平成13年12月18日
日本原燃株式会社
六ヶ所再処理工場の建設・試運転への取り組み状況について

1.はじめに
  • 六ヶ所再処理工場は、年間再処理量800トンの規模を持つ我が国初の大型商業用再処理工場であり、平成17年7月の操業開始に向けて建設工事を進めており、現在、建設から試運転、運転へとフェーズを切り替えていく時期となっている
  • ここでは、建設・試運転準備状況及び要員養成状況、特に、COGEMAのUP3再処理工場(以下、UP3)における運転技術等の習得状況について報告する

2.建設・試運転準備状況
(1)建設進捗状況
  • 本年11月末の工事進捗率は約80%
  • 本年4月から、先ず、前処理施設について通水作動試験を開始
    他の施設についても、工事の進捗に応じて順次開始している(図1参照)
  • 通水作動試験の一環として、国際原子力機関(IAEA)の実施する槽校正試験等の設計検認活動を実施

(2)試運転準備状況
  • 六ヶ所再処理工場は国内外の実用可能な最良の技術を導入(図2参照)
  • 試運転は当社主体で実施
  • 平成15年2月の試運転開始(化学試験開始)を目指し、運転要領書・手順書、試運転要領書・手順書の作成、要員養成、要員確保等について、設計・製作等を担当した国内メーカや、技術導入元の先行事業者である核燃料サイクル開発機構(以下、JNC)、COGEMA、BNFLの協力を得て取り組み中

a.国内メーカ

  • 機器等の設計・製作・据付を担当した国内メーカより要領書・手順書の作成、試験、運転指導等の技術支援を受ける予定
  • 当社の試運転体制に出向として受入

b.JNC

  • JNCから技術導入したウラン脱硝施設、ウラン・プルトニウム混合脱硝施設、高レベル廃液ガラス固化施設等を対象として、当社要員の養成支援、要領書・手順書作成支援等、東海再処理工場の操業経験に基づく技術支援を受ける
  • JNC技術導入設備を対象とした運転技術等の習得の他、分析、放射線管理、保障措置関連技術等についても要員養成等に対する支援を受ける
  • 平成14年度以降、六ヶ所の現場と東海のバックアップチームで合計約130名のJNC技術者による支援(運転支援、技術支援)を予定(平成12年度末の出向者実績45名)

c.COGEMA

  • 本年7月に、試運転に対する支援に関する「枠組みに関する合意書」を締結
  • COGEMAから技術導入した前処理施設、分離施設、精製施設、分析施設の4施設を対象
  • ラ・アーグのUP3において、運転技術等を習得
  • 平行して、運転要領書・手順書、試運転要領書・手順書の作成への支援、UP3操業経験に基づく改善提案、試運転実施等の技術支援を行うための技術者(合計約50名)が順次来日し、六ヶ所の現場において当社社員に対して技術移転(現在約30名)
  • 来日する技術者の業務を支援するため、ラ・アーグにバックアップチームを設置

d.BNFL

  • 本年11月に、試運転に関する技術支援の内容等について合意
  • BNFLから技術導入した高レベル廃液処理等を対象として、運転要領書・手順書、試運転要領書・手順書作成への支援、操業経験に基づく改善提案、試運転実施等の技術支援を受ける
  • BNFLの技術者(約4名)が平成14年1月から来日し、六ヶ所の現場において当社社員等に対して技術移転
  • 来日する技術者の業務を支援するため、英国内にバックアップチームを設置
  • THORP再処理工場等における運転技術等の習得は、昨年度実施済(6名)

(3)試運転実施体制

3.要員養成状況
(1)全体体系(図3参照)

  • 当社の要員養成は、「机上研修」、「モックアップ訓練」、「既存再処理施設での運転技術等の習得」、「試運転実務」等を計画的に組合せることにより行ってきている
  • 既存再処理施設での運転技術等の習得には、JNC東海再処理工場、COGEMA UP3、BNFL THORP等を活用

(2)UP3における当社要員の運転技術等の習得
  • 六ヶ所再処理工場の試運転が開始される時期に合せてより実践的な教育が必要なことから、主要な工程の技術導入元であるCOGEMAのUP3における運転技術等の習得を本年9月から開始
  • COGEMAの運転チームに加わり、運転状態の変更対応等を含めた一連の運転操作と実務についてより実践的な教育を実施し、今般、第1回目の派遣を終了した

a.概要
  • 70~80名の中核となる要員(運転員、運転管理員、保修員、放射線管理員)を対象
  • 7回のモデル・キャンペーン(当社運転員の運転技術等の習得のために特別に計画した操業パターンによる運転。以下、MC)で、全体で約2年半かけて実施予定
  • 対象施設
    -フランス技術を導入した、①前処理、②分離、③プルトニウム精製、④分析、の4施設
  • 派遣対象者の内訳
    -当直長5名(当直長候補者)
    -直長20名(4施設の直長候補者)
    -運転員24名(4施設の中級~上級運転員)
    -その他(運転管理・保修・放射線管理)20名
    -当直長は2回のMCに参加し、複数施設の教育を受ける

b.第1モデルキャンペーン(MC1)

  • 平成13年9月4日~12月7日 95日間
  • 8名(当直長1名、直長3名、運転員4名)

c.内容

  • COGEMA指導者1名、COGEMA運転員1名、当社社員1名の3名がチームを組み、基本的操作・各種対応を習得
  • 指導者は施設毎に3名(計12名)専任
  • これ以外に、COGEMAは、統括コーディネーター1名と、施設毎のコーディネーター1名を配置(計5名)
  • 午前直と午後直の2直体制で実施(夜間直ではCOGEMAが翌日の準備を実施)
  • 各直(午前・午後)に日本人通訳1名が配置
  • 研修項目別に用意された冊子に沿って体系的に実施
  • 習得状況は随時チェックされ、不十分と判断された項目については、可能な限り繰り返し指導を受ける

d.その他

  • 研修対象者以外に当社幹部社員1名が、全期間を通して駐在し、進捗状況の観察及び報告、COGEMAへの各種提言・要請、当社社員の指導等を担当
  • なお、今後MC1の成果を検討し、MC2及びその他要員(運転管理・保修・放射線管理)についてのスケジュール及び内容を決定していく
  • MC2は平成14年3月から実施予定

e.事前研修

  • UP3における運転技術等の習得が効果的に実施できるよう、派遣前に六ヶ所で事前研修を実施
  • MC1の事前研修 期間:平成13年7月30日~8月17日 3週間
    ① 全体説明(講義)
     -ラ・アーグサイトの施設、保安体制
     -六ヶ所再処理工場とUP3の施設・装置の違い
     -研修に用いる図書の説明、等
    ② 施設別操作実技研修
     -UP3の操作盤の一部分を模擬したワークステーションを六ヶ所に設置し、運転手順書に従った操作実習


以 上