第35回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年8月28日(火)10:30〜12:20
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、竹内委員
内閣府
 大熊政策統括官(科学技術政策担当)
 浦嶋審議官
 青山参事官(原子力担当)
原子力安全委員会事務局総務課
 川原田課長
外務省総合外交政策局科学原子力課 松林課長補佐
文部科学省
研究開発局原子力課
 中西課長
研究開発局核燃料サイクル開発課
 板倉核燃料サイクル推進調整官
農林水産省農林水産技術会議事務局 波川課長補佐
経済産業省資源エネルギー庁
原子力安全・保安院 安全審査課
 石田統括安全審査官、佐藤総括安全審査官、渡邉課長補佐
核燃料サイクル産業課 山田課長
日本原燃(株)
 鈴木専務取締役、野坂燃料製造部副部長
電気事業連合会
 早瀬理事 原子燃料サイクル事業推進本部長
 武藤原子力部長

4.議 題
(1)平成14年度原子力関係予算ヒアリングについて
(内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省)
(2)関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
(3)東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(諮問)
(4)MOX燃料加工工場の立地協力要請について
(5)その他

5.配布資料
資料1−1 平成14年度概算要求について(原子力安全委員会事務局)
資料1−2 平成14年度文部科学省原子力関係概算要求(案)について
資料1−3 平成14年度原子力関係予算について(原子力委員会)
資料1−4 外務省関連原子力予算について
資料1−5 平成14年度予算概算要求 原子力関係予算ヒアリング資料(農林水産省)
資料2−1 関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
資料2−2 関西電力株式会社 高浜発電所原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)の概要について
資料3−1 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(諮問)
資料3−2 東京電力株式会社 福島第一原子力発電所 原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)の概要について
資料4 MOX燃料工場の立地協力要請について
資料5−1 霞が関における原子力公開資料センターの開設について
資料5−2 第34回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)平成14年度原子力関係予算ヒアリングについて(内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省)
 平成14年度原子力関係予算については、7月下旬から8月上旬にかけて、原子力委員会において、主要各省から政策テーマ別にヒアリングを行い、審議を行ってきた。その後、具体的な概算要求額が固まってきたので、先週に引き続き、内閣府、外務省、文部科学省及び農林水産省から説明・報告を受けた。 

 原子力安全委員会分について、川原田課長より、資料1−1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)情報化について、もともと進めてきた取組みを強化するとはどういうことか。
(川原田課長)取り組みを加速させると同時に、集めた情報を緊急時等の場合にすぐに取り出して活用できるようなシステムを構築するという、質的な機能向上も行う。
(竹内委員)計画は単年度か複数年度か。
(川原田課長)2年ぐらいで完了することを考えている。
(藤家委員長)今まで原子力委員会は重点化という観点で予算を議論してきたが、全体として予算を増やさなければいけない理由は何か。
(川原田課長)全体として見れば、強化したいところもあり増えているが、その他整理した事項もある。「情報化の強化」では、原子力安全委員会の規制調査活動など業務費用の増加がある。また、「国際協力の強化」では外国旅費の増加がある。特に重点化しているところは、構造改革特別要求行う「情報化の強化」である。
(遠藤委員)予算を減らしたところはあるのか。
(川原田課長)国内旅費や庁費はかなり削減をしている。これら削減分を重点化項目に充てている。
(藤家委員長)「知的基盤整備の一層の推進」とはなにか。
(川原田課長)原子力安全委員会が活動するにあたり、外部の調査機関を通じて重要事項に関する資料収集を行い、それを原子力安全委員会における分析・検討に活用して政策を実現させていくための費用である。
(藤家委員長)これに該当する調査項目はどのようになっているか。
(川原田課長)廃棄物の安全基準の調査、廃止措置関係の調査は増額、MOX関係の調査はなくすなど、メリハリを付けて要求している。
(藤家委員長)この資料では中身が十分にわからない。。
(川原田課長)追加資料を提出し、説明する。

