第24回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日時 2002年6月18日(火)10:30〜11:10
2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
 榊原参事官(原子力担当)
文部科学省研究開発局原子力課
 中西課長

4.議題
(1)原子力二法人統合準備会議の検討状況について
(2)原子力委員会の当面の重要課題について
(3)その他

5.配布資料
資料1 原子力二法人統合準備会議における検討の進捗状況について
資料2 原子力委員会の当面の重要課題
資料3−1 藤家原子力委員長から佐藤福島県知事への書簡について
資料3−2 第23回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)原子力二法人統合準備会議の検討状況について

標記の件について、中西課長より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)  準備会議の委員のご提言の中に、「Center of Excellenceを目指すべき」とあるが、これは世界的レベルの知的集団を指すものであり、とても心強く思う。原子力委員会でも議論してきたが、準備会議の小林委員からも、放射性廃棄物を含む、言わば「負の遺産」とでも言うべき問題は統合前に解決しなければならない、といったご指摘がある。また、住田健二委員からは、まだ統合まで時間があるので、新型炉や放射性廃棄物の処理・処分、FP(核分裂生成物)消滅などについて、二法人が統合する前でも合同で行う研究を早く立ち上げた方が良いのではないか、といったご提言があり、私個人としては心強く思っている。
(遠藤委員長代理)  新法人は、人材育成の場として非常に重要である。国内外、特にアジアにおける人材育成のセンターとなるべきである。これについては、準備会議の委員のご提言の中でも触れられており、具体的にどうするのかが重要である。
 また、秋元委員から、核廃絶に向けた国際貢献を図るべきだ、といったご提言がある。これは、現在の法人にとっては所掌外だが、技術国において我が国には実際に担当しているところがないので、新法人に期待することは良いことだと思う。これについても、具体的にどうするのかが課題である。
(藤家委員長)  私も同感であり、大変良いご意見だと思う。ただ、この資料をきちんと読んでいないが、全体として、エネルギー利用としての原子力といった側面に少し偏っているかもしれない。科学技術としての原子力といった側面についてのご提言が少ないように思える。
 資料には、「国益」という観点からもご意見が述べられており、大変結構だと思っている。また、新法人に対する期待がかなり大きいと感じている。特に、核不拡散や核廃絶については、遠藤委員長代理の意見のとおり、このように具体的なご提言はこれまでなかったので、重要なメッセージとして受け止めたい。それと併せて、国際関係では、平和利用について全体をどう見るのか、具体的には何を協力するのか、ということも重要だと思う。
(遠藤委員長代理)  藤家委員長の意見のとおりである。こういった理念について反対する人はいないと思う。いかにしてやるかが重要である。
(藤家委員長)  今の時点で具体化されていないことは、仕方がないことだと思う。この理念を実行に移すことは容易でないと思うが、具体化していく必要がある。また、原子力委員会でこれまで述べてきた「効率化・重点化」をどう当てはめ、具体的にどうするのかが重要だと思う。
(中西課長)  原子力委員会から「基本的な考え方」を既に示していただいており、現在それに則って議論がスムーズに進んでいる。中間報告は、骨格や方向性の一部をまとめた形にする予定であり、具体的なことについては、その次の段階でまとめることになると思う。その具体論がまとまった段階で、またご報告したいと思う。

