第5回高速増殖炉に関する日仏専門家会合の結果について

平成13年10月2日
文部科学省研究開発局


1.日時、場所    平成13年9月14日(金)9:30~17:00
  フランス/CEAパリ本部

2.出席者

 日本側 中原文部科学省課長、鈴木資源エネルギー庁企画官、
 相沢JNC理事 その他 原研、原電、電中研より参加
 フランス側 ブシャールCEA局長 その他 経済・財務・産業省、研究省、
 フラマトムより参加

3.議事概要
(1)冒頭説明
 ブシャール局長より、仏における原子力事情について説明が行われ、仏の原子力発電所は問題なく稼動していること、COGEMA、フラマトムなどを包含するホールディングカンパニー(AREVA)ができたこと、CEAの組織変更を行い、高速炉と燃料サイクルと廃棄物を同一の部局とし、原子力について首尾一貫した対応ができるものとしたことなどについて紹介があった。
続いて、中原課長より、第4回会合以降の我が国における原子力を巡る状況について説明を行った。

(2)高速増殖炉関連の現状
 日本側からはサイクル機構、原研、原電及び電中研がそれぞれが研究開発の現状についての説明、「常陽」、「もんじゅ」の現状についての説明を行った。
それに対して、仏側から仏における研究開発の現状や特に「フェニックス」の現状についての説明があった。
「フェニックス」についての説明の概要は以下のとおり。

  • 2002年後半に再起動し、5年から6年間マイナーアクチノイド(MA:UやPu以外の重元素)に関する照射試験運転。その後、2010年頃まで照射後試験(PIE)の予定。
  • 当初2001年に運転再開の予定であったが、蒸気発生器(SG)にクラックが発見され、この修理に12ヶ月が必要である。
  • 既に30年経過すること、次回の運転によりすべての研究を遂行することができることから、運転の再延長は予定していない。

(3)将来炉の長期開発について
仏側から、仏における将来の原子力システムの短・長期戦略について説明があった。
当方からは、実用化戦略調査研究についての現状について説明を行った。
仏側の主な発表内容は次のとおりである。

既存炉を使ってPuリサイクルすることによって、廃棄物中のPu含有量を減らす。
MAについては長寿命核分裂生成物(LLFP)と分離して、軽水炉廃棄物の毒性を減らす。
電力製造だけでなく、今後は水素製造が重要である。この理由で高温を必要としている。高温ガス炉は、安全性と核変換に優れている。FRAMATOM及びGAと協力して開発したい。
高温材料の問題については、テストループを2007年か8年、テスト炉をカダラッシュに2012年頃を目途に建設し、プロトタイプは2020年頃、マルクールに建設することを予定している。
ガス炉には現在、4つの研究施設をあわせて70名程度関係している。2002年には倍になる。

(4)共同研究の進捗状況報告と今後の計画について
 共同研究テーマごとに進捗状況が報告され、これまで得られた成果についての評価や今後の計画等について意見交換と確認が行われた。全体的にはほぼ予定通りに作業が進んでいることが確認された。この際仏側より、本協力を進める上でも、GEN-IVの動向を注意深く見守っていくことが重要であるとの指摘があった。

(5)「もんじゅ」関連共同研究について
 日本側より、「もんじゅ」に関する将来の運転計画について、試運転計画の共同策定と評価、照射試験施設としての利用に向けた協力等の将来テーマについて説明した。
日本側の提案に対して、仏側からは、技術者の交換も含めて仏側として興味がある。仏も長い停止から再スタートした経験があり、エキスパートを送って協力する。話し合いを続けてうまく再スタートできるように協力したいとの発言があった。

(6)燃料サイクル分野における共同研究について
 日本側より、燃料サイクル分野におけるサイクル機構東海の現状を説明するとともに、共同研究として、燃料サイクル分野の施設共同利用に向けた施設情報の交換、MA核変換のための乾式プロセスと燃料製造を含む燃料サイクルプロセス技術の開発及び廃棄物処理技術に関する研究を提案した。
 仏側より、仏のバックエンド関係の現状と計画の説明があり、共同研究として、使用済み燃料の長期貯蔵、再処理としてパイロケミストリー、バックエンドを考慮した将来炉及び廃棄物処理に関する研究の提案があった。
 これらに対して、本会合では、高速炉技術と関連核燃料サイクル技術とを統合し、整合性のある展開を期すことが今後ますます重要となるとの共通認識に立ち、高速炉分野に加えて、核燃料サイクル分野も協力対象とすることで合意し、今後コンタクトパーソンを決め、検討を進めることとした。

(7)協力分野の分類と今後の会議開催のやり方について。
 仏側より、現状の協力分野をA1(LMFBR)、A2(もんじゅ-Phenix)、B(将来システムと国際協力)、C(燃料サイクルC1と廃棄物C2)のテーマ毎に再編成すること、各テーマ毎にコーディネータを置いて分野毎の活動を取りまとめることにより、関係を強化してはどうかとの提案があり、検討を続けることとなった。次回の政府間会合の1ヶ月前にコーディネータの会合を行い、この結果を政府間会合で議論したいとの提案があった。

(8)次回会合
 第6回会合は、来年秋に日本で開催することで合意した。

以上