第4世代国際フォーラム政策グループ会議報告
平成13年10月10日、11日
(於:マイアミ、JWマリオットホテル)

岩村公道 日本原子力研究所
鈴木聖夫 核燃料サイクル開発機構
松井一秋 エネルギー総合工学研究所

参加国:米(ビル・マグウッド、シェーン・ジョンソン、ロブ・ヴァースルイス、他2名がDOEワシントンより、ラルフ・ベネット、パーカー、アレン等のINEEL、キャナハンは国務省他)、仏(ブシャール、ティボー、カレ他1名のCEA)、英(DTIのライザー他1名NII)、日、加(1名)、南ア(1名)、ブラジル(2名)、韓国(5名)、NEA(エチャベリ局長、デュジャルダン次長),EC,IAEA(クピッツ他1名安全局)

(1)第4世代国際フォーラム(GIF)開始セレモニー
 米国DOEの呼びかけによりGIFの結成のための準備会合が、2000年1月にワシントン、8月にソウル、本年3月にパリで開かれているのを受け、正式に本年7月から発足してから初めての政策グループ会議のため、開始セレモニーとして各国の考え方の紹介があり、日本は以下の見解を述べた。

  • 日本は国際協力により次世代原子力技術の議論を深めることが重要との認識の基にGIFに参加することとした。
  • 日本は燃料サイクル開発政策を堅持するほとんど唯一の国で原子力予算も比較的大きい。
  • この他に高温ガス炉、超臨界圧炉、低減速炉、乾式再処理など、広範囲な革新技術の研究も実施中
  • 2000年度より革新的実用原子力技術研究開発の提案公募を開始し、さらに2002年度には文科省が革新炉の公募型研究を開始しようとしている。
  • 原子力委員会も革新炉の研究開発の方向性の議論を開始した。
  • このような状況から、日本はGIFへの貢献が期待できるものと希望

そのほか、仏側からGIFの活動に対する期待が大きいことから、GIFの外側への情報発信の必要性について言及があった。

(2)第4世代ロードマップの現状
  • 現在、水炉、ガス炉、液体金属炉、その他の技術ワーキンググループと評価方法(EMG)、燃料サイクルクロスカット(FCCG)のグループで第4世代炉概念の評価を実施中
  • 2002年1月までにロードマップ1次案のドラフトを作成、5月に中間報告、9月に最終ロードマップ完成予定
  • ロードマップで検討中の炉型は、水炉7炉型、ガス炉4炉型、液体金属炉4炉型、その他6炉型の計21グループに分類し、予備的なスクリーニング評価を実施し、結果が報告されたが、これは持続可能性や安全性といった大くくりの目標に対するあくまで試みのものである。
  • 炉型に依存しない共通の研究課題を抽出すべく、新たに以下のクロスカットグループの設置が紹介された。
     @燃料及び材料クロスカット(FMCG)
     Aリスク及び安全性クロスカット(RSCG)
     B経済性クロスカット(ECG);我が国からは佐賀山(JNC)が参加。
     Cエネルギー製品クロスカット(EPCG);一宮(JNC)、小川(原研)が参加。
     新クロスカットグループのメンバーは原則として既存ワーキンググループのメンバーを充当している。日本からはECG,EPCGにノミネートされている。わが国からは産業界からの参加が不足しており、この点に関しDOE担当に非公式に打診したところ、基本的には好意的であるが、人物本位であり、DOEとしては申し出でがあれば事前に審査する必要があるとのこと。また各国ともNTDP(近未来導入;2010年ぐらいの導入)グループの活動に興味がある旨の意思表明があった。最終報告のまとめの段階と思われ、いまさら各国からの参加は現実的ではないと思われるが、内容については公表するといっている。


