければならないと思う。
(藤家委員長)  森嶌委員は、組織論についての議論も必要とお考えか。
(森嶌委員)  原子力委員会としては、こういう組織を作ってほしいと述べるのではなく、どのような研究をするのかという性格付けをしたり、こういう組織は良くないのではないか、という一種のネガティブ・チェックをする立場で意見を言ったりすることだと思う。
(藤家委員長)  原子力委員会参与に意見を伺ったとき、マトリックス型の組織が良い、といったご意見があった。
(森嶌委員)  それは文部科学省の準備会議で検討することであり、原子力委員会としては、我々が提言する研究開発のあり方と比較して、組織がなじむかどうか、ということをチェックすれば良いと思う。
(竹内委員)  皆さんの意見のとおりである。二法人は既に統合に向けた交流を始めていると聞いているが、やはり当事者から、自分達はこう考えているという話を聞かないと、先に進まないと考えている。例えば、革新炉については、GEN−W(第4世代原子力発電システム)で期待されているものは、日本でも研究が進んでいて蓄積があるが、今後限られた予算の中でどうやっていくのか。新しい芽を摘むことはしないが、予算を使うときに、その時期や優先度についての議論を二法人の中で始めておくことが非常に大事なのではないか。そういった話を聞いた方が良い。専門的なことについては、別に分科会等を開いて議論した方が良いと思う。
 放射性廃棄物の処理・処分については、文部科学省でも議論が進んでいるが、当事者だけで解決できる問題ではない。原子力委員会としては、政府全体でどうするのか、と筋道を立てることができるようサポートしていかなければならない。
(藤家委員長)  皆さんの意見のとおりであり、ほとんど補足することはない。ここ10年ぐらい原子力界がおかれた社会的状況をどのように考えるのか、また、新しい法人で働く人たちが、どのように夢を持って社会的に貢献するという意識が持てるのか、ということが非常に重要だと思う。そこで、「基本的な考え方」では、難しさに挑戦する気概をもった集団を作ってほしい、また、アウトプットを早く出せる組織にしてほしい、と述べている。冷戦構造下の原子力開発というのは、地道で着実に、ということが最も優先されていたが、これからは効率化・重点化し、アウトプットを早く出していく必要があると思う。
 各委員から挙げられた項目について、より具体的な議論をしたい。
(遠藤委員長代理)  木元委員の意見のとおり、今後のあり方について、当事者から話を聞かなければならない。来年の春ぐらいに最終報告が出ると聞いているので、9月頃から当事者と議論を始めたいと思う。
(木元委員)  全員で聞かなければならないということで、テーブル配置を「ロの字」型と申し上げた。原子力委員会は、もし当事者の発言で分からないところがあれば、どうしてですか、と聴いていかなければならない立場である。その上で優先度も決まってくるだろうし、ひいては予算も決まってくるだろうし、組織の性格も決まってくるだろうと思う。そのためにも是非当事者から話を聞かなければならない。そこで、少し違った方向で独善的なものがあれば、お互いに討議しなければならない。今、核燃料サイクル開発機構で「サイクル」という機関誌と、パンフレットを作ろうとしているが、その中で、そうしたことが見え隠れする。やはり当事者がどういうお考えを持っているのかを先に聞いておかないと、新法人の姿は作れないだろうと私は思う。
(遠藤委員長代理)  そのとおりであり、なるべく早急に実施したい。
(木元委員)  一回では終わらないかもしれない。
(遠藤委員長代理)  一回で終わらなくても良いと思う。最終報告に盛り込まれるよう、例えば11月頃までにまとめたい。
(木元委員)  二法人からどのような方に出ていただくのかについて考えなければならない。理事長レベルの方にお願いするのか。将来を考えて、次のステップを担う方に出ていただければありがたいと思う。
(藤家委員長)  おそらく、両法人には、準備会議のようなものを作っていると思う。ただ、日本原子力研究所では理事長が替わり、核燃料サイクル開発機構でもおそらく10月に替わると思う。その会議の開催をいつにするかについて少し悩んでいる。
(木元委員)  実際に検討にあたっている最前線の方に出ていただきたい。
