研究開発課題評価委員会
「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」の評価結果(中間評価)
に対する措置
平成13年10月18日
核燃料サイクル開発機構
「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」のうち、今回評価の対象とした、第1期の成果及び第2期の研究開発計画等について、概ね適切であるとの評価を頂きましたので、計画通り研究を継続して実施することとします。
なお、技術的な観点での御指摘については適切に研究に反映するほか、以下のような措置をとることとします。1.研究の目的・意義と開発目標
「このような長期的なプロジェクトの遂行にあたっては、世の中の動きに敏感であり、広い視野を持ち、柔軟な計画運営に心掛けるべき」、
「現時点では適切と考えられる目標ではあるが、その見直しも随時行い、社会のニーズとの整合性が失われることのないように努力されたい」とのこれらの御指摘に対し、
- 本研究の目的、意義を支える前提条件となる将来の社会のニーズ自体が不変でないことに留意し、常にエネルギーシステム開発に係わる国内外の動向を把握するとともに、得られた情報を常にプロジェクトの推進に反映するなど、柔軟な計画運用に心掛けて研究を進めていくことといたします。
また、FBRサイクルの開発目標については、必要があれば第2期の期間中においても見直しを行い、社会のニーズとの整合性が損なわれることのないよう努めて参ります。2.第1期の成果
「成果の普及・公開が積極的に行われていることはよく理解するが、第1期の研究成果の普及により、これからのプロジェクトを国として進めていくことについての理解促進のため、一層の努力を期待したい」との御指摘に対し、
- インターネットのホームページはもとより、展示施設における分かりやすい展示解説、フォーラム等での成果報告、新聞や雑誌への記事の掲載並びに分かりやすい冊子の作成・配布などにより、本研究の成果を分かりやすく幅広く公開するとともに、より効果的な広報活動方法についても検討し、本プロジェクトを進めていくことについて、一般の人々のより一層の理解促進に努めて参ります。
3.第2期の研究計画
「小型炉については、原子力技術やシナリオを多様化していく可能性を与えるものとして考えられるが、ニーズや社会的受容性の面から、その位置付けを明確に分析することが望ましい」、
「各候補技術に柔軟性がどの程度あるかは、大きなシステムの開発においては極めて大切な視点であり、特に廃棄物への対応を今後考えていく上で重要ではあるが、最優先の開発目標は経済性のあるFBRサイクル像を提示することであり、環境負荷低減においてTRU燃焼とLLFPの核変換は、コスト及び社会的ニーズの兼ね合いを見ながら評価し、実用化を目指して長期的なスコープで段階的に進めるべきである」、
「要素技術開発については、できるだけ定量的に、実験の成果等に基づいて成立性等を評価することが大切と考える。また、実験は波及効果まで考えて最適な計画を立て、実施することを希望する。本研究のような大きいプロジェクトでは、水素製造等のシナリオで示されているような、それから生まれるスピンオフにも期待したい」とのこれらの御指摘に対し、
- 小型炉についてはその研究開発の位置付けを明確にしながら概念検討を進めることといたします。
環境負荷低減におけるTRU燃焼とLLFPの核変換については、コストと社会的なニーズの兼ね合いに留意して、長期的なスコープで段階的に実用化に取り組んでいくこととします。
また、要素技術開発については、御指摘の点に留意しつつ、できるだけ定量的に成立性等の評価が行えるよう実施して参ります。4.研究実施体制
「研究開発費も潤沢でない現状から、役割分担を明確にして効率的な研究の推進に努めるべきである。また、研究開発の進展に合わせて、より高い成果を目指した研究実施体制となることを期待する」との御指摘に対し、
- 今後ともご主旨も踏まえて、研究開発の進展に合わせて、これまで協力して研究を進めてきた研究機関等を含め、それぞれの特長を活かし、適宜、役割分担等の見直しを行うなど、効率的なプロジェクト運営に心がけ、研究実施体制の充実に努めて参ります。
5.総合的な評価手法
「実用化候補概念の絞り込みを行う際の判断材料として活用することとしている総合的な評価手法については、その積極的な開発が望まれる」、
「評価指標についても、今後の絞り込みが客観的に進められるよう十分に配慮しておく必要がある。特に、環境負荷低減性や安全性等については、十分な検討と一般の人々に対する理解促進の努力が必要である」、
「環境負荷評価では、いわゆる外部コストの評価(環境に与えるリスクのようにこれまでコストとして算入されていなかったものに対する経済性評価)も含めて、あり方を検討することが望ましい」、
「FBRサイクルの実用化をもたらすためには技術的な問題のみならず、原子力の非技術問題にも適切に対処していく必要がある。原子力の専門家はこれまで以上に社会的受容性への配慮も心掛けるべき」とのこれらの御指摘に対し、
- 絞り込みを行う際の判断材料として活用する総合的な評価手法については、早期に開発を進め、絞り込みを行う前に多方面のメンバーからなる委員会において、その適用性等について確認することといたします。また、この評価手法に基づく評価結果については、分かりやすく幅広く公開し、その理解促進に努めて参ります。
- 評価指標については、開発目標に対してできるだけ定量化することに留意して、様々な観点から検討を行うこととします。また、社会的受容性については、様々な人々の意見を伺いながら、取り組んでいくことといたします。