人材問題小委員会・将来の人材確保に関するWGの検討について

平成13年9月11日
社団法人 日本原子力産業会議
基盤強化委員会 ・人材問題小委員会
将来の人材確保に関するワーキンググループ


検討課題
1. 学生の確保、人材養成等に関する現状と課題
  • 大学における現状と課題
    • 原子力を目指す学生の減少、就職難、学生の教育環境、研究炉等の環境
  • 産業界(電力,メーカー)、研究機関における現状と課題
    • 産業界、研究機関における新規採用の現状と課題
    • 産業界、研究機関の人材養成の現状と課題

2.将来の人材確保・人材養成への対応策

  • 各機関の人材養成のあり方
    • 大学、研究機関、産業界の役割と対応策
    • 各機関等の中・長期計画、ミニマムリクアイアメントの設定
  • 大学,研究機関,産業界の協力・連携
    • 三者の効率的役割分担のあり方
    • 三者の協力体制のあり方(新しい枠組みも含めて)
  • 研究炉のあり方(再評価含めて/欧米の研究炉のシステムを考慮)
  • 東南アジアを含めた人材養成のあり方

3.具体的な人材確保策の提言

  • あるべき姿の実現化にむけた提言
    • 従来の延長線上ではなく、社会全体の構造改革、情報化や国際化も踏まえて、優秀な人材の確保を目指す。
    • 着実な技術継承を進めて行けるシステムを構築する。
    • チャレンジする領域の創生、明示。
以上




将来の人材確保に関するWG拡大会合について

・日時:8月27日
・出席者:原子力教官協議会
     日本原子力産業会議・人材問題小委員会

1.趣旨
 産業界においては今後の人材養成を非常に重要な課題であると考えている。一方最近の大学改革の流れの中で、大学において原子力教育を維持発展させることが困難になりつつあり、産業界からのニーズは重要な因子である。このような状況が生じているが、これまで大学と産業界が教育人材育成に関して直接議論する場がなかった。そこでお互いに先ず現状を語る機会を持った。

2.各大学からの現状報告
(1)東北大学
 1996年 量子エネルギー工学科(大学院:量子エネルギー工学専攻)に改称。学部は機械知能系5学科連携体制で運営。その結果学生のレベルが向上し、就職も機械系連携で行なっており、非常に良くなった。原子力教育のカリキュラムは以前の5割程度であるが今後8割程度まで回復したい。
(2)東京大学
 1993年原子力工学科をシステム量子工学科に改称。2000年システム工学科と他の3学科を合わせ、システム創成学科を作った。その中に環境エネルギーコースがあり、そこで原子力教育を行なっている。システム創成学科として学生のレベルが非常に高くなった。
(3)神戸商船大学
 ここ2〜3年のうちに、神戸大学との合併が予想され、このため商船大は海と船の原点に回帰する。そうすると原子力教育は維持することが困難となる。
(4)九州大学
 1967年に応用原子核工学科が設置され、1998年に学部はエネルギー科学科、大学院はエネルギー量子工学専攻に改組した。原子力教育については努力しているが、近年原子力に夢を持つ学生が少なくなっている。また博士修了者の就職が難しい。
(5)武蔵工業大学
 研究炉が1989年の水もれ故障以来停止している。20年前設置さた大学院原子力工学専攻は2002年エネルギー量子工学専攻に改称。1/3が原子力、2/3が他のエネルギーの教育を行なう。
(6)東海大学
 2001年、学部原子力工学科を応用理学科に改組、大学院はエネルギー工学専攻に改組。その中に原子エネルギーコースと、新エネルギーコースを設置。学部学生の8割は就職するが、放射線利用の面で求人が多く、就職関係企業には今後も原子力教育を続けていくと説明している。
(7)近畿大学
 2002年に原子炉工学科廃止、電気電子工学科エネルギー工学コース等に吸収、
 大学院は総合理工学研究科物質系工学専攻となる。私学の競争原理の中で原子力教育を維持することは困難。総合科学としての原子力教育は崩壊の危機にある。40年前設置した原子炉は今後とも社会人も含め原子力教育に有用である。

3.産業界から大学への期待
(電力) 原子力工学系採用者は毎年2〜3名で維持。採用者をみると、実際のモノと理論をリンクさせることが苦手。基礎基盤技術データの整備を大学に期待する。
(メーカー) 売り上げ規模は今後右肩下がり。原子力を進める抜本的解を大学で考えてほしい。学生には専門的知識の他に常識的論理を持ってほしい。
 原子力発電関係でも原子力の専門家は2〜3割り、後は電気と機械となる。配属後は専門性より創造性やフレキシビリテイーが重要である。
(研究機関) 特殊法人の改革問題で将来は流動的。これまでは博士課程集両者を採用してきた。学生への期待は専門に関し高度な知識を持つこと。全新卒採用者の中で原子力関係は3割程度。

以上