1.日時 2002年8月6日(火)10:30〜12:00 2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室 3.出席者 藤家委員長、遠藤委員長代理、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
永松審議官
榊原参事官(原子力担当)
経済産業省 原子力安全・保安院
原子力発電安全審査課 佐藤総括安全審査官
小原統括安全審査官
渡邉課長補佐
外務省 総合外交政策局
科学原子力課 馬越課長補佐、松林課長補佐
- 4.議題
(1) 中部電力株式会社 浜岡原子力発電所の原子炉設置変更について(一部補正) (2) 東北電力株式会社 女川原子力発電所の原子炉設置変更について(諮問) (3) 日本原子力発電株式会社 東海第二発電所の原子炉設置変更について(諮問) (4) 平成15年度原子力関係予算ヒアリングについて(外務省) (5) 原子力科学技術に関する研究・開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)について(外務省) (6) 福島県知事と原子力委員会の意見交換の結果について (7) 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について (8) 人事案件について(非公開) (9) その他
- 5.配布資料
資料1−1 中部電力株式会社 浜岡原子力発電所の原子炉設置変更(1号原子炉施設の変更)について(答申)(案) 資料1−2 中部電力株式会社 浜岡原子力発電所原子炉設置変更許可申請(1号原子炉施設の変更)の概要について 資料2−1 東北電力株式会社 女川原子力発電所の原子炉設置変更(1号原子炉施設の変更)について(諮問) 資料2−2 東北電力株式会社 女川原子力発電所原子炉設置変更許可申請(1号原子炉施設の変更)の概要について 資料3−1 日本原子力発電株式会社 東海第二発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(諮問) 資料3−2 日本原子力発電株式会社 東海第二発電所原子炉設置変更許可申請(原子炉施設の変更)の概要について 資料4 外務省の原子力関連予算 資料5 RCAの活動 資料6 第29回原子力委員会定例会議議事録(案)
- 6.審議事項
(1)中部電力株式会社 浜岡原子力発電所の原子炉設置変更について(答申)
- 標記の件について、佐藤総括安全審査より資料1−2に基づき説明があり、以下の質疑応答の上、平成14年6月24日付け平成14・05・14原第2号(平成14年7月26日付け平成14・05・14原第2号をもって一部補正)をもって諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、経済産業大臣あて答申することを決定した。
(木元委員) この系統がなくても問題がないということは、初めから必要なかったということか。 (佐藤総括安全審査官) この系統は、原子炉を高温待機、つまり温度の高い状態を維持するために設置されていたが、このような運転をするケースはこれまで発生しなかった。また、これまでの実績を鑑みると、今後も発生しないと考えている。仮にそういう事態になったとしても別の方法で対応できるので、最近のプラントではこの系統は設置されていない。 (藤家委員長) 当初はいろいろと事象を想定していたので、この機能が設置されたのだと思う。しかし、後で必要がないと分かっても、実際に系統を撤去する、という判断はなかなかできなかったのだと思う。 (佐藤総括安全審査官) 撤去しなくても問題はない。しかし、今回水素が蓄積して燃焼する事象があったので、この系統に水素が入ってこないように弁を設置する、あるいは、この系統を撤去する、といった対策を講じるように、事業者に指示を出している。 (竹内委員) 是非、水平展開をしてほしい。 (佐藤総括安全審査官) 他のプラントでも同じような申請が来ている。 (木元委員) これについては説明責任があるので、一般の方々にも理解できるようにしてほしい。 (藤家委員長) 何かが起ってから検討するのではなく、どうすれば起きる前に検討することができるのかが重要である。 (竹内委員) 技術者は、こういうこともありうるのではないかといろいろと考え、それらの対策を考慮してきたが、それをやりすぎる場合がある。また、システムの簡素化により、リスクを減らすことができる。
