第34回原子力委員会定例会議議事録(案)

1.日 時2001年8月21日(火)10:30〜11:20
2.場 所委員会会議室
3.出席者
藤家委員長、遠藤委員、竹内委員
内閣府
 嶋野企画官(原子力担当)
総務省消防庁特殊災害室
 佐藤課長補佐
外務省総合外交政策局科学原子力課 廣田課長補佐
厚生労働省
 大臣官房厚生科学課 磯貝課長補佐
 医薬安全局監視指導・麻薬対策課 下山田氏
経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課
 鈴木国際担当企画官
国土交通省総合政策局技術安全課
 山尾技術開発推進官、西係長

4.議 題
(1)高浜発電所MOX燃料返還輸送に係る対米手続きの開始について
(2)藤家委員長の海外出張報告について
(3)平成14年度原子力関係予算ヒアリングについて
(総務省、厚生労働省、国土交通省)
(4)その他

5.配布資料
資料1 高浜発電所MOX燃料返還輸送に係る対米手続きの開始についてて
資料2 藤家委員長の海外出張報告について
資料3−1 平成14年度 原子力関係予算について(総務省消防庁)
資料3−2 平成14年度概算要求額(厚生労働省)
資料3−3 「平成14年度原子力関係予算ヒアリング資料」(国土交通省)
資料4−1 第32回原子力委員会臨時会議議事録(案)
資料4−2 第33回原子力委員会定例会議議事録(案)

6.審議事項
 (1)高浜発電所MOX燃料返還輸送に係る対米手続きの開始について
 標記の件について、廣田課長補佐より、資料1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(遠藤委員)本申請に係る手続きは、今後どのように進められるのか。
(廣田課長補佐)米国エネルギー省は、本申請書について、国務省、国防省および原子力規制委員会と協議を行う。その後、連邦官報への15日間の掲載、下院の国際関係委員会および上院の外交委員会への提出(会期の15日間の経過が必要)を経た上で、エネルギー省長官が申請書に署名する。

 (2)藤家委員長の海外出張報告について
 藤家委員長が7月28日から8月4日にかけて中国を訪問し、政府関係機関、大学・研究機関ほかと広く意見交換を行った出張について、同行した廣田課長補佐より、資料2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。 
(廣田課長補佐)今回の藤家委員長の中国ご訪問のような機会は、これまでの日中間においてここ2〜3年なかったということで、21世紀早々にお互いの原子力政策を理解する機会が得られたという意味において、非常に有益であったものと考えている。
(遠藤委員)張華祝・国家原子能機構主任との間で、追加議定書および損害賠償について、どのような意見交換があったのか。
(廣田課長補佐)藤家委員長から、追加議定書を含むIAEAの保障措置の評価や原子力損害賠償についての話をしたところ、他の課題でもそうであったが、張主任からは「わかりました」という発言があった。特に突っ込んだ議論はなかった。
(藤家委員長)出張報告にもあるとおり、日本の原子力政策の原点である広島・長崎問題や核兵器反対は、我が国として大事なことであるということ、一方、原子力利用も、資源小国日本としては、大切なことであるということを再確認した上で原子力長期計画策定にあたった、ということを伝えた。また、核不拡散について、厳しいことをお願いすることとなるが、理解して欲しいと伝えた。意見交換の終わりのほうでも、同様なことを伝えたところ、「メッセージの趣旨はよく理解しました。」というところで、意見交換は終了した。
(竹内委員)中国の核燃料サイクルについては、構想段階か計画段階なのか。
(藤家委員長)核燃料サイクルを行うと聞いており、再処理工場の計画もあるようである。
(竹内委員)原子力発電は民間で進めるであろうが、核燃料サイクルは国が進めることになるのであろう。
(藤家委員長)高温ガス炉については、清華大学と日本原子力研究所との間で、かなりの情報交換を行ってきている。また、研究者派遣の話が進められており、結果が出そうである。中国では高速実験炉を建設中である。日本と同じような道を歩んできているので、張主任に対して定期的な交流を持ってはどうか、と提案し、事務方で検討させるということで話は終わっている。特記すべき事項は、ITERについて、日々、積極的になっていったということがあり、今は日本原子力研究所との間で話し合いが始まっていると思う。

 (3)平成14年度原子力関係予算ヒアリングについて
   (総務省、厚生労働省、国土交通省)
平成14年度原子力関係予算については、7月下旬から8月上旬にかけて、原子力委員会において、主要各省から政策テーマ別にヒアリングを行い、審議を行ってきた。その後、具体的な概算要求額が固まってきたので、まず総務省、厚生労働省及び国土交通省から説明・報告を受けた。

総務省分について、佐藤課長補佐より、資料3−1に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)リングレーザージャイロとはどのようなものか。
(佐藤課長補佐)位置を特定するために一般的に使われているのはGPSであるが、建物の中では衛星電波が届かないことがあり、GPSが使えないので、ジャイロを使って位置を特定しようとするもの。航空機などでも使われている技術である。
(竹内委員)どのように使うのか。
(佐藤課長補佐)消防隊員の体につけたセンサーにより位置を特定するシステムで、救助活動の支援の一助となるものである。
(竹内委員)原子力災害以外でも活用できそうである。
(佐藤課長補佐)消防活動以外でも活用可能である。消防隊員は常に危険な状況にあり、指揮本部から動向を常に確認し、指示命令を出すことで安全な救助活動を支援する。消防活動にとって必要なシステムである。
(藤家委員長)安全確保、防災対策についての整備という点で必要なことだと思う。

次に、厚生労働省分について、下山田氏より、資料3−2に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(藤家委員長)立入検査の頻度はどれくらいか。
(下山田)年1回である。
(竹内委員)対象事業所はどれくらいあるのか。
(下山田)全国で数カ所である。
(藤家委員長)目的が明確であり、必要性がわかった。

次に、国土交通省分について、山尾技術開発推進官より、資料3−3に基づき説明があり、以下のとおり質疑応答があった。
(竹内委員)海事局、自動車交通局および航空局で扱う放射性物質はなにか。
(山尾推進官)航空局はほとんどコバルトであるが、自動車交通局はコバルトに加え、イリジウムやモリブデンも扱う。海事局は船で大量に物を運ぶことができることもあり、RIだけではなく、使用済核燃料も扱う対象となる。
(竹内委員)核燃料を運ぶにあっての責任の境界線はあるのか。
(山尾推進官)国際条約で国籍主義になっている。
(藤家委員長)核燃料物質の輸送では、原子炉等規制法と船舶航行上の安全規制法令が関わる部分があり、国土交通省では審査機関を別途持っていると思うが、原子力の安全性の確認という面で、原子力安全委員会と国土交通省の関係はどうなっているのか。
(西係長)原子力安全委員会では、IAEAが決めた輸送規則を国内に取り入れるときに審議をするということとなっている。輸送に関して、原子力安全委員会は、行政庁の安全審査に関わる行為は行っていない。
(藤家委員長)かつて、舶用炉関係は国土交通省の担当であったが、原子力船むつがなくなったということで、国土交通省の担当はなくなったということでよいか。
(山尾推進官)そうである。
(藤家委員長)MOX燃料の輸送に関する安全対策で、特記することはあるか。
(山尾推進官)特別な問題点などは聞いていない。
(竹内委員)新燃料運送安全対策とはなにか。
(山尾推進官)米国から発電所の専用港に、ウランの新燃料を直接運んでくる計画があり、その場合の輸送容器の設計審査などに対する安全対策対応のことである。
(藤家委員長)ほとんどが継続している案件であり、特に審議が必要となるものはないと思う。

 (7)その他