第47回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年11月6日(火)10:30〜11:40
2.場 所中央合同庁舎第4号館6階 共用643会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員長代理、竹内委員
内閣府
 浦嶋審議官
 青山参事官(原子力担当)
東京大学工学系研究科原子力工学研究施設
 岡教授
核燃料サイクル開発機構
 相澤理事
経済産業省原子力安全・保安院放射性廃棄物規制課
 入江課長

4.議 題
(1)高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究について
(2)日本原子力発電(株)東海発電所の解体届の審査結果について
(3)平成14年度原子力関係経費の見積りについて
(4)その他

5.配布資料
資料1−1 「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」の第1期の成果と第2期の計画の概要について
資料1−2 研究開発課題評価委員会における「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」の評価結果の概要
資料1−3 研究開発課題評価委員会「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」の評価結果(中間評価)に対する措置
資料2 日本原子力発電(株)東海発電所の解体届の審査結果について
資料3−1 平成14年度原子力関係経費の見積りについて(概要)
資料3−2 平成14年度原子力関係経費の見積りについて(案)
資料4−1 第45回原子力委員会定例会議議事録(案)
資料4−2 第46回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究について
 高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究に対する第三者評価委員会での外部評価(中間評価)の結果及びその結果を踏まえた措置について、岡教授及び相澤理事より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員長代理)極めて基本的な質問であるが、資料1−1の3ページ「図2 FBRサイクルの開発目標」に記載されている「核拡散抵抗性」は、核物質防護を含めた核拡散抵抗性であると、私は幅広く解釈している。これについての開発目標は、第1期、第2期でどのように位置付けられているのか。また、今後どのようなことを実施していくのか。
(相澤理事)基本的には、核物質防護に係る保障措置によって核拡散を防ぐことができると考えているが、他の開発目標に係る条件を損なうことなく、技術的に対応できる範囲で、無理なくこの抵抗性を向上させられるようであれば、積極的に取り組んでいきたい。具体的には、従来の再処理プロセスであるピューレックス法は、純粋なプルトニウムを取り出すものであるが、高速炉サイクルにおいては、必ずしもこの方法を採用する必要はない。高速炉サイクルは、低除染の燃料を使用することを考えており、プルトニウムだけ、あるいは、プルトニウム以外のある元素だけを別々に取り出す必要がない。共抽出するプロセスを採用することによって、抵抗性が上げられる。
(遠藤委員長代理)それは、盗まれても核兵器に転用されない、あるいは転用するのに時間がかかるということか。
(相澤理事)まずは、盗みにくいものにするということである。要するに、放射能が強いので、人が近づくことが簡単にはできない。一方、事業者は、遮蔽等の措置を採ることにより、問題なく運用はできる。このような要因が存在することで、「近づこう」という意欲を減じることができる、というのが第一の特徴である。更に、自発核分裂性核種が混じっている場合には、簡単には原子爆弾を作れないということになる。
(遠藤委員長代理)このような検討が第1期、第2期に行われているのか。
(相澤理事)行っている。
(竹内委員)将来に向けてこの研究開発がロングランで進められており、心強く思っている。今回の評価で指摘のあった「環境負荷評価」に関して言えば、革新炉やFBRといった次世代原子炉の研究開発については、この環境負荷評価の結果を出してからプロジェクトを進める方が妥当であると思う。現在、発電事業に比べ、核燃料サイクル開発は20年くらい遅れており、いろいろな問題が持ち上がっている。これからは、これまでの成果を踏まえ、環境負荷や核拡散抵抗性などを全て含めて評価ができるのではないかと思う。第2期では、この点について検討していけばいいと思う。
(相澤理事)そのつもりで進めている。具体的には、どこまで、どのような技術でできるのか、その場合には、どのようなことになるのか、メリットは何か、ということも含め検討を進めている。一本道ではなく、いろいろな選択がありうるということを念頭に置いた上で整理していきたい。
(竹内委員)環境負荷は、外部コストではないのではないか。外部コストの内部コスト化を考えてもよい時代になってきているのではないかと思う。
(相澤理事)いろいろな技術を導入することに対して、それに伴うリスクをどう見込むのか、という議論が社会の中にある。この社会科学論という立場からの質問にも答えられるように検討すること、という趣旨であったと思う。
(竹内委員)何を内部コストとして考えるのかということについては、次元の違うものがたくさんある。例えば、テロに対してはどうなのかという具合に、時代によっても変わると思う。
(藤家委員長)この実用化戦略調査研究は精力的に進められており、高く評価している。ただ、平面的な捉え方ではなく、時間のスケールも考慮した立体的な捉え方をする場合、少し心配なところがある。我が国の原子力開発は、相当な国家予算をつぎ込んで現在の段階に至っており、成果もあがってきている。原子力発電の割合は、この30年くらいの間に35%ぐらいまで占めるようになった。この一つの事実をとってみても、その成果は顕著に現れていることが分かる。一方、新しいものがどれだけ具体化されてきているのかについてはあまりよく見えない、というのが社会の一般的な見方であり、はたしてこの延長線上でどうすればいいのか、が特殊法人改革も含めて大きな議論となっている。また、この研究のスパンは15年であり、この期間どのように若者の夢と情熱を維持しモラルを高めたまま、ゴールに向かって走っていけるのかについて、十分に考慮されていないのではないかと思う。最近、原子力界に若い人の目が向かない一つの理由は、原子力界において若い人の夢を満たしてこなかったということがあるのではないか。また、時代に応じて変化を吸収するということであるが、これは容易なことではない。これまでのR&Dの成果により、高速炉について分かっていることはかなり多いが、その延長線上にはないもので、今何が求めてられているのか。再処理プロセスでピューレックス法を前提とするかどうかについては、ほかの国との関係をどのように考えるのか。もうデータベースは十分なので、他国との協力程度で十分であると考えている国もある。これらについての立体的な捉え方が、あまりよく見えていない。それから、先ほど総合評価という指標があり、自分もそれを認めているが、具体的には何をもって総合評価と呼んでいるのか。
(相澤理事)最初の点については、非常に重要な指摘であると考えている。この実用化戦略調査研究を通して、最終的に目指すゴールはどのようなものになるのかについて、その根拠も含めて明らかにしたいと考えている。この研究の成果は、今後の各段階において整理して報告するが、最終的な報告は15年後と考えている。しかしながら、この期間においても、例えば、現在の原子力開発に関する技術的ポテンシャルを維持・継承できるのかについては、関連する施設も老朽化してくるため、容易なことではない。創造性を発揮するためには、いろいろなことが必要であり、例えば、どのような研究インフラの整備が必要とされているのかということを具体化し、わかりやすく提示していくことなどについては、この実用化戦略調査研究と並行して検討を進めていかなければならないと考え、最近取り掛かったところである。そうした作業の結果については、まとまった段階で別途説明したい。
 2番目の点、これまでのR&Dで相当な成果を出していることを念頭に置いた上で、これからまだやるべきことは何なのかということについてであるが、国の内外での成果にどのようなものがあり、そのうち使うべきものや使えるものは何かという整理については、既に実施してきているが、併せて今後やっていくべきこととして、従来の延長線上にはない独創性を有する技術の開発を対象に、特に費用対効果の観点から優先度を考慮しつつ検討を進めていくということを考えている。その際、既設のインフラで使えるものは使っていくということで、経費の最小化を図っていく考えである。
 核燃料サイクル技術に関しては、9月に開催された核燃料サイクルに関する国際会議「グローバル2001」において、欧米各国からいろいろな発言があった。世界の大きな流れは、我々が目指しているものと共通しており、プルトニウムだけをリサイクルするというのは当面の措置であって、近い将来、マイナーアクチ二ドの一部を軽水炉サイクルで活用し、環境負荷低減や廃棄物処理においてポジティブな効果を考慮していく、ということであった。また、長期的には、高速炉サイクルにより、より効果的なアクチニドの運用を図るべきであるという点についても、共通の認識であった。このような認識の下において、各国と協力していく余地があると考えており、その方向で取り組んでいきたい。
 総合評価については、各指標の評価結果はそれぞれの位置付けから出しているだけで、各評価結果を総合的に判断し評価するのは「人」であると考えている。その評価をサポートするため、重み付けをして評価結果を出していくことも試みるが、それが意味のあるものになるのかについても、今後具体的な作業を進めていく中で試行しながら、広く外部の方も含めて議論していきたいと考えている。
(藤家委員長)これからの開発組織は、問題解決のために組織を柔軟に運営していくことが望ましいが、組織論にも立ち入ることを考えているのか。
(相澤理事)第1期から第2期に進むのに伴い、大洗工学センターの組織を全面的に見直した。見直した理由は、第2期で大きなウエイトを占めることとなる要素技術開発部門を中心に実施効率を上げるためである。これからも、核燃料サイクル開発機構全体にわたって、必要な変更を積極的に実施していきたいと考えている。
(藤家委員長)今回の原子力長期計画において、軽水炉から高速炉へのつながりが直線ではない、ということを強く打ち出している点についても配慮してほしい。また、R&Dの成果について、どのようにすれば、国民の方々に分かっていただけるのか、を考えることが大変重要なことである。

