平成14年度原子力関係経費の見積りについて(案)

 

平成13年11月
原子力委員会

 


目  次

 平成14年度における原子力関係経費の見積りに当たって

T.平成14年度の取組

 1.国民・社会と原子力の調和

1−1 安全確保と防災
1−2 情報公開と情報提供
1−3 原子力に関する教育
1−4 立地地域との共生
 2.原子力発電と核燃料サイクル
2−1 原子力発電の着実な展開
2−2 核燃料サイクル事業
2−3 放射性廃棄物の処理及び処分
2−4 高速増殖炉サイクル技術の研究開発
 3.原子力科学技術の多様な展開
 4.国民生活に貢献する放射線利用
 5.国際社会と原子力の調和
 6.原子力の研究、開発及び利用の推進基盤

U.具体的な施策

V.予算総表
 1.平成14年度原子力関係予算総表
 2.平成14年度一般会計原子力関係予算総表
 3.平成14年度電源開発促進対策特別会計原子力関係予算総表


平成14年度における原子力関係経費の見積りに当たって

1.原子力長期計画の具体化に向けた取組

 平成12年11月に9回目となる「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下、「長期計画」という。)が策定された。長期計画は、原子力の黎明期から、一貫して、我が国における原子力研究開発利用に関する施策の計画的な遂行のための牽引役として、重要な役割を果たしてきた。

 今回の見積りは、21世紀に向けての原子力研究開発利用の全体像と長期展望を示した長期計画策定後初めてのものであり、長期計画における原子力政策の具体化に向けた取組がなされているかどうかを確認することを主眼としている。

 一方、経済財政諮問会議において、平成14年度は21世紀の我が国の経済発展に寄与する分野への重点的な資源配分と重要性の低下した予算の思い切った縮減によりメリハリのある予算を実現するとの内閣全体の方針が示された。長期計画でも我が国全体として限られた資金・人材を最大限に活用する観点から、国と民間の果たすべき役割を踏まえ、両者の連携・協力を強化していくことが重要とされており、このような視点の下、国の厳しい財政状況の中で、長期計画の具体化に向けた取組が着実に進められるよう、重点化・効率化を行うことが必要である。

2.原子力を巡る国内外の情勢
 国内外の原子力情勢に目を向けると、国内では、ウラン加工工場臨界事故等、一連の事故、不祥事によって国民の原子力に対する信頼が大きく損なわれ、現在まで原子炉等規制法の一部改正、原子力災害対策特別措置法等により、安全確保や原子力防災に取り組んできた。
 高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核である「もんじゅ」については、本年6月に地元の了解を得て、ナトリウム漏えい対策等に係る改造工事を行うための原子炉設置変更許可申請書が経済産業大臣に提出され安全審査が進められている。
 他方、プルサーマルについては、実施を予定していた福島および新潟での実施を見送る中、内閣官房副長官の主宰により、内閣府、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省から組織されたプルサーマル連絡協議会において、原子力政策に関する国民的合意形成の取組が必要であるという中間的なとりまとめが公表された。

 国外においては、13年5月に発表された米国の国家エネルギー政策で、多様なエネルギー源の供給拡大を重視し、原子力発電をエネルギー安全保障、温室効果ガス削減の観点から積極的に位置付けたことなど、原子力を巡る国際的な状況については徐々に活発化している動きもある。

 以上のような、国民の原子力に対する考え方や社会における原子力の位置付けを十分認識し、国際的な動向にも配慮しつつ、今後とも原子力政策を着実に推進していくことが重要である。


 このような基本認識の下、平成14年度の関係行政機関の原子力関係経費の見積りを行った。

 本見積りは、長期計画に沿った形で長期計画の概要、平成14年度の取組をとりまとめた「T.平成14年度における取組」と、個々の具体的な取組をとりまとめた「U.具体的施策」および平成14年度原子力関係概算要求額全体をとりまとめた「V.予算総表」で構成する。