(遠藤委員長代理)  原子力委員会との関係については、新法人は独立行政法人になることを考えなければならない。独立行政法人は、一言でいえば、自由にやりなさい、ということが基本であり、その結果を事後にチェックすることがポイントだと思う。そうすると、原子力委員会は、新法人の中期目標とそれに基づいて作られる中期計画について関与し、その後はご自由に、ということになると思う。したがって、現在の関係と比べると、離れていくことは仕方がないと思う。しかし、その方針や計画を作成する段階で、きちんと関与していくためのシステムが必要ではないか。その点から考えると、現在の中間報告というのは、必ずしも私の意には沿っていない。こうあるべきだ、ということを原子力委員会から提示しなければならないのではないか。
 2つ目の優先順位については、今後も予算が厳しい中で、どのようなことをやるべきか。これについては、木元委員の意見のとおり、先方が何を考えているのかが重要だが、それと併せて、原子力行政を総括する原子力委員会としては、こういうことが大切ではないか、という意見交換が非常に重要だと思う。予算は増えるような時期ではないので、スクラップ・スクラップ・アンド・ビルドというぐらいで進めることが必要である。
 3つ目の負の遺産については、負の遺産はどのくらいあって、何年間で解消できるのか、あるいは、清算事業団を作るのかなどについて議論しなければならない。負の遺産の処理のための費用がかさみ、研究開発のための予算が削られていくのではないかと心配している。負の遺産の処理については先送りすべきではない。
(藤家委員長)  まず、独立行政法人の事業と原子力政策の関係をどう見るのかについては、きちんと決まっているわけではないが、独立行政法人は、自由度が与えられると同時に責任もとらなければならない、ということだろうと思う。一方、原子力政策については、原子力委員会が責任を持って決めていかなければならない。重要なことは、政策の優先度を付けるということである。これまでも、例えば、核燃料サイクルは優先度が最も高い、と述べてきている。研究開発の分野ごとの優先度まで考えるときに、実際どこまでどうできるのか。原子力委員会としては、細かいところまではできないので、どのような観点でやっていけば良いのか。
(竹内委員)  独立行政法人というのは、当然のことながら、自由裁量の権限を持たせているのだから、独り立ちしてやることは当然のことである。逆に、成果に対する責任が非常に重要だと思う。5年に1度、中長期計画を原子力委員会が聞くことになるのかもしれないが、これは、原子力長期計画の更新サイクルとほぼ同じである。ただ、5年に1度聞いただけで済むかどうかは疑問である。5年というのは結構長いので、途中の段階で、どのような方向に進んでいるのか相談したり評価したりするようなことが必要なのではないか。
(藤家委員長)  そのチェック・アンド・レビューの具体的なアイディアはあるか。
(竹内委員)  これから考えなければならない。
(藤家委員長)  原子力委員会では、毎年予算について審議しているが、原子力長期計画と同じスパンでものを見ている。実際の成果についての議論は、専門部会や検討会でやってきた。また、場合によっては、この原子力委員会の定例会議で話を聞いている。それ以上に何が必要か。
(竹内委員)  その程度でいいのかもしれない。
(木元委員)  私は違うと思う。国民の皆さんは、予算についても非常に関心を持っており、その使い道をチェックし始めている。プランがあっても、道路公団のように作る必要性のないようなものがあるし、ダムについても同様である。国民の理解のもとで国の政策は常に反映されていかなければならない。独立行政法人に対しても、もちろん原子力の平和利用についてのチェックは必要だが、予算についてもウオッチしながら進めて行くべきではないか。予算は年度ごとなので、年度ごとに報告をうけて、例えば、次年度予算の要求のときに、成果はどうだったのか、研究開発はどこまできたのか、これはこのような状況なのでもっと長くかかる、といった具体的なことを報告してもらえれば良いと思う。新法人については、当初は、毎年チェック・アンド・レビューをしていかなければならないと思う。
(藤家委員長)  それを、制度的に保障するのかどうか。これまでの独立行政法人では、それがないということである。
