第14回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日時 2002年4月2日(火)14:00〜15:00
2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 榊原参事官(原子力担当)
経済産業省原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課
 梶田統括安全審査官、永山再処理班長
文部科学省原子力安全課原子力規制室
 吉田室長、永富安全審査官
文部科学省研究開発局原子力課
 中西課長
経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課
 原山課長

4.議題
(1)日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更許可について(答申)
(2)核燃料サイクル開発機構 大洗工学センターの原子炉設置変更[高速実験炉原子炉施設の変更]について(諮問)
(3)日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について
(4)竹内委員の海外出張報告について
(5)その他

5.配布資料
資料1−1 日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更許可について(答申)(案)
資料1−2 日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設の再処理事業変更許可申請書の概要について(第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟の変更等について)
資料2−1 核燃料サイクル開発機構大洗工学センターの原子炉の設置変更[高速実験炉原子炉施設の変更]について(諮問)
資料2−2 核燃料サイクル開発機構大洗工学センター原子炉設置変更許可申請(高速実験炉原子炉施設の変更)の概要について
資料3 日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての基本的な考え方(案)
資料4 竹内委員の海外出張報告について
資料5 第13回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更許可について(答申)
 標記の件について、梶田統括安全審査官より資料1に基づき説明があった後、以下のとおり質疑応答があり、平成13年12月14日付け平成13・07・17原第24号(平成14年2月20日付け平成14・02・15原第23号をもって一部補正)をもって諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第44条の4第5項において準用する同法第44条の2第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、経済産業大臣あて答申することを決定した。

(梶田統括安全審査官)「日本原燃(株)の再処理事業の総事業費が、操業後15年で3兆9000億円」という新聞報道があったが、日本原燃(株)から、この総事業費は、将来計画されている施設の増設も考慮したケーススタディの結果の1つであり、今回の変更許可申請に係る範囲については、諮問時の資金計画(総事業費2兆1941億円)に変更がないことを日本原燃(株)に確認している。
(藤家委員長)最近、こういった報道が多い。原子力委員会では、それについて事前に確認した上で審議を行った。本件に関して、特に問題はないので、妥当なものと認めることとする。

 (2)核燃料サイクル開発機構 大洗工学センターの原子炉設置変更[高速実験炉原子炉施設の変更]について(諮問)
 標記の件について、吉田室長より資料2に基づき説明があり、以下のとおり意見交換があった。
(遠藤委員長代理)  資料に「濃縮ウランの調達元に露国を追加」とあるが、これは、高濃縮ウランを希釈したものなのか、後で教えてほしい。
(藤家委員長)  「常陽」は、これまでいろいろな役割を担いながら、今日に至っている。現在、熱出力は140MWであり、初期の熱出力と比べると3倍近くになっている。この炉で、今後どこまで出力を上げていくつもりなのか。
(吉田室長)  今のところ、これ以上出力を上げる計画はない。
(藤家委員長)  今、経済性についていろいろと議論されているが、高速炉開発では、実験炉、原型炉、というようにステップアップしていくプロセスを歩んでいる。今回の審議には関係ないところであるが、将来どこにポイントをおいて進めていくのかが重要である。本件については、今後、審議していきたいと思う。