T.平成14年度における取組

1.国民・社会と原子力の調和

1−1 安全確保と防災
長期計画の概要
(安全確保の取組)
 国は、国民の生命と財産を守る観点から、厳格な安全規制を行う責務を有している。
○ウラン加工工場臨界事故を踏まえて強化された原子炉等規制法に基づき事業者の保安規定の遵守状況の検査等を行う。
○原子力安全委員会は設置許可後の行政庁による規制状況を調査により把握、確認するなど安全規制の強化を図る。
○故障、トラブルから得られた教訓や内外の最新の知見を安全対策に適時適切に反映させることが重要である。
○常に最新の科学技術的知見を安全規制に反映させるとともに安全確保に必要な科学技術的基盤を高い水準に維持するため、原子力安全委員会が決定する安全研究年次計画に沿って、研究を着実に推進する。
 (原子力防災の取組)
 安全確保のためにいかなる取組がなされても、事故発生の可能性を100%排除することはできないとの前提に立って、事故が発生した場合の周辺住民等の生命、健康等への被害を最小限度に抑えるための災害対策が整備されていなければならない。
○国、地方自治体、事業者が連携協力して原子力災害対策特別措置法の実効性を確実なものにするよう努めることが必要である。

(平成14年度の取組)
○保安規定遵守状況の検査や原子力安全委員会による設置許可後の行政庁の後続規制の状況の把握及び確認を平成14年度以降も引き続き実施する。
○安全確保のための技術的知見の充実を平成14年度以降も引き続き実施する。
○原子力防災のための施設・設備の整備、訓練・研修等を平成14年度以降も引き続き実施する。
○安全研究の着実な推進のための原子力安全委員会を中心とする体制の充実・強化を図る。
○科学的合理性のある安全規制に必要な知見に関しては、原子力発電関係に加え核燃料サイクル関係の知見の一層の充実を図る。
○安全規制や事故情報等の蓄積データ・資料等を統合的に運用するための支援システムを構築する。
○平成14年度完成目処に原子力施設等の消防活動が困難な空間における消防活動支援のための情報システム開発に着手する。
○原子力安全委員会が平成13年6月にとりまとめた報告書に沿った被ばく医療体制の整備に着手する。

1−2 情報公開と情報提供
長期計画の概要
(情報公開の在り方)
○情報は、国民が原子力行政や事業者の信頼性について判断する基礎となるものであり、国民の必要とする情報について、明確な情報開示の基準の下、通常時、事故時を問わず、適時、的確かつ信頼性の高い情報公開を行うことが必要である。
 (情報提供の在り方)
○国民の原子力に対する理解促進を目指す情報提供に当たって、@タイムリーであり、A専門家でなくとも分かりやすく、B情報の受け手側の多様なニーズを踏まえることが必要であり、加えて事故時においては、迅速な情報提供が重要である。
○情報提供の手法としては、草の根的な情報提供、双方向のコミュニケーション、インターネット等の新たな媒体を用いた情報提供等を体系的に組み合わせて実施することが重要である。

(平成14年度の取組)
○情報公開に対応した原子力情報の整備を図る。
○情報公開センターの積極的な活用等により、情報公開を一層促進する。
○核燃料サイクルのエネルギー政策上の必要性について理解を得ていくこと等、原子力政策に関する国民的合意形成のための広聴・広報活動の抜本的強化を図る。
○より効果的な情報提供を実現するため、インターネット、マスメディア等を有効に活用した原子力広報を実施する。

1−3 原子力に関する教育
長期計画の概要
(原子力に関する教育)
○原子力に関する教育は、エネルギー教育や環境教育の一環として、また、科学技術、放射線等の観点から、体系的かつ総合的にとらえることが重要であり、各教科における学習の充実とともに「総合的な学習の時間」等を活用することが有効である。
○教育関係者への原子力に関する正確な資料や情報の提供、教員への研修の充実、教員が必要な時に適切な情報や教材等が提供されるような教員、科学館、博物館等をつなぐネットワークの整備等の支援を高じていくことが重要である。