- (2)東北電力株式会社 女川原子力発電所の原子炉設置変更について(諮問)
- 標記の件について、佐藤総括安全審査官より資料2に基づき説明があり、以下のとおり発言があった。
(藤家委員長) 議題1と同じ案件である。また、工事に要する資金も2億円程度であり、特に問題はないと思う。引き続き審議していきたい。
- (3)日本原子力発電株式会社 東海第二発電所の原子炉設置変更について(諮問)
標記の件について、小原統括安全審査官より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長) この他の110万キロワット級の発電所でも変更する予定があるのか。 (小原統括安全審査官) 福島第一原子力発電所2号機〜5号機及び福島第二原子力発電所1号機〜4号機でも、同じような変更を実施する予定である。柏崎刈羽原子力発電所1号機では、系統を撤去するのではなく、弁を設置する予定である。 (木元委員) 題1の浜岡原子力発電所1号機では「余熱除去系」であったが、これと「残留熱除去系」は同じものなのか。 (小原統括安全審査官) 系統の位置付けは、全く同じものである。発電所によって、名称が異なっている。
- (4)平成15年度原子力関係予算ヒアリングについて(外務省)
標記の件について、松林課長補佐より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理) 私の知る限りでは、IAEA(国際原子力機関)の日本人職員22名のうち、次長が1名、部長クラスが2名だったと思う。ラインの課長も非常に重要だが、何名いるのか。また、増えているのか、現状維持なのか。日本人職員の人数を増やすことも重要だが、特に中堅や幹部職員を増やすことが重要である。 (松林課長補佐) 我々も中堅や幹部の派遣の重要性を認識しているが、派遣するこちら側の都合と受け入れる側の都合が合わないといった問題もある。例えば、IAEA側としては、長期間在職してほしいと希望しても、日本側では、長期間海外に派遣することは若干難しいといった事情がある。このようなフレームワークの問題があり、議論しているところである。 (遠藤委員長代理) 保障措置の強化のためには、核物質防護条約と併せて、追加議定書の締結推進が非常に重要だと考えている。追加議定書の締結国は、ここ1年間で19カ国から25カ国まで増えているが、さらに増やしていきたい。我々も可能な限り取り組んでいきたい。会議の開催ばかりでなく、米国とも協力して、あらゆる方法を考えて締結国が増加するよう努力してほしい。 (森嶌委員) この議定書の発効要件は何か。 (松林課長補佐) これはIAEAとの二者間協定なので、ある国が締結さえすればその国との間で発効する。 (木元委員) 技術協力基金について、具体的に項目が挙げられているが、より具体的に説明してほしい。例えば、農業での放射線利用については、ある国でこういうことをやっている、といったように事業の現状が見えてくると、良く理解できると思う。文字の羅列だけでは、なかなか理解できない。 (松林課長補佐) IAEAとしての活動についてはご説明できると思うが、日本の分担金や拠出金が実際に何に使われたかを、すべてについて把握することは技術的に不可能である。 (木元委員) 例えば、どこの国の資金かは分からないが、この国に、このような支援をして、このような成果をあげた、そこには日本の資金が入っているだろう、といった説明でも良いと思う。 (遠藤委員長代理) IAEAの事業として、「地中海ミバエ」の撲滅事業を実施した、と聞いている。 (藤家委員長) IAEAから報告はないのか。 (松林課長補佐) IAEAの総会での報告や年次報告等、様々な報告が行われている。 (藤家委員長) IAEAの報告はパターン化して、木元委員が期待しているようなところまで至っていないのではないか。 (木元委員) 資金を出したら、報告義務が生じる。 (森嶌委員) これはIAEAに限ることではない。我が国は、国際機関に資金を出しても、それがどのように使われているのかについて把握していない。