(木元委員)  予算の審議のときに報告を義務付けるというのはどうか。
(竹内委員)  予算の審議はやるのか。
(遠藤委員長代理)  やらないのではないか。
(木元委員)  しかし、毎年予算をつけているので、どこまで進捗したのか、といったチェック・アンド・レビューをする機関を設けるのかどうか。
(藤家委員長)  制度上で考えるのか、それとも、原子力委員会の権限で、そういうことを実態としてやっていくのか。
(木元委員)  原子力委員会の権限でできることだと思うので、やった方が良いと思う。
(藤家委員長)  ただ、独立行政法人にするということの意義を十分に認識しなければならない。
(木元委員)  だからこそ、自分達のビジョンをまず語ってほしい。
(森嶌委員)  現在、大学や研究所が独立行政法人になりつつあるが、基本的には、研究所や大学の責任において予算を配分することになっており、それと併せて、第三者機関を設けて評価を行っている。新法人は、原子力において唯一の研究開発機関なので、基礎的な研究もやらなければならないと思うが、その基礎的な研究はかなり長期に渡って続けなければならない。また、プロジェクト型の研究開発も、5〜8年ぐらい続くものもある。プロジェクトについては、普通は、最初にインキュベータ(施設や人材など必要なものを提供して、新たなプロジェクトなどについてのアイデアやプランを創出するための機会を与えること)で、どんなプロジェクトをやるのか、本当にプロジェクトを立ち上げるのかどうかについて一通りチェックする。そして、プロジェクトの期間が仮に5年だとすると、2年ぐらいで中間チェックをして、プロジェクトが立ち上がってからどのくらい進行したか、タイムテーブルどおりきちんと進んでいるのかどうかを確認する。このような評価をしながら優先度を決め、具体的に内容を決めていく、という方法でチェックが行われている。こうした中で、原子力委員会はどこに位置付けられるのかについては、独立行政法人であることをしっかりおさえなければならないので、設立の前に、どのような枠でどの方向でやるのか、ということを十分に議論する必要がある。動き出した後は、第三者機関のように、我々は2年目とか5年目に進捗状況を聞く、というような形が良いと思う。あまり細かいところまで立ち入るべきではない。おそらく予算についても、しっかりしたものであれば、毎年原子力委員会がチェックをするというのはどうかと思う。
(藤家委員長)  原子力委員会は、3年くらい前に、「規制緩和・合理化・自己責任」という物の見方をしている。今は、まさに自己責任の部分が大きくなってきた。自己責任を十分に発揮できるような状態なのか、国に対する依存度が強すぎるのか。私は、後者ではないかと思う。そういう意味では、少し突き放すことも大事だとみている。その代わり責任はとってもらう。ただ、5年に1度ではあまりにも期間が長すぎる。この点をどうみるのか。
(遠藤委員長代理)  これは、独立行政法人を、どのように理解するのかということが重要だと思う。
(木元委員)  新法人の場合、通常の独立行政法人とは異なると思う。独立行政法人ではあるが、原子力委員会という存在が厳然とあって、もちろん原子力の平和利用についてチェックしなければならない。これまでも、いろいろなアクシデントがあり、原子力は特別視されている。自己裁量のもとで責任を持って研究開発を行うことは当たり前のことである。しかし、疑心暗鬼の目がまだ残っているのであれば、ご意見を聞いて、このような組織にして、このように優先度をつけて、このようにやってほしい、また、成果を1つ1つ報告してほしい、といったことを要求しても良いと思う。その上で自己責任の原則も明確にしていけば良いと思う。やはり、新法人が立ち上がったときの国民の不信感を払拭するために、原子力委員会は責任を持たなければならない。
(藤家委員長)  基本的な考えははっきりしたと思う。具体的にどうするのかについては、引き続き議論したい。既に独立行政法人としてスタートした組織もあるので、そこから一度話を聞いてみることも良いと思う。
