1.日時 2002年5月28日(火)10:30〜11:50 2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室 3.出席者 遠藤委員長代理、竹内委員、森嶌委員
内閣府
浦嶋審議官
榊原参事官(原子力担当)、嶋野企画官
原子力総合シンポジウム運営委員会
岡委員長(東京大学工学系研究科附属原子力工学研究施設教授)
- 4.議題
(1) 第40回原子力総合シンポジウムの開催結果について (2) その他
- 5.配布資料
資料1 第40回原子力総合シンポジウム・プログラム 資料2−1 プルトニウム利用について(案) 資料2−2 平成15年度に向けた科学技術の戦略的重点化について(案) 資料2−3 中部電力(株)浜岡原子力発電所2号機の手動停止に係る中部電力(株)からの報告について 資料2−4 第19回原子力委員会定例会議議事録(案)
- 6.審議事項
(1)第40回原子力総合シンポジウムの開催結果について
標記の件について、岡委員長より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員) このシンポジウムでは、かなり幅広いテーマを扱っていると思う。今回で40回目ということは、日本原子力学会が創設された頃から始まったのか。 (岡委員長) このシンポジウムは、日本原子力学会が創設された頃に、その学会の発表会として開催された、と聞いている。日本原子力学会独自の春と秋に開催する発表会は、それから約7年後に始まった。 (遠藤委員長代理) 今、原子力界では「核燃料サイクル」が大きな関心事となっているが、このシンポジウムではテーマとして取り上げていない。また、原子力界では、人材不足も大きな課題となっているが、これに関連して国内外で注目されている「革新炉」についても取り上げていないようである。これらの点については、どのようにお考えか。 (岡委員長) 「革新炉」については、今回のシンポジウムで取り上げようといった意見も事前にあったが、来年度以降に取り上げようということになった。また、「核燃料サイクル」についても検討していきたいと思う。人材育成については、数人の方から安全に関する講演の中で発表があった。
- (2)その他
- プルトニウム利用について、嶋野企画官より資料2−1に基づき説明があり、以下のとおり発言があった。
(遠藤委員長代理) このように重要な案件については、「その他」の中で取り上げることにして良かったかどうか、という思いがある。 (竹内委員) プルトニウム利用については、これまで何度も議論してきている。この議論については、専門家の間では常識になっていることだが、一般の方々がどのようにとらえているのかを把握することが重要である。分水嶺で例えると、分水嶺のこちら側で原子力を理解している人には分かっていることでも、分水嶺のあちら側の人にとってはかなり懐疑的なものに見える、といったような状況になっていると思う。
少資源国である我が国にとって、エネルギーセキュリティは特に重要なことなので、これについて何度も繰り返し強調してきたが、それが逆に新鮮味を失わせ、話題性がなくなってしまったのかもしれない。そのため、国民の皆さんは深刻な問題としてなかなか認識できない、といった状況になっているのだと思う。
余剰プルトニウムは作らない、作ったプルトニウムは必ず使う、ということについては、実際に懐疑的に思っている方もいると思うが、国際的に見ても非常に大切なことである。今後、プルトニウム利用について透明性を向上させていく仕組みを作っていかなければならない。(森嶌委員) プルトニウム利用については、これまで原子力委員会で繰り返し議論し発信してきており、今日は特別新しいことを決定するわけではない。5月18日(土)の新聞に、国はプルトニウムをためておくつもりなのか、といった趣旨の福島県知事のご発言が掲載された。竹内委員が出席した第19回原子力政策青森賢人会議でも話題になったことでもあるので、この機会に、利用目的のない余剰プルトニウムは持たない、という原子力委員会の方針について再度確認しておく必要があると考えた。この件について、もう少し後で取り上げることも考えたが、先延ばしにしたくなかった。