第37回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年9月11日(火)10:00〜11:30
2.場 所中央合同庁舎第4号館7階742会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、木元委員、竹内委員、森嶌委員
内閣府
 浦嶋審議官
 青山参事官(原子力担当)
外務省総合政策局科学原子力課
 廣田課長補佐
東京工業大学原子炉工学研究所
 藤井所長
(社)日本原子力産業会議
 計画推進本部 三浦マネージャー
 政策企画本部 菊山担当役

4.議 題
(1)市民参加懇談会コアメンバー(案)について
(2)IAEA総会の開催について
(3)原子力人材育成への産学の情報交換会の結果について
(4)その他

5.配布資料
資料1 市民参加懇談会構成メンバー(案)
資料2 第45回国際原子力機関(IAEA)総会について
資料3 人材問題小委員会・将来の人材確保に関するWGの検討について
資料4 第10回日英原子力産業会議概要

6.審議事項
 (1)市民参加懇談会コアメンバー(案)について
 市民参加懇談会の構成メンバーについて、青山参事官より資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(木元委員)構成メンバーとなっているが、このメンバーがコアになって会合を開き、市民がいかに原子力に関わっていけるかを話し合っていきたい。議論を公正に進めるという観点から、原子力委員会主導ではなく、市民参加懇談会主導という形で進めていきたいと思っている。この懇談会のメンバーに諮らなければいけないが、個人的には、平成13年度は地方における対話を重視していきたいと思う。今までの懇談会のように議論をして報告書を出して終わり、ということではなく、アクティブに外に出て動くことを重視したいと思う。例えば、今問題になっているプルサーマルであれば、現地のプルサーマル導入反対のリーダーの方と実際に会って、日本のエネルギー行政ひいては原子力行政をどのようにしていけばいいのかなど、基本的なところから話し合っていきたいと考えている。そのためには、一方的に原子力委員会主催や市民参加懇談会主催という形をとるのではなく、現地のグループの方々との共催という形にして、いろいろな活動を展開することが大切だと思う。その中で、ベーシックなことから話し合って、日本はどうしたらいいのか、立地地域はどうしたらいいのかを徹底的に話し合いたいと思っている。コアメンバー会合は9月20日に開催する予定であり、その場でどのような提案がなされるのかわからないが、私の考えでは、今話をしたような方向で進めていくのがいいのではないかと思っている。
 また、今回のメンバーはコアであり、新しいメンバーに入っていただくことも十分にある。
(藤家委員長)大事な会合なのでよろしくお願いする。
(遠藤委員)これは車の両輪のひとつだと思う。原子力委員会の専門部会が一方にあり、市民参加懇談会がもう一方にある。
(木元委員)専門部会が一般の方々にどの程度認知されるのか、応援していただけるのか、についても、この懇談会の話題にしていきたいと思う。しかし、いずれにしろ、両輪という意味で、それぞれが勝手に動いてはいけないし、双方が相まっていかないと、原子力は見えないままだと思う。
(遠藤委員)そのとおりである。私もこの懇談会に出席したい。
(竹内委員)私も出席したい。
(木元委員)先ほど申し上げたように、議論を公正に進め押付けにならないようにするため、この懇談会では、原子力委員も含めメンバーの方にアイウエオ順などで座っていただき、同等に発言していただくというような形にしたい。


 (2)IAEA総会の開催について
 9月17日(月)にウィーンで開催されるIAEA総会の概要について、廣田課長補佐より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)議題として、この他に何があるのか。
(廣田補佐)原子力施設の安全、放射線線源の安全及び輸送の安全など、原子力安全の議題がある。特に輸送の安全については、沿岸国と非沿岸国の間で安全性の議論が行われる。
(藤家委員長)北朝鮮や中東の保障措置について、いつも議題として上がっている。
(遠藤委員)常に議論することが大切だと思う。輸送の安全については対応に十分注意してほしい。
(廣田補佐)IAEAの場以外でも議論になるところで、我が国が核燃料サイクルを進める上で重要なことなので、沿岸国に対して、安全面を繰り返し強く訴え、理解を得ていくよう努力していきたいと考えている。

