第55回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日時2001年12月25日(火)10:30~ 11:15
2.場所中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
 浦嶋審議官
 青山参事官(原子力担当)
経済産業省原子力安全・保安院原子力発電安全審査課
 佐藤総括安全審査官
 渡邉課長補佐
文部科学省研究開発局原子力課
 中西課長
財団法人エネルギー総合工学研究所プロジェクト試験研究部
 松井部長 

4.議題
(1)東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(答申)
(2)第4世代原子力システムの開発に係る取組みについて(GIF政策会合報告等)
(3)平成14年版原子力白書の作成について
(4)平成14年度原子力関係予算案について
(5)その他

5.配布資料
資料1-1 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(答申)(案) 
資料1-2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所 原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)の概要について
資料2-1 第4世代原子力システムの開発に係る取組について
資料2-2 第4世代国際フォーラム政策グループ会議報告
資料3 「平成14年版原子力白書」の作成について
資料4 平成14年度原子力関係予算総表
資料5 第53回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(答申)
 標記の件について、佐藤総括安全審査官より資料1-2に基づき説明があった後、以下のとおり質疑応答があり、平成13年8月21日付け平成13・03・16原第10号をもって諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、経済産業大臣あて答申することと決定した。
(竹内委員)  特別な問題はないと考える。
(藤家委員長)  この変更申請において、安全に直接関連するものは何か。
(佐藤総括安全審査官)  放射性廃棄物の処理にあたって、放射性物質が飛散しないようになっているか、技術的能力を持っているか、が安全に関わる部分である。
(藤家委員長)  原子力の平和利用に関しても、ほとんど問題はない。必要な資金も25億円程度であるので、とりたてて議論するような話でもない。
 グラニュールについて、一般に聞きなれない言葉なので、説明してほしい。
(佐藤総括安全審査官)  グラニュールは、焼却した後に残る残渣であり、ガラス状の細かい粒である。
 (2)第4世代原子力システムの開発に係る取組みについて(GIF政策会合報告等)
 標記の件について、中西課長及び松井部長より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)  米国エネルギー省(DOE)は、第4世代原子力システムのロードマップ(開発計画)の作成を急いでいるようだが、第4世代国際フォーラム(GIF)に参加した他国の所見を、それに反映することが可能なのか。
(松井部長)  最も典型的な例は、フランスである。フランスは、高速増殖炉開発を完全にはあきらめていないが、研究開発の取組みを縮小してきている。そこで、フランスは、この第4世代原子力システム(GEN-Ⅳ)開発の中に自分達の取組みをうまく組み入れることができるよう、積極的に動いている。南アフリカも、ペブルベッド・モジュール炉(PBMR)を中心に、積極的に動いている。
(藤家委員長)  このロードマップは、誰のために、また、何のために作成されるのか。この点を考えると、米国は、このロードマップを作成することに対し、おそらく半分賛成、半分反対であると思う。多数の国の間で議論することになるが、そもそもマルチのロードマップとは何なのか。GIFという観点からみて、日仏の2国だけで、自由にロードマップに沿って推進したとすると、どうなるのか。
(松井部長)  それは、GIFの憲章の中では認められる。
(藤家委員長)  GIFと米国の原子力エネルギー研究諮問委員会(NERAC)のような意思決定機関との関係が、まだ整理しきれていないと思う。GEN-Ⅳは国際的なものになってきたので、任意団体ではなく、経済協力開発機構(OECD)の原子力機関(NEA)や国際原子力機関(IAEA)のような国際機関が推進する方が、より中立的・客観的に見ることができると思う。そのような議論はないのか。
(松井部長)  そのようなことに直接つながる議論はない。
(藤家委員長)  このロードマップには、米国の今の原子力政策と異なることがたくさん入っており、心配している。
(遠藤委員長代理)  GEN-Ⅳは、ロシアが積極的に進めている革新的原子炉開発プロジェクト(INPRO)と同じようなことを実施しているように思える。
(藤家委員長)  中国の動向はどうか。
