1.日時 2002年5月14日(火)10:30〜11:40 2.場所 中央合同庁舎第4号館6階 共用643会議室 3.出席者 藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
浦嶋審議官
榊原参事官(原子力担当)
文部科学省研究開発局核融合開発室
大竹室長
核燃料サイクル開発機構
竹内副理事長、永田国際技術センター長
(社)日本原子力産業会議
宅間専務理事、高橋企画グループリーダー
経済産業省核燃料サイクル産業課
山田課長
- 4.議題
(1) ITER第3回公式政府間協議について (2) 第3回敦賀国際エネルギーフォーラムの開催結果について (3) 第35回原産年次大会の開催結果について (4) 第19回原子力政策青森賢人会議について (5) その他
- 5.配布資料
資料1 第3回政府間協議について 資料2 第3回敦賀国際エネルギーフォーラムの開催結果について 資料3 第35回原産年次大会の結果について 資料4 第19回原子力政策青森賢人会議 資料5 第17回原子力委員会定例会議議事録(案)
- 6.審議事項
(1)ITER第3回公式政府間協議について
- 4月23日(火)〜24日(水)に開催された「第3回政府間協議」について、大竹室長より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理) 米国がITER計画に復帰した場合、費用の分担はどうなるのか。 (大竹室長) 米国はこれから正式に表明することになると思うが、各極とも米国の復帰を歓迎している。ただ、EUは、ITER計画に復帰するのであれば、明確にその意向を表明した後で政府間協議に参加してほしい、と言っている。米国がどのくらい費用を負担するのかについては、まず米国自身が決めることが重要であり、具体的な議論はその後になると考えている。我々としては、米国に対し、正式メンバーとして「有意な貢献」、つまり日本やEU、ロシアと同程度の貢献を期待している。 (遠藤委員長代理) 米国が正式メンバーとして参加するのであれば、最低限の貢献は必要であると思う。正式メンバーとしてではなく、国際協力として参加する、ということもあり得るのか。 (大竹室長) 実施協定では、参加国は、正式メンバーとして参加する国と国際協力として参加する国に分類されることとなる。各国とも、米国は正式メンバーとして参加するものと考えており、ロシア以上の費用は負担してくれると期待している。 (遠藤委員長代理) ITER計画には、中国や他の国も強い関心を示している。その点も念頭に置きながら、建設するときの実施協定をしっかり作る必要がある。 (大竹室長) 遠藤委員長代理のご指摘のとおりだと思う。 (藤家委員長) 「極」という概念がこれまで強かったが、次第にあいまいになってきている。どのようにこれを整理するのか。また、どのように米国は参加するのかについては、我が国やEUが誘致表明をする前に米国が表明することはない、と聞いている。そうなると、各国の費用分担はどのようにするのか。我が国も、誘致サイトを1ヶ所に絞りきれていない状況である。いずれにしても、ここまで話が進んでいるのに予定が延びてしまうのは好ましくないことである。我が国も意思表示をしなければならない時期になってきている。フランスのカダラッシュもまだ正式に表明されていないのではないか。 (大竹室長) 今回、フランスは、カダラッシュへの誘致をEUに対して正式に表明した。 (遠藤委員長代理) EUとして表明しなければ、まだ正式な誘致表明にはならない。参加国が増えていくのに従いスケジュールが遅れていくということは、国際協定ではよくあることだが、ITER計画では、予定どおり今年末までに調整を進めるべきである。 (大竹室長) 現時点では、今年末までにという予定で進めている。サイト選定は、まず技術的な検討を実施して、コンセンサスを得ることになっており、それを淡々と進めていきたいと考えているが、何らかの合理的な理由で、その実施に時間がかかる場合もあり得る。弾力的に対応していきたい。 (藤家委員長) ITER計画については、これまで長い間行ってきた議論や3年間のブランクを経て、今日に至っている。ITER計画の交渉は、腕の見せ所だと思う。是非がんばっていただきたい。 (竹内委員) サイト選定に関しては、多くの方が関心を持っているので、外部に情報を発信しながら透明性をもって進めてほしい。サイト選定では、まず極を選ぶことになるのか、サイトを直接選ぶことになるのか。 (大竹室長) サイト選定では、技術的に最も適したサイトを選ぶことになっている。そのために、まず技術的な評価を共同で行う。国際チームや各極からの専門家でクライテリアを確認し、客観性を持たせた上で、各極間で議論していく予定である。 (藤家委員長) その技術的な評価には、どのくらい時間がかかりそうか。 (大竹室長) せいぜい2〜3ヶ月ぐらい、早ければ1〜2ヶ月と考えている。なるべく早急に進めたい。現在は、サブグループを設置して、技術的な検討を実施している。
