第5回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2002年2月5日(火)10:30〜11:45
2.場 所中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
 浦嶋審議官
 榊原参事官(原子力担当)
経済産業省原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課
 青木統括安全審査官
 阿川統括安全審査官
 清水上席安全審査官
核燃料サイクル開発機構東海事業所プルトニウム燃料センター
 大谷副センター長

4.議 題
(1)日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更許可について
(2)核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センターにおける核燃料物質の加工の事業の変更許可について(諮問)
(3)MOX利用国際セミナーの後援について
(4)平成14年度原子力関係政府原案(内閣府、総務省、厚生労働省、農林水産省及び国土交通省関係)について
(5)日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の統合についての原子力委員会の取組みについて
(6)その他

5.配布資料
資料1−1 日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更の許可の申請に係る平和利用、計画的遂行及び経理的基礎(その1)に関する説明資料
資料1−2 日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設の再処理事業変更許可申請書の概要について(第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟の変更等について)
資料2−1 核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センターにおける核燃料物質の加工の事業の変更許可について(諮問)
資料2−2 核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センター加工施設の加工事業変更許可申請の概要について(カスケード設備、高周波電源設備及びUF処理設備の閉止措置等について)
資料3 「MOX利用国際セミナー−原子力の有効利用に向けて理解を深めるために−」の開催について
資料4−1 平成14年度原子力関係予算について(内閣府、総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省)
資料4−2 平成14年度原子力関係予算について 総表
資料5 日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の統合について(検討用メモ)
資料6 第4回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更許可について
 標記の件について、青木統括安全審査官より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)  経理的基礎については、資金調達などの関連があり、その詳細を公表すると事業者が困る場合もある。
(遠藤委員長代理)  六ヶ所村の再処理施設は、我が国でプルトニウムを扱う量が最も多い施設なので、平和利用の観点から、保障措置の運用は十分に配慮するようお願いしたい。これは、日本原燃(株)に直接言いたいことでもある。
(竹内委員)  これに関しては、国際原子力機関(IAEA)からも強く言われている。プルトニウム管理については、国にも早い段階から関与してもらっている。世界に心配をかけない方法で進めていくこととなっており、原子力委員としても、そうあることを希望している。
 計画的遂行の観点からも、当初の建設工程より遅れているものの、今の工程は死守するつもりで進めてくれることを期待している。この施設は、核燃料サイクルの基盤的・中核的な施設であるので、期待しているし、支援していきたい。
(藤家委員長)  平和利用に関しては、平和利用専念、安全最優先、という旗印の下で進めている。そのような原子力しか未来に生き残ることができないだろう、というところまで踏み込んだ発言もあり、これは非常に大事なことである。国際的に疑惑を持たれないような形で、いかに建設・運転の両プロセスを適切に進めていくのか、ということが大事だと思う。
 計画的遂行については、この施設はかなり大きなプラントであり、いろいろな困難がある中で、ようやくここまで漕ぎ着けてくれた。原子力委員会には、毎月、事業者から建設の進捗状況を報告していただいているが、今後も順調に進められることを望んでいる。
 経理的基礎については、民間事業として行うからには、特許やテクニカルノウハウに関するもの及びコマーシャルシークレットなどについては、当然保護されるべきである。一方、公開の原則が次第に拡大されていることもあり、そこにせめぎ合いがある。経理関係についても、トータルな額などは、かなり公開されている。しかし、事業者に、公開することにより被るマイナス面がある場合には、それを補わなければならない。そういった部分については、ときには非公開とすることも必要であり、守秘義務もあるので、別に場を設けて、審議を行うこととする。もちろん、その審議結果は公表したいと思っている。

