平成15年度予算要求に向けた考え方について

平成14年7月30日
原子力安全委員会事務局


平成14年度予算額 1,031百万円
(括弧内は平成14年度予算額(百万円))

1.原子力安全に関する国民との対話の促進(145)
 原子力の安全確保に関して、国民の理解を得るためには、前提として、徹底した情報公開が重要である。その情報公開は、国民に対して出来る限りの理解を得るため分かりやすい必要があり、言いかえれば関係者は国民に判断ができる情報を提供することが重要である。
 他方、情報の受け手となる国民の関心の高さが安全を確保する上で大きな力になり得ることから、国民が原子力安全を自らに関わりの深い問題として認識し、考えること、すなわち、双方向の意思疎通の実現を通じて、国民の理解の促進が達成される。
 平成15年度においては、リスク・コミュニケーションの手法等に関する調査、並びに「安全目標」策定に対するリスク・コミュニケーションの積極的活用等の施策を重点的に実施する。

2.原子力の安全確保に関する知的基盤の整備(169)
 原子力施設の安全確保、原子力災害対策等を実施するにあたって、必要な技術的知見・経験等を獲得し、その蓄積を行うことにより、次の段階の活用に資することが必要である。具体的には、安全文化の醸成・定着のための検討、安全研究の計画策定、事故故障・トラブルの調査分析、国際協力の推進等の諸活動を実施する。
 平成15年度においては、国際的な放射線障害防止への取組みに対する的確かつ総合的な対応の実施、原子力安全業務総合支援システムの整備・運用、並びに安全文化の調査・検討等の施策を重点的に実施する。

3.原子力施設の安全確保(558)
 原子力に係る安全規制は、原子炉等規制法等により厳格に行われ、行政庁による規制活動に加え、原子力安全委員会が行政庁による安全審査の再審査(ダブルチェック)を実施し、さらに設置許可後の建設・運転段階においても、行政庁による安全規制活動を把握・確認しているところである。
 このような安全確保活動を遂行するにあたって、安全基準、指針類を整備することは、安全審査等に参照・活用されることを通じて、安全規制の客観性、合理性を向上させることとなる。
 平成15年度においては、原子力施設の耐震安全性の向上に関する調査等の施策を重点的に実施する。

4.原子力災害対策(159)
 原子力の安全確保のいかなる取組みをとろうとも、原子力災害のリスクは存在するため、万一の場合に備える必要がある。
 原子力災害対策特別措置法は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的としているが、同法により原子力安全委員会に義務付けられた事項を整備するとともに、防災訓練を実施することにより、実効性のある原子力防災体制を構築する。
 また、事故や災害への対応上、最も優先されるべきは人命の救助であり、実効性のある原子力防災体制を構築するために、緊急被ばく医療体制の整備等を実施する。


 なお、原子力安全委員会としては、安全研究の重要性に鑑み、安全研究に関する行政機関、研究機関等からなる関係機関連絡会議を開催する予定。
 研究機関においては、平成13年度から開始された安全研究年次計画に基づいた研究が確実に推進するための経費を所管省庁に対して概算要求中。