- (2)第3回敦賀国際エネルギーフォーラムの開催結果について
- 4月25日(木)〜27日(土)に開催された「第3回敦賀国際エネルギーフォーラム」について、竹内副理事長より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員) 今回のフォーラムもとても盛大であったと思う。参加した各国からは「もんじゅ」の運転を早く再開してほしい、といった意見が多く、我が国はトッププランナーとして研究開発を推進していく必要があると感じた。「ふげん」の成果についても、竹内副理事長が詳しく紹介され、とても良かったと思っている。 (遠藤委員長代理) 25日・26日とも400人以上の一般の方が参加したとのことだが、どのような方が参加していたのか。 (竹内副理事長) 原子力関係の方もいたが、このような会合にはなかなか来ていただけないような一般の方々にもたくさんご参加いただいた。 (遠藤委員長代理) このフォーラムは、どのような方を対象にしていたのか。 (竹内副理事長) このフォーラムは、地域の方々と我々のコミュニケーションの一環として位置付けており、主に一般の市民の方々を対象としている。 (藤家委員長) このようなフォーラムについていつも感じていることだが、その目的に対して内容はふさわしいものであったのか検討が必要である。一般の方々には、この内容は専門的すぎたのではなかったか。 (遠藤委員長代理) このような会議はこれまでもたくさん開催されているが、誰を対象としているのか、と疑問に思うことがある。その点はどうか。 (竹内副理事長) 第1回のフォーラムから一貫していることであるが、我々は、敦賀や「もんじゅ」を技術開発の拠点、フロントランナーとして求心力の核にしたいと考えている。そういった観点から、「もんじゅ」などにおける技術的な成果を国際的に紹介し、同時に、「もんじゅ」などが国際的にも期待されている、ということを地域の方々に知っていただく、また、地域の方々にも直接参加していただく、といったことも目的としていた。 (藤家委員長) このフォーラムは、回を追うごとに、核燃料サイクル開発機構の成果の紹介が増えてきており、内容が充実してきていると思う。ただ、出席して聴いていただいた方々にとって、内容が専門的で大変ではなかったかと思う。
- (3)第35回原産年次大会の開催結果について
- 4月22日(月)〜24日(水)に開催された「第35回原産年次大会」について、宅間専務理事より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理) 今回の大会は埼玉県の大宮で開催されたとのことだが、東京から近く開催場所として中途半端ではないか、という印象がする。 (宅間専務理事) これまで横浜で2回ぐらい開催し、それ以外は東京で開催した。今回は、電力消費圏である首都圏の衛星都市で開催したいと考えていた。今後は、遠藤委員長代理のご意見も踏まえながら開催場所を検討したい。 (藤家委員長) この大会はとても国際色が豊かであり、そういう意味でも意義があると思う。海外から20ヶ国も参加したとのことだが、すべての参加国に出番があったのか。 (宅間専務理事) 韓国や台湾は、日本原子力産業会議との交流が盛んなので、今回も代表団を結成して参加していただき、懇談会も開催したが、藤家委員長のご指摘のとおり、プレゼンテーションなどの出番は、必ずしもすべての国にあったわけではなかった。 (藤家委員長) 遠くからわざわざ来ていただいているのに、ただ黙って聴いていただくだけ、ということでは申し訳ないと思う。パネル討論などを実施すれば、いろいろな国に参加していただけると思う。 (宅間専務理事) 今後検討していきたいと思う。
- (4)第19回原子力政策青森賢人会議について
- 4月30日(火)に開催された「第19回原子力政策青森賢人会議」について、榊原参事官より資料4に基づき説明があり、以下のとおり発言があった。
(竹内委員) 今回の青森賢人会議では、前半はMOX燃料の安全対策などについて、後半は資料にある質問について議論を行った。
この会議について、5月1日付けのある全国紙で取り上げられたが、その記事について、私あてに問い合わせが多くあった。この機会に、誤解と混乱を正すために是非ともコメントしておきたいと思っている。
プルトニウム利用の透明性について、原子力委員会の委員としてこの会議で発言したのは、
「我が国のプルトニウム利用については、利用目的のないプルトニウムは持たない、という原則を踏まえつつ、透明性を一層向上させる具体的な施策を検討し、実施していくことが重要である。2005年には、六ヶ所村の再処理工場の運転が開始される予定であるが、これは大きなエポックであり、内外から強い関心を寄せられている。原子力委員会としては、プルトニウム利用計画を明らかにした上で再処理を実施していくということを、更に国内外に見せられるような施策作りを進めたい。」
