段階的な核燃料サイクルの確立の重要性及びサイクル機構が果たすべき使命についてご講演していただいた。

　国際的中核機関の役割、研究開発の速度、原子力技術の応用分野について討論が行われ、概要以下の意見が出された。

• ＦＢＲの開発のような大規模プロジェクトではひとつの中核となる研究所が研究開発を進めていくべき。その際、様々な組織(顧客、電力会社、産業界、学会)の意見を採り入れ、あるいは専門委員会を設けることで透明性を確保すべき。一方、付随する研究開発が大学等の様々な機関で行われることが奨励されるべき。
• ＦＢＲ開発には、国際協力が重要。各国が中核機関を持ち、国際協力により多様性や競争力を確保することが重要。
• ＦＢＲの導入時期は市場の問題ともいえるが、研究開発は政府が明確な戦略を示すべき。
• ＦＢＲサイクルの実用化のためには少なくとも20年程度の研究開発期間が必要であり、技術の伝承のためにも今すぐ研究開発を開始しなければならない。
• 原子力の用途については、発電に加え、水素製造、海水の淡水化利用等、幅広く検討し、また都市を含む世界中どこにでも置ける原子力にチャレンジすべきである。

　サイクル機構で実施している実用化戦略調査研究及び関連する研究開発、「常陽」や「もんじゅ」にかかわる研究開発の現状と今後の取り組みについて報告された。

　ＦＢＲサイクル研究開発への期待することが発表されるとともに、研究開発の方向性、研究開発の協調と競争、研究開発の活性化をテーマに討論が行われ、概要以下の意見がだされた。

• 原子力は社会に受け入れられなければ研究開発はできない。
• ＦＢＲの研究開発に際しては、まず政府が長期エネルギー展望を設定し、ＦＢＲをいつまでにどのような姿で完成させなければならないかについてニーズを明確にすべき。
• 研究開発の進め方については、多様な新しい技術に対しチャレンジすべき。
• 現実的には研究開発資源が減少していることから研究開発資源の集中が必要。
• 「常陽」建設時のように十分な炉外実験を行うべき。
• 研究資源の減少により実験できることは限られる。効率的に研究開発を進めるためにＩＴ技術を活用し、過去の知見を蓄積するとともに、国際協力を通じて各国の経験を共有すべき。
• 今後は研究開発の効率性の観点から、どこで研究、試験を行うか国際的な競争が行われるであろう。
• 技術は人に付随することから完成には約30年必要であり、建設、運転を含めた技術継承のためにも空白期間を生じさせてはならない。
• 研究機関は地域の土地、人的資源、文化を活用して研究開発を行うことから、地域住民や大学との共生関係が重要。
• 研究機関は地域住民や大学に対して開かれた環境とすべき。
• 重要な課題は地域住民に一緒に考えてもらう必要がある。

主　催　：	核燃料サイクル開発機構
後　援　：	電気事業連合会 （社）日本原子力産業会議 （社）日本原子力学会（北関東支部、関東・甲越支部）
日　時　：	平成13年9月6日（木）13:15〜9月7日（金）17:00
開催場所：	大洗工学センター　FBRサイクル国際研究開発センター（Ｆセルボ） （茨城県東茨城郡大洗町成田町4002）

---