 (3)日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について
 標記の件について、事務局より資料3「日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の廃止・統合と独立行政法人化に向けての基本的な考え方」(以下「基本的な考え方」という。)の説明があり、以下のとおり意見交換があった。
(藤家委員長)  これまでを振り返ると、昨年12月19日(水)の第54回原子力委員会臨時会議において、まず文部科学省から、今回の特殊法人改革に関する政府決定について説明いただいた。その会議の最後に、文部科学省の林大臣官房審議官から、「法人組織としてのあり方については、かなり実務的な面が強いが、原子力長期計画との関係については、相談にうかがいたい。」という説明がなされ、また、原山課長からは、「経済産業省は、核燃料サイクル開発機構を文部科学省と共管している立場であり、行政庁としての検討にも協力して貢献していきたいと考えている。原子力委員会では、関係者の意見を聞きつつ、透明性を持って検討を進めていただくようお願いしたい。」という発言があった。本日は直接関係のある省庁として、文部科学省研究開発局原子力課の中西課長と、経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課の原山課長に出席いただいている。これまでの感想を含め、意見を述べてほしい。
(遠藤委員長代理)  今後、関係行政機関において、どのように新しい法人を具体的に作り上げていくのか、という検討を進めていくことになると思うが、その検討の中で、この「基本的な考え方」が適切に盛り込まれていくことを、強く期待している。今後、関係行政機関が検討していく各段階で、原子力委員会としても意見を述べていきたい。本日のこの「基本的な考え方」は、その第1弾と考えている。
(森嶌委員)  遠藤委員長代理の意見と同じであるが、関係行政機関は、例えば、組織運営や研究評価の方法について具体的にどのように行うのか、といった課題を検討していく過程で、この「基本的な考え方」と方向性が合っているのかどうかを確認してほしい。また、この「基本的な考え方」をどのように具体化するのかについて、原子力委員会からも意見を述べることができる機会を作っていってほしい。
(竹内委員)  この「基本的な考え方」は、原子力委員会としての意見が良くまとまっている。これから原子力界全体が、原点に立ち戻って元気になり、フレッシュな感覚を持つようになることを期待している。新法人は、この統合により大きな組織となるが、基礎・基盤の研究やプロジェクト型の研究開発が将来もメリハリを持って推進できるよう、「ヒト」と「カネ」の課題についても先を見通して検討していかなければならない。特に、産官学が連携する中で、人が動きやすい仕組みを考えなければならないと思っている。それから強調したい点としては、放射性廃棄物の問題があるが、このまま放っておくと、この問題は新法人の大きな重しとなってしまうので、是非、国が責任を持って早めに検討していってほしい。
(藤家委員長)  今回の統合では、新しい世紀の原子力政策をいかに具体化していくのか、そしてそれをいかに効率的に実りあるものにしていくのか、というように考える必要があると思う。政策論については、平成12年11月に原子力長期計画を出しており、そこで述べている政策は、現段階で見ても、その緊急度や重要度において変えなければならない、というところはない。逆にその緊急度や重要度はますます高くなってきており、その政策をいかに実効あらしめるのか、どのような組織をどのように運営すれば良いのか、といった点を検討すべきだと思う。
 この「基本的な考え方」では、政策の詳細な部分には踏み込んでいない。基本的な政策を掲げたので、これを具体化し実行することにおいては、関係行政機関にある程度の自由度を持って委任し、個別具体的なことについては、原子力委員会としては努めて踏み込まない、という方針でまとめている。その点について、良く理解していただきたい。
 新法人では、我が国は科学技術立国・原子力先進国として何をどのように行っていくのか、原子力は将来の社会に対しどのような貢献ができるのか、といった点について、大局観を持って見ていくことのできる組織を作ってほしい。また、難しさに挑戦する気概を持った組織であってほしい。今、狙っているものは決して簡単なものではないと思う。昔、ケネディ大統領が月へロケットを飛ばす時に、「難しいが故に挑戦するのだ。」と言っている。その結果として、どのような恩恵がもたらされてきたのか、今改めて考えさせられるところである。