 (2)核燃料サイクル開発機構人形峠環境技術センターにおける核燃料物質の加工の事業の変更許可について(諮問)
 標記の件について、阿川統括安全審査官より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)  DOP−1(ウラン濃縮原型プラントの第1運転単位)から撤去する機器をDOP−2で使う、ということは、当分の間、その機器を使用するということか。
(阿川統括安全審査官)  事業者から、現在、DOP−2で、停止させた遠心分離機からウランの除去を行っており、そのための研究開発に使用したい、という申請があった。DOP−2で使う機器だけを移動するだけであり、全ての機器を撤去するということではない。
(竹内委員)  この遠心分離機の改造や除染の技術は、今後参考になるので、しっかり実施し、修得できたものを活かしていただきたい。
(遠藤委員長代理)  DOP−2とは、何か。
(阿川統括安全審査官)  資料2−2の図−2において、1番西側の部屋がDOP−2のカスケード室であり、中央がDOP−1の部屋である。
(遠藤委員長代理)  DOP−1を廃止して、そこで使っていたものをDOP−2に持ってきて使うということか。
(阿川統括安全審査官)  現在DOP−2も止まっているが、今まで使っていたDOP−1の設備を移すだけである。
(藤家委員長)  DOP−1とDOP−2では、何か扱いが変わるのではないか。
(阿川統括安全審査官)  DOP−2については、今、加工施設ではなく研究施設の取扱いで許認可がおりている。

 (3)MOX利用国際セミナーの後援について
 標記の件について、大谷副センター長より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)  後援は、原子力委員会以外にも依頼しているのか。
(大谷副センター長)  原子力委員会だけである。
(遠藤委員長代理)  後援名義を認める要件について、事務局から説明してほしい。
(榊原参事官)  後援名義を認める要件は4点あり、1点目は「その事業が、原子力の研究、開発及び利用の推進に寄与するものと認められる場合」、2点目は「主催者たる団体またはその役員が当該行事等の実施に相応しいと認められる場合」、3点目は「その事業等の目的とするところが営利でないと認められる場合」、4点目は「その事業等の実施方法が公平であり、特定の事業者の利益を図るものでないと認められる場合」である。
(遠藤委員長代理)  後援名義を認めることに対し、異存はない。
(藤家委員長)  このような申請は、もう少し早い時期に出してほしい。議論しなければならない場合もあり、議論が必要となると、少なくとも1週間はかかる。
(竹内委員)  全ての要件を満たしているので、問題はないと思う。
(藤家委員長)  我が国のMOX利用について全体を見るとなると、ここで抜けているのは、日本原子力発電(株)の敦賀発電所1号機と関西電力(株)の美浜発電所1号機でのMOX燃料の装荷実績である。その実績について、このようなセミナーで紹介することは、とても大事なことだと思う。プルサーマルについて、我が国では何を行っているのか、ということを紹介することはかなり重要なことである。今から間に合うのであれば、どこかで触れてほしい。
(大谷副センター長)  セミナー初日の講演の中で、実績の1つとしてご紹介したいと考えている。
(藤家委員長)  MOX利用に係る試験全般について紹介してほしい。また、核燃料サイクル開発機構は、このところ、セミナーを多く開催している。事業所が異なれば関心事項も異なると思うが、そろそろ事業所単位ではなく、核燃料サイクル開発機構全体として考える時期がきているのではないか。次回以降、考えていただきたい。
 原子力委員会の後援については、異論はなく認めることとする。

 (4)平成14年度原子力関係政府原案(内閣府、総務省、厚生労働省、農林水産省及び国土交通省関係)について
 標記の件について、榊原参事官より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)  各省の経費で、文部科学省に一括計上されている項目はどうなっているのか。
(榊原参事官)  資料4−2の「2.平成14年度一般会計原子力関係予算総表」の「文部科学省 4.国立試験研究機関の試験研究に必要な経費」の欄に、文部科学省に一括計上された項目が、省庁毎にまとめられている。
(藤家委員長)  この予算は、概算要求の段階で十分に審議した。政府原案で少し変更はあるが、大きな方向は変わっていない。この方向で進めていっていただきたい。

