第15回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日時 2002年4月9日(火)10:30〜11:15
2.場所 中央合同庁舎第4号館6階 共用643会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
 浦嶋審議官
 榊原参事官(原子力担当)
経済産業省原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課
 阿川統括安全審査官
文部科学省原子力課
 竹内国際原子力協力企画官
社団法人 日本原子力産業会議
 町常務理事
核燃料サイクル開発機構
 竹内副理事長、国際技術センター 永田センター長

4.議題
(1)日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所における加工の事業の変更許可について (一部補正)
(2)第3回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)コーディネーター会合結果について
(3)第3回敦賀国際エネルギーフォーラムの後援について
(4)その他

5.配布資料
資料1 日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所における加工の事業の変更許可について(一部補正)(通知)
資料2 第3回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)コーディネーター会合開催結果について
資料3 「第3回敦賀国際エネルギーフォーラム−もんじゅの国際的役割と地域との連携−」の開催について
資料4 第14回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所における加工の事業の変更許可について (一部補正)
標記の件について、阿川統括安全審査官より、資料1に基づき説明があった。

 (2)第3回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)コーディネーター会合結果について
 標記の件について、竹内企画官より資料2に基づき説明があった後、町常務理事より以下のとおり補足説明があった。
(町常務理事)  FNCAは、全体的にみれば、第1回FNCAで策定されたビジョンに沿って進んでいる、と参加国は認識しており、私もそう感じている。第1回FNCAで決められたことは、「FNCAは、原子力技術の特徴を生かして、参加国のニーズに的確に応えながら、社会・経済的発展に効果のある成果を目指して協力していく」ということであり、一言で言うと、目に見える成果をあげていこう、ということであった。
 今回の会合では、できるだけパートナーシップを重視していこう、ということについても議論になり、新規プロジェクトについては、「リードカントリー」を決めて、「リードカントリー」はある程度責任を持ってプロジェクトを推進していく、ということが合意された。これまで、日本がすべて主導的にやっていくことが多かったが、今後はそうではなく、参加国もより主体的にやっていく、ということになった。
 各論になるが、オーストラリアが費用を負担しているプロジェクトである「研究用原子炉の安全文化の協力活動」は、これまでは主に情報交換を行ってきたが、今後はピア・レビューを実施する、という議論があり、前回のワークショップで合意された。今回の会合で、第1回の研究用原子炉の安全文化のピア・レビューをベトナムで実施することが決まった。次回の原子力安全文化のワークショップもベトナムで開催されるので、2日ぐらいの期間をかけて、安全文化について、ベトナムの研究用原子炉を対象にして、突っ込んだレビューを行うことになった。これも1つの進展だと思う。
 また、「アジアの持続的発展と原子力エネルギー」については、前回のFNCA大臣級会合でも熱心に議論され、原子力もエネルギー戦略の基軸に位置付けるべきだ、といった発言があった。また、原子力発電を行っている国ばかりでなく、タイやマレーシアなど原子力発電所を持っていない国でも、環境問題や将来的なエネルギー戦略という観点から、このような議論に是非参加したい、といった発言があり、今年10月末に韓国で開催される予定の第3回FNCAまでに、このテーマに関してもう少し具体的な提案を作成することが合意された。日本政府としては、どのようにこれに取り組んでいくのか、という課題があり、是非、原子力委員会でもこれについて議論していただきたい。また、エネルギー政策については、文部科学省だけでなく、経済産業省にも議論に参加していただきたい。エネルギーや環境についての議論には、各国からの原子力担当者だけでなく、エネルギー政策や環境政策について責任を持っている方にも会合に出席していただく必要があると思う。
 最後に、FNCAの具体的な成果については、その1つにがん治療が挙げられる。子宮頸がんの治療では、5年生存率が53.4%と非常に良い成果をあげており、各国からも高く評価されている。今回の会合では、この治療の手法をさらに高度化させ普及させていく、ということが合意された。4週間ぐらい前に韓国で開催されたRCA(原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定)の政府代表者会合で、RCAとFNCAの連携について、FNCAを代表して発表した折に、この治療について紹介した。その会合には、外務省科学原子力課の加藤課長も出席されていて、RCAの医療のプロジェクトは、2年後には日本がリードカントリーとしての役割を果たす方向で進めていくことになった。例えば、FNCAで研究や試験を行い、1番良い手法を作りあげ、それをRCAが各国に普及させていく、といったように、協力して進めることができるのではないかと思う。これまでの会合で、特にインドが、FNCAとRCAの活動の重複についていろいろと批判的であったが、相乗的な成果について理解していただき、最終的には、是非FNCAと一緒にやっていきたいということになった。日本政府代表からは、「日本は、それに応えるためにも、FNCAとRCAをうまく調整して進めていきたい。明確な区別はないが、FNCAは水平的な協力で、RCAはODAを使った垂直的な協力である、ということであり、例えば、技術移転はRCAの垂直的な協力の中で実施する、といった具合に調整していきたい。」という主旨の発言があった。