今、ODA(政府開発援助)について、例えば、米国等では、そうしたことについてきちんと把握し、自分達が望んでいるところに向けて支援を行っているが、我が国の場合はそうではない。GEF(地球環境ファシリティ)という機関があり、我が国からかなりの額の資金を出しているが、アジアに対してほとんど使われていない。かねてから言っていることだが、資金を出したら、外務省は責任を持って、何に使われているのかについてきちんと報告しなければならない。IAEA全般の活動について同様な問題があるとは言わないが、原子力委員会にきちんと報告してほしい。そうすれば、拠出国としてどのようなことを望んでいくか、といった議論ができると思う。
「2.OECD・NEA」に「2)全エネルギー供給における原子力の役割のための、技術的・経済的側面からの検討」とあるが、レポートは出ているのか。(松林課長補佐) 順次出ている。 (森嶌委員) 我が国でも、原子力に対して技術評価や経済的評価などいろいろと求められているので、我が国でも利用できるように原子力委員会にも報告してほしい。
「4)国際研究開発計画及び共同事業の設立」についても、我が国にとってどのような意味があるのか、といったことをきちんと確認した上で進めていってほしい。
「チェルノブイリ石棺基金」については、我が国からも資金を出しているが、そういった基金の下で実施される事業は、ほとんど米国や欧州のコンサルタントが担当している。そして、その事業を通して、技術が開発され、ノウハウが蓄積されていく。我が国もいろいろな技術を持っているので、民間会社を派遣したりして、事業に貢献するとともに技術を蓄積していくべきである。「チェルノブイリ石棺基金」については、我が国からも5千万ドル近く拠出しているので、我が国ではこのような事故は起きないと思うが、何かあったときのために、このような事業を通して、技術力を向上させ、人材を確保していくよう配慮してほしい。また、このような可能性についても報告してほしい。資金を出したらおしまい、ということでは国民の合意は得られない。(木元委員) 森嶌委員の意見のとおりであり、先週も先々週も申し上げたことだが、チェルノブイリの件については、メディアは注目して報道するので、国民の皆さんに、この資金はここでこのように使われている、ということが良く見えると思う。写真が1枚でもあれば、分かり易く伝えることができるが、委員として理解していないと何も説明することができない。また、費用対効果が見えないと、国民の皆さんの同意は得られないと思う。 (森嶌委員) 世界に対しどのように貢献しているのかだけでなく、直接的でなくても、我が国に対してどのように貢献しているのかが重要である。今、ODAについても、このように不景気なのに、なぜそのように資金を出すのか、という声がある。これは必ずしも適切だとは言えないことだが、5千万ドルでも、景気の悪いところから見ると、そのように思われてしまう。外務省では、世界に対してこのような貢献をしており、我が国にとってもこのような意味がある、ということをきちんと考えて発信してほしい。また、報告してもらった上で、原子力委員会でもそういったことを考えていかなければならない。 (遠藤委員長代理) 私も同意見である。OECD(経済協力開発協力機構)のNEA(原子力機関)から、「京都議定書と原子力」という良いレポートが最近出た。近いうちに説明したい。 (竹内委員) OECD・NEAのレポートは、いろいろと専門性が高く、レベルが高い。 (木元委員) レベルが高いものでも、国民の皆さんが理解できるようでなければならない。一般の方にも理解できる簡単なものを出せれば良いと思う。 (森嶌委員) 我が国においても、原子力の役割が問われてきている。こういったときに、OECDのレポートは非常にすばらしいのに、それに比べて我が国のレポートは、ということでは良くないと思う。少なくともOECDのレポートを、我が国の状況と照らし合わせて、OECDで使った方法は我が国でも適用できるのかどうか、ということを含めて検討し、評価に使う必要がある。事務局でもこのような情報を集めて、原子力委員会が説明責任を果たすときに、こういったものを基礎として使えるかどうかを、きちんと検討しておいてほしい。 (松林課長補佐) 技術協力基金の使途は、理事会で議論の上決定される。また、その前の段階でも、どのようなものが重要かについて関心国で非公式な協議等を行っており、使途については、日本も決定に参画している。いずれにせよ、各委員のご指摘を踏まえて、対応を検討したい。