 (3)原子力人材育成への産学の情報交換会の結果について
 現在、(社)日本原子力産業会議において、将来の原子力関係の人材確保・育成に関して、電力・メーカー・研究機関・教育機関の関係者によって検討されている。これに関し、8月27日(月)に開催された人材問題小委員会将来の人材確保に関するワーキンググループ拡大会合の結果について、藤井所長より資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)1年間議論して、大学の問題や産業界の問題を最終的に摺り合わせて提言するという形になるのか。
(藤井所長)問題点を洗い出し、最終的に提言したいと思っている。特に、今後5〜10年後を考えると、産業界は右肩下がりである。その中で、質の高い人材教育をどうするのかが課題であり、検討していきたい。
(藤家委員長)原子力発電への人材供給の問題ということであれば、原子力委員会はその域を出ている。新しい長期計画策定時も、原子力委員会としては全体像を示すことが大きな仕事であったし、原子力基本法を見ても放射線利用や先端科学も入っている。今後これらをどのように受け止めていくかが、人材確保を考える原点である。これらの広がりを捉えることが、本来大学教育では必要ではなかったのか、という議論はあると思う。
(藤井所長)私達が考えてきた原子力教育と、社会が必要としてきたものとミスマッチがあったのではないか、という議論はある。
(竹内委員)今となればミスマッチということかもしれないが、原子力発電中心になるのはやむを得なかったと思う。今求められているのは、原子力発電だけではなく、原子力長期計画に書かれている全ての分野である。そうしないと、学生に対して魅力のあるものにならない。深刻な話として、どこの事業所も若い人が入らないということがある。
(藤家委員長)それは原子力固有の問題なのか、日本の産業界全体が抱えている問題なのか。
(竹内委員)原子力は顕著であると思う。
(藤家委員長)何が今求められているのか、それは個別具体的な技術なのか、広がりのある技術なのか。柔軟性、創造性、適応性が要求される時代にあって、このような議論をするときの原点の整理を行わなければならない。問題から整理していくのは、今の時代に合わないと思っている。
(森嶌委員)大学は、産業界が考えていないこと、もしくはこれから対応していくところについて、先を見通してカリキュラムなどを組みながら、かつ独立法人になり資金が必要となるのであれば、積極的に学会から、産業界のサポートを求めていってもいいと思う。イギリスでは、原産会議が将来を見越して大学に資金を出している。産業界の意見も聞き、これから50年先を見通しつつ、原子力発電だけではない原子力利用をどうしていくのかを、大学側から産業界へ提案するほど積極的に考えていくことが必要だと思う。
(竹内委員)若い人に対しては、夢の創成が必要ではないかと思う。それがないと、若い人はついてこない。
(森嶌委員)大学から夢を出して、産業界がそれを育てるようにしてほしい。
(藤家委員長)産業界は、竹内委員が言われたのと逆の方向に進んでいたと思う。逆に、大学側も何かアカデミアな提案を行ってきたのか、ということも言える。これから脱却するには何が必要なのか、から議論は始まると思う。是非、大学は何を行うところなのかをアピールしていただきたい。
(森嶌委員)原子力委員会も、積極的に引っ張っていくことが必要である。
(藤家委員長)具体的に進めていくために会合などを持ちたいと思う。

 (4)第10回日英原子力産業会議会談の結果について
 日英両国の原子力産業に関する情報交換や国際協力促進を目的として、9月5日(水)にロンドンで開催された、第10回日英原子力産業会議(日本側団長:森嶌委員)の結果について、菊山担当役より資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(森嶌委員)2つの印象を受けた。1つは、米国ブッシュ政権の動きにかなり関心を持っていた。ルネッサンスという表現がなされていたが、今後の原子力政策の見直しについて、かなり積極的な方向のものが出るのではないか、ということであった。英国でも、自由化を手放しで進めることは消費者のためにならないということであり、原子力エネルギーのような長期的なエネルギー供給については、政府がきっちりと対応していかなければならないということであった。したがって、原子力の将来に対して、少し明るい見通しが出てくるということである。もう1つは、ミリタントな反対派に対しても付合いがあるということである。例えば、BNFLでは、反対派と話合いを持つとか、情報を提供するとか、よく対応しているようである。一方で公開、一方では対話ということを積極的に行っている。日本でも、これから原子力をきっちり位置付けていくためには、国民全体のアクセプタンスのための行動を行っていく必要があり、情報公開や対話を強力に押し進めていかなければいけないと感じた。
(遠藤委員)英国のブレア政権のエネルギー政策の見直しに関心を持って見ている。これは、いつ頃発表されるのか。
(菊山担当役)年末だと思う。
(遠藤委員)英国では、デコミッショニングや高レベル放射性廃棄物はどのようにしようとしているのか。
(森嶌委員)デコミッショニングについては、何十年か安全管理し、その後何十年かはそのままの状態で置いておく方針のようである。高レベル放射性廃棄物の話は出てこなかった。
(藤家委員長)日本の場合、最終的な結論がないと話が進まないことがあるが、米国やヨーロッパでは、中間的な答えで対応していくことがある。
(森嶌委員)科学的なプロジェクトで、それに要するコストが算出できない場合、現実的にフィージブルかどうかという範囲内で考え、それを決めたなら、徐々に進めていき、その途中で新たな情報が入ってきた場合は、現状路線上で改めて考えるというやり方の方がよいと思う。
(遠藤委員)今、高レベル放射性廃棄物はどうなっているのか。
(竹内委員)サイトに保管したままである。BNFLで処分計画があったが、3〜4年前にそれが議論となり、技術的な問題や将来への影響に対する評価を行おうということで、今、見直しを行っている。日本では、なかなか考えられないことである。
(森嶌委員)これは我々も反省すべき点で、これが国策です、と1つしか打ち出さなかったために、あれが違う、これが違うということになってしまう。この期間はこのようにするが、それ以降の選択肢はいくつもあり、その時期が来たら改めて議論するという約束をして、原子力を進めていかないといけないと思う。
(竹内委員)そのような議論は時間を必要とする。
(森嶌委員)時間がかかっても努力していかなければいけない。
(藤家委員長)このような論理展開で話が決められるのか、という現場で直接対応している方から話を聞くつらさはある。今日の話を聞いて、世界が変わりつつあるという中で、折角これまでフランスと日本が原子力を支えてきたのに、ここに来て「へなへな」とならないように我々は努力しなければいけない、という想いを強くした。次回は2年後に開催されるということだが、この場での議論はフォローされるのか。
(菊山担当役)提案がいくつも出ているので、それを集中的に議論することになると思う。

 (5)その他