(平成14年度の取組)
○立地地域、消費地域を含む全ての都道府県を対象に、原子力に関する教育への取組に必要となる副教材の作成・購入、カリキュラムの開発、教員の研修、施設見学会、講師派遣等に必要となる経費を交付する原子力教育支援事業交付金(仮称)を創設する。
 また、パンフレットやインターネットを活用して原子力教育に関する情報をわかりやすく提供するなどの原子力教育のサポート体制を強化する。

1−4 立地地域との共生
長期計画の概要
(立地地域との共生)
原子力施設の立地問題は、一地域とか一事業者の問題にとどまらず、国全体のエネルギー政策と密接に関わっている。したがって、国レベルで決定されるエネルギー政策については電力の消費者である国民の理解を求めつつ、立地地域の住民の理解と協力を得ていくことが重要である。
○立地を契機として次の発展を目指すという視点から地域の新たな発展の方向を有効かつ積極的に支援するような振興策を検討することが重要である。
○電源三法交付金等、国の電源立地促進策は、より地域の発展に役立つように、常に見直すことが必要である。

(平成14年度の取組)
○これまで、各種交付金制度の使途の柔軟化を図ってきた。平成14年度以降も引き続き実施する予定。
 具体例 
電源立地促進対策交付金等において収益の生ずる可能性
のある事業を交付対象に追加した。(平成13年度)
○MOX燃料加工施設、使用済燃料中間貯蔵施設、高レベル放射性廃棄物最終処分施設等の立地が見込まれる関連地域に対して交付金制度を拡充する。

2.原子力発電と核燃料サイクル

長期計画の概要
 原子力発電は、既に国内総発電電力量の3分の1を超える電力を供給し、我が国のエネルギー自給率の向上及びエネルギーの安定供給に貢献するとともに、二酸化炭素排出量の低減に大きく寄与しており、引き続き基幹電源に位置付け、最大限に活用していく。
 核燃料サイクル技術は、供給安定性等に優れている原子力発電の特性を技術的に向上させ、長期にわたるエネルギー供給を可能にする技術で、国内で実用化することで我が国のエネルギー供給システムに対する貢献を一層確かにする。これらより、国民の理解を得つつ、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していく。
 原子力の便宜を供与享受した現世代は、放射性廃棄物の安全な処分への取組に全力を尽くす責務を有しており、今後とも、放射性廃棄物処分を着実に進めていく。
 長期的な観点から今後のエネルギー供給を考えた場合、安定供給が可能でかつ二酸化炭素の排出量が少なく環境適合性の高い非化石エネルギー源を確保すべく、多様な技術的選択肢を検索し、その実現可能性を高めるための研究開発が我が国のみならず人類社会にとって重要である。
 高速増殖炉サイクル技術は、ウランの利用効率を飛躍的に高めることができ、高レベル放射性廃棄物中に長期的に残留する放射能を少なくする可能性を有していることから、将来の有力な技術的選択肢として位置付け、適時適切な評価の下にその研究開発を着実に進める。

2−1 原子力発電と着実な展開
長期計画の概要
(原子力発電の着実な展開) 
○安全規制に関しては、国はリスク評価技術の進歩を踏まえ、効果的かつ効率的な安全規制について絶えず検討して、実現を図っていく。
○原子力発電が今後とも引き続き期待される役割を果たしていくために、新しい価値観や環境制約の出現に備えた技術開発に取り組む。

(平成14年度の取組)
○定期自主検査等におけるフレキシブルメンテナンスシステムの開発などを平成14年度以降も引き続き実施する。
○既存の軽水炉関係技術の改良等は民間中心に取り組むべき事項を精査・整理し、重点化を図る。

2−2 核燃料サイクル事業
長期計画の概要
(核燃料サイクル事業)
○我が国のウラン濃縮技術を国際競争力のあるものにするため研究開発を推進する。
○プルサーマルは、ウラン資源の有効利用を図る技術であるとともに、原子力発電に係る燃料供給の代替方式であり、内外の利用準備や利用実績、安全性の評価を踏まえれば、計画を着実に推進していくことは適切である。
○国内MOX燃料加工事業が早期に産業として定着するよう努力する。
○将来に重要な貢献をもたらすと考えられる東海再処理施設の高燃焼度燃料や軽水炉使用済MOX燃料等の再処理技術の実証試験等は段階的に評価を受けながら実施する。