 文部科学省分について、中西課長より、資料1−2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)削減された項目はなにか。
(板倉推進調整官)核燃料サイクル技術開発では、ふげんなど整備事業の廃止合理化で55億円を削減している。もんじゅの維持費についても、約3%の削減をしている。サイクル機構における実用化戦略研究を4億円削減し、公募型事業の20億円を用意し、サイクル機構だけでなく、民間、大学なども含めて、核燃料サイクル技術の研究開発を行う競争資金的なものを作っている。原子力科学技術の推進では、核融合予算はITERの開始前ということもあり、前年度から50億円を削減している。その分、大強度陽子加速器やRIビームファクトリーの整備に力を入れることとしている。
(遠藤委員)大学予算は何が減額されたのか。  
(板倉推進調整官)核融合科学研究所の大型ヘリカル装置の運転計画を必要最小限まで縮小している。しかし、必要最低限の研究ができる水準は確保している。
(竹内委員)大強度陽子加速器やRIビームファクトリーの整備は、複数年度にわたる費用を考えて予算計上しているのか。
(中西課長)いろいろなプログラムが並行して走っている中で、バランスよく予算を組まないといけないので、苦労している。
(藤家委員長)原子力は巨大技術なので、何年かおきに大きな事業が出てくる。これを行うためには、他の事業が整理できるという見込みがなければならない。文部科学省は過去から苦労していると考えている。
(竹内委員)公募型研究に着手する方向性はよい。これらの研究は、どれぐらいの期間を考えているのか。
(板倉推進調整官)3〜5年程度の期間を考えている。
(竹内委員)競争的資金ということで、サイクル機構も応募することになるのか。
(中西課長)サイクル機構が応募しても結構であるが、必ずしもそのテーマが採択される保証はない。
(竹内委員)サイクル機構の予算で、一般会計が対前年度58%減額となっており、削減額がかなり大きい。
(中西課長)研究開発の進展によりフェーズが進んだため、特別会計の方で90億円程度計上している。もちろん、一般会計経費10%削減ということもある。
(藤家委員長)文部科学省になったということで、大学予算についても参考として説明していただいたことは、全体としていろいろな議論を進める上で有益である。大強度陽子加速器は、大学と別々に予算要求することになっているが、どのように連携をしているのか。
(中西課長)平成18年完成に向けての全体計画に沿って、それぞれ担当するところに応じ、部長クラスの連絡協議会を設けて調整しながら進めている。
(藤家委員長)競争的な原理が入る公募研究を行うことはよいが、これのチェックアンドレビューが重要である。この研究予算の決め方や実施に対するチェックアンドレビューの方法は、何か考えているのか。
(中西課長)今議論しているところであるが、長期計画の方針に沿って、専門家によるチェックアンドレビューを行っていきたいと考えている。
(藤家委員長)来年度予算はドラスティックな増減があるが、特別に問題になるところはないと思う。ただ、整理事業のメリハリは、今後きっちり付けていって欲しい。

 原子力委員会分について、青山参事官より、資料1−3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)「総合科学技術政策の企画立案等に必要な経費」とはなにか。
(青山参事官)その中に、原子力開発利用の推進という予算が計上されている。
(藤家委員長)総合科学技術政策の企画立案の中にあるというのは、予算項目の計上方法が間違っているのではないか。原子力政策の企画立案であればわかる。また、構造改革特別要求があるということも事前に聞いていない。この資料では内容がよくわからない。
(青山参事官)次回定例会議で再度説明する。

 外務省分について、松林課長補佐より、資料1−4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)分担率が下がっているのに対し円表示が上がっているのは、為替レートによるものか。
(松林課長補佐)そうである。
(遠藤委員)追加議定書の国際会議は大事である。結果を出すために頑張って欲しい。
(藤家委員長)前回のヒアリング時に重点的な見方をしたいとコメントしたところ、今回は重点化された説明を聞くことができ、よく理解できた。IAEA、OECD/NEAの活動について、どこから報告やPAが行われているのか。いろいろな取組みが行われているにも関わらず、一般にはほとんど知られていない。そういった点を改善する方策は何かあるのか。
(松林課長補佐)資金がどのように活用されているのかが国民に理解される観点から必要だと思う。IAEAなど各機関ではきっちり広報活動が行われているので、日本がいかに貢献しているか、などという点について、我々が政府としてどのように説明していくのかだと思う。今後検討していきたい。

 農林水産省分について、波川課長補佐より、資料1−5に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)病害虫が根絶したかどうかは、何かで推定できるのか。
(波川課長補佐)トラップなどで密度を調べ、推定している。
(竹内委員)根絶が確認されない限りは、次年度に予算が計上されることになるのか。
(波川課長補佐)鹿児島の場合、根絶した後、原子力関係経費による事業(不妊虫放飼)は行っていない。一方、沖縄の場合、不妊虫放飼による再侵入防止事業を行っている。これは、地理的に沖縄は再侵入の可能性がより高いため、沖縄では再侵入防止事業を行っているということである。
(藤家委員長)内閣府沖縄振興局と農林水産省との間の調整はどうしているのか。
(波川課長補佐)指導しているのは農林水産省であり、それぞれの担当部局が調整しながら事業などを行っている。
(藤家委員長)今後、放射線利用などの観点から農林水産省が関係することが出てくると思うが、積極的な対応をお願いしたい。
(遠藤委員)農林交流センターで研究を行っているが、日本原子力研究所の高崎研究所で、放射線利用の研究を行っている。参考にしているのか。
(波川課長補佐)調べて参考にしたい。
(藤家委員長)内容もよくわかるので、引き続き実施していってほしい。


