第4世代原子力システムの開発に係る取組について
外 務 省
文部科学省
経済産業省

1.概 要

(1) 米国においては、1970年代から新規発注がない原子力発電について、温暖化ガス発生抑制、原子力技術力の維持・発展という観点からの施策の必要性が指摘され、1999年の提案公募による原子力研究イニシアティブ(NERI)の創設等の施策を展開。同時に、第4世代原子力システム(GENⅣ)の開発を提唱。

※第4世代原子力システム:
-第1世代(初期の原型炉的な炉)、第2世代(PWR、BWR、CANDU炉など)、第3世代(ABWR、AP600など)に続く原子力システム。2030年頃に実用化を念頭。
-具備すべき要件として、以下を提示。
  • 持続可能性(燃料の効率的利用、廃棄物の最小化と管理、核拡散抵抗性)
  • 安全性/信頼性(安全/信頼できる運転、敷地外緊急時対応の不要)
  • 経済性(ライフサイクルコストの優位性)

(2) 2000年1月、米国エネルギー省(DOE)は、GENⅣに関するワークショップを我が国を含め9カ国(アルゼンチン、ブラジル、カナダ、仏、英、日、韓国、南ア、米)及びIAEA、NEAの参加を得て開催。その後累次専門家会合等の開催を経て、GENⅣに関する国際コミュニティ(GIF:GenerationⅣ International Forum)を形成。我が国は本年7月13日、GIFの憲章(チャーター)に署名。

(3) また、DOEは、GENⅣの概念及びそのために必要なR&Dを同定するロードマップ(開発計画)の作成に着手。DOEはロードマップ作成のためのロードマップ統合チーム(Roadmap Integration Team: RIT)及びその下に4つの技術ワーキンググループ(水冷却炉、液体金属冷却炉、ガス冷却炉、その他の革新炉)や各分野の横断的事項を取り扱う横断的分野ワーキンググループ等を設置。DOEはこのような技術ワーキンググループにGIF参加国からの専門家の参加を要請。我が国からも技術ワーキンググループ、横断的分野ワーキンググループ等に専門家が参加。

2.活動の現状

(1)GIFの現状
 GIFが各国により承認された国際協力プロジェクトとして正式に発足してから初の政策グループ会合が本年10月マイアミにて開催され、我が国からも、核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所、エネルギー総合工学研究所から専門家を派遣。会合では国際共同研究の計画立案と実施の枠組みとしてのGIFの役割、活動内容、運用方法等に関する検討が行われた。

(2)ロードマップ作成の現状
 現在、各技術WGと横断的分野ワーキンググループにおいて第4世代炉概念の評価を実施。
 また、ロードマップ統合チームにおいては、2030年までの実用化に向けて有望な概念の選択とロードマップ作成のための検討を実施。
 ロードマップは2002年1月を目途にドラフト1次案の作成、5月に中間報告を経て、9月の完成を予定。