OECD・NEAのレポートについては、年間に多数出ているので、1つ1つ説明することは難しいが、主なものについては事務局を通してご報告したりしていきたい。なお、それらは、インターネットでも入手できる。
「チェルノブイリの石棺基金」については、チェルノブイリ事故のインパクトは日本より欧州の方がはるかに強いので、欧州の方が多く拠出金を負担している。また、プロジェクトについては、一般競争入札によってコンサルタントやコンソーシアムが決められている。さらに、EBRD(欧州復興開発銀行)のような国際機関の規定もある。もちろん我が国の貢献の仕方や我が国にとっての効果を意識すべきだと当然考えているが、こういった事情があることをご理解いただければと思う。(藤家委員長) 確かにチェルノブイリの場合はそのとおりだが、我が国の負担が大きいプロジェクトでは逆のロジックとなる。 (木元委員) IAEAへの技術協力の要請は、かなり来ているのか。 (松林課長補佐) かなり来ていると聞いている。 (馬越課長補佐) 開発途上国をつなぎとめ、国際的な核不拡散体制を構築する、ということでも技術協力基金は意義がある。毎年予算を決めるときに、途上国側から予算を増やしてほしいと要望があるが、予算額を抑えたい先進国との間で、いろいろとせめぎ合いがある。プロジェクトの要請はいろいろと来ている。 (木元委員) それについて、全部は無理だが、後で教えてほしい。 (馬越課長補佐) 了解した。
- (5)原子力科学技術に関する研究・開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)について(外務省)
標記の件について、馬越課長補佐より資料5に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理) どのようにプロジェクトを選定するのか。 (馬越課長補佐) 年1回コーディネーターが集まって議論し、毎年開催する総会で決定される。 (遠藤委員長代理) これは「ひも付き」、つまり、拠出した資金をこのプロジェクトに使ってほしい、ということができるのか。 (馬越課長補佐) 経済協力と同じように取り扱えないが、ある程度我が国の主張は認められると思う。 (遠藤委員長代理) そうすると、拠出国の意向がかなり働きうるということか。 (馬越課長補佐) そのとおりである。 (竹内委員) 拠出金の表を見ると、拠出している国や拠出金の額もばらついている。コーディネーターの会議で必要だと決まった場合、そのように主張した国の主導でプロジェクトを実施する、という形になるのか。 (馬越課長補佐) 例えば、2000年の我が国の拠出額は43万ドル、2001年はゼロとなっているが、これは会計手続き上の理由でそうなっているだけである。実際は、2001年でも30万ドルの拠出を決めていたが、実際の支払いの時期がずれているだけである。 (森嶌委員) RCAとは、何の略か説明してほしい。 (馬越課長補佐) 「Regional Cooperative Agreement for Research Development and Training Related to Nuclear Science and Technology」である。 (遠藤委員長代理) FNCAは、資金を出すといった垂直型の協力ではなく、水平型の協力をすることになっているが、相手国の実状を考えると、垂直型にならざるを得ないところがある。FNCAで出てきた相手国の要望を、RCAに流し込んでいくことは可能か。 (馬越課長補佐) その点については、これから調整していかなければならないと思っている。我々としては、RCAは垂直型の協力、FNCAは水平型の協力だと認識している。他方、メンバーの国も異なり、やっている分野も違うところがあると認識している。 (遠藤委員長代理) 本来は水平型であるが、現状は水平ではなく、斜めといったところがある。 (馬越課長補佐) プロジェクトの実施については、RCAは協定に基づいているので、法的な根拠があり、透明性も確保されている。FNCAの場合は、この点が明確ではないと思う。 (遠藤委員長代理) そういうことではなく、FNCAで出てきた要望をRCAにつないでいけるかどうか、ということである。 (馬越課長補佐) その点については、今後調整させていただきたい。 (藤家委員長) FNCAとRCAを一緒にしてしまうことは良くないと思う。どの程度まで重複すれば良いのか、といった問題になると思う。ただ、計画段階において、重複をどの程度にするかについて報告を受けていない。これから相談していきたい。 (馬越課長補佐) プロジェクトの選定プロセスにおいては、外務省だけではなく、文部科学省等からも検討に参加いただいている。原子力委員会とも今後調整させていただきたいと思う。 (藤家委員長) 各省にまたがるような課題については、原子力委員会で調整していくべきである。
- (6)福島県知事と原子力委員会の意見交換の結果について
- 昨日(8月5日)に開催された福島県知事と原子力委員会の意見交換会の結果について、以下のとおり意見交換があった。
(森嶌委員) 意見交換会の持ち方についてだが、我々の方では、冒頭に知事が一通りお話することしか事前に知らなかったが、先方はかなり詳細な質問を準備していたようだった。しかも、2時間半では対応できないぐらい議題が設定されており、その結果、新聞等では、議論が噛み合わなかった、委員会は答えなかった、と報道されている。時間的に答えることができなかった、というのが実際のところだと思う。今後、同じような会を実施するときは、事務局で、決められた時間の中で十分に意見のやり取りができるようにセッティングしておいてほしい。知事はフラストレーションが溜まったとおっしゃっていたが、こちらも答える時間がなくて欲求不満が溜まっていた。こちらから答えられるような仕組みになっていなかったので、対話という形で行えるように、ある程度議題を整理しておいてほしい。昨日の意見交換会が失敗だったということではなく、これを教訓として、この次に行うときは、どのようなテーマで、どのように議論し、どのように時間を配分するのかについて整理しておきたい。
知事が提起された疑問は、原子力長期計画をきちんと読んでいただければ、出てこない類のものだと思っている。しかし、これまでもそうだったが、例えば、再処理のコストや時間的な課題について、知事や県側の視点から説明してこなかった。その結果、会のセッティングにも一因はあるが、外側で聞いている方には、すれ違っている、質問に対してきちんと答えていない、と思われてしまっている。原子力委員会としては、それぞれの質問に対して、問題提起した側の立場から資料を整理して、「いつでも、どこでも、だれとでも」を実践できるよう準備をしておかなければならない。昨日の意見交換会で、事務局でいろいろと準備してもらって非常にありがたかったが、原子力長期計画の立場からだけでなく、問題を提起した方の立場から資料をきちんと準備しておき、原子力委員会としての説明責任を果たせるようにしたい。(木元委員) 意見交換会の後の記者会見に出席できなくて申し訳なかった。昨日はもともと仕事が入っていて出席できない予定だったが、その仕事を夜にずらして、意見交換会に臨んだ。その仕事のため、早く帰らなければならなかった。
意見交換会についていろいろな声があったが、私の感想としては、今回のような方法では、圧倒的に時間が足りなかったと思う。あらかじめ想定できたことかどうかは分からないが、知事は、当初の予定では30分間ということだったが、1時間もお話しされた。それは、ご自分のご意見を公の場で国に主張することが初めてで、今まで溜まっていたものをすべて言っておきたいという気持ちが強かったからではないかと思う。だから、知事のお話をすべて伺えたことは、十分に意味があったと思う。しかし、知事から、このときはこうだったけれど、ここが分からない、ここについて答えてほしい、といったご発言があっても、すぐに次の議題に移ってしまい、一問一答することができなかった。それが、噛み合わない、と見られてしまったのかもしれないので、非常に残念に思う。一問一答形式で行うのであれば、きちんと答えられるように用意していた。こちらも答えることができなかった、という欲求不満がある。そうする機会をいただければ良かったと思う。