(平成14年度の取組)
○サイクル機構のウラン濃縮技術開発事業は平成13年9月をもって事業を終了し、以降、設備の解体・撤去などを予定している。
○ふげんは平成14年度末に運転終了し、これまでの研究成果の整理および、廃止措置に必要な研究を行う。
○MOX燃料加工技術の民間実用化のための技術確証試験は、平成21年頃の操業開始に向けて確実な技術移転・確証が行われるよう平成14年度以降も引き続き補助する。
○平成9年以来、運転停止していた東海再処理施設を運転開始(平成12年11月)し、平成14年度も引き続き、電気事業者との契約に基づく軽水炉使用済ウラン燃料の再処理及びふげん燃料の再処理などを行う。今後は、平成17年頃までに軽水炉使用済ウラン燃料などの再処理を行った後、高燃焼度燃料や使用済MOX燃料等の再処理技術開発を行うことを予定している。
○平成14年度から、これまでの核燃料サイクル開発機構の開発成果や知見、人的資源を有効活用し日本原燃(株)が行う経済性に優れた世界最高水準の遠心分離機の開発を補助する。なお、原子レーザー法の研究開発については、繰り上げ終了(平成13年度)する。

2−3 放射性廃棄物の処理及び処分
長期計画の概要
(放射性廃棄物の処理及び処分)  
○処分のための具体的な対応がなされるに至っていない放射性廃棄物については、早期に安全かつ効率的な処理及び処分が行えるよう発生者等の関係者が十分協議・協力し、具体的な実施計画を立案、推進していく。その際、原子力の開発利用が支障をきたさないように、国は必要に応じ関係者の取組を支援する。
@地層処分を行う廃棄物
(高レベル放射性廃棄物)
○処分地選定は、関係住民の理解と協力を得るために情報公開を徹底し透明性を確保する。国は最終処分の政策的位置付けや安全性の確保のための取組を明確にし、関係住民の理解を得るよう努めるとともに、地域共生方策に関する制度や体制の整備などを行う。
○最終処分の安全規制、安全評価のために必要な研究開発や深地層の科学的研究等の基盤的な研究開発及び地層処分技術の信頼性向上に関する技術開発を進める。
○深地層の研究施設は学術研究の場であるとともに、国民の地層処分に関する研究開発の理解を深める場として意義を有している。その計画は、処分施設の計画と明確に区分して進める。
(高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物)
○高レベル放射性廃棄物以外で地層処分が必要な放射性廃棄物は、その性状の多様性を踏まえた処理及び処分に関する技術の研究開発を発生者等が密接に協力しながら推進する。
(分離変換技術)
○高レベル放射性廃棄物に含まれる半減期の長い放射性物質を半減期の短いあるいは放射性でない安定な物質に分離変換する技術の研究開発は定期的に評価を行いつつ進める。
A管理処分を行う廃棄物
○既にコンクリートピットへの処分が進められている原子力発電所から発生する廃棄物以外の低レベル放射性廃棄物については、今後処分の実現に向けた具体的な取組を進める。

(原子力施設の廃止措置)
○原子力施設の廃止措置は、その設置者の責任において、安全確保を大前提に、地域社会の理解と支援を得つつ進める。
(廃棄物の発生量低減と有効利用の推進)
○廃棄物については発生量低減や有効利用が必要であり、そのための研究開発を積極的に推進していく。
○放射能の濃度がクリアランスレベル以下の廃棄物については、放射性物質として扱う必要のないものであり、合理的に達成できる限りにおいて基本的にリサイクルしていく。