 (5)日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の統合についての原子力委員会の取組みについて
 標記の件について、榊原参事官より資料5に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)  この件については、昨年12月19日に、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合計画が発表された段階で、原子力委員会臨時会議を開いて、これに対する基本的な取組みの姿勢を示し、その後何回か定例会議の場で議論してきた。
(竹内委員)  資料5の「検討の視点」(1)について、両法人はお互い違うミッションを持っているが、その基本的な理念は安全確保であり、これは言うまでもないことである。そして、原子力長期計画を遵守して実施する、ということがキーワードになると思う。さらに、実用化に向けた民間への円滑な技術移転や、透明性の確保、両法人の統合によって期待される効率性と機動性、社会の信頼をキーワードとして考えている。
 資料5の「検討の視点」(2)に少し関わることかもしれないが、日本原子力研究所は、基礎・基盤技術を長年にわたって研究してきた。日本の原子力研究について、その他の科学研究も含めて、非常によい苗床のような役割を担ってきており、核分裂に限らず核融合や加速器も含めて、長年にわたり非常に幅広く日本の技術を支えてきた。基礎・基盤技術については、それぞれの技術の共通性をお互いに議論し合ってきて、このような成果を出してこられたのではないかと思う。安全の問題についても、JCOの事故の時に、日本原子力研究所の存在は大きかったと思う。日本原子力研究所にとって、総合性や中立性が非常に大事であり、これが大きなミッションである。
 一方、核燃料サイクル開発機構については、核燃料サイクルの輪を完成させるため、その技術開発について先行してチャレンジし、その成果を実用化に向けて技術移転する、という面で道を開いてきている。そのため、プロジェクト指向のものがたくさんあると同時に、地元との関係が非常に深い。大事なことは、六ヶ所村の再処理施設の実用化に向けた技術移転であり、これが1つの大きなミッションである。
 両法人は、別々の組織であれば、それぞれのミッションの個性を出しやすいだろうが、統合された際に、それぞれ求められていたものが単に平均されたものになってしまうのであれば意味がない。両法人の統合の際にメリハリが出るよう、工夫しなければならない。
 資料5の「検討の視点」(3)については、統合された法人では、重複している分野もあるので、私が担当している専門部会などで、引き続き議論をしていきたいと思っている。
 資料5の「検討の視点」(5)については、資料と若干意見が異なるが、両法人が統合されてすぐに廃棄物管理で合理化や効率化ができるかというと、必ずしもそうはいかないと思う。統合する前に、健全な活動・運用ができるよう、基盤整備を実施しておかなければならない。20〜30年間もの間蓄積されている放射性廃棄物もある。それから、原子力に共通する課題であるが、原子力施設はいずれは廃止措置をし、最終的に廃棄物となる。それぞれの法人は、このような課題をすでに背負っており、処理しなければならない責務がある。この統合を契機として、放射性廃棄物の処理に対する財政措置等について、政府も入って、この問題を十分に討議しておく方がよいと思う。
(遠藤委員長代理)  原子力委員会としては、まず、第一弾のコメント・意見を示すべきである。そして、事態が進展してから、次のコメント・意見を示す、というように進めればよいと思う。最初に示したものでおしまい、ということでは全くない。廃棄物処理については、統合されるかどうかとは関係なく、これまでに少しは手をつけておくべきであったと思う。この統合というよい機会に、この課題をどう処理していくのか、を検討しておかなければいけないと思う。両法人は、同じ原子力ということではあるが、指向する方向はかなり異なっており、この統合はかなり難しいことである。その中で、どうすれば両法人のいいところを引き出せるのか、ということが最も大きな課題ではないかと思う。また、基礎・基盤研究と技術移転を、お互い並存させ活かしていくためには、どうすればよいのか。両法人の統合に伴い、ある程度重複する分野も出てくると思うが、その分野は思い切って見直し、逆に必要な分野は伸ばしていく、ということが必要になると思う。
(藤家委員長)  この議論は今まで何回かやってきて、初めて傍聴されている方々のために整理しながら、ここに至るまでの間、原子力委員会は随分と議論してきている、ということを説明したい。