 次に、業務の重点化・効率化について議論したい。新法人は、世界でリーダーシップを発揮できる組織になっていかなければならないと思う。そうすると、重点化・効率化については、予算の額が大きいものを中心に見ていれば済むことではないと思う。リーダーシップを発揮するためには、それなりに広がりを持っていなければならない。そうしたことと関連させて議論する必要があるのではないかと思う。簡単に言うと、スクラップ・アンド・ビルドでは、予算が足りなければ実施しない、多ければ実施するということになるが、そうでないところも含めた議論が大切だと思う。
 当事者から話を聞くための会議は必ず実施したいと思うが、その前に、原子力長期計画において何を重点化するのかについて議論しておく必要がある。既に言っていることは、核燃料サイクルの確立が最優先だということや、ITERを国内に誘致することに意義があるということが挙げられる。他方、加速器や放射線利用はどうなのか、他の分野はどうなのかについては、あまり議論されていない。ただ、詳細な内容が入ってくると話が難しくなるので、適切な段階で議論ができればありがたいと思う。
(森嶌委員)  ITERについては、新法人と関係するが、新法人が担うわけではないと思う。放射線利用については大学が中心となって担っているが、新法人がCenter of Excellenceとして放射線問題をやれということではないと思う。
(藤家委員長)  準備会議でも、放射線利用についてかなり議論されている。この分野では、日本原子力研究所高崎研究所が中心となっており、これまでの実用化も含めた広がりを大事にしなければならないと思う。
(森嶌委員)  医学的な利用については大学が主だと思う。新法人は、何でも基礎的なことをやるというのではなく、基礎的なものを出発点にするということでなければならない。他でも行っているものは外して、新法人でしかやれない、ここでやらなかったら、将来の原子力の研究開発が停滞してしまう、というものをまず抽出し、その中で論理付けや体系付けを行えば良いのではないか。
(木元委員)  去年、総合科学技術会議の中で、日本にとって何が必要かについて議論が行われ、ライフサイエンスやナノテクノロジーが脚光を浴びていたが、残念ながら原子力は重点4分野に入っていなかった。原子力の研究開発の重要性がまだ十分に理解されていないのかもしれない。だから、優先度の議論では、原子力委員会は、なぜこれが必要なのか、ということを我々から話していく気持ちでいないといけない。我々は、脚光を浴びていないものをやっていく覚悟を持っていかなければならない。それをどのようにアピールするのかについては次のステップにかかってくる。それを忘れないでおきたいと思う。
(藤家委員長)  各委員の意見の中で、お互いに関連した分野が結構ある。その整理をどうするのかが大事だと思う。ただ、今回の新法人の議論の中で、原子力の特徴を示すとき「先進性・一体性・総合性」が重要だと議論したが、それと「重点化・効率化」というのは、一見すると、相反する部分もないわけではない。しかし、原子力がこれからずっと育っていく上で、この考え方が大事だということは行政改革でも認められて、ここまできている。
 時間の都合上、関係機関との連携については、次の機会に議論したい。原子力二法人の統合については、さらにブラッシュアップしていきたいと思う。

 (2)福島県知事との意見交換について(今後の対応)

標記の件について、以下のとおり意見交換があった。

(3)その他

  • 事務局作成の資料2の第30回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
  • 事務局より、8月27日(火)の次回定例会議の議題は、各省庁の原子力関係経費の概算要求のヒアリング等を中心に調整中である旨、発言があった。
(藤家委員長)  8月5日の福島県知事との意見交換会では、知事がいくつかの疑問点を提示されたが、残念ながら時間が足りなく、十分に回答することができなかった。我々としては、知事との対話は1回で終わるようなものではない、と繰り返し申し上げてきており、知事あてに再度書簡を出して、対話の継続を求めたいと思う。また、知事が提示された疑問に対する原子力委員会の考え方についても整理しておきたい。