本来ならば、議題の1つとして取り上げた方が良かったのかもしれないが、すでに議題が決まった後だったこともあり、また、方針の確認なので、新たに決め直すほどのことでもないと考えたので、「その他」の中で取り上げることにした。また、青森賢人会議での竹内委員の発言は、原子力委員会としての方針を説明したものであったが、竹内委員が個人的に発言した、と誤解する向きもあるかもしれないので、再度、原子力委員会としてきちんと表明しておいた方が良いのではないかと考えた。 (遠藤委員長代理) 原子力の平和利用の確保が、原子力委員会の最も重要な任務だと考えている。しかし、残念なことであるが、平和目的以外に利用するのではないか、と疑っている方がいるのも事実である。原子力委員会としては、原子力の平和利用の確保について、繰り返し発信していくべきである。
プルトニウム利用については、2つの原則があると考えている。1つは、利用目的のないプルトニウムは持たない、ということであり、もう1つは、透明性を確保する、ということである。利用計画がなくても透明性が確保されていれば良いのではないか、といった意見もあるようだが、我が国は非核保有国であり、歴史的にもいろいろな背景があるので、透明性の確保ばかりでなく、利用目的のない余剰プルトニウムは持たない、ということが重要である。(森嶌委員) 遠藤委員長代理の意見のとおりである。この資料のように、文書にして表明しておくことが大事であると思う。 (竹内委員) この資料は、私が賢人会議で述べた内容と同じであり、今後も繰り返し表明していきたい。
- 原子力研究開発関連予算についての総合科学技術会議議員との意見交換について、榊原参事官より資料2−2に基づき説明があり、以下のとおり発言があった。
(森嶌委員) 5月24日(金)に、総合科学技術会議の井村議員、石井議員と意見交換を行った。原子力委員会からは、藤家委員長、遠藤委員長代理及び私が出席した。今後予算についてどのようなことを考えていけば良いのか、両議員からご指摘のあったことについて報告したい。
予算については、原子力関係と宇宙関係は特に額が大きいので、その予算を減らすべき、といった経済財政諮問会議からの強い圧力があり、総合科学技術会議としては、それに沿った方針で予算編成にあたっている、それに応える形で見積りを実施してほしい、ということであった。原子力委員会からは、エネルギーセキュリティや環境問題、核燃料サイクルの課題や研究開発の必要性について説明した。
この資料にあるように、「重点4分野」の1つに掲げている「環境」では、エネルギー分野を除いて考慮しているところがあり、原子力についても触れられていない。「エネルギー」は「その他の分野」で挙げられており、原子力はその中で取り上げられている。このように、総合科学技術会議としては、「エネルギーとしての原子力」の研究開発を重視している。そのため、30年後、50年後において、原子力はエネルギー供給源としてどのような位置付けであるのか、ということが重要となるが、総合科学技術会議から見ていると、それが良く分からない、とのことだった。新エネルギーも考えられるが、新エネルギーはどんなにがんばっても主な供給源になり得ないため、やはり原子力が必要だとするならば、さらにどのような研究開発が必要か、といったことを示してほしい、といったご要望があった。また、個人的なご発言として、安全確保のためには人材が必要なので、研究と人材確保を結びつけて、その必要性をはっきり打ち出していけばいいのではないか、といったご提案もあった。核燃料サイクルについても議論したが、核燃料サイクルありきではなく、位置付けを明確にしなければならないと思う。結論として言えば、総合科学技術会議は戦略的重点化といった観点で検討しており、総合科学技術会議と議論する際には、総花的ではなく、戦略的で重点的に議論することが必要だ、ということになると思う。経済財政諮問会議は、一般的な印象から、原子力の予算が大きいので削減すべき、と考えているところがあるようだが、実際はそうではない、ということを説明する必要がある。
加速器については、エネルギー分野以外でも重要なので、別の分野でも議論することが必要ではないかと思う。
