第42回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年10月16日(火)10:30〜11:10
2.場 所中央合同庁舎第4号館7階743会議室
3.出席者
藤家委員長、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 青山参事官(原子力担当)

4.議 題
(1)国内テロ対策について
(2)原子力試験研究検討会の廃止について
(3)その他

5.配布資料
資料1 国内テロ対策等における重点推進事項
資料2 原子力試験研究検討会の廃止について(案)
資料3−1 第40回原子力委員会定例会議議事録(案)
資料3−2 第41回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)国内テロ対策等における重点推進事項
 10月12日(金)開催された「国内テロ対策等に関する関係省庁会議」について、青山参事官より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)サイバーテロなど聞き慣れない言葉が使われているが、説明してほしい。
(青山参事官)サイバーテロは、ネットワーク上の情報の伝達・処理に対する攻撃である。ICAOは、国際民間航空機関である。
(竹内委員)プルサーマル計画促進のための、原子力発電所見学者100万人キャンペーン実施の矢先にテロが発生し、事業者としては、見学者の受入れとテロへの対応を両立させることが問題となる。これまで原子力発電所やサイクル施設は、親しみを持ってもらうため、いろいろな取組みを行ってきた。しかし、今回のテロを契機に、入構管理を厳しくしなくてはいけないということで、事業者は悩んでいると聞いている。この状況が長期間続くと、原子力施設への親近感という観点から望ましいことではない。
(藤家委員長)パブリック・アクセプタンスとフィジカルプロテクション、即ち核物質防護との間でどのような答えを出すのか難しい問題である。
(森嶌委員)現時点では、テロの関係で見学等を受け入れられないという事情は、みなさんに理解していただけるのではないか。
(竹内委員)テロ対策においては、人を性悪説で見る必要があり、海外ではある程度対応がなされてきた。しかし、今回のテロは今までの概念を覆すものであり、しばらくはこのような状態が続くと思う。その中で、従来からの核物質管理の厳格さを何ら変えることなく、国民からの信頼を得るためにも、テロ対策をしっかり行うことが必要である。
(藤家委員長)原子力発電所などにおいて、フィジカル・プロテクション、テロに対する対策がなかったわけではない。しかし、見学者に対して不快感を与えることなく進められてきた。今回のテロを契機として、これをベースに考えていくべきだと思う。我が国で航空機の落下が検討された際、1000万年に1回程度の発生確率であれば、問題がないとされてきたが、壁の厚さ等までは議論されなかった。これからは、これらについても、社会的に説明していくことが必要になってくると考えている。
(森嶌委員)事故を起こすにもかかわらず自動車を使っているのは、その便益とリスクを比較しているからである。テロの場合がそうであるよう、故意に行われれば一般的な確率計算は適合しない。今が異常な状態なので、あえて日常の確率によるとこうなる、などということは言わなくてもよいと思う。今の時点では、原子力発電所は特別にテロの対象になりやすいので、安全を期すため、立入りを制限するなどの措置を講じている、ということを説明するだけで、国民は理解してくれると思っている。今後の課題は、事態を見ながらいつ頃元の状態に戻すのかということであり、これは定期的にチェックをしていく必要がある。
(藤家委員長)地元の方々の反応はどうか。
(竹内委員)飛行機がぶつかるとどうなるのか、という質問がよくでると聞いている。青森県の六ヶ所村の場合は、戦闘機落下に対しての安全審査が行われている。しかし、今回のアメリカのテロのような事態に対処できるかどうかについての回答は難しい。
(藤家委員長)六ヶ所の場合は、戦闘機が近くを飛んでいるということで、確率計算などを考慮し、落下に耐えられる構造にした。
(森嶌委員)テロ全体に関して言うと、もしも狙われるのであればここではないか、ということを戦略的に検討して、重点的に対応するということがないと対応できないと思う。
(藤家委員長)安全確保の原則は、「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」である。これまで、「止める」、「冷やす」にはどのようなフィジカル・プロテクションが必要かを考えてきた。「閉じ込める」には、外からの原因と中からの原因に対して、隔壁をどのように保つのかということが問題である。この3つが基本である。今後は、これらを中心に考えて、そこにどの程度の社会的な許容を考えていくのかを整理していくべきだと考えている。
(森嶌委員)これを機会に、意識的に何かを起こされた場合に、どのようなことをすればよいのかについて、原子力発電所を前提に考えるのもよいかも知れない。

 (2)原子力試験研究検討会の廃止について
 10月9日(火)に開催された研究開発専門部会において、同専門部会の下に原子力試験研究検討会が設置されたことに伴い、本年4月、他の専門部会の設置に先立ち、原子力委員会の下に設置された原子力試験研究検討会を廃止する手続きを行う旨、青山参事官より説明があり、資料2の(案)のとおり決定された。

(3)その他