プルトニウム利用について(案)

平成14年5月28日
原子力委員会

  1. 国内にエネルギー資源が乏しく、そのほとんどを海外からの輸入に依存する我が国にとって、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウムを利用する核燃料サイクルの確立は、資源の有効利用の観点から極めて重要であるとともに、環境負荷の低減にも資するものである。
    この旨は、我が国の原子力研究開発利用の初期から、その基本的枠組みを定めた累次の「原子力長期計画」(現行計画 平成12年11月24日原子力委員会決定)において明らかにされてきたところである。

  2. 同時に、我が国は、これまで首尾一貫して、原子力の研究、開発及び利用は、厳に平和の目的に限って行うことを基本的な方針としてきており、これは「原子力基本法」において明らかにされているとおりである。
     とりわけプルトニウム利用については、平和利用原則を厳重に確保することはもちろん、加えて国内外の理解と信頼を得るべく、様々な努力を積み重ねてきている。
     現行「原子力長期計画」においても、「有数の原子力発電国であって非核兵器国である我が国は、プルトニウム利用政策について、その必要性、安全性、経済的側面についての情報を明確に発信するとともに、我が国のプルトニウムの利用については、利用目的のない余剰プルトニウムは持たないという原則を踏まえて、透明性を一層向上させる具体的な施策を検討し、実施していくことが重要である。」としている。

  3. 具体的には、従来から、「核兵器の不拡散に関する条約」(NPT)を締結し、「国際原子力機関」(IAEA)によるフルスコープの保障措置、すなわち査察の下、核物質や施設の厳格な管理を実施するとともに、率先して「日・IAEA保障措置協定追加議定書」を締結している。
     また、我が国の核燃料サイクル政策の必要性の説明や、プルトニウムに関する情報公開に努めてきている。

  4. さらに、今後は、平成17年に予定されている我が国初の商業規模の再処理工場の運転に向けて、引き続き厳格な保障措置の下で管理を行うことに加え、より一層の透明性の向上を図ることが必要であると考えられる。
     原子力委員会としては、プルトニウム利用計画を明らかにした上で、再処理を実施していくことが必要であると考えている。

  5. 我が国の原子力政策にとって、平和利用は絶対的な大原則であり、その確保は原子力委員会の最も重要な任務の一つである。したがって、原子力委員会としては、プルトニウム利用について、引き続き、責任をもって取り組んでいくこととする。