次いで、以下の質疑応答及び意見交換がなされた。
(遠藤委員長代理)  高校生を対象とした放射線利用に関する認知度・意識調査を各国で実施するとのことだが、その費用はどこが負担するのか。
(竹内企画官)  費用は各国で負担する。アンケート調査は、マークシート方式で実施し、回収したものの統計的処理は我が国で行う予定である。
(遠藤委員長代理)  人材養成について、各国の現状の調査を実施することも大切であると思うが、人材を養成しても、果たして就職口はあるのか、という問題がある。養成した人材を活かすことができるのか、どの分野でどのように活かしていくのか、といったところまで踏み込んだ調査を実施するべきだと思う。
 インドネシア提案の「アジアの持続的発展と原子力エネルギー」については、今後議論を進めていくことができるのか疑問に思っている。今回の会合では、コーディネーターとして出席した方々のポジションが、国によってかなりばらついていた。原子力行政における中心的な人物が出席した国がある一方、課長補佐が出席した国もあった。これについては、見直していかなければならない。
 この「アジアの持続的発展と原子力エネルギー」に関するプロジェクトの立上げについて、なぜオーストラリアは反対しているのか。
(町常務理事)  反対しているわけではない。オーストラリアは、特に放射性廃棄物の問題についてまだ国民の合意が得られていないということで、今のところ原子力発電を導入する計画はない、と言っている。そういったことから、このプロジェクトへの参加を表明しなかった、ということである。
(竹内企画官)  現在、オーストラリアは、原子力安全文化と放射性廃棄物管理に関する会合にのみ出席しており、FNCAに部分的にしか参加していない。このプロジェクトにも積極的には参加しない、オブザーバー的な立場をとる、ということである。
(遠藤委員長代理)  このようなことを議論していくには、コーディネーターとしてふさわしいポジションの方の出席が必要であり、これについては、大臣級会合等で言及すべきだと思う。
(竹内委員)  高校生を対象とした放射線利用に関する認知度・意識調査について、大変興味がある。この機会に、各国でどのような教育をしているのかについても調べてみてはどうか。
(藤家委員長)  資料の「5.主な成果、注目すべき提案等」で挙げられている項目は、会合の中で中心的な項目であったのか、あるいは、そうではなく、この資料で特筆すべき項目であったのか。これらを、どのように抽出されたのかが良く分からない。
 遠藤委員長代理の意見とほぼ同じであるが、人材養成については、どのような人材が必要であるかが触れられていない。これまでの人材養成は、それぞれの分野を活性化させることを目的としていたが、こういった目的は、国によって異なるものであると思うが、こういった点について共通するものが存在するのだろうか。
 「アジアの持続的発展と原子力エネルギー」については、アジア各国がそのテーマに関心を持っている、ということは認識しているが、各国がそれについて議論していく意気込みをどのくらいまで持っているのか、という点については疑問が残る。その意気込みの程度は、国によってかなりばらつきがあるように思える。このテーマについて議論を続けることは良いことだと思うし、コーディネーター会合が機能するのであれば、発展させるべきだと考えているので、遠藤委員長代理の指摘について考慮していく必要がある。
 先日、インドネシアとの2国間会談で、人材育成については、我が国はインドネシアにこれまでかなり協力してきており、それがどのくらい成果として現れているのか、といったことを一度整理してから次に進もう、という提案をしている。我が国は、インドネシアに対し、これまでかなりサポートしてきたが、現在、原子力発電の導入に対し「ノー」という結果になっている。この段階で何がインセンティブになるのか、現実的に何をどこまで進めたら良いのか、ということを具体的に分析すべきである。
