原子力委員会プレゼンテーション

   日本経済新聞 鳥井弘之

 


「限界型問題と失敗型問題」

●人類が引き起こす問題には2種類ある(市川先生)
  失敗型の問題と限界型問題

●失敗型の問題は
  人がミス、悪意、無知で引き起こす
   犯罪、事故、公害など
  失敗型は規制、訓練、技術進歩などで防止できる
   原因解明と適切な対応で問題を小さく、起こりにくくできる

●限界型の問題は
  人間の営みが地球の許容能力に越して(近くなって)起こす
   人口の爆発、地球環境問題、生態系の破壊
   水不足、資源の限界など
  限界型の問題が顕在化すれば現状を維持することは不可能
   多少の対応は、少し限界を伸ばすだけ
   本格対応にはドラスティックな変化が必要
    人口を一挙い1/10にする

●つまり、失敗型の問題は解決できるが、限界型は難しい

●エネルギーについて考えると
  今や化石燃料は限界型の問題を引き起こしている
   使い続ければ資源的にも環境的にも破滅へ
   多少減らしても破滅を少し伸ばすだけ
  自然エネルギーは
   今は2億人しか
   増やせば太陽光の独り占めで、いずれ限界型に
  原子力は?


「革新的原子力技術とは」

●科学技術基本計画での議論
  国の基本であるエネルギーは重点分野の外
   エネルギーは枠外の1番に
   新エネルギー、省エネルギー、原子力安全研究、核融合
  もう過去のような大型投資はイヤ
   ようやく革新的原子力技術
    →革新的原子力技術とは?

●革新原子力技術とは特殊化した技術の自由度を取り戻すこと
  発電だけが目的ではない
   水、圧力、熱、中性子等を作り出す
  発電が目的でも電力会社以外


「日本の原子力開発体制の欠陥」

●整合性欠いた開発体制
 プレーヤーは、大学、原研、動燃(サイクル機構)、メーカー、
  ユーザー、電力
 本来は
  大学が自由な発想による基礎理論、革新的原子力技術、そして
   人材供給
  原研は国の意向による基礎研究、安全研究
  動燃は大学や原研の研究結果を基にした開発
  メーカーは大学、原研、動燃の結果を利用した商品開発と市場
   開拓
  電力はメーカーの商品選択と、一つのユーザーとしてニーズを
   フィードバック
  電力以外のユーザーもプレーヤーとしてニーズのフィードバック
 しかし
  大学の研究結果は無視、大学はモノ作りできず失望・衰退
   矢内原原則で大学と国のプロジェクトは離間
  原研は自己増殖的な研究、動燃へのフィードフォワードなし、
   安全研究のみ
  動燃は国の計画だけを向いて開発のための開発、ユーザーニー
   ズ反映せず−−今は高レベル、もんじゅ、実用戦略
  メーカーは電力の下請け化し、自発的商品開発・市場開拓なし
  電力は唯我独尊のユーザーとして、他のプレーヤー存在せず


「二機関統合をチャンスとして」

●二機関を統合するだけでは政治的な意味しかない。これをチャン
 スに日本の開発体制の見直しを。それにはどう統合するかではな
 く、体制のあるべき姿を白紙から考える。その上で、統合した機
 関の役割と他のプレーヤーとの関係を考えるべき。

●宇宙科学研究所の外部評価をして

●体制を考えるに当たって
  革新的アイデアが生まれる大学を
  大学のアイデアを実証するメカニズムを
  革新的原子力技術を担う機関を
   大学との連携が大切
  産業が自主努力で商品開発し市場開拓できる道を
   電力支配の打破
  国際競争力ある原子力産業に
  原子力を通して世界に貢献

●幾つかのアイデア
  新法人の一部で大学共同利用研究所の機能を
  新機関を地域発の原子力政策の担い手に
  研究開発の進む段階に応じた競争的資金を
  産学の国際展開の支援を
  原子力の産業政策を