 この日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合計画は、特殊法人に関する行政改革の中で出てきたものである。原子力委員会として、これを政策の計画立案・遂行という観点からみると、2法人の統合という問題だけで捉えるわけにはいかない、ということを最初に提示した。原子力政策の遂行のためには、この2法人に加えて、理化学研究所、放射線医学総合研究所などの法人や、民間への技術移転、あるいは民間でのいろいろな活動も含め、原子力全体の中で捉える必要がある。
 また、原子力委員会としては、そのようにして全体像をとらえる中で、今回の行政改革を、平成13年1月に実施された省庁再編に続く改革である、と認識している。省庁再編では、文部省と科学技術庁が一体となり、まさに大学の原子力分野も、同じ視野の中に入れていかなければならない、ということを最初に示し、その取組みの方法を検討している。また、これと同時に、この行政改革をポジティブに捉えよう、というのが、原子力委員の合意であった。その後、国際協力についても議論し、原子力委員会として、「日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の廃止、統合等について」というメッセージを出した。これも公表されているので、ご覧いただきたいと思う。
 1月8日(火)の第1回原子力委員会定例会議では、各原子力委員から年頭の所感を示した。そこでもいろいろと議論したが、少なくとも、今の原子力長期計画について、今すぐ改定や見直しをする必要はなかろう、ということで基本的に合意した。
 もう1つ重要なことは、原子力全体で重要なことは、「総合性」と「主体性」と「先進性」である。特に、「総合性」については、原子力においてとても重要であり、その代表的な例が原子力安全である。これは、ある分野だけをしっかりやれば、安全を確保できるというものではなく、広がりのあるものとして、これを捉えなければならない、ということである。そういう趣旨で、資料5の「基本的な認識」で「安全の確保」を取り上げている。「透明性の確保」や「社会からの信頼」は、言うまでもないことであり、これを前面に掲げて対応していくことは当然のことである。特に、今回の統合については、個別分野も含めいろいろな議論があると思うが、両法人の共通部分を1つ見ておく必要がある。それは安全研究であり、これは両法人がこれまでやってきていることである。この安全研究は、社会的にもかなり重要な意味を持っており、中立性も要求される、ということも議論にあった。
 また、この統合に際し、核燃料サイクルを含む核分裂研究の活性化を、十分に図るべきである。これは、両法人で実施していることであり、核燃料サイクル開発機構では高速炉を含んだ核燃料サイクルや革新炉を、日本原子力研究所では高温ガス炉や革新炉などの研究開発を、それぞれ進めてきた。その他に、資料5の「検討の視点」(3)にあるようないろいろな分野があり、それぞれ重要であると思う。
 それから、日本原子力研究所の基礎・基盤的な研究と、核燃料サイクル開発機構のプロジェクト指向の研究を、これからどう見ていくのか。大学との関係や民間への技術移転を含めて考えると、従来の延長線上でよいのか、議論し直す必要があるのか。放射性廃棄物や国際協力などの問題もある。特に放射性廃棄物の問題は、大変難しく重要な課題である。加速器や放射線利用についての視点もあるが、これについては原子力委員会の専門部会で議論を続けていくことも、ある意味で可能ではないかと思っている。このような趣旨で、資料5の「検討の視点」に挙げている。これらは、行政改革として捉える上で、非常に大事なことであると思う。
 我が国の今の財政事情を考えると、原子力の研究開発もその中で考えていく必要があり、これも聖域であり得ないことは当然である。何を重点化し、何を見直すのかということについては、将来の原子力の全体像を見る中で、ある意味では大胆な判断が求められていると思う。いずれにしても、原子力委員会としては、今後も、このようなメッセージや議事録などを通して、公表していきたい。まだ、両法人の統合まで時間があるので、その間にいろいろな形でメッセージなどを公表していかなければならない、と思っている。その最初のステップとして、原子力委員会の参与の方々から、このような観点からコメントをいただく予定である。資料5の3頁にあるような予定で実施したい。議論の進捗によっては、参与以外の方からも意見を聞く必要があるのかどうか、ということも別途考えて対応していきたいと思っている。最初のメッセージは、早い時期に関係省庁に対して方向性を示し、社会にも公表することが大事だと思う。

 (6)その他
  • 事務局作成の資料6の第4回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
  • 事務局より、2月12日(火)の次回定例会議の議題は、日本原子力研究所及び核燃料サイクル開発機構の統合について、原子力委員会参与からのヒアリング等を中心に調整中である旨、発言があった。
  • 事務局より、定例会議終了後にプレス説明を行う旨、発言があった。