日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設の

再処理事業変更許可申請書の概要について

(第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟の変更等について)

 

平成13年12月
経 済 産 業 省
原子力安全・保安院
核燃料サイクル規制課


日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設の
再処理事業変更許可申請書の概要について
(第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟の変更等について)


 本変更は、下記に示す5項目の変更を行うために、再処理事業指定申請書の記載事項のうち、「3.再処理を行う使用済燃料の種類及び再処理能力」及び「4.再処理施設の位置、構造及び設備並びに再処理の方法」を変更するものである。
(1) 第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟におけるガラス固化体貯蔵の効率化を図る観点から、貯蔵ピットの基数及び構成を変更する。
(2) 廃棄物管理に係る運用性向上の観点から、使用済燃料の受入れ及び貯蔵に係る施設から発生する低レベル廃液を再処理設備本体等から発生する低レベル廃液と分離して処理するために、低レベル廃液蒸発缶及び固化装置を設置する。
(3) 技術導入元である再処理施設においては、小型試験設備でのホット試験を必要とするような事象の発生がないことから、その他再処理設備の附属施設の小型試験設備の設置を取止める。
(4) (財)核物質管理センターが運営する六ヶ所再処理施設保障措置分析所の設置に伴い、当該施設から発生する固体廃棄物を再処理施設に受け入れる。
(5) 敷地に係る記載をより明確にする観点から、再処理施設の位置に記載されていた社有地に係る記載を削除する。

1.変更の概要
 (1)第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟の変更
 第1ガラス固化体貯蔵建屋西棟(以下、「KB(W)棟」という。)は、再処理施設のしゅん工後3年以内に設置することとして、既に許可済みである。今回、ガラス固化体貯蔵の効率化を図る観点から、ガラス固化体貯蔵設備のKB(W)棟の貯蔵ピットの基数を7基から4基に、構成を収納管80本/基から収納管140本/基に変更する(第1図参照)。
 これに伴い、第1ガラス固化体貯蔵建屋の建築面積を約6,500mから約5,700mに、このうちKB(W)棟の建築面積を約3,600mから約2,800mに変更するとともに、第1ガラス固化体貯蔵建屋換気設備のKB(W)棟排気フィルタ ユニットを14基から8基に、KB(W)棟貯蔵ピット収納管排気フィルタ ユニットを2基/系列×3系列から2基/系列×2系列に、KB(W)棟貯蔵ピット収納管排風機を2台/系列×3系列から2台/系列×2系列に変更する。また、北換気筒のハル・エンド ピース及び第1ガラス固化体貯蔵建屋換気筒の排気量を約17万m/hから約14万m/hに変更する。

 (2)使用済燃料受入れ・貯蔵建屋の低レベル廃液処理の変更
 廃棄物管理に係る運用性向上の観点から、使用済燃料の受入れ及び貯蔵に係る施設(以下、「F施設」という。)から発生する低レベル廃液を再処理設備本体等から発生する低レベル廃液と分離して処理するために、低レベル廃液処理設備に第6低レベル廃液蒸発缶を、低レベル固体廃棄物処理設備に固化装置を設置する(第2図参照)。
 これに伴い、液体廃棄物の廃棄施設の低レベル廃液の蒸発処理能力を、13m/hから15.5m/hに変更する。また、固体廃棄物の廃棄施設の低レベル濃縮廃液の処理能力を約0.2m/hから約0.2m/h及び200ドラム缶約2本/日に変更する。
 設置する主要な設備の仕様は次のとおりである。
 ① 第6低レベル廃液蒸発缶
  • 種  類  強制循環式
  • 基  数  1
  • 容  量  2.5m3/h
  • 主要材料  ニッケル基合金

