第50回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年11月27日(火)10:30〜11:00
2.場 所中央合同庁舎第4号館7階 共用743会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
 青山参事官(原子力担当)
環境省地球環境局温暖化国際対策推進室
 高橋室長

4.議 題
(1)気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)について
(2)その他

5.配布資料
資料1−1 COP7(気候変動枠組条約第7回締約国会議)について
資料2−1 第48回原子力委員会定例会議議事録(案)
資料2−2 第49回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)について
 10月29日(月)〜11月10日(土)にモロッコで開催された気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)について、高橋室長より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。

(遠藤委員長代理)温室効果ガス排出量の目標を達成できなかった場合は、超過分の1.3倍を次期目標に上積みするとのことだが、その措置に法的拘束力がない、とはどういうことか。その目標は、努力目標ということになるのか。
(高橋室長)議論が先送りになったのは、国際法上の法的拘束力を持たせるか否かということであり、いずれにしても、政治的な拘束力はある。要するに、主権国家であれば、罰則的なものがなくても遵守するものだという考え方であり、我が国としても、法的拘束力がないから守らなくてもいいということではない。
(遠藤委員長代理)「クリーン開発メカニズム(CDM)のうち、原子力により生じた排出枠を目標達成に利用することを控える」とのことであるが、その背景に、持続可能な発展と原子力の関係を切り離すという考え方があることを心配している。これについて再度会議に取り上げるとしたら、第2約束期間に向けた会議から、ということになるのか。
(高橋室長)それについては、第6回締約国会議(COP6)で合意されたことなので、COP7では全く議論されなかった。第2約束期間については、まだ具体的な議論は始まっていないものの、さらに厳しい削減目標が設定される可能性があるので、その議論の中で改めて、原子力が重要である、との議論は行いうると考える。
(遠藤委員長代理)来年9月の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」では、持続可能な発展と原子力は関係がある、と主張したいと思っている。参考までに言うと、今月29日に開催する「第2回アジア原子力協力フォーラム大臣級会合」においても、賛否両論があることはよく分かっているが、その話題について取り上げるつもりでいる。
  第2約束期間はいつからなのか。
(高橋室長)それについてはまだ決まっていない。第1約束期間は2012年までなので、第2約束期間は2013年からになると思う。ただし、第1約束期間の後すぐに第2約束期間が始まる、ということは明確にされていない。第2約束期間の削減目標についての議論は、遅くとも2005年までに開始することが決まっている。
(竹内委員)我が国において、温室効果ガスの排出削減目標の達成が可能であるシナリオは考えてあるのか。
(高橋室長)6%という削減目標値自体は拘束力を持ち、それは単なる努力目標ではないので、当然、そのためのシナリオは作成する必要がある。
(竹内委員)現在の温室効果ガスの排出量は、ベースとなる1990年に比べると既に8〜9%増えている。削減目標はベースからさらに6%削減であるので、結局現状から10数%も削減しなければならない。その目標達成のシナリオは現実的なのか。
(高橋室長)第3回締約国会議(COP3、京都会議)の後、1998年にその大綱を作成したが、それからかなり時間がたっている。例えば、原子力施設の計画も見直されているので、それを踏まえた新しいシナリオをできるだけ早く作成したいと思っている。また、基準年排出量の3.7%分となっている日本の森林管理の吸収分についても、適切な森林管理を行うことにより確保していきたいと考えている。それらを踏まえ、特に民生部門の排出量が増えているので、その点も考慮して、各省庁からいろいろな対策を出し合って検討していきたい。
(竹内委員)排出量削減の対策は、主に民生部門と運輸部門が中心となるのか。
(高橋室長)産業界のこれまでの成果は高く評価しているが、産業界にも引き続き努力をお願いしたいと思っている。民生部門や運輸部門は排出量の増加率が大きいが、成果を出しにくい状況なので、いろいろと新しい知恵を出していかなければならない。産業界の理解が得られるように、関係省庁と議論していきたい。
(竹内委員)米国の復帰の見通しはどうか。
(高橋室長)米国の復帰については、なかなか見通しがつかない状況にある。来年中間選挙があるが、このような政治的な動きでもないと見えてこないと考えている。米国も地球温暖化問題の深刻さや対策の重要性は認めているので、我が国は、米国を置き去りにしないように、絶えず働きかけを続けていき、米国が必要な対策を実施するように持っていきたい。
(竹内委員)今、米国は大変な時期であるが、テロ事件の前は、京都議定書について活発に議論をしていた。その後はどうなっているのか。
(高橋室長)米国では、COP6再開会合の後、傍観者的な態度はよくない、積極的に提案し交渉に参加すべきだという議会からの強い圧力があった。なおかつ、国内でも、温室効果ガスを削減するための法律がいろいろ提案されていた。このように、温室効果ガスの排出削減について議論をする雰囲気が高まっていたが、テロ事件以降は、その雰囲気が停滞してしまった。しかし、いずれまた活発に議論されるようになると考えている。
(藤家委員長)原子力委員会は、地球温暖化問題に対し強い関心を持ちつづけてきたが、正直なところ、気をもみ続けてきたという感じがしている。社会的に、原子力は経済や環境との相性があまりよくないように考えられており、大変困った問題であると思っている。経済発展への貢献は、いろいろなところで実現しつつあり、環境に対しても、炭酸ガスを出さないと同時に、放射性物質に絡む問題も、チェルノブイリ以外では、放射性物質の大量放出に至るようなものは生じていない。こうした中で原子力委員会は、この問題をどのように解決していくのかを深刻に考えている。2005年までに開始される第2約束期間についての議論に対しては、可能な限り直接的あるいは間接的に関っていきたいと思う。この問題は、これからの日本の将来、世界の将来に対して大変重要なことだと思っている。
(高橋室長)議定書の実施段階において、いろいろな情報を提出し、レビューを受けるシステムがあるので、原子力サイドの方からも注視していただくとともに、意見や情報の交換を密にしていきたい。

(2)その他