第2回政府間協議について

1.開催日程:平成14年1月22日(火)〜23日(水)

2.開催場所:東京国際交流館(お台場)

3.参加極 :日本、EU、ロシア、カナダの4極

4.結果概要:
  • 次の点について議論。
    • ITER共同実施協定についての基本的考え方
    • サイト選定の手順についての基本的考え方
    • 調達配分のスキームについての基本的考え方
    • 実施段階への移行措置についての基本的考え方 等
  • 今回の政府間協議で明確にした、共同実施協定及びサイト共同評価等に関する議論のポイントについて、2002年3月19、20日にモスクワで開催される予定の次回第3回政府間協議の前に、更なる検討が行われることとなった。
  • 日本から総合科学技術会議での議論について報告するとともに、各極から次の状況報告があった。
    1.昨年6月にITERの誘致の提案を行ったカナダは、オンタリオ州クラリントンをITERサイトとするための公式な許認可手続きの一部として、カナダ原子力安全委員会によるITER計画に対する最初の公式な評価が3月に行われる。
    2.EUでは、フランスの研究大臣がEUに対し、ITER建設地として欧州サイトが提案されるための条件を明確にすることを求めるとともに、カダラッシュにITERを誘致するフランス提案を検討するよう要請。また、スペインのサイトを提案する可能性についての検討も行われている。
    3.ロシアでは、「ITER国際計画」と名付けられた連邦計画により、ITERは最優先事項の一つとされている。

5.その他

 23日の協議の機会に、ITERサイトとして適性を有するとされた候補地(茨城県那珂町、青森県六ヶ所村)について、各参加極の関係者に説明を行った。


(別添)

第2回ITER政府間協議(N2)参加者

日本委員1)青江 茂文部科学審議官(代表)
2)素川富司文部科学省官房審議官
3)長内 敬外務省軍備管理・科学審議官組織参事官
4)大竹 暁文部科学省核融合開発室長
5)道上尚史外務省国際科学協力室長
6)山口哲弥内閣府政策統括官付参事官補佐
7)岸本 浩原研理事
8)吉川允二原研顧問(議長)
EU委員1)フィンチ欧州委員会研究総局顧問(代表)
2)ワトー仏政府原子力最高顧問付顧問
ロシア委員1)ヴィノグラドフ原子力省第一次官(代表)
2)ベリコフクルチャトフ研究所総裁
3)ソコロフ原子力省原子力科学技術本部長
4)シュチュルバク科学省本部長
カナダ委員1)キャンベルカナダ天然資源省(代表)
2)チャーチ外務貿易省科学技術部上級顧問
3)ポッターオンタリオ州政府
4)スチュワートITERカナダ取締役
5)スリマITERカナダ顧問
6)ヘミングズCanatom NPM Inc.
国際チーム1)エマール国際チームリーダ
2)下村安夫国際チーム共同リーダ
3)バラバスキー国際チームCP


欧州共同体における核融合の最速の道(Fast Track)の議論について

  1. 核融合の最速の道(Fast Track)に関する専門家会合
     欧州研究相理事会の要請の基づき、英国のキング首席科学顧問を座長として欧州各国の核融合専門家を集めて、2001年11月27日に専門家会合が開催され、12月5日に結論がとりまとめられた。

  2. 専門家会合の結論の概要
     2000年にユーラトム計画の評価パネルが、核融合について、ITER、その建設決定から35年後に稼働する原型炉、それに続く実証炉と言う3段階からなる暫定的なロードマップを示しており、大規模発電は50年後とのシナリオとなっている。
     これに対して、以下の助言により、この期間を短縮して、30年程度で核融合発電の目途をつけようとするのが、最速の道(Fast Track)である。

    1.ITERは不可欠な段階とするが、現在の設計で許される改造を行うなどして20−30年以内に核融合発電の技術的可能性を実証する。実用化を先取りした燃料生産とエネルギー抽出のためのテストブランケットなどに強い関心。

    2.ITERに続いては、技術面と経済性の最適化を多少犠牲にしても、原型炉と実証炉の段階をまとめて、信頼性の高い実証炉を設計する。

    3.ITERはエネルギー生成と抽出の実証を主目的とし、EUの核融合計画はITERのR&Dとの協調を行う。その他の欧州の研究所は将来の炉の概念及び設計に向けての改善に力を注ぐ。

    4.核融合用の材料開発は環境に優しく、経済性の高い技術への鍵であり、そのためにはITERに加え、大強度中性子源IFMIFの開発が必要である。IFMIFの工学設計活動は第6次フレームワーク計画中(〜2006年)に完了すべきである。IFMIFで如何なる実験を行うかの検討は現存する中性子源等を活用して進めるとともに、材料の放射化の理論的なモデル構築を進める。

    5.以上のためには
    • ITERの交渉権を早急に資金分担とサイト関連事項まで拡大する。
    • ITERの実現と並行してIFMIFの工学設計を開始する。
    • JETに代表される現存の施設については、核融合の実現に効果的な貢献がなしえる間は存続するが、ITER計画の実現及び財源の可能性のために段階的に廃止に向かう。
    が重要な鍵。
    いくつかの活動を並行して走らせるに必要な資源は、核融合開発の段階を一つ省略すること、及び国際協力の拡大により確保する。

    6.ITER建設にかかる資金は殆ど産業界に行く。核融合開発での産業界の役割は重要になるし、電力会社との関係は段階的に強くなる。核融合がエネルギー生成のための産業界からの要求にマッチするよう、産業界及び電力業界を巻き込む仕組みの強化が必要である。