 ② 固化装置
  固化材としてセメントを用いるセメント固化装置を設置する。

  • 基  数  1式
  • 容  量  200ドラム缶約2本/日

 (3) その他変更
a.小型試験設備の計画変更
 当該施設に係る記載を削除する。
 小型試験設備は、試験用燃料せん断片又は溶解施設の溶解設備で使用済燃料を溶解した溶解液等を受け入れ、再処理施設の円滑な運転支援のための溶解試験、抽出試験、材料耐食性試験及び固化ガラス等の物性確認等を実施するための設備としていた。
 小型試験設備は、再処理施設の安全機能を確保するものではないので、設置を取り止めても再処理施設の災害の防止上支障はない。
 なお、万一、ホット試験が必要な場合には、国内外のホット試験施設等にて実施するとしている。

b.保障措置分析所からの固体廃棄物の受入れに係る変更
 (財)核物質管理センターが運営する六ヶ所再処理施設保障措置分析所の分析建屋内への設置に伴い、当該使用施設から発生する固体廃棄物を、再処理施設の低レベル固体廃棄物処理設備の雑固体廃棄物処理系に受け入れ、低レベル固体廃棄物貯蔵設備に貯蔵する。
 六ヶ所再処理施設保障措置分析所から発生する固体廃棄物は、再処理施設の区分上雑固体廃棄物にあたり、その推定年間発生量は200ドラム缶換算で約50本(約9m)としている。

2.変更に係る安全性
 (1)平常時の線量評価
 a.放射性物質の推定年間放出量
 今回の変更に伴う、主排気筒及び海洋放出口からの放射性物質の推定年間放出量に変更はない。なお、線量評価に用いる海洋放出口からの放射性物質の放出量のうち、その他(β、γ)のコバルト-60等の放出量は増加しているが、放出量の合計に影響を与えない。
 b.線量評価
 (a)放射性物質の放出に係る線量評価
 気体廃棄物及び液体廃棄物中の放射性物質による敷地境界外の一般公衆の実効線量は年間約2.2×10-2mSv、皮膚の等価線量は約2.0×10-1mSvとなる。
 (b)施設からの放射線による線量評価
 直接線及びスカイシャイン線による敷地境界外における実効線量及び皮膚の等価線量は、いずれも年間約5×10-3mSvとなる。
 (c)まとめ
 平常時における一般公衆の実効線量は、合理的に達成できる限り低くなっており、放射性物質の放出に伴う実効線量並びに直接線及びスカイシャイン線による実効線量は十分小さく、法令に定められた線量限度(年間1mSv)を十分に下回る。また、皮膚の等価線量は十分小さく、法令に定められた線量限度(年間50mSv)を十分に下回る。

 (2)閉じ込めの機能
 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋の低レベル廃液処理の変更に係る設備の放射性物質を内蔵する系統及び機器は、ニッケル基合金等の腐食し難い材料を使用するとともに、溶接構造等により漏えいし難い構造とするとしている。また、KB(W)棟に係る変更及び小型試験設備の計画変更に伴い新たに追加される機器はなく、使用材料の変更等はないことから、従来の閉じ込めに係る設計に変更はないとしている。

 (3)放射線しゃへい
 KB(W)棟に係る変更及び使用済燃料受入れ・貯蔵建屋の低レベル廃液処理の変更に係る設備は、直接線及びスカイシャイン線による一般公衆の線量が十分低くなるように、十分な厚さを有するコンクリート壁等を用いたセルしゃへい及び外部しゃへいの内部に配置すること、また、建屋内の放射線業務従事者が立ち入る場所について、設計基準線量率をしゃへい設計区分に応じて適切に設定することとしている。
 しゃへい設計に当たっては、十分信頼性のある計算コードを使用するとともに、しゃへい体の形状、材質等を考慮し、十分な安全裕度を設定することとしている。

 (4)放射線被ばく管理
 本変更後の第1ガラス固化体貯蔵建屋及び使用済燃料受入れ・貯蔵建屋では、放射線業務従事者の作業環境を監視及び管理するために、監視対象箇所の放射線状況に応じて、エリア モニタ、ダスト モニタ等が用いられるなど、従来の放射線被ばく管理に係る設計に変更はないとしている。

