「我が国の旧ソ連諸国向け非核化協力事業について」

I.

旧ソ連非核化協力委員会の概要

II.

非核化4委員会で実施済みないし計画中のプロジェクト

III.

「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」及び事業の実施に関する「指針」の概要と評価

2002年7月23日


旧ソ連非核化協力委員会の概要


非核化4委員会で実施済みないし計画中のプロジェクト



「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」
及び事業の実施に関する「指針」の概要と評価

平成14年6月28日
外務省

1.本構想の概要及び評価
(1)G8首脳は、6月26、27日のカナナスキス・サミットにおいて、大量破壊兵器、すなわち核、化学、放射性、生物の各兵器、及びその関連物資等の拡散防止を主たる目的として、「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」を発表した。
(2)これは、まずロシアを対象に、不拡散、軍縮、テロ対策及び環境を含む原子力安全に関連するプロジェクトを協力して実施することを内容とするもの(G8以外の諸国に対しても、本構想への参加を呼びかけている)。本構想の下で、G8は、今後10年間にわたって、200億米ドルを上限に資金調達を行うことを努力目標として掲げた。また、G8は、協力事業の円滑な実施を図るために、事業の実施に関する「指針」を策定した。
(3)本構想は、安全保障、テロ対策を含む不拡散、環境保全の3点で大きな意義があり、G8首脳が協調して取り組むことに合意したことは高く評価できる。

2.「指針」の意義と我が国の貢献
(1)「指針」の意義
 我が国がその必要性を強く主張し、本パートナーシップと併せてG8首脳が合意した「指針」は、責任の所在、十分な協力の必要性、評価のためのG8調整メカニズムの設置を定めるとともに、アクセス確保、税金免除、免責保証等の点で必要な措置を講じることが明記されている。従来我が国を含めた各国が行ってきたこの分野での対露協力において直面してきた諸困難を解決し、具体的事業を円滑に実施していく上で、本「指針」は極めて重要であり、実効的に機能することを期待する。

(2)我が国の貢献
 小泉総理は、サミットの場において、協力事業の実施上の困難が解決されることが協力の前提である旨しっかり述べた上で、我が国の貢献を発表した。具体的には、当面、2億ドル余の貢献を行うこととし、その内1億ドルを余剰兵器プルトニウム処分のためにG8が新たに設立する国際機関に拠出することとした。将来、我が国が協力するのに適当なプロジェクトがあれば、更に実質的な貢献を検討する考えである。

(参考1)「指針」(「新規または拡張された協力事業に関する指針」)のポイント

  • 各国が、不拡散等の義務の履行に関し第一義的責任を有し、全面的協力を行うことにコミット。
  • 現場への十分なアクセスの確保等のため、モニタリング、監査、及び透明性に関する効果的な措置等につき相互に合意が必要。各事業毎に中間目標を策定。税金免除、賠償請求からの免責保証、特権免除など必要な措置をとる。
  • G8は、本イニシアティブの下での事業の進捗を毎年評価するための調整メカニズムを設置。
  • ロシアにおける事業に地理的に焦点を絞る。ロシアは、本パートナーシップ内での義務及び必要な事項の実施に第一義的責任を有する。
  • 旧ソ連諸国を含め、ガイドラインを受け入れる用意のあるいかなる他の国とも交渉に入る用意がある。

(参考2)余剰兵器プルトニウム処分に関する国際機関構想
 米露核軍縮交渉等の結果を受けて、ロシアが削減する核兵器から生じるプルトニウムについて、G8が今後新たに多数国間の枠組み(国際機関)を設置し、その処分作業を行わせようとの構想。2000年の九州・沖縄サミットで初めてその考えが打ち出され、本年6月のG8外相会合において発出された議長声明でも、標記国際機関に係る交渉を2003年に完了する旨述べている。

以上