第2回原子力委員会臨時会議議事録(案)

1.日時2002年1月10日(木)10:30〜11:00
2.場所中央合同庁舎第4号館7階 共用742会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、木元委員、竹内委員
内閣府
 浦嶋審議官
 小巻参事官(評価担当)
 榊原参事官(原子力担当)
 嶋野企画官(原子力担当)

4.議題
(1)最近の市民参加懇談会の状況について
(2)総合科学技術会議におけるITER計画の審議状況について
(3)その他

5.配布資料
資料1 「市民参加懇談会inかりわ」開催のご案内
資料2 ITER計画に対する考え方

6.審議事項
 (1)最近の市民参加懇談会の状況について
 標記の件について、嶋野企画官が資料1に基づき説明した後、市民参加懇談会の主任原子力委員である木元委員から説明が行われた。
(木元委員)  これまでの経緯を説明すると、昨年11月18日(日)から、新潟県刈羽村にうかがい相談させていただいている。その時から、刈羽村の方との話合いは、全て公開としている。プレスの方にも来ていただき、私達のやり取りを全部聞いていただいた。それにより、私達の趣旨を、より正確に把握していただけたのではないかと思う。しかし、刈羽村には、原子力委員会は国の委員会であり、国の委員会と話し合うのは嫌だ、というグループがいらっしゃったことは残念であった。11月18日(日)にうかがった際、数人の女性の方が、私だけと廊下で話をしたい、とおっしゃり、国が核燃料サイクル政策の撤回を表明しない限り、同じテーブルには着きたくない、というご趣旨であった。私達としては、そのような意見も打合せの場で表明していただきたい、と言い続けてきたが、この方々のように、国が原子力政策を変えない限り、話し合うことすら嫌だという方も、実際にいらっしゃる。
 11月21日(水)に、鹿児島県川内市で、全国原子力発電所立地議会サミットがあり、私から、基調講演の中で、市民参加懇談会を紹介させていただいた。そこで、かなりの方々に大変強い関心を示していただき、自分のところにも来てくれないか、という申し出もあり、成果があったと感じている。具体的には、このサミットの際、新潟県柏崎市からも、市民参加懇談会開催のお話があり、内容のつめはこれからだが、3月8日(金)に開催する線で地元と調整をしている。
 その後、昨年12月13日(水)に、5人の企画メンバーの方々とともに刈羽村にうかがい、刈羽村の方々と話合いをした。当初、私達は、刈羽村の方と共催の形で開催したいと考えていた。しかし、刈羽村にはいろいろなグループがあり、1つのグループにはなっていない。そこで、いろいろなグループで1つの「会」を作ることを刈羽村の方もお望みになっていたので、吉田村議会議員の主導で、「明日の刈羽を語る会」が結成された。それについて、私達が多少はきっかけ作りのお手伝いができたのであれば、大変うれしい。ただし、今回の市民参加懇談会については、「明日の刈羽を語る会」としては参加したくないという方がいらっしゃったので、資料1の「4.発言者」では、「刈羽村有志の方」という記載をした。ただし、そのグループの方の中には、会場にお見えになる方がいらっしゃるかもしれないと聞いている。当日は、どのくらいの方々がお見えになるか分からないが、ご発言いただければ大変うれしいと思う。
 これまで、刈羽村の方と何度もコンタクトをとり、いろいろと相談させていただいた。私自身が電話を差し上げたり、事務局から何度かコンタクトをとったりし、刈羽村の方との関係を作ることができたのではないかと思う。市民参加懇談会を1月15日(火)に開催できることと、この開催までのプロセスで得られたものは、一つの成果であり、本当にうれしく思う。新潟県知事にも、反対派の方も含めて、同じ場所で同じテーマを語り合うということはとても画期的なことだ、と高く評価いただいた。やはり市民参加懇談会の役割は大きいと改めて確認させていただいた。
 1月15日(火)の「市民参加懇談会inかりわ」では、遠藤委員長代理と竹内委員にも来ていただくことになっている。当初は、ラウンドテーブル方式で開催しようと思っていたが、刈羽村の方から、テーブルはいらない、「いろり」を囲むような感じで輪になって話し合おう、というご提案があった。こちら側が原子力委員会市民参加懇談会のメンバー、あちら側が刈羽村の方々、という形はやめて、入り混じってやろうということになった。これも一体化の具現だと思うので、とてもうれしく思う。