知事がお話しになって、こちらがお答えしようとしたとき、福島県の部長が、実はこちらでこのようなものを用意している、ということで突然OHPを使って説明されたが、その意図が良く分からなかった。知事が情報公開の話をされたときに、このようなことがある、とお話しされるのであれば分かるが、すべて終わった後に出てきたのはどういうことだったのか。情報公開については、私も意見を述べさせていただいたが、もっと申し上げたいことがあった。これは、少し唐突であり、これだけを特化するのはどうかと思った。
しかし、曲がりなりにも、このような機会を持つことができた。再度お会いすることができるか分からないが、市民参加懇談会を開催させてほしいと申し入れることもでき、次のステップにつながっていくのではないか、という点で非常に良かったと思う。(藤家委員長) OHPについては、何も聞いていなかった。当初は、OHPを使うことをお互い想定していなかった。OHPを使った方がずっと説明しやすい。今回は、事務局に準備をかなりがんばってもらったが、次の機会では、こういった点も含めて事前にしっかりと調整しておきたい。 (竹内委員) 私も同意見である。知事と直接話し合うことができたことは、大きな成果だと思っている。知事の思いが良く分かった。原子力委員会は説明責任を果たしていない、というご意見があったが、双方向の対話をしない限り、これは達成できないと思う。昨日の意見交換会も時間が全くなく、テーマが次から次へ流れてしまっていて、双方向の対話にはならなかった。知事の思いはたくさん聞くことができたが、その点がもったいなかった。1つのテーマだけで意見交換を行うのも良いのではないかと思う。 (藤家委員長) 地方自治体と原子力委員会が話し合うのにふさわしいテーマは何か。そうしたテーマがすべてだとは思わないが、なんでもかんでも議論するというわけにはいかない。3日〜4日泊り込みでできるのであれば良いが。 (木元委員) 今回取り上げられたテーマは、3日〜4日泊り込まなければ対応できない量であった。市民参加懇談会の話をしたときに、どのような暮らし方をしたいのか、どのように省エネを進めるのか、ということを原子力委員会は検討すべきだ、と知事がご発言され、エネルギー政策の基本を踏まえた対話をしたいという思いは納得できたし、今まで知事の胸に溜まっていた思いのたけが、今回一気に出たのだと思う。 (竹内委員) 知事は、「原子力の熟成期」という言葉を使っていた。藤家委員長もこの言葉を使っているが、使っている意味が違う。こういったところの議論もできれば良かったと思う。 (木元委員) どうしてそのようにお考えになるのか、ということを伺えれば良かった。 (遠藤委員長代理) 私も同じ考えであり、今回は意見交換会をすることができて良かったと思う。2時間半と時間は決まっていたことなので、もう少しどのようなことをするのかについて事前に調整しておけば良かったと思う。ただ、先方は組織体なので、知事以外の方が長く話すことはどうかと思う。それに時間がかかり、こちらから意見を述べられなかった。しかし、記者会見で言ったとおり、グットスタートだったと思っている。 (木元委員) 目の前で、知事のお考えやお気持ちを伺えたことは、広く聴くという点からも良かったと思う。 (藤家委員長) 評価は何点かと問われて、80点と答えた。その最大の理由は、各委員の意見のとおり、まず会うことができたということである。それから、手紙で書いたことだが、原子力政策に対する批判があれば、それに対しては原子力委員会の説明責任があるが、すべてのことに答える立場ではない。事業者が答えるべきこともあるし、行政庁が答えるべきこともある。このため、今回、原子力委員会が説明すべきことは、エネルギーに関することであろう、ということで、原子力発電と核燃料サイクルに限ってお話しした。これらについては、原子力委員会のメッセージを伝えることができたと思っている。しかし、知事がお話しされたことに対し、一通り答を準備していたが、すべてについて答えることができなかったという課題を残していると思う。再びお会いする機会があるのか、また知事のご発言に答えるメッセージを作るのかどうかについて検討する必要がある。 (木元委員) またお会いしたい。これが始まりだと思っている。 (藤家委員長) 知事のお話しでは、またお会いできるかどうか分からないが、私も今回だけで終わりだとは思っていない。 (遠藤委員長代理) グットスタートというのは、まさしくそういう意味である。 (木元委員) エネルギー政策とその政策を作るプロセスで、どのように自分たちが関われるのかが見えない、という点が非常に重要なので、きちんと話し合いをしたいと思う。 (藤家委員長) 今日の新聞に、平成12年の原子力長期計画から一歩も進んでいないとあったが、現行の原子力長期計画はJCOの事故も考慮して策定したものであり、それから変更しなければならない状況にはなっていない。原子力委員会は政策を進めていくところであり、政策を頻繁に変えられるものだと思われると少しきつい。