これから具体的な予算の見積りが始まるが、このような方針で進めていきたい。(遠藤委員長代理) 森嶌委員とほぼ同じ意見である。総合科学技術会議では、原子力関係予算がかなり減ってきていることについて、あまり認識されていなかったように感じた。また、原子力関係予算では特別会計の占める比率が高いことや、原子力に携わっている人員が減少していることについても、あまり認識されていなかったように思う。原子力予算は、これからどのように重点化していくのか。重点化すべき項目には、核燃料サイクルや革新炉、核融合、加速器などが挙げられると思う。原子力は、将来においても必要である以上、それに見合う予算で対応していかなければならない。
このような点を検討しながら、総合科学技術会議や経済財政諮問会議に対して説明していきたい。(森嶌委員) 予算の見積りをうまく進めていくためには、総合科学技術会議に理解していただくことが必要であると思う。 (竹内委員) 森嶌委員の意見と同じである。今日は、桑原議員と意見交換をする予定である。エネルギーとしての原子力の役割や将来展望が見えないといけない、ということだったので、原子力委員会としては、そうした点を理解できるように整理しておくことが必要だと思う。
原子力において最も重要なことは、核燃料サイクルの確立であり、その研究開発には長期的な継続が必要である。予算がこのまま減り続けると、プロジェクト型の研究では、新しい研究開発を行う余裕がなくなってしまう、といった問題がある。この点が説明のポイントになると思う。
加速器については、「ナノテクノロジー」や「ライフサイエンス」においても利用されている。総合科学技術会議では、原子力を「エネルギー」の中で取り上げているが、加速器についても「エネルギー」の中で考えて良いのか、といった問題がある。(森嶌委員) 資料1の95頁に毎日新聞社の横山氏の講演原稿が載っているが、一般の方々は、直感的に原子力をここに書かれているように捉えているのではないかと思う。できないものは中止したらどうか、といった論理ではあるが、この考え方が一般的になっていることを考えると、核燃料サイクルが必要だと言っている側が、きちんと論拠を示していかなければならない。今後、核燃料サイクルについては、異なる見方をする人に対して、そうではないのだ、と説明していくことも原子力委員会の役割だと思う。また、このような人にきちんと理解してもらえるような論理を組み立てておくことが必要だと思う。
- 5月24日(金)に開催した「第2回核融合専門部会」について、以下のとおり発言があった。
(遠藤委員長代理) 専門部会に全ての原子力委員が出席できるとは限らないので、今後は、専門部会の主任あるいは主任補佐がその結果について報告していきたいと思う。
5月24日(金)に開催した第2回核融合専門部会では、「ITER計画の進捗状況」と「核融合研究開発の進め方」について議論した。
まず、ITER計画については、現在、政府間協議が山場に差し掛かっている。EU及びカナダがITERの誘致をすでに表明しており、日本でもまもなく総合科学技術会議で最終的な決断がなされる予定である。来月の上旬にフランスのカダラッシュで政府間協議が開催される予定であるが、そこで日本政府としてどのような姿勢で望むのか。誘致提案をするからには、勝つつもりで進めていきたいが、そう簡単なことではない。
また、核融合については、いつ実現するのか、といった課題がある。30年ぐらい前は、30年後に実現する、と言われていたが、今でも、30年後に実現する、と言われており、「逃げ水」のような話だと思われているかもしれない。そこで、核融合の早期実用化を目標とした「核融合の最速の道(ファーストトラック)」という考え方が、ヨーロッパ、特に英国を中心にとりまとめられた。我が国でも、加速して推進すべきだという意見が出ており、これに対しどのように対応していくのかについて議論した。
核融合研究では、ITERで採用しているトカマク型の核融合炉の研究開発に資金が集まり、ヘリカル型やレーザー型などの研究開発費が削られてしまうかもしれない。現在の核融合の研究開発計画(第三段階核融合研究開発基本計画)は、10年ぐらい前に作られたものなので、見直しのための検討が必要ではないかと思う。
次回の核融合専門部会を夏までに開催し、これらの問題について議論していきたいと考えている。
