アジア原子力地域協定(RCA)概要

平成14年7月
科学原子力課

  1. 名称
      RCAとは、「原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定」(Reseach Cooperative Agreement for Reseach,Development and Training to Nuclear Science and Technology)の略称。

  2. 目的
     本協定は、IAEA活動の一環として、アジア・太平洋地域の開発途上国を対象とした原子力科学技術に関する共同の研究、開発及び訓練の計画を、締約国間の相互協力及びIAEAとの協力により、適当な締約国内の機関(我が国の場合は、日本原子力研究所、放射線医学総合研究所等)を通じて、促進及び調整することを目的とする。

  3. 協定の成立経緯
    (イ)RCA協定は、原子力に関する地域協力を促進するための枠組みを検討する目的で開催されたIAEAの会合(1963年3月於マニラ、1970年7月於バンコク)の勧告に基づいて作成された同名の協定を基礎にしている。右協定は、1972年6月12日に有効期限5年を以て発効し、1977年及び1982年にそれぞれ5年間の延長が行われた。(我が国は、1978年より同協定の締約国。)
    (ロ)1987年には、上記協定の改正を行い、5年の期限で発効した。同協定は、1992年、1997年及び2002年にそれぞれ5年間延長されている。

  4. 締約国(アルファベット順)
     豪州、バングラディシュ、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ニュー・ジーランド、パキスタン、フィリピン、シンガポール、スリ・ランカ、タイ、ヴェトナムの17ヶ国。

  5. プロジェクト
     2001−2002年に本協定に基づいて実施されているプロジェクトは、7分野36プロジェクト。主なものは次の通り。
    1) 農業:「米穀の遺伝子変異改善」、「家畜の飼養・繁殖の効率管理」等
    2) 健康:「移植細胞放射線殺菌の品質保証」、「核診断応用」、「子宮癌放射線治療」等
    3) 工業:「癌治療コバルト60線源の製造・品質管理」、「非破壊検査・評価」、「非破壊検査・放射線トレーサー・密封線源を用いた石油化学産業における過程診断と活用」、「低レベル放射能・携帯核種計測器を用いた鉱物資源実収への活用」等
    4) 環境:「環境と工業発展の効率管理」、「空気汚染評価のためのアイソトープと関連技術」、「飲料水の管理・防護におけるアイソトープ利用」、「海洋海岸環境汚染の管理」、「農産廃棄物への放射線加工の応用」、「放射線加工を用いた天然高分子の良質化と環境保全向上」等
    5) エネルギー/研究炉/廃棄物管理:「非原発施設由来の放射性廃棄物処分」、「研究炉運転・利用改善」、「グリーンハウス効果排出物緩和のための原子力と他のエネルギーの役割」
    6) 放射線防護:「放射線防護の調和」、「環境放射線モニタリングと地域データベース」
    7) 一般:「途上国間技術協力」

  6. 予算
     IAEAの技術協力基金および各国政府の任意拠出によりプロジェクトを実施。2002年のRCA予算は、約475万米ドル。我が国は任意拠出として平成12年度に43万米ドル、平成13年度に30万米ドルを拠出。

  7. RCA事務局
     RCA活動を調整するための「RCAコーディネーター」を中心とする事務局がIAEAに設置されている。現在のRCAコーディネーターはアレタ氏(フィリピン)。

  8. RCA地域事務所の設置
     2001年RCA総会において、2002年から韓国(ソウル)においてRCA地域事務所の暫定運営を開始する旨決定。2002年はRCA発足30周年にあたり、2002年3月の政府代表者会合の際に暫定事務所を開設した。但し、地域所長の選出方法や経費負担、特権免除等の扱い等については今後の正式開設(2004年)にむけて引き続き協議が検討される。