いずれにしても、評価は80点ということで良かったと思っている。皆さんのおかげである。(森嶌委員) 原子力委員会としては、このような機会をこれからも作っていかなければならない、そのためにはどうするのかという課題と、我々がどのような視点で答えていくのかという課題を述べた。平成12年の原子力長期計画から一歩も進んでいないというのは、時間的なことを言っているのではなくて、平成12年の原子力長期計画に書いてあることしか言わなかったのではないか、ということだと私は理解している。一方、平成6年の原子力長期計画を変更したことがおかしいのではないか、という問いもあったが、その変更はまさに成果である、と答えた。重要なことは、いろいろな疑問に対して、知事や福島県側の視点から我々が説明していくことではないかと思う。原子力委員会としては、福島県に対してだけでなく、これからも続けていかなければならない。
原子力政策への関与などについては、市民参加懇談会とは別なものを作るのか、という質問が記者会見であったが、私としては、そういうことではない、しかし、市民参加懇談会だけで足りるかどうかは別であり、これから検討していくが、アイデアとしては市民参加懇談会の発想だと答えた。(榊原参事官) 各委員からご指摘があったとおり、事前にいろいろと調整したが、このような結果であった。申し訳なかったと思う。 (藤家委員長) 事務局は十分にがんばってくれた。これから、1つずつ良くなっていくしかないと思う。
- (7)日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について
標記の件について、以下のとおり意見交換があった。
(遠藤委員長代理) 今日は、原子力委員会としての今後の進め方について議論したい。文部科学省の原子力二法人統合準備会議で報告書を出したので、まずきちんとこれを読んで、異論などがあったら、これを作った責任者に問いたいと思う。第2ラウンドの議論では、まず、当事者から意見を聞くことから始めたいと考えている。それを踏まえて、原子力委員会で、具体的に検討していきたい。 (木元委員) 当事者から話を聞かなければいけない、と以前から申し上げており、早く実現したい。また、前回の定例会議でも申し上げたが、原子力委員会は新法人に対し、どのように介入できるのかについては、明確にしておく必要がある。 (遠藤委員長代理) そのとおりだと思う。それから、原子力委員会の意見が反映されていない部分もある。 (藤家委員長) 原子力委員会で報告書を作らなければならないのかもしれない。準備会議で考えていることもあると思うので、修正してほしいと言うだけでは済まないと思う。
また、原子力委員会としては、1つの省庁だけではなく、全省庁に渡り原子力全体を見ていかなければならない。そういった立場から報告書を書くことを考えなければならないと思う。新法人は、経済産業省や外務省、農林水産省、厚生労働省などとも関係があり、原子力委員会としては、各省庁の考えを聞いて調整することが必要である。(竹内委員) 私も同じ意見である。次の段階では、具体的にどうするのかについて議論したい。 (藤家委員長) お盆明けに第2ラウンドの議論を始めたい。報告書を書くぐらいの覚悟で対応したい。
- (8)人事案件について(非公開)
- 人事案件を審議することから非公開とした上で、文部科学大臣より、日本原子力研究所法第12条第1項に基づき原子力委員会へ同意を求められた件については、同意する旨回答することとした。
- (9)その他
- 事務局作成の資料6の第29回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
- 事務局より、8月13日(火)の定例会議は休会とし、8月20日(火)に次回定例会議が開催される旨、発言があった。