 (5)放射性廃棄物の放出管理
 第1ガラス固化体貯蔵建屋換気設備から発生する放射性気体廃棄物は、放射性物質の濃度及び量を合理的に達成できる限り低くするため、汚染のおそれのある区域からの排気を高性能粒子フィルタでろ過した後、排風機を通して、他施設からの排気とともに十分な拡散効果を有する北換気筒から大気中に放出することから、従来の放出管理に係る設計に変更はないとしている。
 F施設から発生する低レベル放射性液体廃棄物は、低レベル廃液蒸発缶での蒸発処理又はろ過装置でのろ過等を行えるよう設計され、蒸発缶からの凝縮液は放出前貯槽へ移送するとしている。
 なお、放出される放射性液体廃棄物は、放出前貯槽にて放射性物質の濃度及び量を確認後、十分な拡散効果を有する海洋放出口から放出される。

 (6)貯蔵等に対する考慮
 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋の低レベル濃縮廃液の固化装置から発生する固化体は、第1低レベル廃棄物貯蔵系又は第2低レベル廃棄物貯蔵系に、また、六ヶ所再処理施設保障措置分析所から受入れる紙、布、フィルタ等の雑固体廃棄物は第2低レベル廃棄物貯蔵系に貯蔵されるものであるが、各々の最大保管廃棄能力に変更はないことから、従来のしゃへい設計上の評価に影響を与えないとしている。
 KB(W)棟に係る変更は、ガラス固化体貯蔵設備の冷却機能及びガラス固化体貯蔵容量に変更はないこと及び適切なしゃへい機能を有する設計とするなど、従来の貯蔵等に対する考慮に係る設計に変更はないとしている。

 (7)放射線監視
 KB(W)棟から発生する放射性気体廃棄物は、環境に放出される放射性物質の濃度及び放出量を測定できる北換気筒から放出され、また、冷却空気出口シャフトの排気口については、放射性希ガスを監視することから、従来の放射線監視がなされるとしている。

 (8)地震に対する考慮
 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋に設置する第6低レベル廃液蒸発缶及び固化装置については、施設のもつ安全機能からみた耐震設計上の重要度分類の方針に基づき、地震により発生する可能性のある放射線による環境への影響、効果が比較的小さいことから、第5低レベル廃液蒸発缶等の既設施設と同様にBクラスに分類し、十分な耐震性を持たせるとしている。また、地震力の算定及び荷重の組合せと許容限界の考え方について、従来と変更はないとしている。
 KB(W)棟に係る設備の重要度分類に変更はないことから、従来の地震に対する考慮に係る設計に変更はないとしている。

 (9)火災・爆発に対する考慮
 使用済燃料受入れ・貯蔵建屋の低レベル廃液処理の変更に係る設備は、可能な限りニッケル基合金等の不燃性又は難燃性材料を使用すること及びKB(W)棟の設備の使用材料等の変更はないなど、従来の火災・爆発に対する設計に変更はないとしている。

 (10)その他
 本変更に係る基本的立地条件等上記以外の再処理施設安全審査指針への適合性については、変更前における従来の評価に影響を及ぼすものではない。
 また、F施設の使用に対する考慮として、第6低レベル廃液蒸発缶及び固化装置は、再処理設備本体の運転開始に先立ち使用する場合においても、F施設から発生する低レベル廃液を適切に処理できるよう設計される。
 なお、六ヶ所再処理施設保障措置分析所から発生する固体廃棄物の受入量は、200ドラム缶で年間約50本と見込まれ、第2低レベル廃棄物貯蔵系の最大保管廃棄能力約50,000本(200ドラム缶換算)と比較して十分少ない。また、固体廃棄物の受入れに当たっては、法令に従い措置されることから、安全確保上支障がない。

3.工事計画
 再処理施設の工事計画を第3図に示す。













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