(松井部長)  中国は、現在、INPROだけに参加している。昨年1月、DOEのマグウッド氏がGEN-Ⅳへの参加について各国に声をかけた時に、中国やロシア、ドイツにも声をかけたと聞いている。
(竹内委員)  再処理については、共通課題に取り上げられなかったのか。
(松井部長)  資料2-2で挙げている4つのクロスカットグループは新設のもの。これ以前に、燃料サイクルのクロスカットグループが立ち上がっており、9月、10月に報告書を出している。
(竹内委員)  それは、GEN-Ⅳのロードマップとは別に設立されたのか。
(松井部長)  ロードマップの中で設立されたものである。
(竹内委員)  それも、国際的に議論されているものなのか。
(松井部長)  議論は、再処理の是否が中心であったが、基本的には、容認の方向の議論が多数であった。
(竹内委員)  米国は容認していたのか。
(松井部長)  GIFに参加していた研究者は、そうであった。
(藤家委員長)  途中で政策の不安定さに巻き込まれる可能性があるので、米国が是認していない点については、注意していかなければならない。しかし、この議論が続いていけば、大変よいことだと思う。
(遠藤委員長代理)  INPROはどうなのか。
(松井部長)  基本的な目標は両者とも同じ、という認識である。
(藤家委員長)  今は、それほど具体的に動いていない。いくつかの文献を収集し、冷却材の種類を並べるといった程度である。
(松井部長)  現在のところ、世界各国のユーザーの要求、特に途上国の要求を整理していると聞いている。INPROの運営委員会の議事録を見ると、GEN-Ⅳとの協調を十分意識していることが分かる。
(藤家委員長)  我が国にとって、GEN-Ⅳに参加することの最大のメリットは何であると考えているか。
(松井部長)  日本が持っている実力や投入している予算は、参加国の中で圧倒的に大きく、したがって、リーダーシップを発揮できるようにしなければならない。それができるかどうかは我々にかかっている、と考えている。
(藤家委員長)  我が国の原子力政策は、世界で最も広がりを持つものであるとともに、ほぼ5年毎に見直しながら、それを一貫して守ってきている。これから、それをどのように世界で活かしていくのか。これは、原子力委員会としても検討していかなければならない点である。このような点を、我が国の主張に盛り込んでほしい。フランスがGEN-Ⅳに関しコメントしているのに対し、我が国は概ね賛成している、というのでは困る。我が国にとっては、中国も参加した方がいいかもしれない。原子力委員会でも革新炉検討会が開催されるので、強い関心を持っている。
(竹内委員)  このような機会に、我が国のリサイクル志向を世界に向けて継続的に発信し、リードしていってほしい。
(松井部長)  日本は、特に個別のワーキング、例えば、高速炉や軽水炉のワーキングにおいて、議論をリードしている。
(藤家委員長)  我が国は、なんとなくGEN-Ⅳを革新炉と捉えているが、必ずしもそうではない。早く作れて早く売れるものがいい、という考えからスタートしており、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)に続くものではない。
(遠藤委員長代理)  INPROに対しては、どのようなアプローチをすべきだと考えているか。
(松井部長)  私見としては、少なくともINPROの活動にはルートを持つべきである、と考えている。現在、GEN-ⅣとINPROの両方に参加している国は、韓国とアルゼンチンだけである。フランスは、INPROに参加していないが、オブザーバーを派遣している。米国も、INPROのステアリングコミッティには、オブザーバーを出している。我々も非公式なルートを持っているが、もう少し積極的な対応をしてもよいと思う。

 (3)平成14年版原子力白書の作成について
 標記の件について、青山参事官より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)  閣議配布というのは、公表ということか。
(青山参事官)  閣議配布と同時に公表される。
(藤家委員長)  この議題は、先週の定例会議で取り上げる予定であった。お詫びを申し上げたい。原子力委員会及び事務局で、いつ発行できるか、毎年の発行は可能か、について議論してきた。ある新聞に、原子力白書を今年度内に発行するという記事があったが、原子力委員会は今年度内に発行するとは言っていない。今の状況では、今年度内の発行は難しい。資料3の記載通り、平成14年5、6月頃に発行できるよう、最大限の努力をしていくつもりである。
 (4)平成14年度原子力関係予算案について
 標記の件について、青山参事官より資料4に基づき説明があった。

 (5)その他
  • 事務局作成の資料5の第53回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。

  • 事務局より、1月8日(火)の次回定例会議の議題は、「平成14年度原子力関係予算についての各省からの報告」等を中心に調整中である旨、発言があった。

  • 事務局より、定例会議終了後にプレス説明を行う旨、発言があった。