ということだけであった。新聞記事にはいろいろなことが書かれていたが、原子力委員会として、とりたてて新しい方針を打ち出したわけでもないし、これまで原子力委員会としても私個人としても、電力・再処理事業者間の受注生産方式などの具体的な契約問題について立ち入って討論したことはない。この会議においても、こういったことに関連したことは一切発言していない。
私個人としては、今回の新聞記事のように、発注者である電気事業者と受注者である再処理事業者とが契約で縛りあっていることを見せる、といったことが透明性を高めるための良い方法だとは思っていない。再処理から燃料製造、MOX燃料の使用までの一連の過程は、いろいろなプロセスがあって複雑であり、何年も時間がかかる。我が国は、国内外に対し、原子力の平和利用の担保を公約としているので、プルトニウム利用に透明性を持たせることが、原子力委員会の大きな任務の一つだと思っている。(遠藤委員長代理) 原子力委員会の最も重要な任務は、原子力の平和利用の確保だと思っている。特に、プルトニウムをどのように扱うのか、ということが特に重要であり、その利用目的などについて、透明性が確保されていなければならないと思う。これについてどのように具体化していくのか、といったことが今後の課題であり、原子力委員会としても検討していくべきだと思う。 (藤家委員長) こういったことについては、これまで原子力委員会で何度も議論されてきているが、原子力の平和利用は大原則であり、決して変わるものではない。それと同時に、核燃料サイクル政策を進めていくことは、我が国のように資源が少なく国土の狭い国にとっては、とても重要なことだと思っている。海外においても、次第に核燃料サイクル路線に復帰してきている。原子力委員会としては原則を明確にし、より具体的なことについては、事業者あるいは行政が検討し、実施していくべきであるが、原子力委員会としても、原則に合致しているかどうか、という確認を行うことが当然必要であるし、これまでも常に行ってきている。この課題についても、この先議論していかなければならない。特にこの問題は原子力委員会の基本に関わることであり、原子力委員会として責任をもって取り組むことが必要であることについて、各委員の意見が一致していることを明らかにしておきたい。
- (4)その他
- 藤家委員長より、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について、以下の発言があった。
昨年12月19日に「特殊法人等整理合理化計画」が閣議決定され、その中で、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構について、その廃止・統合及び独立行政法人化が決められた。原子力委員会は、同日臨時会議を開催し、そこで、この両法人の廃止・統合は、我が国の原子力の研究、開発及び利用に関して与える影響が非常に大きい、といった認識のもと、原子力政策の企画立案及びその推進に対して責任を持つとともに、具体的な施策について調整する義務を有する原子力委員会としては、この課題に対して積極的に取り組むべきである、ということを表明した。それ以降原子力委員会で議論を続け、原子力委員会参与の方々からのご意見もうかがい、4月2日(火)の定例会議で、「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての基本的な考え方」をとりまとめたところである。他方、この両法人の統合に向けた具体的な作業については、文部科学省が中心になって進めている。
5月20日(月)に、文部科学省の第5回原子力二法人統合準備会議が開催されることになっており、私がその会議に出席し、この「基本的な考え方」について改めてご紹介したいと考えている。そこで、準備会議の有識者の方々と、今後の課題について意見交換ができればと思い、出ることにした。ご承知のとおり、担当行政庁である文部科学省や経済産業省に対しては、既にこれまでの原子力委員会での議論を伝えているが、今回は、準備会議の有識者の方々に対して、この「基本的な考え方」をより分かりやすくご紹介し、意見交換することが大事なことだと考えている。- 事務局作成の資料5の第17回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
- 事務局より、5月21日(火)の次回定例会議の議題は、核燃料サイクル開発機構高速増殖原型炉もんじゅの原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)等を中心に調整中である旨、発言があった。