 また一方で、原子力は、巨大科学としての性格を有するとともに、放射線を扱うものである。その研究開発から実用化までを10年単位の短い期間で考えることのできるようなものではない。これが10年程度で解決できるようなものであれば、原子力委員会は必要ないだろう、と常々思っている。長いタイムスパンで考えるべき課題は、その間に、社会との間にギャップが生じることがある。これからの研究開発では、中間的な成果を社会に還元していくことも考える必要がある。例えば、核燃料サイクルの開発・実用化の各段階で成果を広く公開し、社会に貢献していく、といった具合にアウトプットを出しやすい組織を作ってほしい。これまで、ともすれば着実さを狙い過ぎて時間をかけすぎたところがあり、これについては、我々も反省しているところである。いずれにしても、原子力委員会としては、この統合が持つ重要性を十分認識しており、より良い方向に持っていけるよう総力を挙げて取り組んでいきたい。この定例会議にご出席の方々も含め、ご協力いただきたいと思う。
(中西課長)  今朝、「原子力二法人統合準備会議(第3回)」が開催されたが、非常に短い時間でまとめていただいたこの「基本的な考え方」や、これまでいただいたコメントを反映しながら、この準備会議を進めていきたい。また、検討途中の成果についても、レビューしていただき、できれば、文部科学省の準備会議にもご出席いただきたいと思っている。竹内委員のご意見にあった放射性廃棄物の問題についても、着実に対応を進めており、明日にも、「RI・研究所等廃棄物の処分事業に関する懇談会(第2回)」を開催する予定である。また、大学の研究炉についてもいろいろと検討しており、この機会に必要な改革をまとめて進めていきたいと考えている。
(原山課長)  経済産業省としても、この「基本的な考え方」を踏まえて、文部科学省と協力しながら進めていきたいと思っている。この検討は、急がなければならない作業であるが、平成16年度中に関連法案を提出することとされているので、息の長い作業でもある。その作業の間、この「基本的な考え方」を繰り返し確認しながら、この統合を進めていきたいと考えている。
 行政庁としては、実務的な話をすることになるが、今回の行政改革は、統合もさることながら、(予算等資源的な制約が多い)独立行政法人化ということも大変重要だ、と考えている。経済産業省として悩んでいる点は、これまで原子力委員会が策定した原子力長期計画を踏まえ、それを実現するべく対応してきているが、それを、以前の動燃改革で行ったことも含め、特殊法人ではなく独立行政法人として実施していかなければならない、ということである。藤家委員長からご意見があったように、原子力長期計画の具体化については行政庁に自由度を持たせる、ということであるが、一方で、今後もリソースの確保をみんなで努力していくとしても、リソースが限られていることも事実であり、そういった中で、一層の重点化を図る必要がある。その重点化において、プライオリティーを決めるということを、我が国唯一の原子力研究機関と位置付けられる新法人に相当の自由度を持って任せていくのか、それとも引き続き原子力委員会で長期計画をレビューしながら行うのか。また、「民主・自主・公開」を実現していくための方策を、どのように新しい独立行政法人とかみ合わせていくのか。こういったことも今後の課題の1つだと考えており、引き続きご指導を賜りたいと思っている。
(藤家委員長)  原子力委員会としても、中西課長と原山課長の指摘について十分認識している。やはり原子力が持っている広がりとその長期展望を考えると、全体を見渡しているものが必要であり、それがまさしく今の原子力長期計画であると思う。この「基本的な考え方」は、これまでの議論がベースとなっており、その指摘についてもこの議論の中で論じられたと思う。いずれにしても、この新しい独立行政法人が自由度を持って、限界いっぱいに何をやってくれるのかが重要である。また、トップダウンだけでなく、双方向性も必要である、という議論もあると思うので、個別具体的なことについては、その都度対応していきたい。原子力委員会としては、この統合について、要望があれば、どこにでも伺い議論していくつもりでいる。

 (4)竹内委員の海外出張報告について
 標記の件について、竹内委員より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)  日本原燃の運転員の訓練プログラムは、いつまで実施する予定なのか。
(竹内委員)  この訓練プログラムは、モデルキャンペーン7まで実施する予定である。現在は、モデルキャンペーン2で、これは6月初めまでの予定である。
(遠藤委員長代理)  コミュニケーションには、どこの言語を使っているのか。
(竹内委員)  直接会話する時は、英語を使っていた。また、通訳が常駐しており、コミュニケーションに問題が生じた場合には、通訳を介して会話をしていた。

 (5)その他
  • 事務局作成の資料5の第13回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
  • 事務局より、4月9日(火)に次回定例会議が開催される旨、発言があった。
  • 事務局より、定例会議終了後にプレス説明を行う旨、発言があった。