 (2)原子力委員会の当面の重要課題について

標記の件について、榊原参事官より資料2に基づき説明があり、以下のとおり意見交換があった。
(藤家委員長)  前々回や前回の定例会議でも議論してきたが、当面の重要課題については、このように定例会議の場で議論し、具体的な形に残していくことが大事だと思う。この資料は、前回の定例会議での議論をまとめたものだが、ここで挙げられている各項目の順番とその重要度とは、全く関係ない。この他にも課題はあるが、それはまだ議論する段階に至っていないものである。
(遠藤委員長代理)  「その他」には、研究炉の課題が含まれる。研究炉は、人材育成にも関係することだが、放射性廃棄物の処理・処分や、使用済燃料の海外への返還についても考慮する必要があるので、総括的に取り組むべきだと思う。
(竹内委員)  研究炉から出た使用済燃料の米国への返還の期限は、2007年と聞いている。返還のタイムスケジュールや、どこにどのくらい使用済燃料が残っていて、何が課題となっているのか、といったことを整理する必要があると思う。この課題に対しては、国家的な戦略が必要であり、これからも議論していきたい。
(藤家委員長)  研究炉や研究教育炉は、長い歴史を持っている。昭和30年代から全国の大学で原子核工学科や原子力工学科が創設され、未臨界実験装置が設置された。この装置は、既に存在価値がなくなってきているが、まだほとんどの燃料が処理されずに残っている状況にある。その後、研究炉は大学や民間、特殊法人で作られたが、今はほとんどの原子炉が使われていないと思う。これを今後どう見るのか、これらの原子炉から出た使用済燃料をどうするのか、ということが重要である。一方、日本原子力研究所や核燃料サイクル開発機構では、研究用原子炉が新しく作られたり、作り直されたりしているので、その存在価値は大きい。これらについては、その存在価値から放射性廃棄物の処理・処分などについてまで、広い視野で見ていかなければならない。研究炉は、特に人材育成の面で大きな役割を果たしてきているが、一方で、大学や民間組織では、研究炉を単独で維持するのが難しい状況にある。こういったことを全体的に見ながら議論していくべきである。そういった意味で、横軸で拾い上げていくのか、縦軸で拾い上げていくのかについても議論していくことが必要である。
(竹内委員)  人材育成に関しては、産学でどのような人材が必要なのかについて体系的に整理すべきだと思う。最終的には「Center of Excellence」といった観点から議論していく必要があると思う。
(遠藤委員長代理)  人材育成については、抽象的ではなく、何をどうするのかが重要である。今年の秋に開催するFNCA(アジア原子力協力フォーラム)の会合でも、人材育成について議論したいと考えている。そのためにも、まず我が国でしっかりと議論しておきたい。
(藤家委員長)  昭和30年代に作られた原子力の学科は、ほとんど工学部に設置されており、その時点では技術者の養成に重点が置かれていた。そこでの教育は、炉物理や炉工学、核燃料、放射線といった根幹的なものが中心であったが、それは今原子力界で求められているものなのか、ということを改めて確認することが重要だと思う。文部科学省がメインで検討することだが、その全体像をとらえるために、昭和30年代からやってきたことを一度整理する必要があると思う。おそらく、アジアが求める人材と日本が求める人材との間にはギャップがあると思う。国際的にはいろいろな分野の課題があるので、国際という軸も考慮して考えるべきだろうか。
(遠藤委員長代理)  縦ばかりでなく、横断的な検討が必要だと思う。
(藤家委員長)  これからは世界を無視して進められることはほとんどない。むしろ、科学技術立国を目指す我が国としては、どのように国際的なリーダーシップを発揮していくのか、という視点が必要である。アジアについては、FNCAが大きな柱となるが、それ以外でも政策対話を行う予定である。本件については、今後も議論を続けたい。

 (3)その他
  • 藤家委員長から佐藤福島県知事への書簡について
    標記の件について、榊原参事官より資料3−1に基づき説明があり、以下のとおり意見交換があった。
    (藤家委員長)  前回の定例会議での議論のとおりであるが、原子力委員会は原子力政策について議論し、企画立案するところなので、個別具体的な件については必ずしも関与する立場にはないが、原子力政策に関する基本的な問題について対話が必要な場合には、積極的に対応していくつもりである。そこで、このような書簡を作成した。報道等を通じて間接的に知ったことだが、福島県知事は、原子力政策を具体的に表現している原子力長期計画に対して、政策的な疑問を提起されているのだと思う。原子力委員会としては、いかなる原子力政策も国民の理解と支持がなければ進められない、という認識を強く持っており、いつでも意見交換を行いたいと思っている。原子力政策に対するご意見を十分に伺い、それと併せて、これまで考えてきたことや、現行の原子力長期計画を策定する過程で作り上げてきたことを説明する必要があると考えている。原子力委員会としては、なるべく早い時期に福島県知事にお会いしたいと強く思っている。ご承知のとおり、原子力政策は、「自主・民主・公開」という民主的な運営の下で議論されて作られたものである。決して原子力委員会が恣意的に作ったものではない。これについて議論することは、とても重要な任務であり、今後も積極的に進めていきたいと思っている。
    (遠藤委員長代理)  藤家委員長の意見のとおりである。
    (竹内委員)  なるべく早い時期に対話が実現することを望んでいる。国の政策について、将来はこれで良いのか、と心配されているのであれば、まず直接意見交換をさせていただくことが必要だと思う。
    (藤家委員長)  原子力政策については、対話を通して進めていくことが大切であり、決して、無視したり、無視されたり、ということで片付けられる問題ではないはずである。当然のことだが、原子力委員会は全力を挙げて対応していく、ということを改めて確認しておきたい。

  • 事務局作成の資料3−2の第23回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
  • 事務局より、6月25日(火)に次回定例会議が開催される旨、発言があった。