(木元委員)  まず、知事個人あてに誠意を持ってお礼を申し上げ、その上で次のステップを踏みたい、という意思表示をすべきである。この書簡については何度も確認しており、この内容で良いと思う。ただ、知事が定例の記者会見で「原子力委員会が国民に対して、どのように説明していくのか見守っているところ」とご発言されたそうだが、その前にこれを出すべきであった。遅くなってしまったことが非常に残念だが、知事がそのようにおっしゃったのであれば、もちろん知事に対してばかりでなく、国民の皆さんに対しても早急にお答えしなければならない。
 この書簡を出すことについて、福島県側に伝えているのか。また、知事からのリアクションはあったのか。
(後藤企画官)  伝えている。この定例会議の後、全委員のサインをいただいてから正式に出す予定である。知事からのリアクションはまだない。
(木元委員)  誠意を持って回答すれば、我々の思いが知事に届くと思う。
(藤家委員長)  1つの案としては、この次は知事に東京に来ていただくことも考えられる。先方との調整については、事務方にお願いしたい。
 次に、資料1−2の『「エネルギー政策における疑問点」に対する基本的な考え方』について議論したい。
(森嶌委員)  基本的には、福島県知事から提示された疑問点なので、また、国民の皆さんも同じような疑問を持っているとは限らないので、この回答は福島県知事あてにして、それと併せて、このような資料を出しました、と国民の皆さんに公表することで良いと思う。知事に対してでなく、まず国民の皆さんに対してお答えする、というのはどうかと思う。
 また、これと併せて、国民の皆さんに対する説明責任についても考えなければならない。これらの疑問に対しては、福島県知事に対してお答えするという前提で考えなければならないが、それと同時に、一般の方々に対しても、なるほどそういうことか、と分かるような説明でなければならない。つまり、これらは国民の皆さんの疑問を代弁したものと考え、国民の皆さんの視点でお答えしなければならないと思う。この説明の内容については問題ないが、そういった目線や答え方について注意しなければならない。
(藤家委員長)  非常に重要なことだが、これは国民の皆さんに対してお答えするものではない。福島県知事に対してお答えするものであり、今後対話を行うときのための資料として出すものである。この旨を追記しておく必要があると思う。
(木元委員)  それについては、資料1−2の「はじめに」に書いてあり、十分に理解できる。「このため、・・・」の段落がそれに当たり、知事からご提示のあった疑問に対し、お会いする前にお答えします、と書いてある。また、国民の皆さんの目にも触れることになると思うので、これをお読みになって疑問があれば、原子力委員会に質問を寄せていただきたい、ということも追記して良いと思う。
 また、「はじめに」の最後に「本資料が、国民の皆様の原子力政策に対する理解の一助となれば幸いです。」とあるが、「国民の皆さまの」の前に「福島県知事をはじめ」と追記した方が良いと思う。
(藤家委員長)  そういったことについて、もう少し分かりやすくなるよう修正した方が良いと思う。対話のためにこの資料を用意したのであり、これだけですべてを説明することは難しい。
(木元委員)  原子力委員会は、どなたにも、どのような形でもお答えする、という姿勢を基本としているので、国民に説明してほしいと知事からご要望があれば、そうすれば良いと思う。
(藤家委員長)  この資料は、国民の皆さんが何を考えていて、何を心配しているのか、ということに対して書かれているわけではない。この資料は、福島県知事が提示された疑問に対する答として作成したものである。ただし、その疑問に答えるためにはきちんとした説明がさらに必要であり、これだけでは舌足らずと感じる方もいると思う。
(遠藤委員長代理)  私も同じ意見である。お答えする相手は福島県知事であり、ご参考までに国民の皆さんにも、ということだと思う。
(木元委員)  しかし、知事は国民の皆さんに説明してほしいとおっしゃっている。
(藤家委員長)  国民に説明してほしい、という知事のご発言をどのように受け止めるべきかが重要である。