 (2)関西電力株式会社高浜発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
 標記の件について、石田統括安全審査官より、資料2−1、2−2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)海水淡水化装置の記載は最近の申請書ではないのか。
(石田統括安全審査官)昭和58年以降、本文への記載はない。
(藤家委員長)「第4図 雑個体廃棄物の処理系統図」で、モルタル充てんなしに容器封入して、固体廃棄物貯蔵庫へ運ぶルートがあるのか。
(石田統括安全審査官)古いものから順番に固形化処理していることもあり、固形化処理せずに容器に入れて、一旦固体廃棄物貯蔵庫へ保管するルートがある。

 (3)東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(諮問)
 標記の件について、佐藤総括安全審査官より、資料3−1、3−2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)濃縮廃液の処理などは、以前からこのような方式で、と考えていたもので、技術的な問題はないと思う。

 (4)MOX燃料加工工場の立地協力要請について
 8月24日に、日本原燃株式会社から青森県及び六ヶ所村に対し、MOX燃料工場の立地協力の要請を行った。標記について、鈴木専務取締役より、資料4に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。 
(早瀬理事)電気事業者は、エネルギーセキュリティの確保、地球環境問題への対応などの面から、原子力開発に着実に取り組むとともに、原子燃料サイクルの確立を我が国の原子力政策の根幹と位置付け、MOX燃料加工事業について平成13年11月、日本原燃(株)に対して事業主体の要請を行った。今般諸準備が整ったことから、六ヶ所再処理工場の隣接地にMOX燃料製造工場を立地することについて、先日、日本原燃(株)とともに青森県及び六ヶ所村に対し協力要請をしたところである。なお、プルサーマルの推進については、電力各社で委員会を作り検討を進めているほか、電気事業連合会の中にも、各社の社長をメンバーとしたプルサーマル推進連絡協議会を設置し、幅広い検討を行っている。中間報告として、8月21日に、プルサーマルの一層の推進に向けた体制の強化、理解促進のための諸方策について、経済産業大臣へ報告した。こうした具体策を着実に行うことで、2010年までに16〜18基でプルサーマルを実現すべく、不退転の決意で取り組んでいく。
(竹内委員)原子力燃料サイクルの確立は原子力政策の根幹なので、是非これからも根気よく着実に進めていってほしい。
(藤家委員長)電気事業連合会から日本原燃(株)に事業主体要請が行われた時に、原子力委員会定例会議で次の発言を行った。
 「核燃料サイクルを国内で閉じるという政策の中で、再処理施設が建設されているわけであるが、そこで回収されるプルトニウムを国内でMOX燃料として加工することは、適切かつ不可欠であると認識している。電力会社において核燃料加工の事業化を決定されたことは、大変喜ばしく、また、核燃料サイクルの推進に大きな進展をもたらすものと思う。現在策定中の長期計画においても、核燃料サイクルは重要と位置付けており、今回の事業化はそれに沿っていると思う。六ヶ所村の日本原燃(株)の事業所内で、再処理工場の近くにMOX燃料加工工場を建設することは、核物質の輸送という観点からも有効な判断であると思う。これら事業の推進に当たっては、地元のご理解が無ければなかなか進むものではないので、安全確保を大前提に引き続き努力して頂きたい。いずれにせよ、日本原燃(株)から事業許可申請が出されれば、その段階で、原子力委員会としてももう少し別の観点からの議論がなされるものと思うが、今回説明を受けた段階では、非常に心強いとの印象を持った。」
 これが今日の話につながった。
 今後、原子力委員会としては、このような時には、委員会の見解を表明したいと思っている。今回も準備しているので、事務局から読み上げて欲しい。

 事務局より、「日本原燃株式会社によるMOX燃料加工工場の立地要請について(案)」の紹介があった。

(藤家委員長)先ほど紹介した発言と合わせて読んでいただければ、原子力委員会の一貫した姿勢がわかると思う。

(5)その他