1.日時 2002年5月30日(木)15:00〜15:25 2.場所 中央合同庁舎第4号館6階 共用643会議室 3.出席者 藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
浦嶋審議官
小巻参事官(評価担当)
榊原参事官(原子力担当)
文部科学省研究開発局核融合開発室
大竹室長
- 4.議題
(1) ITER計画の推進について
- 5.配布資料
資料1 国際熱核融合実験炉(ITER)計画について
- 6.審議事項
(1)ITER計画の推進について
5月29日(水)に開催された第18回総合科学技術会議における標記の件について、小巻参事官より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長) ITERの国内候補地は青森県六ヶ所村という前提で議論を進めて良いのか。 (大竹室長) 構わない。 (遠藤委員長代理) 原子力委員会では、ITER計画懇談会で数年にわたり議論を行い、昨年6月5日に、「我が国がITER計画に主体的に参加するだけでなく、設置国になることの意義が大きい。」という結論を出した。しかし、それ以降の経過については、あまり報告を受けていない。今回の総合科学技術会議の結果については結構なことだと思うが、そのプロセスについては、原子力委員会にはほとんど相談を受けることもなく遺憾に思っている。
国内候補地に選ばれた六ヶ所村については、フランスのカダラッシュやスペインのバンデロス、カナダのクラリントンと比べて、勝算があるのだろうか。設置国になることは容易なことではないが、誘致すると決めたからには、勝たなければならない。資料の2頁で挙げられている項目は、政府間協議を進める上で留意すべきことだと思うが、これが交渉上の足枷にならないようにしてほしいと思う。
また、今後は、もちろん誘致することが大前提であるが、誘致する場合は我が国の費用の負担を少なくする、逆に誘致しない場合は誘致国に多くを負担してもらう、といった二面作戦で進めなければならない。これは相反していることであるが、これを念頭に置いて協議を進めてほしい。
原子力委員会としては、これから国内の推進体制を整えていきたい。また、政府間協議に当たっても、体制をきちんと整え、我が国の外交機能をフルに活用してほしい。今後がんばっていくためにはどうすることが最も良いのか、ということについて、官民の力を合わせて考えていくべきであり、原子力委員会としても積極的に取り組んでいきたい。(藤家委員長) 遠藤委員長代理の意見とほぼ同じである。資料には、「ITER計画に参加することが望ましく、さらに国内に誘致することの意義がある」とあるが、これは、昨年6月5日に原子力委員会が決定した「国際核融合実験炉(ITER)計画の推進について」の内容とほとんど同じである。
この資料では、今後どのように進めていくのかが明確にされていない。この点についてはどうか。(小巻参事官) 今後の対応については、閣議了解を得た後に、政府が政府間協議を進めていくことになる。本会議では、外務大臣から、外務省としても十全に支援していきたい、とご発言があった。 (竹内委員) ITER計画は、我が国にとって非常に重要なプロジェクトである。資料2頁の1.に「原子力分野の予算の範囲内で確保」とあるが、この点については、今後、原子力の中での軽重について議論すべきだと思う。また、当然のことだが、今後のITER計画の位置付けや技術的な面についての議論は、原子力委員会で進めていかなければならないと思う。 (藤家委員長) 各委員の意見で共通していることは、原子力委員会の立場はどうなったのか、という点である。この資料を作成するに当たっては、昨年6月に原子力委員会が決定した文書をかなり参照されていると思う。また、原子力委員会では、核融合専門部会でもITER計画について議論を進めている。今後、総合科学技術会議として、ITER計画について、どのように進めていくつもりなのか。 (小巻参事官) 我が国がITER計画を含む原子力をどのように進めていくのか、については、原子力委員会が企画し決定することが原則である。その原則に従って進めていただくことになると思う。 (藤家委員長) そうであれば、資料の2頁に挙げられた留意事項については、原子力委員会にとって唐突なことであり、非常に気になっている。原子力関係予算の配分を検討する際には、ITER計画に必要な費用を差し引いた残りの予算で、その他の原子力関係予算を考えなさい、ということになるのか。予算については、原子力長期計画に沿って審議を行っているが、それに対し少なからず影響が出てくるので、ア・プリオリに決まったことをそのまま受け止めなさい、ということでは困る。 (竹内委員) 資料2頁の2.についても同様であり、議論が進展したら、我が国の関与の在り方も見直しなさい、ということは非常に難しいことだと思う。 (小巻参事官) 第二期科学技術基本計画では、「平成13年度より17年度までの政府研究開発投資の総額の規模を約24兆円とすることが必要である。」とされており、科学技術関係の予算は今後増えていくことになる。これは、原子力関係の予算に関しても反映されていくこともありうると思う。また、日本への誘致が決まった場合は、遠藤委員長代理のような考え方もあると思っている。 (藤家委員長) この資料は、国内に誘致できるようがんばる、というメッセージであると考えて良いか。 (小巻参事官) そのとおりである。内閣総理大臣からも、全力を尽くすように、というご指示があった。 (大竹室長) ITER計画の費用については、文部科学省で支出することになるので、どう進めたらどのような影響があるのか、といったことも含めて、事前にシミュレーションを行っている。内閣府からご説明があったとおり、科学技術関係の予算は今後伸びていくと思うので、その中で原子力関係の予算をどうしていくのかがポイントになる。いずれにしても、これから予算はどうなるのか分からないので、非常に厳しくなった場合には、ITER計画についても調整しなければならない場合もありうる。その場合、文部科学省は、文部科学省の予算枠の中で対応する、といった覚悟が必要になると思う。
参加極の経費分担については、資料に「経済規模を反映したものとすべき」とある。最大の強敵はEUだと思っているが、日本とEUの経済規模を比較すると、EUの経済規模は日本の約2倍である。こうした点を考慮しないで費用分担を決めるのは問題である。これからの交渉次第であるが、「誘致するときは日本の負担を少なく、誘致できないときは相手側の負担を多く」という遠藤委員長代理のご指摘を実現したいと考えている。
また、政府間協議では、内閣府と文部科学省ばかりでなく、外務省とも連携を密にして進めている。(遠藤委員長代理) カナダは、資金を支出しないと言っているので、サイト選定では不利だと思っているが、あまり軽んじてはいけない。 (大竹室長) サイト選定では、客観的な技術評価を行うことになる。カナダは物価が安いので、ランニングコストが低く、トータルの費用も安くなる、と主張している。まず、それをきちんと証明してもらうことが重要である。 (遠藤委員長代理) 我が国は、それを打ち破るつもりで交渉を進めてほしい。 (大竹室長) 最終的には、トータルのシナリオで決まると思っている。カナダの主張については、きちんと証明するように交渉していくつもりである。
ITER計画については、昨日の総合科学技術会議で結論が出たので、それをベースにして、明日の閣議で了解されることになると思う。今後も、原子力委員会や核融合専門部会で議論していただきながら進めていきたいと思う。(藤家委員長) 昨年6月5日に原子力委員会が決定した「国際核融合実験炉(ITER)計画の推進について」では、今後の取組みについても言及している。これから原子力委員会としてやるべきことも増えてくると思うが、そのための体制はすでに整っている。今後、総合科学技術会議や閣議の結果を踏まえて、原子力委員会としての具体的な取組みについて検討していきたい。