第40回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年10月2日(火)10:30~11:50
2.場 所中央合同庁舎第4号館1階110会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、竹内委員
内閣府
 青山参事官(原子力担当)
文部科学省研究開発局核燃料サイクル研究開発課
 中原課長
経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部
核燃料サイクル産業課
 倉崎企画官
核燃料サイクル開発機構
 相澤理事、笹谷理事
(社)日本原子力産業会議
 宅間専務理事

4.議 題
(1)プルトニウム管理状況について
(2)第5回高速増殖炉に関する日仏専門家会合の結果について
(3)ウラン濃縮技術開発の終了について
(4)第23回日韓原子力産業セミナーの結果について
(5)その他

5.配布資料
資料1 我が国のプルトニウム管理状況
資料2 第5回高速増殖炉に関する日仏専門家会合の結果について
資料3 ウラン濃縮技術開発の終了について
資料4 第23回日韓原子力産業セミナ(速報)
資料5-1 第38回原子力委員会定例会議議事録(案)
資料5-2 第39回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)プルトニウム管理状況について
 プルトニウム管理の透明性の確保の観点から、2000年12月末時点におけるプルトニウム管理状況について、青山参事官、中原課長および倉崎企画官より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)IAEAへの報告は、資料の2枚目以降のようなもので行うのか。
(中原課長)もう少し詳細な内訳が記入されることとなる。
(遠藤委員)この資料による報告の目的はなにか。
(中原課長)プルトニウム利用の透明性の確保のために行ってきた。国内報告用にまとめたもので、従来原子力白書にもこの様式で記載されてきた。
(遠藤委員)この報告は、我が国の原子力平和利用という原則をしめす重要な報告である。しかしながら、他国分については、公表データが古く、望ましくないと思う。やはり、我が国としては、外務省からIAEAを通じて、データの公表はきっちり行うべき、と各国に対して言うべきである。また、公表している国が少ないので、その他の国にも公表するように働きかけてほしい。
(中原課長)公表の経緯をみると、商業的にプルトニウムを利用している各国が自発的に行ってきたということがあり、このようになっている。
(藤家委員長)我が国は、原子力の平和利用という観点から、使用目的のないプルトニウムを持たないということで、透明性を高めようと取り組んできている。一部の国だけが公表しているというのは、望まれた形ではないと思う。日本はきっちり行っているので他国も頑張ってください、ということは言うべきである。

 (2)第5回高速増殖炉に関する日仏専門家会合の結果について
 9月14日(金)にフランスで開催された第5回高速増殖炉に関する日仏専門家会合の結果について、中原課長より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)フランスでは、将来的には高温ガス炉、と絞り込んでいるのか。
(中原課長)ガス炉に力を入れていこうという意向は強い。
(相澤理事)まず、今後20~30年は改良型軽水炉で進め、その先は高速炉、と考えている。その冷却材のオプションの一つとして、液体金属を残し、その技術の維持継承はしっかりと行う。そのためには、日本との協力が欠かせないということである。また、新しい技術として、水素製造や多目的利用の観点から、熱炉のガス炉、さらに高温化し高速中性子の場で使えるように、などと段階的にアプローチする計画を立てている。ただし、フランスだけではできないので、国際協力のフレームワークを模索したいということである。そういった意味で、フランスにとってジェネレーションⅣのような取組みは魅力がある。
(藤家委員長)フランスはガス炉のデータを持っていないので、国際協力により入手するほうがよい。一方、液体金属のデータは、日本との協力により入手していくという具合に、あまりコストをかけないようにしている。
 ジェネレーションⅣには軽水炉開発も含まれているが、次のプラントは大型化の延長を考えているのか。
(相澤理事)大型化の延長が必須というより、むしろ今までの経験を最大限に活かして改造することを重視するということである。
(藤家委員長)フランスではグリーンが強くなり、原子力開発が難しくなりつつあるということも聞いている。そのような議論はあったのか。
(中原課長)今回の会合ではなかった。
(竹内委員)20~30年は軽水炉路線で、ということは明らかなのか。
(相澤理事)20年後くらいからリプレースに入るが、その時点では軽水炉であると言っていた。
(竹内委員)「もんじゅ」への関心の高さはどの程度か。
(相澤理事)以前は、その時が来たら具体的な内容について協議しようというスタンスであったが、今回、ブシャール局長は、研究者を送って参加すると言っており、以前より前向きな意志を明確にしている。
(中原課長)フランスのフェニックスは2008年頃に止めてしまうので、それ以降も、フランス以外に照射場があるということは非常に重要であり、フランスとしても日本に協力していく、という考えを持っている。
(竹内委員)フランスに照射場がなくなってしまうのか。
(相澤理事)照射のための試験炉を作る計画は持っているようであるが、それまではガス冷却高速炉燃料を開発するための基礎照射試験を日本やロシアで行うということをはっきり言っている。
(藤家委員長)日本、フランス、米国が一緒に取り組んでいくことが重要である。共同開発の話まで上手くいけば、日本が今まで取り組んできた開発意義の再確認ができることになるし、安心もできる。フランスについては心配していないが、米国についてはジェネレーションⅣを通しての話なのか、三国間の話になるのかを考えていく必要がある。

 (3)ウラン濃縮技術開発の終了について
 核燃料サイクル開発機構によるウラン濃縮技術開発が9月末をもって終了したことについて、笹谷理事より資料3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)ウラン濃縮を国際競争力のあるものにするには、寿命の長いものを開発することが必要であり、六ヶ所の濃縮装置の停止原因解明に尽力してほしい。また、使い終えた濃縮装置の扱いであるが、機微な技術でもあり処理・処分が必要ということ、また、高価な材料を使っているということもあり、再利用ができないかと考えている。
(笹谷理事)精一杯努力していきたいと考えている。再利用については、現在調査している段階である。
(竹内委員)日本原燃と一致協力して取り組んでほしい。
(遠藤委員)濃縮事業の要員がJNCから日本原燃への出向という形を取っているのはどうしてか。なぜ、移籍させないのか。
(笹谷理事)個々人の問題が出てきて、移籍にまで至っていない。経営サイドとしては、資源の最適化という観点から、移籍を進めていきたいと考えている。
(遠藤委員)サイクル機構として事業を止めるにもかかわらず、移籍をしないというのは理解できない。
(藤家委員長)カルチャーの違い、場所の違い等が考えられる。研究開発機関がリニューアルしながら、どうやって次に進んでいくのかという問題に直面した時の宿命である。冷戦構造下で全ての技術を自主開発しなければいけない、というノルマとミッションは見事に果たしたと思う。「ふげん」の時もそうであるが、きっちりその歴史を閉じてほしいということをお願いしたい。是非、自主開発においてこれだけの成果が上がったということをまとめて、国民に知らせてほしい。
劣化ウランの問題は、いずれ議論しなければいけないと思っている。

 (4)第23回日韓原子力産業セミナーの結果について
 9月24日(月)及び25日(火)に韓国で開催された第23回日韓原子力産業セミナーの結果について、宅間専務理事より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)中低レベル放射性廃棄物立地選定活動主体が、韓国科学技術省から韓国産業資源部に変わったのはいつか。
(宅間専務理事)1997年である。
(遠藤委員)新しい原子力サイトは4つということであるが、もう1つ新しいところがあるのではないか。
(宅間専務理事)特に聞かなかった。

 (5)その他