 当日の「市民参加懇談会inかりわ」は、どのような展開になるのか分からないが、資料1で記載しているように、「わたし達がエネルギーを大切に使うためには、どういう暮らし方がいいか」、また、「刈羽村の方はどのように暮らしたいのか」、「東京の方はどのように暮らしたいのか」、あるいは、「日本はどのように暮らしたいのか」というビジョンを語り合えれば、すばらしいと思う。また、「エネルギーの需要は増えていく、これに対してどうあったらよいのか、そして、原子力はどうなのだろう、現存している原子力に対して、刈羽村の方はどう考えられているのか」についても話し合いたい。この中で、プルサーマルについても、話が出てくると思う。後半は、この議論が中心になるかもしれない。今回の「市民参加懇談会inかりわ」では、原子力委員会側は聞き役に徹したいと思っている。「広聴」、すなわち広く聴くということを高く掲げて、刈羽村の方のご意見を聞きたいと思う。その上で、こちらから伺うことがあったら、質問させていただく。会場からもご意見が出るかもしれないが、その場合は、前に出ていただいたりして、ご発言いただこうと思っている。
 テーブルを使わない形では、マイクの置き方も考えなければならないが、このようなことについても、全て刈羽村の方と話合いで決めていこうと思っている。司会も、刈羽村サイドと原子力委員会サイドの両方から出し、私と吉田議員や土田氏で担当する予定である。今回の懇談会は、楽しく有意義なものにしたいと思っている。単に賛成・反対の言い合いになるような形で話合いを進めることは不毛だと思うので、この点についても、刈羽村の方と相談していきたいと思う。
(遠藤委員長代理)  木元委員のご発言の通り、我々は「広聴」に徹したいと思う。質問を受けたり、事実と異なるような話があった場合に限って、発言したいと思っている。
(木元委員)  「刈羽村の方々」と「電力消費者側の代表者」という立場からではなく、同じ「市民」には違いないわけなので、市民レベルで、それぞれ住むところや暮らし方も違うかもしれないが、同じ「市民」という立場から話し合う、ということが底辺にあれば、積極的に遠藤委員長代理のご意見のようなことも発言していただいていいと思う。
(竹内委員)  私も「広聴」が大事であると思う。この市民参加懇談会を、さらに育てていきたいと思っている。
(木元委員)  この市民参加懇談会は、1回だけで終わりにしたくない。刈羽村の方も、同じように言っている。せっかく大消費地の方と交流できるのだからまた来てほしい、というお声もある。これも事務局と相談しながら、日時を決めて地道に進めていきたい。ただ、森嶌委員がご欠席なのが、非常に残念である。
(遠藤委員長代理)  3月8日(金)の柏崎市での市民参加懇談会は、どのようになっているのか。
(木元委員)  これからつめていきたいと思っている。これは、2回目の市民参加懇談会ということになると思う。柏崎市議会の方が、刈羽村で第1回目を開催することに関心を待たれたことは事実である。鹿児島県川内市のサミットでは、柏崎市の方が規模も大きいので、まず柏崎市で市民参加懇談会を開催しては、というような声もあった。そこで、柏崎市にもいずれ行かせていただきたい、と申し上げたら、私に対して3月8日(金)に講演してほしいというご依頼があり、そこで、私の方から、それなら市民参加懇談会を開催しましょう、とご提案した。その提案を大変喜んでいただき、まず開催日時についてだけご提案をいただき、具体的なことは、これからつめていきたい。
 今回の市民参加懇談会は、いずれも夜に開催する予定である。刈羽村の懇談会は午後7時から、柏崎市でも午後6時から開催する予定である。本当に言いたいことをお持ちの方と話し合うためには、懇談会は夜に開催するのがよいように思う。
(遠藤委員長代理)  夜に開催するということでいいのではないか。そもそも、今まで平日の昼間に開催してきたことの方がおかしい。
(藤家委員長)  このような会が発足することは、大変うれしいことである。今後、ホットな議論ができるようになればいいと大きな期待を持っている。最初の懇談会は、次に続けよう、という形で終わってほしいと思う。
(木元委員)  反対派の方が何をおっしゃっても、あきらめずに、違う意見を持つ人が違う意見を述べ合うことで、はじめて相手のお考えの真意を知ることになる、ということを明らかにしていきたい。国に対しては何を言ってもだめだ、という不信感やあきらめが先にあるように思われる。そこだけでも解消していきたい。真摯に承りたいと思う。
 (2)総合科学技術会議におけるITER計画の審議状況について
 標記の件について、小巻参事官より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)  総合科学技術会議においては、ITER誘致の是非を、1月下旬に最終的に判断すると聞いているが、どうなっているのか。
(小巻参事官)  1月末に総合科学技術会議の本会議が行われる。ただし、そこで最終判断を出すかどうかは、今のところ分からない。
(木元委員)  ITERを誘致しようとしている地域では、かなり積極的に誘致活動を実施している。青森ではテレビ番組まで作った。資料2の4頁に、「また、同時にITER計画の意義について国民の理解を得る努力を行う必要がある」とあるが、これは具体的に、どのようなことを考えているのか。