(森嶌委員)  それは、論理的には間違っていると思う。意見交換会では、時間的な制約で十分に質疑応答ができなかったが、それについては知事ご本人も認めていらっしゃる。そこで改めて回答しようとするとき、疑問を提示していない別の方に答える方が先というのは論理的に間違っている。ただ、政治的なお考えから発言されたことかもしれないので、その点については理解しなければならない。しかし、それを重く考えて、国民という不特定な集団に対し説明しようとしても、ここで挙げられている疑問に対する回答だけでは十分でないことは明らかである。まず、知事に対し誠意を持って答えるべきだと思う。ただし、お答えするときの目線は、国としての目線ではなく、一般の方々の目線で答えることが大切である。
(木元委員)  私も内容はこれで良いと思うが、全体的に、こうやっているのだ、と押し付けているような感じがする。文章の作り方については、どうかと思うところがある。
(藤家委員長)  私も、この資料をもう少しブラッシュアップする必要があると思う。ただ、早く対応しなければならない。
(森嶌委員)  1つ1つ文言をチェックしていると時間がかかってしまうので、今日中か明日中に各委員で再度チェックしてはどうか。例えば、FBRサイクルについて、「研究開発を着実に進展させております」とあるが、「これから着実に進めていきたい」というような表現の方が良いのではないか。
(木元委員)  国の答弁の仕方の悪いところとあまり変わっていないので、不快に感じられるところがある。そういうところは修正した方が良いと思う。
 資料1−2の2頁に『1.原子力委員会では、原子力の研究・開発及び利用に関する長期計画(以下「長期計画」という)』とあるが、『1.原子力委員会では、「原子力の研究・開発及び利用に関する長期計画」(以下「長期計画」という)』というように「かぎ括弧」をつけないと長期計画が重なっているように見えてしまい、一般の方々には良く理解できないと思う。このようなことについて、きちんと気を付けなければならない。
 また、「審議、その他さまざまな部会・懇談会における検討等」とあるが、これについても、もう少し詳しく説明する必要があると思う。原子力長期計画は策定会議やその分科会で審議した上で策定されたが、そういった会議を通して情報公開を行ってきている。こういったことをきちんと書いておく必要がある。また、「さまざまな部会・懇談会」についても中身が良く分からないので、きちんと説明しなければならないと思う。例えば、原子力長期計画策定会議やその分科会、部会、懇談会には、いろいろな立場の方にご参加いただいており、こうしたことについても明記する必要があると思う。
(森嶌委員)  内容は間違っていないが、木元委員の指摘のとおり、不快に思われるところがあるかもしれないので、もう少し見直さなければならないと思う。この資料を送るのが、書簡を出した後になってしまっても良いと思う。
(藤家委員長)  このような回答は、8月5日の意見交換会で既に用意していたのだろうと考える方もいると思う。
 意見交換会では、質疑応答が十分できなかったが、原子力委員会は基本的な考え方をきちんと述べている。それに対する福島県側のレスポンスがないのが残念である。
(森嶌委員)  立場が違うので仕方がないが、我々としては、愚直と思われても構わないので、誠意を持ってきちんと対応していきたい。
(藤家委員長)  森嶌委員の意見のとおりである。ただ、すべてについて用意するためには、1〜2ヶ月もかかってしまう。
(木元委員)  今まで作った資料を添付したりすれば良いと思う。
(森嶌委員)  明日ぐらいまでに各委員で気になる点をきちんと再度チェックしたらどうか。どの程度まで詳しい内容にするのかについては、いろいろと調整が必要だと思うので、委員長にお任せしたい。
(木元委員)  言葉遣いに注意しなければならない。
(藤家委員長)  その通りであり、少なくとも不快に思われるところは修正して、第1次の回答を出したいと思う。補足説明のための添付資料については、これからもう少し時間をかけて対応したい。
(森嶌委員)  それから、一般の方々にとって分かりにくい表現があるので、説明を付け加えたい。また、「はじめに」のところに、補足説明のための資料については後で追加する旨を追記しておくと良いと思う。
(木元委員)  例えば、「さらに向上することができるものです」と言い切ってしまうと、そのように思い込んでいるように思われ、不快に感じられてしまう。「できるものと考えております」と修正すれば、読んだ方の感じ方がかなり異なってくると思う。