(町常務理事)  CDM(クリーン開発メカニズム)に原子力を取り入れるべきではないか、といったことについて、アジア各国で議論し、そこでの意見をCOP(気候変動に関する国際連合枠組条約締約国会議)にあげていったらどうか、と韓国などが言っている。
(藤家委員長)  そういったことについては、昨年の大臣級会合でも話があり、大体の答えは出ていたと思う。
(遠藤委員長代理)  アジア各国が今回の会合で述べたことは、COPで各国のとっていたポジションと異なるところがあった。ある国は、COPでは逆のことを言っていた。
(藤家委員長)  昨年の大臣級会合では、CDMに関する各国の姿勢はネガティブでもなかったが、ポジティブでもなく、当分の間、どちらかの方向に動くということはないように思えた。
(遠藤委員長代理)  COPの出席者の意見とFNCAの出席者の意見が違っており、国として統一が取れていると思えない。
(町常務理事)  このまま放っておくと、一方的な意見がCOPでの議論を支配してしまう、という状況が続く可能性があるので、原子力と環境との関係についてもっと正しく理解してもらえるよう働きかけていかなければならないと思う。
(藤家委員長)  FNCAにおいて、関係がより深い分野は放射線利用の分野だと思うが、この分野について、がん治療以外での提言がない。これは、もう定着していることと考えて良いのか。
(町常務理事)  順調に進んでおり、定着しつつあるので、今日は詳しくは報告しなかった。
(竹内企画官)  人材養成については、国によって戦略は異なると思う。どのような人材が必要なのか、ということを明らかにすることも、各国の現状を調査する趣旨の1つである。資格についても、日本には資格があって当然のものが、ある国にはない、ということがあり、こういう資格が必要だ、日本ではこういう資格があって、これだけ有資格者がいる、ということを示し、原子力発電や放射線利用において、どの段階でどういった人材が必要か、ということを提示できるように調査を進めたい。
(遠藤委員長代理)  日本原子力研究所などでは、海外からの研修生を受け入れているが、調査の中では、それらのことも結びつけていかなければならない。先日、日本原子力研究所の高崎研究所に視察に行った時、ある国からの研修生の人数が突出していた。国によって研修生の人数に偏りがあるのではないか、と感じた。
(藤家委員長)  FNCAには、原子力委員会としても直接関与しており、引き続きアジア協力の大事な取組みの一環として、さらに進めていきたいと思っている。アジア協力は最初の10年が過ぎ、第2世代に入っており、これまでとの違いをどのように具体化していくのか、ということも重要であると思う。

 (3)第3回敦賀国際エネルギーフォーラムの後援について
 標記の件について、竹内副理事長より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)  せっかくの機会なので、「ふげん」のこれまでのサクセスストーリーについて、30分位の短い時間でも良いので、是非紹介してほしい。
(竹内委員)  私も同感である。「ふげん」では、これまで成果をたくさん出してきた。その実績を紹介してほしい。
(竹内副理事長)  当初から「ふげん」についても紹介することを考えていたが、その内容をできるだけ充実させたい。
(藤家委員長)  原子力委員会の後援については、認めることとする。

 (4)その他
  • 事務局作成の資料4の第14回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
  • 事務局より、4月16日(火)の次回定例会議の議題は、 「原子力試験研究・平成12年度終了課題の事後評価結果、平成15年度原子力試験研究に関する基本方針及び募集課題(案)について」等を中心に調整中である旨、発言があった。