(平成14年度の取組)
○使用済燃料の再処理に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の処分に関して、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づき、昨年10月に設立された原子力発電環境整備機構において、処分地の選定等の処分事業の具体化に向けて取組む。
○地層処分に必要な研究開発を引き続き実施する。平成14年度は地層処分技術の信頼性向上技術開発に重点化し実施する。
○深地層研究開発における研究開発は、その成果を最終処分事業に着実に反映させるよう最終処分事業に先行して実施する。
○長寿命核種の分離・変換技術開発を平成14年度も引き続き実施する。
○ウラン廃棄物、TRU核種を含む放射性廃棄物、高β・γ廃棄物は処分方法の具体的検討に応じた技術開発を継続し、その他低レベル廃棄物関係は順次縮小する。
○RI・研究所等廃棄物処分システムの検討を継続する。
○廃止措置に向けた遠隔解体システム技術、建屋残存放射能等評価技術などの確証試験等および解体廃棄物再利用に関する調査について、東海原子力発電所の廃止措置開始を念頭に、平成15年度までに技術開発成果をとりまとめる。

2−4 高速増殖炉サイクル技術の研究開発
長期計画の概要
(高速増殖炉サイクル技術の研究開発)
○「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術のうち最も開発が進んでいるMOX燃料とナトリウム冷却を基本とする技術を用いた原子炉でかつ発電設備を有する我が国唯一の高速増殖炉プラントである。発電プラントとしての信頼性実証とその運転経験を通じたナトリウム取扱技術の確立という「もんじゅ」の所期の目的を達成することは他の選択肢との比較評価ベースともなることから、目的の達成にまず優先して取り組むことが今後の技術開発において特に重要である。「もんじゅ」は、高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核であり、今後、早期の運転再開を目指す。
○高速増殖炉サイクル技術が技術的な多様性を備えていることに着目し、選択の幅を持たせ研究開発に柔軟性をもたせることが重要であり、高速増殖炉サイクル技術として適切な実用像とそこに至るための研究開発計画を提示することを目的に、炉型選択、再処理法、燃料製造法等、高速増殖炉サイクル技術に関する多様な選択肢について、核燃料サイクル開発機構で実施している「実用化戦略調査研究」を推進する。
○研究にあたっては、競争的環境も取り入れつつ、関係機関が連携して取り組むことが重要である。

(平成14年度の取組)
○「もんじゅ」については、本年6月に地元の了解を得て、ナトリウム漏洩対策に係る改造工事を行うための原子炉設置変更許可申請書が経済産業大臣に提出された。平成14年度は、もんじゅの改造工事を行うための準備を進める。
○核燃料サイクル開発機構が行う「実用化戦略調査研究」は平成13年度から、第2期に入っており、平成14年度は本格的な要素試験を開始し、引き続き電気事業者と連携して5年程度をかけて実用化候補の更なる絞り込みを行う。
○平成14年度においては、産学官のポテンシャルを結集し、高速増殖炉サイクルを含めた、先進的な核燃料サイクルの技術開発を効率的かつ戦略的に一層強力に推進するため、核燃料サイクル技術に係る提案公募方式の研究開発に着手する。

3.原子力科学技術の多様な展開

長期計画の概要
原子力科学技術は、知的好奇心に基づく基礎研究と、経済、社会や生活者のニーズに対応した応用目的を有する研究開発の二つの側面がある。加速器や高出力レーザーは、物質の究極の構成要素や自然の法則を探ったり、ライフサイエンスや物質・材料系科学技術等の様々な科学技術分野の発展を支えるものである。一方、核融合や革新的な原子炉の研究開発は、将来のエネルギー安定供給の選択肢を与え、経済、社会のニーズにこたえるものである。
(加速器)
○物質の起源の探索、生命機能の解明、新材料の創成等に有効な手段となる大強度陽子加速器を推進する。
○RIビーム加速器施設は、着実に建設を進める。
(核融合)
○未来のエネルギー選択肢の幅を広げ、その実現可能性を高める観点から、核融合の研究開発を推進する。
(革新的原子炉)
○21世紀を展望すると、高い経済性と安全性を持ち熱利用等の多様なエネルギー供給や原子炉利用の普及に適した革新的な原子炉が期待される。多様なアイデアの活用に留意しつつ、国、産業界及び大学が協力して革新的な原子炉の研究開発の検討を行う。
(基礎・基盤研究)
○原子力科学技術の基礎研究は、将来の技術革新につながるようなシーズを生み出す。また、基盤研究は原子力分野のプロジェクト研究及び他の科学技術分野の発展に寄与する。競争的資金の活用も考慮し、研究者の独創性を重視し、適切な評価を行いつつ推進する。

