原子力発電環境整備機構における国内外関係機関との技術協力協定の締結について

平成13年12月11日
原子力発電環境整備機構

原子力発電環境整備機構(以下、「原環機構」という。)は、地層処分事業を進めるに当たり、積極的に海外各関係機関と協力することとしている(参考1)。これまでに、POSIVA Oy(ポシバ社、フィンランド)、Nagra(放射性廃棄物管理共同組合、スイス)との技術協力協定を締結すると共に、EDRAM(放射性物質環境安全処分国際協会)へ加盟してきている。今般、さらにSKB(スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社、スウェーデン)と協力協定を締結したので報告する。

1.SKBとの技術協力協定(平成13年9月17日締結)
 (1)目的
 原環機構とSKBは、相互の利益、公平性及び互恵主義に基づき、高レベル放射性廃棄物処分に関わる相互に合意する項目に関して協力を行う。
 (2)協定の概要
  • 基本方針
     原環機構及びSKBは、追跡性・透明性の確保に配慮することを基本方針として、技術協力を進める。
  • 協力の範囲
    ①サイト選定過程の促進に向けてのアプローチ
    ②地質環境の選定と特性調査に関わる方法論及び手法
    ③処分場と人工バリアに関する工学技術
    ④地層処分システムの性能評価に関する方法論と手法
    ⑤情報の品質管理と品質保証
    ⑥パブリックアクセプタンスと信頼性の形成
 (3)協力の形態
 情報交換、施設訪問、共同研究、人事交流等

以上


別紙

SKBの概要

1.設立経緯
スウェーデンの原子力発電炉を保有する電力会社4社(バッテンファール社、バーセベック社、OKG社、フォルスマルク社)は、1972年に主に核燃料の調達を行う民間の株式会社SKBF(Swedish Nuclear Fuel Supply Co.:スウェーデン核燃料供給会社)を協同出資で設立した。その後、SKBFは核燃料供給と放射性廃棄物の輸送、貯蔵、処分前処理及び最終処分を業務とすることになり、1984年SKB(Swedish Nuclear Fuel and Wastes Management Co.:スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社)に改組された。

2.従業員数
約165名

3.所在地
本社;ストックホルム、
HRL(硬岩地下研究施設);オスカーシャム、
CLAB(使用済燃料の中間貯蔵施設);オスカーシャム、
SFR(低中レベル廃棄物処分場);フォルスマルク

4.高レベル廃棄物処分プログラムの現状
SKBは、1993年~2000年にわたり、6自治体におけるフィージビリティ調査を行い、2000年11月に、使用済燃料最終処分場建設に向けたサイト調査をオスカーシャム、ティエルプ、エストハンマルの3つの自治体に属するサイトで実施することとした。
SKBはこれらの自治体を候補地として政府に申請を行い、2001年11月1日に承認を得た。その後SKBは各自治体との間でサイト調査に必要な協定の締結を進めており、2002年の春から上記3ヶ所でサイト調査を実施する予定である。候補地を1ヶ所に絞り込み、その許認可を経た後、サイトの詳細特性の調査と処分場の建設を開始し、その後関係する許認可を得て2015年頃には初期操業を、2020年頃には通常操業を開始する予定である。
なお2001年12月4日には、3候補地のうちエストハンマル自治体議会がフォスマルク地域でのサイト調査の受入れを正式に決定した。これによりSKBは2002年初頭から同地域での調査に入ることが可能である。

5.地下研究施設

地層処分場の設計及び適切なサイト選定技術の開発を目的として、1986年にエスポ島における地質調査が開始され、政府は、1990年にエスポ島の南に硬岩地下研究施設(HRL)を建設することを許可した。その後、サイト調査、掘削影響試験と共に研究施設の建設が行われ、1995年から地下施設における研究が行われている。

6.処分費用
スウェーデンにおける使用済燃料約9,300t(ウラン換算)に対する処分費用総額は、約226億スウェーデン・クローネ(約2,622億円)と見積もられている。 (スウェーデン・クローネ=11.6円として換算) 

参考:スウェーデンの原子力事情
運転中の発電用原子炉は4ヶ所総計11基。
沸騰水型原子炉(BWR)が8基、加圧水型原子炉(PWR)が3基である。
スウェーデンにおける原子力発電は、設備容量は1,008万kWで、全発電容量の約31%であり、発電電力量は約735億kWhで、総発電電力量の47%となっている。スウェーデンにおける原子力発電は、1980年の国民投票において2010年までに段階的に廃止することが決定されている。