原子力関係予算政府予算案の概要
平成14年1月
経済産業省
平成14年度原子力関係政府予算案のポイント 平成14年1月
経済産業省
- Ⅰ.全体的な考え方
平成12年11月策定の原子力長期計画並びに昨年6月の原子力部会及び原子力安全・保安部会の報告を受け、これらの内容を具体化するための施策を実施。
Ⅱ.平成14年度政府予算案の概要
【 1,677億円 (1,604億円)】
平成14年度予算案 (平成13年度予算)
【283億円(293億円)】
原子力安全関係
1.科学的合理性のある安全規制に必要な知見の充実
【169億円(182億円)】
- (1)原子力発電関係 (122億円(144億円))
→ 原子力発電施設について、事故時の燃料挙動、高経年化対策等に重点化。
(2)核燃料サイクル関係 (45億円(39億円))
- 高経年化対策 (48億円(46億円))
- 原子力発電施設耐震信頼性実証等 (25億円(21億円))
- 高燃焼度軽水炉燃料等の事故時の挙動に関する技術調査 (4億円(新規))
→ 核燃料サイクル事業の進展を踏まえ、核燃料サイクル施設の安全評価等を的確に実施。
(3)原子力安全全般に共通の調査研究 (2億円(0.1億円))
- 中間貯蔵対策 (20億円(14億円))
- 放射性廃棄物処分対策 (10億円(10億円))
→ 人文科学、社会的科学も含めた広範な分野の調査研究を創設。
- 提案公募による原子力安全基盤に関する調査研究 (2億円(新規))
2.規制の的確な実施と情報提供
【6億円(6億円)】
- → 原子力安全に係るわかりやすい情報提供、安全規制担当職員の研修費用等を計上
- 検査等の的確な実施 (4億円(4億円))
3.国際的取組の強化
【7億円(8億円)】
- → 国際会議等への積極的対応、途上国の規制当局職員等の我が国における研修
- 規制職員等受入研修等経費 (6億円(6億円))
4.原子力防災対策
【101億円(97億円)】
- → 原子力防災訓練の充実・強化、防災研修制度の強化を図るとともに、地方自治体の行う連絡通信設備・防災資機材の整備、防災研修等に対する支援を行う。
- 緊急時安全対策交付金の拡充 (45億円(40億円))
【246億円(250億円)】
電源三法交付金除く。
原子力政策関係
1.原子力に対する国民理解の促進
【71億円(64億円)】
- → 原子力政策に関する国民的合意形成のため、「エネルギー教育の充実」、「隣人と話をするような情報交流」、「百聞は一見に如かずの実践」、「まず国が前面に出る」の方針の下、従来の広報活動を改め、広聴・広報活動として抜本的に見直す。
- 教員向けの教材等の作成・配布 (1億円(新規))
- 原子力発電所見学者百万人を目標とした官民一体となった活動 (6億円(1億円))
2.原子力技術開発の推進
【70億円(62億円)】
- (1)将来の新たな原子力技術の開発 (31億円(23億円))
将来のリプレース等に備えた原子力技術に関する検討、提案公募方式による研究開発支援。
→ 原子力長計、原子力部会での指摘も踏まえ、一定の予算を計上。
(2)実用炉関係 (6億円(8億円))
- 革新的実用原子力技術開発制度の本格化 (24億円(16億円))
既存の軽水炉関係技術の改良等。
→ 民間中心に取り組むべき事項を精査・整理し、技術開発を重点化。平成14年度予算においてテーマ数を削減(3→2)。
(3)廃止措置 (16億円(13億円))
商業炉の廃止措置に備えた要素技術(遠隔解体システム技術、廃止措置の制度的課題の抽出等)の開発。
→ 東海発電所の原子炉廃止措置着手に向け、平成15年度で技術開発成果をとりまとめ。
(4)全炉心MOX炉 (15億円(16億円))
全炉心MOX炉の技術開発費用を補助。
→ 技術開発費補助の継続。
3.放射性廃棄物処分関係
【135億円(138億円)】
※核燃料サイクル開発機構への研究開発補助金(文部科学省計上。下記参照。)含む。
- [廃棄物処分事業の進展を踏まえ予算内容を見直し、処分方法別の予算に編成替え]
(1)地層処分技術関連 (127億円(130億円) ※核燃料サイクル開発機構への研究開発補助金(文部科学省計上。下記参照。)含む。)
高レベル放射性廃棄物処分関連技術の高度化及び関連情報の整備。
→ 特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(平成12年9月)(国は地層処分技術の信頼性向上技術開発を実施)を踏まえた重点化。
(なお、関連予算として、核燃料サイクル開発機構予算が拡充されたほか、革新的実用原子力技術開発制度においても関係テーマの研究開発を実施。
地層処分も必要とされる超ウラン核種を含む放射性廃棄物について、処分方法の確立に向けた調査研究。
- 核燃料サイクル開発機構への研究開発補助金(77億円(66億円))(文部科学省計上)
- 革新的実用原子力技術開発制度(24億円(16億円)の内数)(再掲))
→ 処分方法の具体的検討に応じた技術開発の継続。
(2) 管理型処分技術関連 (9億円(8億円))
低レベル放射性廃棄物である発電所廃棄物及びウラン廃棄物の合理的処分のためのシステムの開発・調査。
→ ウラン廃棄物、比較的放射性廃棄物レベルの高い低レベル放射性廃棄物については処分方法の具体的検討に応じた技術開発を継続、その他低レベル廃棄物関係は順次縮小。
4.核燃料サイクル関係
【17億円(21億円)】
- [六ヶ所核燃料サイクル事業への技術移転の重点化]
(1)ウラン濃縮 (13億円(15億円))
経済性に優れた世界最高水準の遠心分離機の開発。
→ レーザー濃縮技術開発について繰り上げ終了。核燃料サイクル開発機構から日本原燃㈱への技術移転による遠心機開発を支援。
(2)MOX燃料加工 (3億円(7億円))
- 遠心法ウラン濃縮事業推進費補助金 (13億円(新規))
MOX燃料加工技術の民間実用化のための技術確証。
→ 確実な技術移転・確証が行われるよう継続。
5.人材育成
【24億円(16億円)】(再掲)
- 提案公募方式による安全性・経済性の向上に資する原子力研究開発支援。
→ 革新的実用原子力技術開発が原子力分野の研究人材育成にも貢献。
6.原子力立地関係
(1,159億円(1,076億円))
- [個々の立地地域の実情・ニーズにきめ細かく対応した施策を講じる。]
→ 中間貯蔵、MOX燃料加工、高レベル放射性廃棄物最終処分等の原子力関係施設の立地が見込まれる関連地域に対する交付金制度を拡充。
- 高レベル放射性廃棄物最終処分施設の立地が見込まれる地点に対する初期対策交付金 (26億円(新規))