(平成14年度の取組)
○大強度陽子加速器建設は平成18年度完成目処で進める。
○RIビーム加速器建設は平成19年度実験開始目処で進める。
○国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進する。平成13年からITER共同実施の準備を行うため、建設サイトに応じた適合設計等を行う調整技術活動に参加する。(平成14年末までにとりまとめ予定)
○臨界プラズマ試験装置(JT−60)等により、実験炉に対して先進的かつ補完的な研究開発を進める。
○将来の原子力発電及び核燃料サイクル技術の選択肢を確保するため、革新的・独創的な実用原子力技術に係る提案公募方式の研究開発を平成14年度も引き続き実施する。
○産学官のポテンシャルを活用し、革新的原子炉技術に係る提案公募方式の研究開発を実施する。
○重イオン科学、放射光科学など基礎・基盤研究を平成14年度も引き続き実施する。

4.国民生活に貢献する放射線利用

長期計画の概要
 放射線は、取扱いを誤れば健康に影響を及ぼす危険な道具であるが、管理しながら使うことで社会に多くの便益をもたらし、活力を与える。
 分かりやすい情報の提供と積極的な情報公開により国民の理解を得ながら、今後も医療、工業、農業等の幅広い分野で活用できるように、研究開発を進めつつ放射線利用の普及を図っていくことが重要である。また、国民に放射線利用や放射線についての正しい知識をもってもらうための努力が必要である。
○医療分野では、放射線を用いた診断、治療の高度化を進めるとともに、診断、治療における健常組織への被ばく線量の低減化、新しい医療用線源や放射性薬剤の開発による診断適応範囲の拡充等の研究開発を進める。
○食品分野では、食品照射は衛生的な食品を安定に供給し、腐敗による食料の損失を防ぐ殺菌技術の有力な選択肢であり、照射食品の健全性や検知技術の研究等を進める。
○農業、工業、環境保全への利用では、食料の安定供給や環境保全に役立つ植物の放射線育種、先端的な新素材などの創製などを進める。
○低線量放射線の人体影響について基礎的な研究を総合的に推進する。また、高線量被ばくについて治療を中心に研究を推進する。
○放射線物質の環境中での移行、循環に関する研究、防護技術の開発に取り組んでいく。
(平成14年度の取組)
○がんの新しい治療法の確立を目指し、放射線医学総合研究所で行われている重粒子線を用いたがん治療研究を平成14年度はさらに臨床試験を増やして引き続き実施する。
○沖縄などにおいて放射線を利用した不妊虫放飼法による病害虫根絶事業は平成14年度以降も引き続き実施する。
○低線量放射線の生体影響に関する研究は平成14年度も引き続き実施する。
○高線量被ばく時における緊急被ばく医療に関する研究は平成14年度も引き続き実施する。