(3)米国GEN−IVロードマップのGIF承認(Endorsement)について

  • 上記承認に関してDOE事務局より、概念の絞込み(Down Selection)は、3つの大目標;持続可能性、安全・信頼性、経済性、について定量的な評価を行い、3つの目標の総合点で見て行う、旨説明。
  • GIFの承認(Endorsement)活動として以下の提案が説明された。
    政策グループメンバーによるロードマップ第1ドラフトのレビュー、2002年1月
    専門家グループメンバーによるR&Dスコープ(最終)のレビュー、2002年3月
    政策グループによる概念絞込みの結果のレビュー、2002年4月
    専門家グループによる最終R&D報告書のレビュー、2002年6月
    政策グループによる最終ロードマップ(ドラフト)のレビュー、2002年8月
  • これに対して、3つの目標のウエイトは誰がどのように決めるのか、概念の順位付けをどうするか、が議論になった。
  • 仏、日より、今のロードマップはあくまでも米国GEN−IVのロードマップであり、GIFのロードマップではない旨、GIFと米国GEN−IVのロードマップの関係を明確に認識すべき旨発言した。
  • 米国はGIFの承認(お墨付き)が重要であるとの見解で、GIFの承認に協力を求めた。
  • 仏より、GIFの承認に関する具体的活動として次の項目が提案された。
     @価項目についてのウエイトについて政策グループでの同意が得られること。(部分的も可、出来ればすべて)
     A念の絞込みで得られる6−8の概念について同意すること。
     B上記の6−8の概念に更なる順位付けは行わず、必要R&D項目を承認する。
     Cメンバー国は、上記のR&Dへの参加に関する意思を表明する。
  • 日本は概ね仏の提案に賛成する旨発言。
  • 議論の結果、今後の予定を次のようにすることになった。
     @ 評価手法WGの最終報告を政策グループメンバーに配布(10月15日)、ウエイトに関するコメントは電子メールで行う。
     A 来年2月(2/18の週)に政策グループ及び専門家グループの会議を開催(ロンドン)、ロードマップの第1次ドラフトを審議する。
    GIFのコメントを反映したウエイトを使用した概念の絞込みの第1次結果を審議する。
    また、NEAのGIF R&D国際協力の運営方案を審議する。
    NEAは12月10日までに上記案を政策グループに送付する。
     B 6月(6/17の週)に政策グループ会議(専門家会議の要否は2月の結果による)を開催(ブラジル、リオ)最終案に近い概念の絞込み結果を審議する。
     C 11月(11/18の週)に政策グループ会議及び専門家会議を開催(日本)、R&D共同計画案を審議する。
    また、今後の事務局体制などを決める。
    註:日本での開催が可能であるかは外交ルートで回答することとした。来年の3会合の開催時期は仮置き、場所も正式には仮置きである。

(4)GIFの運用細則について
  • 仏のみがコメント用意。
    議長と事務局は同一国である必要はない。新メンバーの承認プロセスは見直しが必要、秘密投票はしないで、話し合いで決めれば良い、が主なコメント。
  • 事務局は来年末までは米国DOEが担当する.
  • 当方より、GIF議長職については、基本的には反対なわけではないが憲章には何もうたわれていない旨指摘したところ、米側はこの運用細則案件を取り下げた。
  • 運用細則へのコメントは外交ルートで回答することとした。(改訂版がDOEにより用意されるのであろう。)

(5)GIF新規加盟の取り扱い
 @スイス
スイスはGIF事務局に対し、GIF参加の希望を申し立て、今回オブザーバーとして参加し、GIF参加の目論見とスイスは何ができるかについてのプレゼンテーションを行った。
1)SHORT REVIEW OF NUCLEAR ENERGY, POLITICS AND RESEARCH IN SWITZERLAND, by P. Mayor Vice-President, Swiss Federal Office of Energy, October 2001 この中でマイヨール氏はスイスとしてGIFの目標を構成するトピックスに関心があり、憲章を受諾し、ポールシェラー研究所(PSI)の現行の研究を通して積極的に協力していきたい旨表明している。
2)Nuclear Energy Research and Education in Switzerland, by Wolfgang Kroeger, クレーガー氏によるプレゼンテーションのOHP集。
3)Reactor Physics Research on Advanced Concepts in Switzerland, by R. Chawla, もう一人の参加者であるチャワラ氏によるプレゼンテーションのOHP集。

 もともとPSIは小所帯ながら、良い仕事をするということで定評があり、その能力については疑義をはさむ余地は少ないが、GIFの活動に対する貢献あるいは展望についての言及が少なかった。
 また、スイス政府の担当者であるマイヨール氏は欠席し、PSIの研究者2名がオブザーバーとして参加したことに対する不満が一部にあり、マイヨール氏によるGIF加盟要請の私的な手紙を要請したらという話も出た。この件は仏のCEAが来週本人と会う予定がありこの要請を非公式に伝えることになっている。
 原則的にはスイスの加盟を妨げる意見はなく、加盟の是非を問う電子メールが加盟国に送られることになった。日本はワシントン大使館の千原一等書記官宛に送るよう要請した。