(小巻参事官)  文部科学省の試算では、誘致した場合、30年間で7,000億円程度の多額の費用がかかる見通しである。そのため、ITERは、このような効果があるので国として推進すべきである、という説明をすべきである。もう1つは、誘致地域の方々や自治体の方にはとても前向きに考えていただいているが、別の立場の方もいるので、その方に対しても、どのような計画なのか、適切に説明する必要がある。
(木元委員)  具体的には、どのように実施するのか。集会を開いたり、こちらから説明にうかがったりするのか。
(小巻参事官)  いろいろな方法が考えられる。総合科学技術会議では、説明は実施しないが、政府の課題として、その必要性を認識している。
(木元委員)  総合科学技術会議として説明しなければならない、という点がいくつかあると思う。
(小巻参事官)  今、総合科学技術会議として考えているのは、参加あるいは誘致にあたって、どのような議論をするのか、どのような理由でその結論に至ったのか、という議論の透明性については責任を持たなければならない、ということである。それは十分に承知している。
(木元委員)  誘致に手を挙げている地域から呼んでくれれば、説明に行くという方法もあると思うが、自主的にどれだけ乗り出せるか、ということが重要である。なぜかというと、実際その場に行ってみると、国の姿勢が見えない、総合科学技術会議は何を考えているのか、と言う方が多いと思う。やはり、この点については説明責任があると思う。資料2の4頁に、「(エ)ITER計画を誘致する場合には、安全性の確保と放射化物の処理について、周辺住民への説明も含め、十分な対応を行うこと」とある。周辺の住民の皆さんへの説明は当然のことだと思うが、現段階はこうなっている、という正確な情報を、誘致地域の方には優先的に届けてほしい。誘致地域の方々は、こうだから実施します、という説明ではなく、今はこのような段階です、放射化物というのはこういうことですよ、ということを正確な知識として入手したいのだと思う。
(小巻参事官)  そういうことをどこが実施するのかという問題もあると思うが、基本的には、実施官庁がそういった点を十分説明すべきだと考えている。その際に、総合科学技術会議では、論議の時はこのようなことを考えていたのだ、という情報の提供はすべきである。実質的にいろいろな説明をしたり、話を聴いたりするのは、政府あるいは実施官庁がやるべきことだと考えている。
(木元委員)  そうなってくると、資料2の3頁の「以上を勘案し、科学技術政策担当大臣と有識者議員は、我が国がITER計画に参加することが望ましく、さらにこれを誘致することの意義があるものと判断した」という説明だけで逃げてしまった、と思われてしまう。
(藤家委員長)  その点については、原子力委員会で引き受けて出て行くこともとても大事だと思っている。そういう意味で、この答えであれば、不足はなく、大変よい答えを出していただけたと考えている。これが最終決定になってくれることを期待している。むしろ木元委員の話は、総合科学技術会議には何をお願いし、これまでITERをずっと扱ってきた原子力委員会ではどうやるのか、という問題だと思う。総合科学技術会議と原子力委員会とのバランスのとれた対応が求められているのではないか。
(木元委員)  このような時に市民参加懇談会を活用してもいいと思う。そうすれば、マイルドに話ができるかもしれない。
(藤家委員長)  そういう意味でも、市民参加懇談会の成長に期待をしている。これについては、自治体に説明することも、市民のレベルで訴えかけることもともに大事であり、何らかの形が求められるだろうと思っている。
(遠藤委員長代理)  ポイントは、ITERの誘致に絞られている。誘致できるかどうかは、海千山千の人達が相手なので、そう簡単な話ではないと思う。
(小巻参事官)  この資料を作成した時に、総合科学技術会議議員から強く言われたことは、誘致するのだということを前面に強く出すと、政府間協議において、その言質をとられて、必要以上に費用を負担しなければならなくなり、国益を損なうことになる、ということである。その点をかなり配慮した資料になっている。
(藤家委員長)  その点はよく分かる。むしろ、交渉担当者にその場での権限を与える方がよいと思う。なかなか難しい交渉になると思うので、原子力委員会もできるだけ協力したいと思う。
 (3)その他
  • 事務局より、1月15日(火)は定例会議を休会とする旨、発言があった。
  • 事務局より、1月22日(火)の次回定例会議の議題は、「平成14年度原子力関係予算政府原案」等を中心に調整中である旨、発言があった。
  • 事務局より、臨時会議終了後にプレス説明を行う旨、発言があった。