5.国際社会と原子力の調和

長期計画の概要
原子力を将来とも重要なエネルギーの選択肢として利用し、人類共通の知的資産の創出に貢献していくためには、原子力を取り巻く様々な国際的課題に対する適切な取組が極めて重要である。その際、相手国のニーズあるいは国際機関等からの要請に応じて受動的に対応するだけでなく、より主体的に、また能動的に取り組む。
(核不拡散の国際的課題に関する取組)
○核不拡散体制の維持は、安全確保とともに極めて重要であり、国際原子力機関(IAEA)による包括的保障措置、包括的核実験禁止条約(CTBT)等の枠組みの維持に加え、我が国のもつ原子力平和利用技術と人的能力をもって、核不拡散体制の強化に主体的に取り組む。
○原子力の平和利用を行っている国として、核兵器廃絶を目指し、2000年NPT運用検討会議で合意された「全面的核廃絶に向けての明確な約束」を含む将来に向けた「現実的措置」の実施に向けて積極的に働きかける。
○余剰兵器プルトニウム管理、処分は、核兵器保有国が第一義的には責任をもって行うものであるが、高速増殖炉サイクル技術等を活用するロシアの余剰プルトニウム処分への協力等、当事国の責任と当事国以外の協力の意義のバランスを考慮しつつ、我が国として主体的な協力を行う。
○IAEA保障措置の強化、効率化のため、保障措置協定の追加議定書締結国の拡大の努力、「統合保障措置」の検討への積極的な参画、保障措置技術の研究開発への貢献、国内保障措置制度の一層の充実といった施策を推進する。
○国際協力による核拡散抵抗性が高い原子炉及び核燃料サイクル技術の開発、プルトニウム利用の透明性を一層向上させるための施策の検討、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)プロジェクトへの協力等核不拡散への取組を積極的に進めていく。
(原子力安全と研究開発に関する国際協力)
○原子力施設の安全確保に関連した国際的教育プログラムを積極的に推進する。
○アジア諸国との協力においては、相手国の国情や計画に合わせて安全規制に従事する人材の育成、規制関係情報の提供等の協力を二国間、又はアジア原子力協力フォーラム、IAEA特別拠出アジアプロジェクトといった多国間の協力枠組みを利用し、アジア地域の原子力の安全性の向上を図ることが重要である。
○研究協力については、フロントランナーにふさわしい主体性のある国際協力を進める。

(平成14年度の取組)
○IAEA、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)等の国際機関の活動について平成14年度以降も引き続き協力する。
○包括的核実験禁止条約(CTBT)の実施に係る研究開発等を平成14年度以降も引き続き実施する。
○追加議定書に基づく「補完的アクセス」への対応と増大する保障措置業務に適切に対応するための民間機関による査察代行等の積極的な活用を平成14年度以降も引き続き実施する。
○六ヶ所再処理工場に対する保障措置の実施に向けた体制整備を平成17年度の操業に向けて引き続き実施する。
○高速増殖炉サイクル技術等を活用して、ロシアの核兵器解体により発生する余剰兵器プルトニウム管理・処分への協力を平成19年度までを目処に行う。
○旧ソ連・東欧諸国等の原子力発電所の安全確保に従事する者を対象に研修を行ってきた。(千人研修) 平成14年度は、これまでの研修の成果を踏まえた実践的研修等を実施する。
○アジア原子力協力フォーラム、原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)等の枠組みを活用し、アジア地域の原子力利用や原子力の安全性の向上等に資する協力を平成14年度以降も引き続き実施する。
○国際的な安全確保のため、専門的識見に基づき技術的基盤を提供するための会合等に積極的に関与する。
○Generation W International Forum(GIF)等の原子力研究・開発の国際的な協力の枠組みに参画し、議論への積極的な参加などを通じて貢献する。
○国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進する。平成13年からITER共同実施の準備を行うため、建設サイトに応じた適合設計等を行う調整技術活動に参加する。(平成14年末までにとりまとめ予定)

6.原子力の研究、開発及び利用の推進基盤

長期計画の概要
○安全の確保を図りつつ原子力利用を進めていくためには、これらを支える優秀な人材の育成・確保は重要な課題である。
○人材養成の中核的機関である大学は、国際的視点を含めながら、研究開発機関、民間事業者等と連携しつつ、多様かつ有能な人材養成に取り組むことが必要である。
○国の研究機関と民間事業者は、その間で共同研究や人材の交流等、相互の人的・技術的交流を促すような体制をつくり、我が国全体として人材・技術力の維持・継承、発展を図るよう努力することが重要である。
○原子力の幅広い可能性に挑戦し、若者に夢と希望を与えるような研究開発活動を展開していくことが原子力を志す人材を育む上で重要である。

(平成14年度の取組)
○ポストドクター(博士課程修了者)等若手研究者の研究交流を平成14年度以降も引き続き実施する。
○平成12年度から実施した公募方式による産官学による革新的実用原子力技術開発を平成14年度も引き続き実施し、人材育成へも寄与する。