 Aその他の国の加盟可能性について
 フランスのブシャール局長より、将来の原子力技術開発を計画する以上、ロシアを誘うべきであるとの発言があった。これに対して支持する意見が大勢を占めた。そのタイミングとしては、INPROがフェーズ1(世界の要求仕様の取りまとめ)を終えた段階、将来炉候補の概念を絞るフェーズ2(フェーズ1終了後に続いて実施するかどうかについてはメンバー国の合意と承認がいずれにしても必要)に入る前に、手を打つべき、2002年9月以前が挙げられた。また、ロシア側もINPROの進捗に問題意識があり、GIFへの接近を図る気配があることなどが紹介された。GIFの概念候補が定まってしまってから声をかけるのでは問題が多いとして、できれば来年6月に予定されているGIF会合までぐらいを目途にしようということになった。

(6)GIF関連情報をEURATOM内のネットワークに流すことについての議論
 英国との共同提案ということになっているが、実態はフランスの提案で、将来の研究開発ニーズを評価ならびに推奨することに対し貢献する目的で、EURATOMが現在構築中の「欧州専門家技術ネットワーク」、Michelangelo Network(MICANET)、にGIFの関連情報を載せることに対して承認を求めた。結果としては次回先送り事項となった。相互に興味のある分野ならびに可能性のある協力を見出すため、守秘義務を負ったネットワーク加盟機関の個人がアクセスするとしている。その主だったところは、以下の通り。
Ansaldo, BNFL, CEA, Cogema, EdF, ENEA, Jurich, Karlesruhe, Framatome, NNC, PSI, Tractebel
 ロードマップ策定作業用に設置されているウェッブサイト(アルゴンヌが運用管理している)が現存しており、それとの比較など調査が必要と発言。欧州側のニーズは理解できるが、翻ってわが国にはこのような仕組み、あるいは取り決めがあるわけではなく、第4世代の案件が国際研究協力の形となっていくときに、わが国の企業あるいは他の研究機関は、情報のアクセスに関し遅れをとる可能性があり、看過できない。

(所感)
@ 米、英、韓(総勢5名)、加、ブラジルなど政府原子力政策関係担当あるいは責任者が出席。米側はマグウッド局長はじめ、ほとんど関連主要メンバーとともに、国務省担当官も参加している。仏側も、ブシャール局長を始め、CEAの原子力関連部局の担当が参加していた。わが国も政府レベルの参加が望まれるところ。
A ロードマップのGIFとしての取り扱いについては、当方より真っ先に問題提起し、現在の米国主導のロードマップの承認がGIFの仕事とはいかがなものかと苦言を呈した。それもあり、二日目に仏側はロードマップ、すなわち概念の選択とR&D計画により深くGIFが関与する形での提案を行い、それを基に議論がなされて上述の今後の計画案が作成されている。これによりGIFの役割は単にロードマップを承認することから一歩踏み込んだものになったといえよう。さらに、米国だけが今のロードマップ策定を牛耳ることを封じたとも言える。
B この変更により、ロードマップ策定作業がどの程度、どのような影響を受けるか不明ではあるが、さしあたり今月15日にドラフト案期限を迎える、「最終評価法レポート」がGIF政策グループにもコメントを求めて配布されることになった。評価法のうち評価基準に対する重み付けに関心があることはわかるのだが、評価法グループでもまだ議論が不十分なところであり、また評価法グループとしては将来をどのように見るのかというシナリオに依存するところと認識しており、目標間の重み付けはRITやGRNSマターとしていた経緯がある。
C 運用細則案へのコメント、ロシアの新規加入、GIFによるロードマップ承認などについてのフランス側の用意周到さ、積極性が目立った。
D 米国DOEは韓国、フランスに続いて日本と国際NERI(I−NERI)の協定を結び、GIFの活動とともに国際研究協力を進展させたいとして、日本側のコンタクトポイントはどこになるか知りたがっている。

以上