1.日時 2002年2月19日(火)10:30〜 11:50 2.場所 中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室 3.出席者 藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員、森嶌委員
玉野参与、永宮参与
内閣府
浦嶋審議官
榊原参事官(原子力担当)
- 4.議 題
(1) 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について (2) その他
- 5.配布資料
資料1−1 日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合に関する参考意見 資料1−2 原研・サイクル機構の統合に際して 資料2−1 第5回原子力委員会定例会議議事録(案) 資料2−2 「エネルギー・にっぽん 国民会議in東京」参加者数及び事後広報について 資料2−3 MOX燃料工場に関する説明会の開催結果について
- 6.審議事項
(1)日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合について
- 冒頭、藤家委員長より、意見を述べる参与に対し、
の2点についても、意見を述べていただきたい旨の発言があった。
- これまでは技術移転という形であった産業界と法人との関係をどのようにすべきか。
- 省庁再編で、両法人も大学も同じ文部科学省の所管となったが、新たな法人と大学の原子力研究や基礎研究との関係をいかに考えるべきか。また、先生方がおられるようなセンターや研究所は大きなユニットになっていると理解するが、大学が行うべき研究は、これからどのような単位で行っていくべきか。
次いで、玉野参与より、資料1−1に基づき、また、永宮参与より、資料1−2に基づきそれぞれ意見が述べられた。さらに、藤家委員長から冒頭意見を求められた2点について、それぞれ、
との見解が示された。
(玉野参与) 文部省・科学技術庁が一つの省となり、大学と両法人が1つの省の所管となったこともあり、大学と新法人は、最初の段階から研究を共同で企画・提案し、それに予算がつくという形が採れないか。 (永宮参与) 加速器もその一例であるが、巨大サイエンスは、一般的には、2、3千人が1つのグループとなってプロジェクトを進めているように思われている。しかし、大強度陽子加速器の場合、素粒子や原子核研究では1グループ数十名程度、中性子では数名程度と、零細企業の大きな寄せ集めのようなものとなっている。このような特徴があり、いわゆる昔からの小グループ研究を実施できる巨大サイエンスとなっている。
次いで、以下の質疑応答及び意見交換がなされた。
(竹内委員) 単なる感想だが、教育に関しては、連携大学院大学のような専門教育的役割の他に、サマースクールのようなものや、理科離れに対する対応策にも期待するところである。新法人は、大学側とチェーンで活用することで、すばらしいヒントが出てくる可能性があるのではないか。 (遠藤委員長代理) 永宮参与は、結論のところで、「原子力を支えるエネルギー生産の側面と基礎的科学技術の側面のバランスの正常化が重要」とおっしゃったが、現在は、必ずしも有るべき姿ではないとお考えなのか。具体的にお示し願いたい。 (永宮参与) 大学との関連で言えば、原子力予算のようなものについては、いろいろな制約があり、大学では使えない。従って、原子力の基礎研究になかなか原子力予算を投入することができない。大学へも研究予算が配分される仕組みが必要である。70年代頃から見ればよくなっており、今後も段々とよくなっていくものと思う。 (竹内委員) 玉野参与のご説明にあった、ジェネラルアトミックス(GA)社のようなマトリックス組織は素晴らしいと感じたが、日本の組織社会(研究所など)の中では、あまり具現化されていないのか。 (玉野参与) GA自体が世界的に見て非常にユニークであると思う。組織形態としては、9つある部門のうち4部門のリーダーが、ローレンス・リバモア国立研究所、オークリッジ国立研究所、UCLA(University of California,Los Angeles)、コロンビア大学といったところに所属している。また、民間企業でありながら研究が主体であり、しかも研究費のほとんどが国から出ている。ある意味では、国立研究所に近い組織だが、民間企業としての顔も使える。現在はマトリックス体制が非常にうまく働き、ナショナルプロジェクトの運営を行っているが、このようにうまくいくまでには、実際には大変な時間がかかっている。この機会に新法人が前例を作って欲しいと考えている。 (竹内委員) 産官学から開かれた存在となることが新法人に望まれる。日本的には、やはり所属や給料等の障害がある。かなりよくなってきていると思うが、研究者の生活を支援するという観点から、よい提案をいただいたと思う。 (玉野参与) ナショナルプロジェクトの形態として、DIII−Dプロジェクトを例にとると、DIII−Dプロジェクトを行うための予算の8割はGAを通じて配分されるが、残りの2割については、大学に対し、米国エネルギー省(DOE)からDIII−Dプロジェクトを研究するための予算として配分されてくる。企画の段階からそのプロジェクトに参加し、資金も流れるような仕組みになっていれば、大学側としてもよいのではないかと思う。その意味で原子力予算は、原子力全体の予算を見据え、配分できるようになっていればよいのだが、今は、関係する予算を拾い、最後に「原子力予算としてまとめました」という形である。他方で、大学はそれぞれが科研費を要求するという形である。ある程度は原子力全体の資金の中から予算がつき、いろいろなところに配分されることにより、大学と新法人との関係が一層うまくいくのではないか。 (永宮参与) 日本の給与形態は、人の異動に対して優位ではない。日本のシステムは、人が異動することを阻害している。欧米は異動しなければ、給与も上がらないといったところがある。 (森嶌委員) GAの話はプロジェクトが中心かと思うが、そもそもプロジェクトの形成をどのように行っているのか。