 (2)日本原子力発電(株)東海発電所の解体届の審査結果について
 標記の件について、入江課長より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)先行解体その1、その2とあるが、これは、クリアランスレベルまで達しているかどうかで区別しているのか。あるいは部位で区別しているのか。
(入江課長)資料2の図4に説明があるが、先行解体その1では、原子炉周辺領域の中でも炉から比較的遠い、汚染の程度が低いもの、先行解体その2では、熱交換器のような汚染の程度が比較的高いものを対象としている。
(竹内委員)解体したもので、クリアランスレベル以下のものは、構外へ出すことにしているのか。解体したものを構内で保管することになると、大きな障害になるのではないか。
(入江課長)クリアランス制度はまだ導入されていないため、放射性廃棄物として扱う計画としている。クリアランス制度は、原子力安全委員会から考え方が示されているが、まだ国際的にいろいろな議論があり、各国においてもなかなか制度化できていないのが現状である。総合資源エネルギー調査会の専門小委員会の報告書でパブリックコメントを募集したとき、廃棄物の処理に対し不安を述べているコメントがあり、クリアランス制度に対する国民の方々の関心は高い。一方、放射性廃棄物として取り扱う必要のないものが既にたまってきているので、いずれは導入していかなければならない。今後理解を求めながら、慎重に進めていきたい。
(藤家委員長)最初の商業炉の解体ということで、特に気をつけていることはあるか。
(入江課長)試験炉と比較して工事規模が大きいこともあり、期間も17年間と長期にわたるため、どのように進めていくかが重要である。普通、届け出は1回で済ませるものであるが、詳細計画が固まっていない部分については、後で分割して提出すればよいとの運用とした。また、廃棄物の発生量及び汚染の程度については、極力正確に見積もっているが、不確実性がある点については極力保守性をもって見積もっている。

 (3)平成14年度原子力関係経費の見積りについて
 前回の原子力委員会で審議された「平成14年度原子力関係経費の見積り」について、藤家委員長より指摘のあった原子力関係経費の重点化・効率化について、青山参事官より資料3−1に基づき説明があり、決定が行われた。

(4)その他