- 中部電力(株)浜岡原子力発電所2号機の手動停止に係る中部電力(株)からの報告について、榊原参事官より資料2−3に基づき説明があり、以下のとおり発言があった。
(竹内委員) これは、先日浜岡原子力発電所1号機で事故があった直後のトラブルであり、非常に残念である。1号機で起きたトラブルとは異なるものだと思うので、原因を究明して再発防止に努めてほしい。INES(国際原子力事象評価尺度)による暫定評価は「0+」であり、この評価自体は正しいと思うが、世間はこういったトラブルにかなり敏感になっている。原子力委員会としては、社会はこのトラブルをどのように見るのか、という点について注視していきたい。 (森嶌委員) ある新聞では、「今回のトラブルは、トラブルそれ自体より、それが及ぼす影響の方が問題になりそうだ。」と述べられており、まさにそのとおりだと思う。また、別の新聞では、「米国や英国では、安全目標を立て安全行政を進めている。他方、日本では、大事故発生のリスクの存在を認めていなかったので、リスク対策の取組みが遅れている。その反動で、軽微な事故でも、やはり安全ではなかった、といった具合に不信が増すという悪循環に陥っている。」といった趣旨の記事が出ていた。我が国では、原子力発電所で起きた事象はいかなるものも公表しており、公表することに関しては進んでいると思う。しかし、リスク評価をして将来的に不安を残さないようにする、といった対応に関しては遅れている。INESによる評価が「0+」であると言っても、国民の皆さんが安心できるわけではない。発表した後で、どのように対応するのかについて、これを契機に考える必要があるのではないかと思う。
リスクコミュニケーションについては、JCO臨界事故の後から議論が続いており、資源エネルギー庁では原子力立地地域に地域担当官事務所を順次設置してきているが、組織的なものにまでは至っていない。原子力委員会としては、国民の皆さんの不安や不信をより大きくしない、客観的に考えられる影響以上の影響をもたらさない、といったような伝達方法を事前に検討し、仕組みを作っておく必要がある。また、原子力に対し、すぐに信頼を回復するのは難しいが、徐々に信頼を回復していくような仕組みも検討していかなければならない。(遠藤委員長代理) 2号機を手動停止させた日には、ベトナムの副首相が来日しており、浜岡原子力発電所を視察していただく予定であった。このときは、2号機は視察しなかったが、副首相の感想はいかがなものであっただろうか。
今回のトラブルは、「またか。」といった印象である。INESによる暫定評価は深刻なものではないと思うが、これは事業者が言うべきことではないと思う。事業者には、もう少し危機感を持ってもらいたい。このままでは、事業者は信用されなくなってしまう。信用されていないことを前提に、分かり易くきちんと説明することが必要である。(竹内委員) INESによる暫定評価は、事業者が評価したものではない。このような評価がないと、重大な事故が起こったのではないか、と無用な不安を招くかもしれないので、こうした評価を行い、その結果を一緒に公表している。
リスクコミュニケーションについては、森嶌委員と同じ意見である。我が国は、国民に対するリスクコミュニケーションがうまくできていないし、今後どうしていくのかが明確になっていない。まず国民に対してのコミュニケーションがどうなっているのかを把握することが重要だと思う。(森嶌委員) リスクコミュニケーションのエキスパート、これは技術者であると同時に社会心理的な面にも精通している人であるが、そういったエキスパートを育てることや、トラブルを正確に、かつ必要以上の不安をもたらさないように伝えるためにはどうすれば良いのか、について検討しておく必要があると思う。
- 事務局作成の資料2−4の第19回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
- 事務局より、6月4日(火)の次回定例会議の議題は、日本学術会議の「日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合に関する報告」等を中心に調整中である旨、発言があった。
- 事務局より、必要に応じ、5月30日(木)にITER計画の推進について臨時会議の開催を検討している旨、発言があった。