また、評価をすることはよいことだと思うが、プロジェクトをやめる場合に、どのような仕組みで中止を決定するのか。 (玉野参与) かなり基礎的な研究は、プロジェクト部門ではなく、ホームの側でも行っており、基礎的な、新たな知見を培っている。また、GAでのプロジェクトサイクルは大変短い。どんどん見直しを行いどんどん有機的に人を運用する方が、しこりも残さない。長期的なプロジェクトに対しては、必ず3年程度の年限をもって見直す方がよいと考える。 (森嶌委員) プロジェクトの形成は、どういうところで行われるのか。 (藤家委員長) 「このプロジェクトにしよう」といった根本的なところは、どのように決められるのかお話し願いたい。 (玉野参与) 米国の場合、先ず予算をつけなければならないので、提案を出す段階でプロジェクトのコアが決まってくる。米国のシステムでは、オーバーヘッドとは別に、予算の10%近くが、将来のために自由に使ってよいお金としてついてくる。この資金により、常に次を考えるシステムになっている。 (森嶌委員) 予算をつけてもらうために予算書を作り提案することは、誰が行うのか。プロジェクトリーダーが一人で行うわけにもいかないと思う。
(玉野参与) 一割弱のお金があるので、常に次を考えているわけである。 (藤家委員長) GAの中のある有志の集団がするのか、組織としてするのか。 (玉野参与) ある意味では有志である。そういう資金でR&Dを行っている人間が、このようなよいことがある、と提案してきた中から選んだり、最初から目的が決まっていて行うこともある。 (森嶌委員) 日本の場合には、プロジェクト研究とよく言ってはいるものの、プロジェクトというものについて、非常に偏っているところが見受けられる。大学の講座制の下では、とかく手元で実施可能な、予算が取りやすいものでプロジェクトを形成してしまう。そうなると、プロジェクトとしての新しい展開が望めなくなってしまう。仮に、日本で10%の将来資金のようなものがついてしまうと、自分自身の研究を生き残らせるために、その10%の将来資金を使うこととなりがちである。その結果、全体として見た場合、革新的なプロジェクトを実施することが難しい。また、基礎研究だから何をやってもよいというものではなく、プロジェクトにはならなくとも基礎研究になるテーマがあり、評価を経て次の段階に移行していく必要がある。その評価に関して、今の大学の自己評価や第三者評価というのは、やったことを「よかったね」と言うためにあり、新しいものを生み出そうとするものではない。新法人では、プロジェクト形成にしろ終了にしろ、次の新しい展開が出てくる仕組みを作っておかないといけないのではないかと考える。話をうかがった限り、GAではダイナミックに行われているように感じられたが、新法人は、プロジェクトや基礎研究を行っていく上で、どのような仕組みで行っていけば、うまく動いていくことができると考えるか。 (永宮参与) 米国などでは、ディレクターがオーバーヘッド資金を持っていて、それを使って新しいアイディアを年に何回か公募している。 (森嶌委員) それはどこで評価するのか。 (永宮参与) 内部であったり、外部委員を交えたりである。高エネルギー加速器研究機構(KEK)にも同じようなシステムがある。 (森嶌委員) 科研費などでは、一族のなかで資金が動くような仕組みが問題視されていると思うが、新しい組織ができるに当たっては、よりリスクの少ない評価制度を作ることが必要である。 (玉野参与) 小さい規模ではあるが、R&Dグループというものがあり、ここで芽出しをし、芽が出たところで、プロポーザーのためのプロジェクトに育てていくというやり方をしている。 (藤家委員長) 独立行政法人というところは、そういったことができるところであり、独法化された放射線医学総合研究所では、所長プール金というものを用意し、そういったことに使うことができるようになっている。
一つのプロジェクトの中から生まれた基礎研究というものは、非常に大事なものであると思うが、もう一方で、大学の研究というものは遊びの部分や自由度を持っていなければならないと思っている。その部分がアカデミアの分野をリードするものとなりうると理解している。(玉野参与) 連携大学院で、現在、日本原子力研究所で勉強したドクターが数名出ている。それを指導した日本原子力研究所の研究者の意見を聞くと、そのような学生が来ると、その学生のドクターの審査は大学が行うわけであり、これは大勢のグループで行った研究で、どこがこの学生がやった仕事かということになる。このような意識が、逆に日本原子力研究所の内部に反映され、そういった意味で非常によかった。つまり、ただ行っているのではなく、常にこの中でこういうところが新しいところだ、ということを考えながら、指導している方も、そういう意識が生まれてきたのでよかった、と言っている。学生の側から言えば、文部科学省は、学生は教育されるものと考えていたが、本当に研究をするということがどういうことなのか、ということをその場で学べる、というメリットがある。 (藤家委員長) 原子力委員会としては、今回の両法人の統合はいい機会だと思っている。参与の方々からは、引き続きアドバイスをいただきながら進めていきたい。 - (2)その他
- 事務局作成の資料2−1の第5回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
- 事務局より、資料2−2及び資料2−3の説明があった。
- 事務局より、平成14年2月14日付けで、経済産業大臣から原子力委員会委員長あてに日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所における核燃料物質の加工の事業の変更許可について諮問があり、本諮問については、原子力安全・保安院から、資料の一部を非公開としたいとの要請があったので、事務局で内容を精査した後、改めて審議をお願いしたい旨、発言があった。
- 事務局より、2月21日(木)に臨時会議を開催し、日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の統合について、原子力委員会参与からヒアリングを実施する旨、発言があった。
- 事務局より、定例会議終了後にプレス説明を行う旨、発言があった。